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DMGP9th 決勝戦:イヌ科(大阪) vs. ゲルネウス(宮崎)


 大型大会の決勝戦。その席に着く者はみんな不思議な空気を纏っている。
 ここまで来たことへの嬉しさ。この試合に勝てるかどうかへの不安と緊張。
 そして何より、今日最高の相手と戦えることへの高揚感。それらが入り混じった空気だ。

 DMGP9thの決勝戦に臨む2人もまた、同じ空気を纏っていた。


 チーム「マラかっち」に託された『カリヤドネループ』でここまで勝ち上がってきたのは
「カバレージライターを務めさせていただきます秋山です。本日はよろくお願い致します」
ライターの挨拶を先取りしたイヌ科

 対するは『火単ミッツァイル』を使用し、準決勝で「マラかっち」メンバーよしゆきを下したゲルネウス

 準備を終え、祈る2人。

 どちらかが勝ち、どちらかが負ける。祈りが届くのは片方しかいない残酷な世界だ。
 しかし、だからこそ多くの人が魅了され、この瞬間のために挑み続けるのだろう。

 DMGP9thは泣いても笑ってもこれが最後。
 試合開始の合図とともに2人は固い握手を交わし、自身の手札を手に取った。


Game 1

先攻:ゲルネウス

 ゲルネウスは2ターン目の《GIRIGIRI・チクタック》召喚でスタート。


 条件未達成のためGR召喚のない《GIRIGIRI・チクタック》に「やっさしー」と呟くイヌ科は《ブラッディ・クロス》《ア・ストラ・センサー》を唱え、高速で墓地に呪文を落とす容赦のないスタート。

 ターンが返り、長考するゲルネウス。このターンはマナチャージせず《TOKKO-BOON!》《“魔神轟怒”ブランド》をGR召喚し《GIRIGIRI・チクタック》で攻撃。

 先攻を取った『火単ミッツァイル』に怯まず、落ち着いて墓地の呪文を増やし続けるイヌ科。

 《ブラッディ・タイフーン》で7枚。《ア・ストラ・センサー》で8枚。もう≪魔導管理室 カリヤドネ≫の召喚はすぐそこだ。


 しかし、それを許すほどゲルネウスの『火単ミッツァイル』は遅くない。

 《GIRIGIRI・チクタック》から《ナギー・ナグナグ》をGR召喚し、B・A・Dで《“罰怒“ブランド》を召喚。
 そのまま《“罰怒“ブランド》で攻撃、トリガーは《エマージェンシー・タイフーン》のみ。

 更に《“魔神轟怒”ブランド》の攻撃時、最後の一押しに一言。

ゲルネウス《龍装者 バルチュリス》宣言で」

イヌ科は「おお、持ってたか」と零した。

イヌ科 0-1 ゲルネウス


 次はイヌ科の先攻で始まるため、イヌ科にとってはGame1よりも余裕をもって試合を進められるはずだ。

 しかし、イヌ科は知っている。
 予選でdotto、準決勝でよしゆき。ゲルネウスは、同じ『カリヤドネループ』を使用している二人を退けここまで上がってきているのだ。

 声が漏れる。

イヌ科「気、抜けないな」


Game 2

先攻:イヌ科


 イヌ科は1ターン目《ブラッディ・クロス》と好調なスタートを切る。

 対して初手を凝視するゲルネウス。マナチャージし《ブルース・ガー》を召喚。

 一方《セイレーン・コンチェルト》を唱え、≪魔導管理室 カリヤドネ≫のために墓地に落としておくイヌ科。

 《TOKKO-BOON!》《ブルンランブル》をGR召喚し《ブルース・ガー》と共に攻撃するゲルネウスだが、《エマージェンシー・タイフーン》がトリガーし、墓地の呪文が増えていく。

 ここでイヌ科は≪「本日のラッキーナンバー!」≫を唱え、「7」を宣言。


 「7」を宣言されたゲルネウス。
 召喚できない《“罰怒“ブランド》をマナチャージし、《GIRIGIRI・チクタック》《グレイト“S-駆”》を召喚。

 そして《グレイト“S-駆”》とGR召喚された《ソニーソニック》で攻撃。

 しかし、《エマージェンシー・タイフーン》がトリガーする。
 これで墓地の呪文が9枚となり、笑顔を見せるイヌ科。

 《ア・ストラ・センサー》《ブラッディ・クロス》を唱え、墓地に呪文は13枚。先ほどの《エマージェンシー・タイフーン》トリガーによって、≪魔導管理室 カリヤドネ≫が間に合った。


 満を持して登場した≪魔導管理室 カリヤドネ≫で≪「大当たり!もう一本!!」≫、≪終焉の開闢≫、《セイレーン・コンチェルト》を唱え、2枚目、3枚目の≪魔導管理室 カリヤドネ≫を回収。

 続けて《次元の嵐 スコーラー》を召喚し追加ターンに入ったイヌ科は、山札を掘り進めるとループの証明を開始した。

イヌ科 1-1 ゲルネウス


 ゲルネウスは言う。

 「次がラストですね」

 次のGameがDMGP9th、正真正銘最後の勝負。
 互いが望むのは、相手を超越し優勝する運命。今日、他の誰よりも自分が強いという証明。

ゲルネウス「いい手札をくれ」
イヌ科「盾に《知識と流転と時空の決断》をくれ」

ゲルネウス「3キル!」
イヌ科《知識と流転と時空の決断》4枚!」

 祈りが届くのは果たしてどちらか。


Game 3

先攻:ゲルネウス

 初手を見て複雑な表情を浮かべるゲルネウスに、思わず「どの顔?」と聞くイヌ科。

 お互い《ブルース・ガー》《ブラッディ・クロス》と1ターン目からのスタートを切る

 続けて《TOKKO-BOON!》を唱え《ブルース・ガー》で攻撃するゲルネウスに対し、イヌ科は《ブラッディ・タイフーン》で更に墓地を増やす。

 先攻3ターン目。カードをドローしたとき、ゲルネウスの表情が変わる。

 《GIRIGIRI・チクタック》でGR召喚し、しばし考えるゲルネウス。


ゲルネウス「……引いたんだったらやるしかないだろ!」


《BAKUOOON・ミッツァイル》を召喚!

 場のクリーチャー全てを破壊し、《ソニーソニック》《ナギー・ナグナグ》、更に超天フィーバーを達成した2体の《“魔神轟怒”ブランド》がバトルゾーンに並ぶ!

 祈りを込め、《“魔神轟怒”ブランド》でシールドをブレイクするゲルネウス。

 シールドに手をかけるイヌ科。

 「勝者の引きなら俺も勝者!」

 謎の言葉と共にイヌ科が捲った2枚のシールドは……


 どちらも《知識と流転と時空の決断》

 《“魔神轟怒”ブランド》2体、《ソニーソニック》《BAKUOOON・ミッツァイル》を手札に戻し、イヌ科へターンが戻ってきた!

 しかしマナチャージを終えマナゾーンには3マナ、墓地に呪文は8枚。
 現在の手札ではこのターンに≪魔導管理室 カリヤドネ≫を召喚するには至らず、次のターンを生きる手を考えるイヌ科。

 リスク計算を終えたイヌ科は《“轟轟轟”ブランド》以外をケアする選択肢を選ぶ。
 《セイレーン・コンチェルト》で≪「本日のラッキーナンバー!」≫を回収し、そのまま唱え「2」を宣言。

 《GIRIGIRI・チクタック》《TOKKO-BOON!》が使えないゲルネウスは、《ブルース・ガー》を召喚しターン終了。

 無事次のターンを迎えたイヌ科、カードをドロー。

イヌ科「え?マジで?」

 イヌ科は、今の手札では≪魔導管理室 カリヤドネ≫を召喚しても2体目の召喚に繋がらないことを悟る。

 もう一度ターンを跨ぐことを覚悟し、マナゾーンの4マナを全て使い≪魔導管理室 カリヤドネ≫を召喚。

 唱えるのは≪「本日のラッキーナンバー!」≫2枚と《ブラッディ・タイフーン》


イヌ科「宣言は2と1です」

 ゲルネウスのターン。

ゲルネウス「2と1ですよね?」

イヌ科「はい」

ゲルネウス「…ドローします!」


 ゲルネウスが引いたのは《ブルース・ガー》
 ≪「本日のラッキーナンバー!」≫により召喚できず、《BAKUOOON・ミッツァイル》の再召喚には届かない!

 《エマージェンシー・タイフーン》《ブラッディ・タイフーン》を唱え、墓地に呪文は14枚。

 ≪魔導管理室 カリヤドネ≫が動き出し、《ストリーミング・シェイパー》によって手札にG0条件を満たした《次元の嵐 スコーラー》が加わった今、運命はイヌ科の物となった。


イヌ科 2-1 ゲルネウス


 「やることはやりきりました。次は全国でイヌ科選手にリベンジします」と話すゲルネウス。

 両者とも最高のパフォーマンスを発揮し、それにデッキが応えた。

 もしかしたら、リベンジを挑むのはイヌ科の方だったかもしれない。

 しかし、あの《知識と流転と時空の決断》2枚がトリガーした瞬間。
間違いなくイヌ科の「引き」は「勝者の引き」だった。

ゲルネウス《知識と流転と時空の決断》2枚はズルいですよ」
イヌ科《BAKUOOON・ミッツァイル》からの《“魔神轟怒”ブランド》2枚も……いや、今日は俺の方が強い!」

 そう、この日この場所で、誰よりも強かったのは君だ!
 イヌ科、DMGP9th優勝おめでとう!

Winner:イヌ科

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