全国大会2024 関東エリア予選:メタゲームブレイクダウン
ライター:谷口 雄飛
数々のドラマを生み出しながらも行われてきた全国大会2024エリア代表決定戦も、終盤戦に差し掛かっている。デュエル・マスターズTCG 王道篇第4弾「悪魔神、復活」のカードプールが追加され、アビス・レボリューション編と王道編の全てのカードが使用可能となった環境で行われたエリア代表決定戦関東大会。プレイヤーは最後のカードプールが追加されてからの短い期間内に自分なりの答えとなるデッキを決める必要があった。新弾が発売された直後かつ、情報が少ない中、手探りで研究をしなければならなかった結果生まれたメタゲーム。参加者それぞれが相棒としたデッキはなんだったのかを見ていこう。
関東エリアメタゲーム
47【火水闇ジャオウガ】28【火水マジック】
15【水自然ジャイアント】
11【ターボマジック】
11【光水闇エルボロム】
10【光闇メカ】
7【火光水闇ジャオウガ】
6【水闇ハイパーエナジー】
4【火自然ゼニス】
3【火光アーマード】
2【光水自然ゼニス】
2【水闇COMPLEX】
2【闇単アビス】
2【闇自然アビス】
2【光水ハイパーエナジー】
2【光水エルボロム】
母数1以下のデッキタイプが12人
デュエル・マスターズTCG 王道篇第4弾「悪魔神、復活」の発売によって環境の勢力図が大きく変わったが、その中心として圧倒的な支配率を誇ったのが《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を中心としたデッキ群。オリジナル環境でも猛威を振るっている形に近い【水闇火ジャオウガ】だけで使用者が47名にのぼっているが、そこに光文明のメタカードやS・トリガーを足した構築を使用したプレイヤーが7名と、これら2つの母数を合計すれば参加者全体の約1/3を占める結果となる。中には《ブレイン・スラッシュ》から出すためだけに数枚採用するプレイヤーがいたりと、環境における影響力は大きかったといえる。
そして時点で母数が多かったのが【火水マジック】。2日前に開催された中国・四国エリアでの優勝結果報告や直近のCSでの入賞報告が多かったこと、1月に入ってからの環境での通りがよかったことやデッキの人気による使用者数など、様々な要因が重なって使用率第2位へ躍り出た。
そしてそのあとに水自然ジャイアントが使用率第3位につけ、そのあとに水晶ギミックを利用した【ターボマジック】や【光闇メカ】が続く構図となり、どのデッキも攻撃する方法が違えども、地上戦を仕掛けるデッキで環境が回っていた。
だが、そんな殴り合いの環境で今大会のダークホースとして活躍したのが《超光喜 エルボロム》を中心に真っ向からS・トリガーによる防御力で受け止める【光水闇エルボロム】だった。
以上の前提知識を踏まえて、本戦に進んだプレイヤーのリストを見ていこう。
TOP16デッキ分布
Aブロック4【光水闇エルボロム】(暴発3ラゼル1)
3【火水闇ジャオウガ】
1【火光水闇ジャオウガ】
1【水自然ジャイアント】
1【火水闇プレジール】
1【火水マジック】
1【火自然ゼニス】
1【光闇メカ】
1【光水サイフォゲート】
1【光水闇DARK MATERIAL COMPLEX】
1【光水ハイパーエナジー】
Bブロック
5【火水闇ジャオウガ】
4【火光水闇ジャオウガ】
2【水自然ジャイアント】
1【光水闇エルボロム】
1【ターボマジック】
1【光闇メカ】
1【火水マジック】
1【水闇ハイパーエナジー】
火水闇ジャオウガ
予選突破者を多く輩出したのはやはり《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を軸に据えたデッキだった。しかし、リストを見てみると《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を使うデッキでも、採用する文明にも違いが現れている。|
申し子 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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世間一般的な【水闇火ジャオウガ】は今大会で最大母数を誇り、見事準優勝という結果を出した。《同期の妖精 / ド浮きの動悸》や《終止の時計 ザ・ミュート》、《アーテル・ゴルギーニ》などの強力なカードや、S・トリガーやG・ストライクなどの防御用のカードを多く採用することが出来るこのデッキに、強力なフィニッシュ力をもつカードがあれば並大抵のデッキは受け止めることができない。しかし、関東では研究がさらに進み、光入りのジャオウガも見受けられるようになった。
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渋谷シャコ 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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同型戦や防御力を意識した光入りの構築も今大会の《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を上手く扱えるデッキとして活躍していた。《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を相手に出されても強く出れるメタカードとして白羽の矢が立ったのは、オリジナル環境のファイアーバードでも活躍している《ポッピ・冠・ラッキー》。
エスケープ能力によって《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の登場時効果を軽減させるだけでなく、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の攻撃時効果も防ぐことができたり、【火水マジック】の呪文使用を制限できたりと、場持ちのいいメタカードとして活躍した。
渋谷シャコ選手のリストでは《超光喜 エルボロム》も採用されており、《ブレイン・スラッシュ》や《S・S・S》といった呪文を使うこともでき、防御性能に関しても向上している。今後の《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》デッキの動向にも注目だ。
光水闇暴発エルボロム
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うっちー☆ 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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今大会で最も衝撃を与えたデッキは何か?と聞かれれば、このデッキを挙げないわけにはいかない。それほどまでにこのリストは今大会のメタゲームにマッチしていてかつ、防御力の高い、完成された4ターンループデッキだったからだ。
《超光喜 エルボロム》と《暴発秘宝ベンゾ / 星龍の暴発》、《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》の3枚コンボにより
① 3ターン目にクリーチャーを召喚
② 4ターン目に《超光喜 エルボロム》を召喚して《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》をシールドに追加してハイパー化、ターン終了時に《暴発秘宝ベンゾ / 星龍の暴発》を唱え、S・トリガー化した《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》を唱える
③ 13枚ほどデッキを削って《アーテル・ゴルギーニ》を場に。バラバラエティにより追加ターンを獲得し、《アーテル・ゴルギーニ》で《カリッキ=リッキ》と《陽炎の精霊メルキウス》を場に。
④ 追加ターンでデッキが5枚以下であれば《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》を唱えてループ始動
といった具合に、かなりの高確率で無限追加ターンループまで辿り着く。実際の動きはテキストカバレージで確認してほしいが、このデッキを対策するには《聖霊超王 H・アルカディアス》や《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》などで呪文を封じたり、相手の手札を破壊するデッキが望ましい。受けが強くて、最速4ターンでループに直行するこのデッキの完成度に敬意を表したい。今後の活躍にも注目だ。
火水マジック
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きら/単車塾 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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中国・四国エリアでは優勝し、今大会での母数も第2位につけていた【火水マジック】だったが、今大会ではベスト8止まりで会場を去ることとなった。
【光水闇エルボロム】の台頭と【火水闇ジャオウガ】などに喰われた結果であると推測される。当日のリストでは《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》の採用枚数は2枚が多く見受けられたが、今後は【光水闇エルボロム】を意識して3枚以上採用されるように変化していくかもしれない。
しかしデッキ自体は非常に強力で、環境の一角を担っていることには変わりない。今後の活躍にも期待がかかる。
光闇メカ
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タイガ一 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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中国・四国エリアで大躍進を果たした【光闇メカ】は、今大会でも本戦突破者を輩出。ベスト8まで勝ち残った。
これまでのメカデッキは《DARK MATERIAL COMPLEX》によるフィニッシュがメインであることが多かったが、《楯教の求道者 ザゼ・ゼーン》の登場により、《楯教の求道者 ザゼ・ゼーン》のシールドにカードが置かれた時の効果を《ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶》や《光器アメリア》、《星雷の求道者ア・リガテ》などを駆使することで、連続攻撃を仕掛けていくタイプへと変化した。これがかなりテクニカルで、それぞれの効果を確認してから対応しなければ、ものすごい打点を叩き出される。
今大会では【光水闇エルボロム】の台頭により割を食う形になってしまい、思うような結果にならなかったが、王道編で登場したメカのカードは4月以降の2ブロック環境でも引き続き活躍が見込まれる。今後の進化にも注目だ。
水闇ハイパーエナジー
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カツオの刺し身 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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デュエル・マスターズTCG 王道篇第4弾「悪魔神、復活」によってハイパーエナジーは大幅な強化を受け、今大会では水闇のハイパーエナジーが結果を残した。【水闇火ジャオウガ】などは序盤に苦しいマナ起きを要求されるが、こちらは2色でデッキが構成されており、3ターン目に7マナのハイパーエナジー持ちを出すために1コストのカードを大量に採用すること、2色の基盤による、マナ置きのストレスのなさから安定感とスピード感があるのだ。
特にデッキの強さを上げているのが《爆藍月 スケルハンター》と《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》。3ターン目に彼らが出てくると、その後の後続がどんどん続いていき、相手の手札が枯れてきたところで《超暴淵 ボジャガイスト》が着地すればほぼゲームセット。相手の《DARK MATERIAL COMPLEX》は《爆藍月 スケルハンター》が抑えて、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》はそもそも着地するところまでいくかどうかというところである。
ハイパーエナジーを最も効率的に使い、ハイパーエナジーを使うことでドローを重ねていきながら横が広がっていくこのデッキは、楽しくも色んなデッキに対してハンデスを武器に今後活躍していくことだろう。みんなも1回喰らって絶望してみよう、バブルボールツインシックススケルハンター4ドロー。ハイパーエナジーの恐ろしさは極致へ至った。
水自然ジャイアント
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ぽちぽち 全国大会2024 関東エリア予選 2ブロック構築 |
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王道編3弾環境までの覇者であったジャイアントは、今大会ではあまり実力を発揮できず、ベスト8までの段階で《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》に全て倒されてしまった。
中国・四国エリアでは《爆翠月 アカネ》を採用した構築が結果を残しており、4ターン目からプレイヤーに攻撃しながらコスト7のジャイアントへ革命チェンジするプランが取れるようになる強化はあったものの、環境の変化に適応できなかった形となった。1ターンの間にどれだけ横に展開しても《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の除去能力によってリセットされたり、【光水闇エルボロム】の台頭など要因は様々。
しかし、水自然ジャイアントは自由度が高いデッキのうちの一つだ。環境に応じてこれからも採用カードを変えながら戦い抜いていくことだろう。
《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》と《超光喜 エルボロム》が環境を支配した関東大会。その決勝戦のマッチアップは奇しくもどちらも《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》対《超光喜 エルボロム》の対戦であった。このことからも、この2枚のカードが環境を定義していたと言っても過言ではないだろう。
最後に残ったのは、デュエル・マスターズに精通しているプレイヤーが集まるエリア代表決定戦ジャッジ大会。デュエル・マスターズを愛し、たくさんの競技シーンを見てきた精鋭たちは今回までの結果を見て、そのデッキを相棒として選ぶのか。
今回のメタゲームブレイクダウンは、他のライターになぞってこの言葉でおわりにしようと思う。
みんなもやろう!2ブロック!
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