全国大会2024 中国・四国エリア予選:メタゲームブレイクダウン
ライター:河野 真成(神結)
撮影:瀬尾 亜沙子
想定外の寒波を超えて
2024年1月11日。前日まで到来していた大寒波の影響によって、日本列島の一部には雪が降り積もった。
想定外である。
筆者も大雪の降る大垣-米原間を走っていたときは、会場に辿り着けないことも頭を過ぎったが、幸いにも新幹線は無事動き、開催地である倉敷も雪の影響を受けることはなかった。
参加者側も1名がインフルエンザによって辞退を余儀なくされたものの、それ以外の66名は無事会場へと辿り着くことが出来た。

倉敷と言えば伝統的な建物が並び、レトロな雰囲気が楽しめる美観地区が有名であるが、ショップにカードが並ぶ姿というのもまた、我々カードゲーマーにとっては1つの美観として楽しめる……かもしれない。うん、これは流石に無理があるか。
さて、この中四国エリアではこれまでの大会と大きく違う点がある。
それが、王道篇第4弾「悪魔神、復活」のカードたちが使用可能という点だ。
中でも2ブロック環境に大きな影響を与えているカードが、DMR(ドリームレア)カードである《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》。

そして各地で行われた新弾後の2ブロックのCSでは、この《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を使用した【火水闇ジャオウガ】が次々と結果を残していった。
エリア大会ではここまで、マジック以外のビートダウンデッキは中々結果が出ない時期が続いていたが、ここにきて芽が出てきたのである。
また、もう1つ注目カードを挙げるなら、「呪文を止める呪文」である《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》。

またこのカードは呪文を止めるだけでなく、突破が困難であった《銀河竜 ゴルファンタジスタ》+《アシステスト・シネラリア》の盤面や、タップされている《「戦鬼」の頂天 ベートーベン》などといった“寒い盤面”を無効化して攻めることも出来るようになった。
この恩恵を受けているのが、《芸魔王将 カクメイジン》をフィニッシュとする【火水アグロ(速攻)マジック】であろう。
戦前の予想では、【火水闇ジャオウガ】に【火水アグロマジック】という2つのビートダウンデッキが環境を定義していると見られていた。
では実際はどのような結果となったのか。
全体の分布やトーナメントの結果を元に振り返っていこう。
計66
15 火水闇ジャオウガ
12 光闇メカ
11 水自然ジャイアント
7 火水アグロマジック
4 闇単アビスゼナーク
4 闇自然ゼニス・セレス
3 火水ターボマジック
10 その他
内訳:
4cエルボロム
火光闇メカ
火水闇ゼナーク
火水闇プレジール
火水ハイパーエナジー
火自然ゼニス・セレス
光水自然ゼニス・セレス
光水トリガーカウンター
水闇ハイパーエナジー
闇自然アビス
また、ベスト16進出デッキは以下の通り。
5 光闇メカ
3 火水闇ジャオウガ
3 水自然ジャイアント
2 火水アグロマジック
1 4cエルボロム
1 水闇ハイパーエナジー
1 火水ターボマジック
トーナメントの神が起こす想定外
火水闇ジャオウガ
まずやはり、【火水闇ジャオウガ】の使用者数がトップというのは予想通りの結果と言えるだろう。
NEOROCHI 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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デッキの構成としては火・水・闇を満遍なく採用し、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》や≪ボン・キゴマイム≫といったカードで盤面を固め、それを≪同期の妖精≫で守りながらゲームを進めていくというもの。
先攻であれば、相手の動きをまるごと止める《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》はより強力だ。これに関しては、特に後攻の相手の動きをデッキ単位で縛ることが出来るカードなため、「対応出来ないデッキを足切りする」レベルの強さがあった。
相手に盤面を崩されても《アーテル・ゴルギーニ》に復帰がしやすく、ゲームを続けやすい。
そうこうしているうちに何処かのタイミングで引いてきた《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を投げてフィニッシュを狙う、というのが狙いとなる。
仮に先に攻められる展開となっても、《終止の時計 ザ・ミュート》や《忍蛇の聖沌 c0br4》など強力な受けトリガーがあり、逆襲も得意とするところだ。
また、ゼニス・セレス系統のような長いゲームを狙ってくるデッキに対しても《DARK MATERIAL COMPLEX》という切り札を備えている。
基本的には九州エリアを制覇した【火水闇プレジール】に近く、《楽識神官 プレジール》が担っていた呪文を絡めた複数枚コンボによるフィニッシュを、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》に託した、といったところだろう。
全勝で予選1位だったNEOROCHIは、このデッキの使用の理由について以下のように回答。
「新規ジャオウガの出力が高く、カードパワーで優位に立てる場面が多いと感じた為」
デッキとしては2ブロックで出来る「火水闇3cグッドスタッフ」とも言えるようなもので、やはり《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》のパワーは魅力だったようだ。
加えてこのデッキは、「クリーチャーを並べていく」という性質の都合、複数枚の組み合わせによるコンボのような動きは少なく、つまるところ色の配分さえ気を付ければカード採用の自由度が高い。
アゾ 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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例えば同じく予選を抜けたアゾのリストは、《偽りの希望 鬼丸「終斗」》ではなく《ボルシャック・ガラワルド》を採用している。
「テンプレ構築では《偽りの希望 鬼丸「終斗」》が多いが、ハイパーエナジーを主軸採用したデッキが多色カードを採用しないため使いづらく、相手に依存しない《ボルシャック・ガラワルド》を採用した」
このように流行しているデッキや、自分が対策したいデッキに応じて、リストを柔軟に変化させられるのも、デッキの強みだろう。
《死神覇王 ブラックXENARCH》や、《鬼火と魍魎の決断》といったカード、更には《聖カオスマントラ》を採用するリストまであった。
相手としては警戒しなければならないカードも多く、対応に苦労することになるだろう。
今大会、このデッキの予選突破は3名いたが、うち2名は全勝での予選突破である。
しかしなんとベスト8には0名。全員が初戦敗退となってしまった。想定外だった。
トーナメント初戦は全員が先攻をもっていたものの、うち2名は【火水アグロマジック】に敗北。残る1名は、リスト上不利だろう【水闇ハイパーエナジー】に敗北してしまった。
結果として、デッキの数少ない弱点である序盤の不安定さを、よりによってマジックに突かれてしまった恰好となっただろうか。
またマジックが、2ブロックのデッキの中でも数少ない先攻の《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》を正面から突破出来るデッキであったのも、不幸だった点だろう。
トーナメントの神というのは、かなり気まぐれなものである。
対戦に“もしも”は禁物であるが、オポネントが少しずれていれば、或いは《ボルシャック・ガラワルド》によってハイパーエナジー対策をしていたアゾの方が、【水闇ハイパーエナジー】と当たっていたら……。
光闇メカ
前評判の高かった【火水闇ジャオウガ】とは異なり、サプライズ的な分布を見せたのが【光闇メカ】だ。その数、12名。その殆どが、◆帽子を中心とした高知のプレイヤーによる持ち込みだった。

◆帽子 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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使用理由に「メタを考えるよりもデッキパワーを優先した」と回答する辺り、リストそのものに強い自信があったことが窺えるだろう。
デッキの軸となっているのは、《楯教の求道者 ザゼ・ゼーン》と《光器アメリア》。
特に《光器アメリア》はこれまでのメカを変える1枚と言え、気軽に楯追加出来るようになったことで《楯教の求道者 ザゼ・ゼーン》が躍動。リソースとしても、フィニッシャーとしても計算が立つようになったと言えるだろう。
また《星雷の求道者ア・リガテ》による楯追加や、それと呼応する《忍鎖の聖沌 94nm4》のメカ・メクレイド5も合わさって、このデッキは凄まじい展開力を発揮できるようになったのだ。
これまでのメカといえば《獲銀月 ペトローバ》による展開が軸であったが、手札を消費する点や、《氷柱と炎弧の決断》で凌ぎやすいこともあって、リソースが尽きたり動き出せなかったりといった問題点があったが、それらとは完全に別のデッキである。
またトーナメント的な観点から言うと、リスト自体は共有しつつも、各人2~3枚ほどリストがズラしていたというのも面白い点だ。
これを◆帽子本人に問うてみたところ、「会場自体が狭く、他の対戦卓を見られてリストを看破されるのが嫌だった」とのこと。
例えば《鎧機天 シロフェシー》は決まれば致命傷を与えられるデッキも存在しており、その有無というのは対戦の前段階で大きな影響を与えるだろう。
【火水アグロマジック】視点であれば、「《鎧機天 シロフェシー》に走られたら負けが濃厚だから、出てくる前になんとか走り切ってしまおう」という考えから、見切り発車をしてもおかしくない。
そんな《鎧機天 シロフェシー》は◆帽子のリストには採用されていないカードだったが、ベスト4となったフルヤ葵のリストには採用されていた。
自信のあるリスト、従来のメカとは桁違いの動き、集団による持ち込み、そして集団持ち込みによるデメリットの解消。
こうした入念な準備の結果、メカは使用者12名のうち5名を決勝トーナメントに送り込むことに成功した。
しかし、ここで待ち構えていたのは、やはりトーナメントの神だった。
ここから当たり運の妙とも言うべきか、メカの受難が始まってしまう。
まず5名の内2名が、トーナメント1回戦からミラーで激突。
これはまだいい。絶対にどちらかは先に進める。
しかし更に不運なことに、残る3名はなんと1回戦で全員ジャイアントを踏んでしまったのだ。
そもそもトーナメントに上がったジャイアントは3名。その全てをメカが引き受けてしまったのだ。
新たなメカは圧倒的な展開力を手にしたものの、ジャイアント相手が厳しいことには変わらなかった。
そして結果、この3名は全てジャイアントに敗北してしまった。この時点で、5分の4が脱落。これは流石に想定外だった筈だ。
残る1名はベスト4まで勝ち進んだものの、最後はえもとものマジックに敗れ、涙を飲むことになった。
対戦に“もしも”は禁物であるのだが……。トーナメントの神も、もう少し手心があって良かったのではないか、と思わずにはいられないのである。
水自然ジャイアント
中四国エリア環境にメカが活躍したことで、もっとも恩恵を受けたのはジャイアントであろう。トーナメントに3名のプレイヤーを送り込むことに成功している。「恩恵を受けた」と書いたのには理由がある。なんというか、今回に関しては本当に偶然が重なったという要素も大きい。
もちろんジャイアントというデッキが強力であることは間違いない。
しかし使用者の持ち込み理由について抜粋していくと、「愛着があるデッキで自信があったから」「手元にあったから」「それしかデッキがないから」「このデッキで全て走り切ると決めていた」などの回答が目立ち、とてもメタゲームを読んで使ったというようには見えない。
はまち戦車 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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ちなみにベスト4となったはまち戦車の回答も、「愛着」の2文字である。
ただしリストには、当然工夫が見られた。
その最たるものが《楽球の妖精》であろう。
この環境というは先攻3ターン目の《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》にどれだけ耐性があるか、というのは大きな要素だ。
従来までのジャイアントであれば、マナブーストは《豊潤フォージュン》に頼るケースが多く、これに抗うことが出来なかった。
故に、2コストマナブーストである《楽球の妖精》の出番ということである。
またこのカードは場を離れたときも効果を発揮出来るため、場に置いておけば《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の破壊に反応し、手札を増やすことが出来る。はまち戦車が「今回の回答」と述べていたのも、納得の1枚と言えるだろう。
元々、≪同期の妖精≫や《アシステスト・シネラリア》というカードの存在によって、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》には相応の耐性があるデッキだ。
そしてある程度のジャオウガ対策を済ませたジャイアントを待っていたのが、なんとジャイアントにとっては非常に都合のいいメカが多い環境だ。
多くのジャイアント使いが「愛着を持って使い続けていた」ことも後押しした。使い込んでいただけあって、彼らの練度は非常に高かった。
ジャイアントにとって非常に都合のいいトーナメント表となり、はまち戦車がベスト4まで駆け上がってきたときは、このまま優勝まであるのではないかと筆者も思った。
しかしトーナメントの神は、このジャイアントにも立ちはだかった。
そこに待ち受けていたのは、ジャイアントにとってもっとも避けるべき敵、たった1人の【ターボマジック】だった。
ジャイアントとターボマジックはアグロデッキへの耐性こそ大きな差異あれど、得意とするデッキは近い。
つまりジャイアントにとって都合のいいトーナメントというのは、ターボマジックにとっても都合のいいトーナメントだったのだ。
そしてこの直接対決は、かなりターボマジック側に分がある。
ターボマジックで【火水闇ジャオウガ】や【火水アグロマジック】といったデッキが跋扈する予選を抜けるのは想定外であった筈だが、抜けてさえしまえば話は別。
こうしてジャイアントの夢は、よもやの敵に討ち取られてしまうこととなった。
対戦に“もしも”は禁物であるが……。いや、これ以上は流石にやめておこう。
火水アグロマジック
優勝を飾ったのは、事前予想でも2トップの一角を担っていた【火水アグロマジック】だ。
3can/えもとも 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》によって順当に強化されたことで、デッキ自体の出力が向上。オリジナル環境で使用して勝ったプレイヤーもいたくらいだ。
また立ち位置的な話で言えば、【火水闇ジャオウガ】に後攻から勝てるというのは大きな主張点だろう。
前述したように、現環境は先攻の《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》に抗えるかどうかは大きなポイントである。
その点メカは《楯教の求道者 ザゼ・ゼーン》→《光器アメリア》という動きですり抜けることが可能で、ジャイアントも《楽球の妖精》を採用した点は既に述べた。
そしてこのアグロタイプのマジックはというと、構築段階から《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》をそこまでに苦にしないのである。
というのも2コストさえ引けていれば《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》を出されたところで≪歌舞音愛 ヒメカット≫のフレンド・バーストがあり、また素直に革命チェンジで《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へ繋げばよいのだ。
結果、3can/えもともは予選順位16位という、トーナメントの全後攻が確定していたところから後攻を捲り続けてなんと優勝。
これもまたある意味で、想定外だったかもしれない。
前エリアの関西大会では、本戦トーナメントの全15試合のうち先攻が14勝したことを考えると、環境が大きく変わったことが示唆されるだろう。
火水ターボマジック
決して「当たりデッキ」ではなかった筈だが、準優勝であるこのデッキに触れないわけにはいかない。
レイン@29 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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振り返ってみると「予選をめっちゃ頑張った」ということなのだろう。
前述の「先攻の《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》」に対する回答は、このデッキにはない。
だったら先攻を取ればいいじゃないと、予選を奮闘したレインは、3位で通過したことで本戦を優位に進めることが出来た。
このデッキも《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》を獲得したことで、元々相性のよかったジャイアントに対しても《銀河竜 ゴルファンタジスタ》の突破が更に容易になった。
またトーナメントの場所もよく1回戦は受けデッキで、準々決勝・準決勝はいずれもジャイアント。決勝までアグロマジックを避けることも出来たし、ジャオウガが早々に敗れたのも味方した。
こうした追い風もあったが、決勝ではその風を掴むことが出来ず、惜しくも準優勝に終わってしまった。
ゼニス・セレス系統
これまでエリアで存在感を発揮してきたゼニス・セレス系統。とくに【光水自然ゼニス・セレス】は北海道でその芽を出すと、東北で開花。以降、エリア戦を引っ張ってきたデッキだった。
fogion 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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ただし今エリアでは、使用者は2019年九州エリア優勝者のfogionのみ。
ちなみに使用理由については、「お正月の朝、枕元に置いてありました」という、何か暗号めいた回答であった。
というのもこのタイプのゼニス・セレスは、【火水闇ジャオウガ】に勝ちきれないのだ。
元々じっくり盤面を作って勝ち切るタイプのデッキであったが、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》が盤面をリセットしてしまうと、復帰が怪しい。
仮にそれが出来たところで、今度は制限時間内の決着も難しくなる。だとしたら、一発勝負のエリアには合わないだろう。
一方で、ゼニス・セレス系統の主流となったのは【闇自然ゼニス・セレス】だった。
あっくんP 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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闇自然の主張点は、《「呪怨」の頂天 サスペンス》というカードがわかりやすい勝ちであることもそうだが、恐らく《サスペンス・ザイン》にあるのではないだろうか。
ジャオウガが≪ボン・キゴマイム≫によって相手を止める都合、あらゆるデッキが地上戦を意識した構築となり、結果としてクリーチャーを横に並べていくことになる。
こうした環境で活躍するのは、全体除去だ。
同様に、《黙示録の水晶》も強力な環境と言える。
しかしながらこの闇自然は「自分が動き出せるかどうか」というまた別の問題を抱えており、主張点があれどトーナメントには残りにくいというのは、納得出来る話ではある。
ハイパーエナジー系統
新弾のカードによって明確に強くなったのが、ハイパーエナジー系統のデッキであろう。
◆ヒル 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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元々《ツイン・シックス》から《爆藍月 スケルハンター》に繋ぐというデッキは存在していたが、とはいえかなり限定的なセット引きを要求されており、デッキとして安定感に欠けるものだった。
しかし新弾で《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》や《魔誕の斬将オルゲイト》といったハイパーエナジー戦術を強化するカードが登場。
これによって成立したのが、◆ヒルが使用した【水闇ハイパーエナジー】だ。
【水闇ボウダン】といったデッキを元に、出せるハイパーエナジーカードを増加。クリーチャーをタップしやすくなったことで《死神覇王 ブラックXENARCH》の使い勝手もよくなった。
また、フィニッシュに《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》を採用しているのも面白い。
5ターン目に唱えて追加ターンを得ることも可能で、これで《死神覇王 ブラックXENARCH》を出しながら全てのリソース刈り取ることも、勿論殴り始めることも出来るだろう。
ほぼ単色でデッキを構成していることもあって《偽りの希望 鬼丸「終斗」》にも強く、これ無しで序盤の盤面に干渉しづらいジャオウガ系には有利と言えるだろう。
しかし、今回は予選順位も低かったことから先攻のジャイアントを被弾してしまったことで敗北。
意欲的なカードが数多く使われていただけに、惜しい結果だったと言えよう。
その他
その他、予選を抜けたデッキだと【4cエルボロム】、或いは【4cジャオウガ】というべきデッキがあった。
レド。 全国大会2024 中国・四国エリア予選 2ブロック構築 |
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時間軸は前後するが、この2日後に行われた関東エリア予選では受けデッキが数多く躍進しており、レドの着眼点はそれに限りなく近かったと言えるだろう。
レドは《超光喜 エルボロム》からの《ハイパー・エントリー》+《聖霊超王 H・アルカディアス》を目指す構築となっており、更にとっておきの受け札として《閃光の精霊カンビアーレ》も用意していた。
関東エリアの結果示している通り、ジャオウガがアグロマジックが多い環境において、《超光喜 エルボロム》は一種のキラーカードであると言えた。
そして恐らくは本人の想定通りに予選を抜けたが、そのトーナメント1回戦にいたのがまさかのターボマジックである。予選はともかく、本戦となると想定外だった筈だ。
ゲーム自体はかなり粘ったものの、追加ターンを取りきられて惜しくも敗北。この結果次第では、もしかしたら関東エリアのデッキ選択にも、大きな影響を与えていたかもしれない。
想定外が生み出したもの
振り返ってみると、散々「よもや」の話を書いてきたが、少なくとも予選段階ではそれぞれのデッキ・プレイヤーの思惑が上手くいっていたように思う。ジャオウガは多かったし、予選でしっかり結果を残した。
メカは持ち込みに成功し、予選最大数の突破を決めた。
ジャイアントはリストに工夫を施し、練度で勝利した。
マジックはデッキの主張点を生かし、ギリギリながらも予選を抜けた。
しかし、それらがトーナメントに上がってきた結果、それぞれが大きな想定外に見舞われた。
まさか1回戦でジャオウガが全員消えるとは。
まさかここまでジャイアントに当たるとは。
まさかターボマジックが残っているとは。
やはりイレギュラーというものは起こるものなのだ。
そんなカオスの中で、予選16位だった3can/えもともが全後攻を捲って優勝したというのは、カオスの結果として非常に面白いものだったと思う。
この2日後には関東エリアも終わり、残すところはジャッジ大会のみとなった。
最後に滑り込むデッキとは、そして巻き起こるカオスとは一体どのようなものになるだろうか。
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