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全国大会2018 関東エリア予選:トップ10カード

 遂に最終地区であり最大地区でもある関東エリア予選が行われた。
 今シーズンのエリア予選では唯一「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」のカードプールが開放された戦いであり、各プレイヤー・チームらはそれぞれ新規カードの研究に尽力したことだろう。
 結果として『火水クラッシュ覇道』『光ゼロサッヴァーク』という既存のデッキが洗練されただけでなく、『水魔導具』『バラギアラ』の登場、殿堂環境にスコールの如く降ってきた『水単ムートピア』が2ブロック用にリペアされ、そして伏兵『5cオボロティガウォック』等の多様なデッキが会場に存在した。

■各ブロックベスト16 分布(ブロック小計、合計)
デッキ/ブロック A B C D E
火水クラッシュ覇道 4 5 8 1 7 25
4cチェンジザ覇道 1 1
火光轟轟轟ブランド 1 1 1 3
火単轟轟轟ブランド 2 2
火単ビートジョッキー 1 1
火ジョーカーズ 1 1
自然ジョーカーズ 1 1 2
ゼロt火ジョーカーズ 1 1 2
バラギアラ 1 1 3 2 7
ツインパクトビッグマナ 1 5 6
光単メタリカ 1 2 1 4
光単デュオコマンドー 1 1 1 3
水単ムートピア 1 2 1 1 2 7
闇単デスザーク 1 1 2
水魔導具 1 1 1 1 4
光ゼロサッヴァーク 1 1 3 1 6
トリガービート 1 1
グスタフループ 1 1
ゴクガロイザーループ 1 1
5cオボロティガウォック 1 1
16 16 16 16 16 80

 それでは今シーズンのエリア予選を踏まえつつ、関東エリア予選会場で飛び交ったキーカードを順に見ていきたい。


No.10:《貪欲な若魔導士 ミノミー》

 2コストでデックトップ3枚を見て、呪文を1枚加える。このカードがツインパクトと相性がいいのは、すぐに気付くだろう。
 だがこのカードがトップ10カードにいるのは、その汎用性だけが所以ではない。『火水クラッシュ覇道』というデッキで起こった変化があり、その変化の象徴的な存在の一つだからだ。
 だが、詳細は《》の項目で書くことにしよう。


No.9:《歩く賄賂 コバンザ》

 年末年始の殿堂環境大会において、次々と結果を残していった『水単ムートピア』。関西大会で『Iam』が優勝し、東海大会では既にメタゲームの一角として食い込んでいたが、リストは更に変化を遂げて関東予選を迎えた。
 このデッキは大量に抱えた小型の呪文を連打し、まずは《超宮兵 マノミ》を展開。山札を掘り進めて《超宮城 コーラリアン》、そして《次元の嵐 スコーラー》を着地させる。最後は《次元の嵐 スコーラー》によってもたらされた追加ターン中に≪「本日のラッキーナンバー!」≫ で相手の防御札を封じ、殴り勝つといういわゆるOTKコンボの顔を持っている。
 さて、2ブロックにおいては《ガード・グリップ》《セイレーン・コンチェルト》といった1コストの呪文こそ健在ではあるが、《海底鬼面城》《ストリーミング・シェイパー》というドローを進める上での最強の5枚は不在だ。
 故に、この環境では《歩く賄賂 コバンザ》 が持つ役割は大きかった。
 殿堂環境では意見が分かれることもあるこのカードだが、「増やしきった手札から決める」という戦略が取れない2ブロックにおいては「呪文を連打する中でカードを揃えていく」という戦略に頼らざるを得ず、結果として《歩く賄賂 コバンザ》 は無くてはならない不動の存在となった。
 逆を言えばコンボを決める上でのこのカードへの依存度はかなり大きく、それが2ブロックに於ける『水単ムートピア』の不安定さの要因にもなっていた。
 決まった時の理不尽さや爆発力、そしてプレイに数々の選択肢がある『火水クラッシュ覇道』『光ゼロサッヴァーク』『バラギアラ』といったデッキと比較した場合に回しやすいことなどから、トップメタの一角を担う程の人気のデッキではあった。しかし、前述の通りの弱点を抱えていたのは事実であり、残念ながら頂点に輝くことは出来なかったのである。


No.8:《絶海の虎将 ティガウォック》

 『水単ムートピア』に於いて、コンボの中盤域でのドローと打点の役割を担っている《絶海の虎将 ティガウォック》。いわば脇役のような立ち位置だが、本大会で活躍したシーンはそれだけではなかった。
 伏兵とも言うべき存在である『5cオボロティガウォック』が、ぱんくろうの演出によって見事Cブロックで栄冠を勝ち取った。
 このデッキの場合、《絶海の虎将 ティガウォック》は間違いなく主役だ。マナゾーンに《ボーイズ・トゥ・メン》といった多色のカードを置き、《月光電人オボロカゲロウ》で手札の交換を行う。《絶海の虎将 ティガウォック》はそのターンにドローした枚数分だけコストが軽くなるため、最速で3ターン目には盤面に着地することが可能だ。
 手札交換とドローによって増えた選択肢から、相手に合わせた最適なカードをプレイすることがこのデッキの強みである。その中でドローと打点という主役の役割を、見事に演じてみせたのである。


No.7:《奇石 タスリク》

 『水単ムートピア』の襲来は文字通り突然やってくるスコールであり、嵐であった。
 しかし軽量の呪文を連打するという都合上、比較的低コストでそれを妨害することは可能だ。古くは《封魔ゴーゴンシャック》から始まり、強力なロックカードである《虚構の影バトウ・ショルダー》、革命チェンジを持った《タイム3 シド》があり、2ブロック環境に於いては《奇石 タスリク》がそれらに該当する。
 トップ4の時点で光文明を中心に据えた『光ゼロサッヴァーク』『光単メタリカ』は各ブロックの合計で4人いたが、そのうち3人が《奇石 タスリク》を採用していた。
 「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」に於いて『光ゼロサッヴァーク』を強化するカードは《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》くらいなもので、強力ではあるものの相手に干渉するカードではなかった。だからこそ、既存のプールの中から新たにカードを見つけてくる必要があった。
 『光ゼロサッヴァーク』はどうしても速度という面で出遅れることがあるが、《奇石 タスリク》はそれを補う活躍が出来る。また、後から着地するであろう《煌龍 サッヴァーク》の効果もあって場持ちがよく、加えてミラーマッチでも強さを発揮出来るカードだ。
 『光単メタリカ』の場合、その展開力から複数体構えることも可能だ。展開のために欲しい1、2ターンをこのカードは稼いでくれる。
 一方で『水単ムートピア』と同じく呪文を主体とする『バラギアラ』に対しては、必ずしも有効とは言い切れない部分があった。それは「呪文を重くする」という行為を≪龍装艦 チェンジザ≫が易々と乗り越えていったり、或いは後述する始まりの皇帝、もとい虹帝の存在があったのだが……。


No.6:《正義の煌き オーリリア》

 呪文を防ぎつつ《奇石 タスリク》とは違ったデッキでも力を発揮したのが《正義の煌き オーリリア》だ。《ヘブンズ・フォース》から繰り出せるクリーチャーの中でも特に強力なこの一枚は『光単メタリカ』だけでなく、『火光轟轟轟ブランド』や前述の『5cオボロティガウォック』でも採用されていた。
 このカードの強力な点は宣言自体を完全に封じてしまう点だろう。《奇石 タスリク》であれば《集結ノ正裁Z》をサバキZで唱えるといった行為は可能であるが、《正義の煌き オーリリア》はそれを許さない。また「ラスト・バースト」や「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」より登場した「スマッシュ・バースト」の使用を防ぐことも出来る。《》や、《》といったカードは、このカードを如何に乗り越えるかが勝負のポイントであった。
 一方でその運用には若干クセがある。相手のシールドが自分より少ない必要がある都合、ビートダウン系のデッキ以外では運用が難しい。また、早期に着地してこそ最大の力を発揮するため《ヘブンズ・フォース》による補助があるのが望ましいだろう。


No.5:《始虹帝 ミノガミ》

 エリア予選の序盤で台頭した『水自然ギガタックVV-8』、そのデッキに採用されていたのが《最強虫 ナゾまる》。それが《虹出づる繭 ミノガミ/帝の目覚め》を経て、遂に「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」に《始虹帝 ミノガミ》という完全体として覚醒した。
 5コストのマッハファイターながら、最大3ブースト・パワー+15000という破格の能力を誇り、《奇石 タスリク》≪龍装艦 チェンジザ≫ といった厄介なクリーチャーはもちろん、《煌世主 サッヴァーク†》まで倒せるポテンシャルを秘めている。
 ツインパクトデッキに留まらず、ビッグマナというデッキはどうしても除去という手段が乏しいのだが、《始虹帝 ミノガミ》はその弱点を補いつつ更にマナを加速させる。《》の都合上、限界までツインパクトを取りたいデッキにも関わらず非ツインパクトカードながら最大枚数採用されるのは、そういった強さがあるからだ。
 そしてもう一つの能力である「無敵虹帝」は敗北置換効果であるが、これは『バラギアラ』のループを成立させる能力でもあり、詳細は後述しよう。


No.4:《卍 新世壊 卍》

 「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」の目玉の一つは水の魔導具のカード群だろう。新たなデッキ『水魔導具』が生み出されたが、決してメタゲームに大きく食い込むことはなかった。決勝ラウンドに上がった『水魔導具』の5ブロックの合計は、わずかに4人だったのだ。
 ところが決勝ラウンドでの勝率は非常に高かった。4人のうち3人が準決勝まで残り、決勝の舞台に2人が立ち、LunaはAブロックの覇者となった。
 このデッキの生命線となるのが《卍 新世壊 卍》だ。
 わずか2コストで場持ちが良く、一度貼ってしまえば手札の補充は可能で、後続の魔導具呪文を抱えることは容易。こうなると、呪文を封じる効果も貫通するため、その後の《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》からの《凶鬼卍号 メラヴォルガル》の着地を防ぐことは難しい。《凶鬼卍号 メラヴォルガル》が複数体着地した際の破壊力は凄まじく、『光ゼロサッヴァーク』の強固な防御陣すら突破してしまう。
 このカードをいかに早期に引き込み、設置できるか。それがあらゆる相手に対する勝負の鍵である。
 反面、このカードを引けずに序盤を浪費してしまうと、相手になんら脅威すら与えられずに敗北してしまうことも多い。そうした側面が、多くのプレイヤーがこのデッキを避けた原因とも言えるだろう。
 《卍 新世壊 卍》さえ引けてしまえば――爆発的な突破力と不安定さを備えていたのがこのデッキであった。そういった意味では、『水単ムートピア』に近いのかもしれない。

 ところで、≪ジャミング・チャフ≫すら効かない《卍 新世壊 卍》からの《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》にも、たった一つだけ防ぐ方法があった。Dブロックの決勝は、まさにそんな駆け引きが行われた戦いであった。
 《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》の効果は召喚。
 そして召喚を止めるカードは、このプールに存在する。


No.3:《》

 Dブロック決勝のユーリもりあの戦いは、中盤以降≪「本日のラッキーナンバー!」≫ の押し付け合いとなった。それはもりあの『水魔導具』の《卍 新世壊 卍》に対し、ユーリ≪「本日のラッキーナンバー!」≫で8を宣言。これによって《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》からの《凶鬼卍号 メラヴォルガル》の“召喚”を防ぐことが出来たからだ。
 もりあもまた、ユーリの『バラギアラ』に対して、≪「本日のラッキーナンバー!」≫を使用。9を宣言することで≪天地命動 バラギアラ≫ の召喚を防いだ。
 しかし最終的にはユーリが2体の≪龍装艦 チェンジザ≫ を並べることで≪「本日のラッキーナンバー!」≫を2回使用出来るようになり、8と3を宣言。打ち合いに終止符が打たれ、決着がついた。

 ともかく、本大会はラッキーナンバー宣言が飛び交う大会であった。

 このカードで防げないギミックは《煌世主 サッヴァーク†》の着地くらいなもので、
『水単ムートピア』、『水魔導具』、『火水クラッシュ覇道』、そして『バラギアラ』と、水文明の入ったデッキには悉く採用されていた。
 加えて、各デッキによって少しずつ役割が違うのもこのカードの面白いところだ。
 特に『水単ムートピア』にとっては展開前のメタカードの使用を防いだり、フィニッシュに添えて安全にシールドを叩いたりと、このカードの役割は大きい。『水魔導具』に於いては《卍 新世壊 卍》を引くまでの時間を稼いだり、《凶鬼卍号 メラヴォルガル》を数引けていなくともゲームを決めに行けるなど、その役割は『水単ムートピア』と近いが、大きく依存しているわけでもない。
 また『火水クラッシュ覇道』では、≪機術士ディール≫ として用いてブロッカーや《異端流し オニカマス》を手札に返したり、どうしても無視できない《終末の時計 ザ・クロック》を防ぐために3を宣言することもあるが、実のところこのカードをプレイ出来る余裕はあまりない。優勝した弥生町のリストでも、採用枚数は1でありそれほど重視されていないことがわかる。
 他方、『バラギアラ』はというと、上記の通り≪龍装艦 チェンジザ≫ と非常に相性がよく、中盤域のテンポアドバンテージで遅れを取らず、最終的にはこのカードをループさせて勝つことから、非常に大きな役割が与えられていた。

 このカードを使いこなすには、相手のデッキをよく知る必要がある。一見便利なカードではあるが、使用にあたってはよく練習をしておくべきだろう。


No.2:≪天地命動 バラギアラ≫

 関東エリア予選当日。当時DMPランキング4位だったユーリは、3回戦が始まる前に筆者へこんなことを宣言した。
 
「俺、この会場で最強なんで」

 果たして彼は、自らが作りあげた『バラギアラ』を手に、そのまま優勝を成し遂げた。

 「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」の看板を背負った≪天地命動 バラギアラ≫ は、今までにないギミックを持つカードであった。まずは驚愕を持って受け止められ、そして各プレイヤーはデッキの開発に着手した。
 そんな中、ユーリばんぱくといった全国トップランカーが所属する調整グループ「2ブロックしたい会」、通称したい会では早くから『バラギアラ』の開発に着手していたようだ。リストは秘匿とされ、当日満を持して会場へと持ち込んだのである。

 『バラギアラ』について、デッキの動きを解剖していこう。

 このデッキは序盤を≪魂フエミドロ≫ 等でブーストしていき、中盤で《始虹帝 ミノガミ》≪龍装艦 チェンジザ≫ でマナや手札を伸ばしていく。シールドを攻めてくるデッキには≪六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~≫ で耐え、『水単ムートピア』や『光ゼロサッヴァーク』には≪ジャミング・チャフ≫≪「本日のラッキーナンバー!」≫ で動きを止める。
 そしてマナが溜まると、いよいよ≪天地命動 バラギアラ≫ が登場だ。
 『バラギアラ』のリストは様々ではあったが、ここではDブロックを優勝したユーリのリストを参考にする。目指すのは≪「本日のラッキーナンバー!」≫ を無限回使用することだ。
 まずは盤面に《》《》《》を揃える。ポイントは≪天地命動 バラギアラ≫ の枚数が奇数であること。そして≪輪廻暴冥≫ で序盤に使って墓地に置かれた≪コンダマ≫ を蘇生していき盤面に2体、更に《始虹帝 ミノガミ》を用意すれば準備完了だ。
 ≪輪廻暴炎≫≪輪廻暴冥≫を唱える度に≪天地命動 バラギアラ≫ の効果でブーストされていくが、≪コンダマ≫ 効果によって、自分のマナはアンタップされていく。いずれ山札は尽きてしまうが、そこで《始虹帝 ミノガミ》の「無敵虹帝」によって山札は回復するのだ。
 あとは8枚になった山札を、奇数枚のブーストし続けることによって「無敵虹帝」で回復する際に山札が1枚になるタイミングがあることに気付くだろう。これを無限回続ければいずれ山札に戻した8枚のカードのうち、任意のカードがボトムになるタイミングが発生し、そのカードを≪輪廻暴氷≫によって手札に加えることが出来る。
 こうして≪「本日のラッキーナンバー!」≫《失われし禁術の復元》2枚を手札に加えれば、完全ではないもののループが発生し、無限回試行すればいずれ任意の回数≪「本日のラッキーナンバー!」≫ を打てるというわけだ。後は≪輪廻暴炎≫でスピード・アタッカーを得たクリーチャーが安全に攻撃して勝つことが出来る。
 
 ツインパクト系統のデッキはエリア予選序盤から徐々に台頭していき、関西大会では『光水自然ツインパクト』が優勝を果たした。そしてカードプールが増えた関東でも大きな爪痕を残した。
 ≪天地命動 バラギアラ≫ は途方もない力を持ったカードであり、今後も殿堂環境・2ブロック環境を問わず、様々な舞台で見掛けることになるだろう。


No.1:《》

 既に数々の栄光をもたらし、本大会でもその勢いを失うことはなかった『火水クラッシュ覇道』。
 本戦出場者の3割超を占めており、多いブロックでは16人のうち半数である8人が『火水クラッシュ覇道』ということもあった。
 「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」のカード群は新たなフィニッシャーをもたらすことはなかったが、「スマッシュ・バースト」というビートダウン系のデッキと非常に相性の良い能力が登場した。《》もその一つである。
 本大会に於いて、3人以上が決勝ラウンドに残り、5人中2人以上が優勝を成し遂げたデッキは『火水クラッシュ覇道』のみ。新弾が出ても、或いは新弾が出たからこそ、このデッキはやはり強かった。

 今更な話でもあるが、これまでの『火水クラッシュ覇道』の話をしよう。

 従来のこのアーキタイプは《南海の捜索者 モルガラ/トリプル・ブレイン》を採用し、継戦能力を確保しながら《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》の追加ターンを以って戦う、というプランニングがあった。それは特に《異端流し オニカマス》が睨み合う対面や『光ゼロサッヴァーク』に対抗する手段として編み出され、甲信越エリア王者の白梟はこの作戦を用いて見事頂点に輝いている。
 本大会でも《南海の捜索者 モルガラ/トリプル・ブレイン》を採用した『火水クラッシュ覇道』は数多く存在し、実際にいわなはこのカードを用いてEブロックで頂点に立った。
 だが、時代は変わった。
 正確には、《》が時代を変えたのだ。
 このカードはハンドコンボの側面を有していたこのデッキに確実性をもたらし、またハンドレスでトップドローをした暁には《“轟轟轟”ブランド》に変化するという特異性も持っていた。
 攻撃しながら手札の質を高め、トップデックした際に即座に強力なアタッカーに生まれ変われるこのカードを最大限に生かすにはどうするべきか。
 2016年関東エリア王者ナカジマが辿り着いた答えは、「デッキパワーを保ちつつ前に寄せる」というコンセプトだった。
 そのため“2コストのアタッカー”として優秀な《貪欲な若魔導士 ミノミー》が採用され、《南海の捜索者 モルガラ/トリプル・ブレイン》がデッキから外れた。《異端流し オニカマス》が睨む相手や、『光ゼロサッヴァーク』には“質を伴った速度”で粉砕する。
 結果、ナカジマが生み出した『火水クラッシュ覇道』のリストは弥生町の元へと流れつき、彼はBブロックの覇者となった。

 新たなデッキを生み出したのが前述の『バラギアラ』であるならば、既存のデッキに革命を起こしたのが《》なのである。



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