全国大会2019 中四国エリア予選 Aブロック準々決勝:オーリ(広島) vs. さんしょー(岡山)
撮影者:堀川 優一
ライター:金子 幹
「年の差すごくない!?」
準決勝の対戦卓が始まるや否や、観戦席からそんな声が聞こえてきた。
オーリ「年、聞いてもいい?」
さんしょー「15です」
オーリ「すごいな。僕、29歳」
実に一回りも年齢さのある対決に、対戦する両者の間でも驚きを隠せないようだった。
広島の西城を拠点とする長年プレイヤーとして活動してきたオーリ。
一方のさんしょーは、幼いながらも、岡山のCSに度々参加して競技シーンに触れる傍ら、シャドーボックス制作でも自身の多才さを発揮させている若きホープだ。
そんな対照的選手だが、奇しくも両者の使用するデッキは『火単“B-我”』。
2ブロック環境を代表する高速ビートダウンだ。
ゲーム準備が始まるとざわついた会場も静まり返り、両選手の眼はどちらも真剣勝負のそれになる。
ぶつかり合えば、言葉はいらない。
年齢の差など、デュエルマスターズの中では些事に過ぎないからだ。
先攻:さんしょー
先に動いたのは先攻のさんしょー。
2ターン目に《こたつむり》が先陣を切る。続く3ターン目の動きは≪メガゴーワン・チュリス≫。順調に盤面を伸ばしていく。
対するオーリの一番手は《一番隊 チュチュリス》。
続く3ターン目に、流れるようにコスト軽減された《DROROOON・バックラスター》を場に出し、《ブルンランブル》をGR召喚する。
両クリーチャーの効果によりさんしょーの《こたつむり》と≪メガゴーワン・チュリス≫を破壊。
盤面を0体にされ、手痛い一手を与えられたさんしょー。
しかし、彼も返しのターンに《DROROOON・バックラスター》を召喚し、《“魔神轟怒”ブランド》をGR召喚。オーリの《一番隊 チュチュリス》を破壊し、後続の登場を遅らせに図った。
返しのターンに、オーリは2体目の《DROROOON・バックラスター》を場に送り出す。
少し逡巡し、オーリは《DROROOON・バックラスター》を1体犠牲にし、さんしょーの《DROROOON・バックラスター》を破壊する選択をした。
相手よりいかに盤面を取るかに終始する『火単“B-我”』のミラーマッチ。ここまでは制圧の鬼たる《DROROOON・バックラスター》を2体展開しているオーリが優勢なのは間違いない。
無論、圧倒的不利に立っていることを理解しているさんしょーは、次ターン、手札に来た《BUNBUN・ヴァイカー》で盤面を伸ばしにかかる……が、1枚目のブレイクでGR召喚されたのは《ロッキーロック》。
「スピードアタッカー」である《ソニーソニック》がGR召喚されればさらに盤面を伸ばせたものの、これでは、連鎖は続かない。
苦々しくターンエンドをするしかないさんしょーを後目に、オーリはここで猛追をしかける。
2マナで《ダチッコ・チュリス》を場に出すと、次にコスト軽減されて1コストの《ダチッコ・チュリス》を場に出す。
さらにその効果と自身のシンパシーで実に6コスト軽減されたオーリの切り札《龍星装者 “B-我”ライザ》が場に出された。
《龍星装者 “B-我”ライザ》の攻撃で捲れたのは《BUNBUN・ヴァイカー》。
過剰なまでの打点が形成されたと思われたが、このシールドブレイクでさんしょーの≪ゴゴゴ・Go1・ナックル.≫がトリガーした。
《龍星装者 “B-我”ライザ》を破壊し、「G・G・G」を阻止することで、現在動けるクリーチャーは今、場に出た《BUNBUN・ヴァイカー》と前のターンからいた召喚酔いしていないクリーチャー2体。
さんしょーのシールドは3枚なので、ここでダイレクトアタックまでに持っていくには《BUNBUN・ヴァイカー》の効果で《ソニーソニック》ないしは《“魔神轟怒”ブランド》をGR召喚するしかない。
次々に攻撃するオーリのクリーチャーたち。
1枚、2枚と捲っていくが《グッドルッキン・ブラボー》、《ドドド・ドーピードープ》、《ドドド・ドーピードープ》…まさかの「スピードアタッカー」0体の結果に終わり、オーリはターンエンドを宣言。
紙一重で返ってきたさんしょーのターン。
ドローをして、手札とマナでいくつものパターンを試算。
……だが、どれだけ試算しても、オーリの圧倒的なボード差を覆すのは難しく、止めまで行ける打点も形成できないと判断したさんしょーは、潔く次ターンのオーリのダイレクトアタックを受け入れたのだった。
Winner:オーリ
最後の最後まで、どちらが勝つかわからなかった本試合。
終わってみれば年齢の差など微塵も感じさせない名勝負であったことは間違いない。
そのためかはわかならいが、対戦後の両者は、お互いを認め合い、同じアーキタイプを使用した感想をシェアしていた。
オーリ「今回持ち込んだこのデッキ、エリア予選の直前に004さんが記事に上げていた『火単色“B-我”』のリストを参考にしたんです」
今回ライター班として、本試合を観戦していた004も、この感想には思わず笑みをこぼす。
さんしょー「実をいうと僕もその記事を見ていて……!」
なんとここにも、読者がいたようだ。
その後、満面の笑みを浮かべる004を交えて、オーリとさんしょーは暫し、『火単色“B-我”』について語り合っていた。
……そうして、歓談の後、「では」と立ち上がり、次の試合に向かうオーリ。
さんしょーも、この舞台に再度立てる日を目指して席を立つ。
今しがた席を立った彼らも、もしかしたら、またどこかで対戦する機会があるかもしれない。
『デュエルマスターズを続けていれば、誰とだって競い合える』
そんなことを思うと、このゲームの懐深さをただひたすらに感じられずにはいられなかった。
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