全国大会2024 北海道エリア予選:メタゲームブレイクダウン
ライター:塚本 樹詩
最後にカードプールに追加があったのが9/21に発売された「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」ということもあって、準備期間が長く、直前までのメタゲーム(ゲーム環境)の変化も比較的緩やかにみえた北海道エリア予選。まずは、45名のプレイヤーの参加となった1発目のエリア予選で使用されたデッキの分布を見ていこう。
全プレイヤーデッキ分布
10 水自然ジャイアント9 火水マジック
9 ゼニス( 7 火自然、 1 光水自然、 1 闇自然)
6 ターボマジック
4 COMPLEX( 2 XENARCH、 1 メカXENARCH、 1 トリガーコントロール)
3 闇自然アビス
4 その他(1 光水自然超化獣、 1 火水闇プレジール、 1 エルボロム、 1 アーマード)
これまでのメタゲームから激変した様子はなく【水自然ジャイアント】【火水マジック】の2台巨頭に【ゼニス】と直前に注目の集まった【ターボマジック】が次いだ形となった。
そして、TOP8へ進出したアーキタイプ(デッキ戦略)は以下となる。
TOP8デッキ分布
4 水自然ジャイアント1 火水マジック
1 ターボマジック
1 火自然ゼニス
1 メカXENARCH COMPLEX
優勝が【水自然ジャイアント】という点も含め、母数の多い強力なアーキタイプが勝ち抜けた、ある意味予定調和な結果となった。
この中から主だった活躍をみせた上位4つのアーキタイプの解説と、今大会での変化をまとめてみた。
【水自然ジャイアント】
高水準のカード群に種族シナジーと革命チェンジのギミックが加わり2ブロック大本命のアーキタイプとなった【水自然ジャイアント】は上記の通り、今大会の最大勢力となり、TOP8進出率も高く、納得の優勝と言える結果になった。
リノグレ 全国大会2024 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
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優勝したリノグレのデッキリストを参考にすると、盤面の制圧をしながらゴールである《超重竜 ゴルファンタジスタ》の終極宣言を目指し、物量で圧倒して勝つという構成が伺える。
盤面に干渉するカードの多さや、防御札の多さから、持久戦に持ち込む展開が多く、同型戦では盤面でいかに損をしないかを考えながら戦うことが重要になってくる。
北のあーさん 全国大会2024 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
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母数が多いということで、同型戦に向けてのプレイングや対策が重要ということで予選1位通過の北のあーさんのリストには《死神覇王 ブラックXENARCH》が4枚採用されていた。
持久戦に強く、革命チェンジとの相性も良いこのクリーチャーにアクセスするためのカードに関しては、ジャイアントの枠組みの中から無理なく用意できているので、デッキ本来の動きを損なうことなくパワーカードを運用できていたのが印象的だった。
強豪プレイヤーの構築ということもあって、リストの完成度の高さが伺えるので、リノグレのデッキリストと照らし合わせて共通するカードこそが【水自然ジャイアント】の骨子となることがわかる。
デッキのチューンにあたってこの部分に注目するのが今後のアップデートの材料となりそうだ。
【火水マジック】
霧隠 全国大会2024 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
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環境随一のゲームスピードで早期決着を狙うのが【火水マジック】。
2番目に使用者の多かったこのアーキタイプはTOP8に1名のみの進出となった。
淀みなくデッキが動けば手が付けられないほど強力で、特に先攻を取れた時のリターンが大きすぎるといった印象が大きかった。
主にオリジナル環境で覇権を取っていた時期が長いので、デッキの動き自体は想像の範囲から逸脱する点はないが、2ブロック構築では《芸魔龍王 アメイジン》の採用が大きく目立つ。
《芸魔王将 カクメイジン》を引けなかった時のセカンドプランとして1ターンを確保しつつ、次のターンの展開の幅を膨らますといった疑似的な追加ターンの役割として運用されている。
ゲームの序盤の展開に勝敗が左右されるので、マッチアップごとに重要なカードを把握しつつ、防御トリガーをかい潜ってダイレクトアタックを決める動きの引き出しを増やすことが勝率に直結するので、事前準備の段階ではこの2点を意識することが重要となる。
【ターボマジック】
セキボン 全国大会2024 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
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《シャングリラ・クリスタル》を使ってマナを伸ばし《芸魔王将 カクメイジン》で高コスト帯の呪文を踏み倒すコンボデッキがこの【ターボマジック】。
全体としては4番目に使用率の多いアーキタイプとなったが、その中でセキボンのみが達人級の動きを見せ準優勝まで勝ち上がった。
マナ加速とともに山札を掘り進めることによって《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》を踏み倒して、追加ターンを取り続ける状態を作ることがゴールとなるが、
その中で水晶マナを増やしてくので《グレート・流星弾》を踏み倒す動きも強力となっている。
《戦攻のシダン アカダシ / 「いいダシがとれそうだ」》の呪文面や《氷柱と炎弧の決断》の手札入れ替えモードを事前に使っておくことで《グレート・流星弾》で踏み倒せるクリーチャーの数を増やす動きは追加ターンに匹敵するビック・アクションとなっているので、この二つのコンボを念頭に試合を進めていくことになる。
また、《シャングリラ・クリスタル》を引けなかった時の立ち回りと、裏向きにチャージされたマナの内容を把握しておくことも欠かせない要素なっている。
【ゼニス】
全体的な母数では3番目に多かったものの、自然をメインカラーにしているものの相方とする文明の選択は別れ火+自然の組み合わせを選んだプレイヤーが大多数となった。
イマイズミ 全国大会2024 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
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唯一TOP8に進出したイマイズミもサブカラーに火文明を選んでいることを見るに《「使命」の頂天 グレイテスト・グレート》や《偽りの名 スカラベオ》がデッキの強さに絡んでいることがわかる。
また、フィニッシュ手段となる《「戦慄」の頂 ベートーベン》の対処は難しく、サイズで上回るのは環境を見ても《範丸の超人》や《DARK MATERIAL COMPLEX》くらいしか存在しない、なので地道にエターナル・Kを乗り越えていくか、攻撃させなくすることで攻撃誘導を封じるしかなく、一度着地してしまえば盤面の優位を確保しやすいのが【ゼニス】の最大の利点である。
大谷 全国大会2024 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
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そんな中で、予選2位通過の大谷は自然+1文明という枠組みを《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》によって乗り越え、自然+光水での構築を実現していた。
単に3文明というだけでなく《偽りの名 ワスプメリサ》+《聖霊超王 H・アルカディアス》という完封状態を目指す上で《光開の精霊サイフォゲート》まで採用しているので、序盤はマナ加速に専念でき、アーキタイプの弱点までもカバーしている点には脱帽だった。
総括
これまでの開催数が少なく、フィードバックの材料が少なかった2ブロック構築ということで、デッキ選択の時点での冒険はあまりせずにリスト内での工夫で差をつけるアプローチが目立つ大会となった。エリア予選全日程の内、次5回の予選が同じカードプールで戦うことなる。その中で【水自然ジャイアント】【火水マジック】【ターボマジック】各種【ゼニス】の4つとどう向き合っていくのか?という課題に引き続き向き合っていく中で、頭一つ抜けている【水自然ジャイアント】に対してのアプローチが今後の攻略のカギになることは間違いないだろう。
また今大会で活躍したTOP5カードをまとめた記事もあるので、そちらと併せて2ブロック構築戦の環境把握の材料になれば幸いである。
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