ライター：金子 幹
撮影者：後長 京介

　ここにTop8の座に上り詰めた2人のプレイヤーがいる。

　一人はみみみ。平時はやや個性的な面が目立ち、熱狂的なフォロワーの多い良くも悪くも異質なプレイヤーと言えるだろう。
　しかし、ここまで勝ち残れてきたのは当人の実力あってのことは言うまでもない。予選1位の器に恥じない、彼の使用する【5Cザーディクリカ】の造詣の深さは特筆に値するものだ。

　一方のぴゅうは、一般的なデッキをからやや外れたデッキを使用する傾向のあるデッキビルダー。今回は通例3色で組まれることの多い【光闇火ライオネル.Star】から、長丁場になるGP用に闇文明をそぎ落とし、事故率低下と攻め手を増やした【光火ライオネル.Star】の使用に踏み切ったようだ。

　ここまでくれば余計な言葉はいらないだろう。目指すは頂点の座のみ。
　今準々決勝の火蓋が開かれる。

Game 1

先攻：みみみ 　最初に動いたのはみみみ。
　後世にすら語り継がれるであろ至高の初動《天災 デドダム》を3ターン目によどみなくプレイ。

　一方のぴゅうは返しのターンに《カーネンの心絵》で《ライオネルの天宝》と《センメツ邪鬼 ＜ソルフェニ.鬼＞》を回収した。

　続く4ターン目のみみみのプレイは前のターンと同じく手慣れた手つきで行われる。 　そう、《》呪文側からの《龍風混成 ザーディクリカ》。
　そして《ロスト・Re:ソウル》だ。

　いわゆる4ターンザーディロストパッケージをここぞという場面で引き込めるみみみの運命力に称賛を送りたいところだが、対するぴゅうも負けてはいない。
　ぴゅうがトップから引いたカードは《ライオネルの天宝》！
　手札とマナを補充することでリソース差を一気に詰めることができそうだったものの……後が続かない！

　4ターン《ロスト・Re:ソウル》という残酷な処刑宣言を受けつつ、なんとかここから立て直したいところだが、ぴゅうの願いは叶うことはなかった。


　みみみは返しのターンに《天災 デドダム》と《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》の呪文面で更にリソースを伸ばした上で… 　6ターン目。最強にして最悪の鬼《CRYMAX ジャオウガ》がぴゅうの全てを破壊しつくした。

みみみ「三点っっっっっっっ！！！」
　みみみの狂気じみた拍手が会場内に響き渡る。

　シールドからの《SMAPONの心絵》でなんとかターンが返ってきたぴゅうだったが…トップを確認後、山札に手を置き次のGameに望みを託すことにしたようだ。


みみみ 1-0 ぴゅう

　デッキをカットする最中、ジャッジから「もう少し落ち着いてください」と諭されるみみみ。
　「はい」とここは素直に応じ、先ほどとは打って変わってこのGame2は静かに淡々と始まることになる。

Game 2

先攻：ぴゅう 　1試合目を落としたぴゅうの初動は3ターン目の《ルピア炎鬼の封》。実質【光火ライオネル.Star】においてマナ加速同様ターンをジャンプするカードとなるため、このマッチアップにおける出だしとしては最高の滑り出しと言える。 《フェアリー・ミラクル》で2マナ加速をし、ぴゅうの速度にすぐさま追いつく。

　だが、今度は先攻4ターン目のぴゅうは先ほどの意趣返しとばかりに超強力なプレイを連発。 　 　当然持っていた！《「正義星帝」 ＜ライオネル.Star＞》から繰り出されるのは《スロットンの心絵》。 　そちらは1ドローのモードを選択するものの、《「正義星帝」 ＜ライオネル.Star＞》の能力で登場したのは、既に手札にあった《アルカディアス・モモキング》。

　言わずもがな《アルカディアス・モモキング》の呪文封殺性能は圧倒的。先の勝負を決めた《ロスト・Re:ソウル》だけでなく《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》の呪文面や《ドンドン火噴くナウ》といった【5Cザーディクリカ】の主要トリガーを軒並み封殺する。

　これには今まで飄々としていたみみみもさすがに苦笑い。

　しかし、ぴゅうは攻撃の手を休めない。続くターンには《カーネンの心絵》と《ライオネルの天宝》で更に後続を確保すると、《EVE-鬼MAX》でさらに盤面を固めターンを返す。

　みみみの6ターン目、《龍風混成 ザーディクリカ》をプレイ。
　ここで《ドラゴンズ・サイン》からの展開ができればといったところだったが…唱える呪文はなく、そのままターンをエンドせざるをえない。


　ぴゅうはここぞとばかりに更に《センメツ邪鬼 ＜ソルフェニ.鬼＞》、2体目の《アルカディアス・モモキング》と後詰を並べて一斉攻撃！

　みみみのシールドには回答はなく、2試合目はぴゅうの最速4ターン《アルカディアス・モモキング》が試合を制することになる。

みみみ 1-1 ぴゅう

　お互いこれが最後のゲーム。準々決勝最後の試合だからこそ入念にシャッフルを行う緊張の時間。

　さて、これまでの試合を振り返るとお互い4ターン目のいわゆる先攻押し付けムーブにより両者勝利していることから、2試合目に敗北をしたみみみが先攻プレイヤーとなるため、3試合目はみみみが俄然有利な状況と言える。

Game 3

先攻：みみみ 　さて、ゲームが始まった瞬間初手を見た瞬間みみみは少しうなだれていたため、あわや事故か！？と思われたものの、みみみはしっかりと3ターン目に《天災 デドダム》をプレイすることで、後手のぴゅうに圧をかける。

　無論、ぴゅうも負けてはいない。《ライオネルの天宝》でリソースを伸ばすことで、しっかり4ターン目に《「正義星帝」 ＜ライオネル.Star＞》をキャストする準備は整えたようだ。

　そして運命のみみみの4ターン目。

　マナを置き、5マナをタップ。 　しかして、みみみの手札からプレイされたのは……《ドンドン火噴くナウ》！

　このターン最速《ロスト・Re:ソウル》が唱えられない事が分かり、ぴゅうも少し安堵の表情を浮かべる。

　もちろんこの《ドンドン火噴くナウ》も弱いプレイではないものの、ことこのマッチアップにおいてはこの1ターンが命取りだった。


　今度はみみみ側が、ぴゅうの4ターン目のプレイを祈る番だ。

　ぴゅう側が5マナをタップしてプレイしたのは…
　持っていた！《「正義星帝」 ＜ライオネル.Star＞》！！

　さらにここからのプレイは怒濤の展開。
　この《「正義星帝」 ＜ライオネル.Star＞》により《カーネンの心絵》をプレイすると、ぴゅうは2体目の《「正義星帝」 ＜ライオネル.Star＞》をキャスト。 　その効果で《ゲラッチョの心絵》をプレイし、さらに《ボルシャック・モモキングNEX》が手札から繰り出される。

　止まらぬ連鎖。ただ盤面を見守ることしかできないみみみを後目に、ぴゅうの展開はまだまだ続く。

　《ボルシャック・モモキングNEX》の効果で場に出たのは《カーネンの心絵》で後続を確保。
　続いて《ゲラッチョの心絵》でタップされた《天災 デドダム》に対し、《ボルシャック・モモキングNEX》が攻撃、と同時に《キャンベロ ＜レッゾ.Star＞》に侵略。

　さらにダメ押しとばかりに《ボルシャック・モモキングNEX》の攻撃時能力で捲れたのは《アルカディアス・モモキング》！
　ぴゅうの運命的な捲りの強さにより、《アルカディアス・モモキング》と《キャンベロ ＜レッゾ.Star＞》という2枚の強力な縛りをかけられたみみみ。
　ここぞとばかりにぴゅうは一斉攻撃をしかける。

　みみみはなんとかこのターンをガード・ストライクで凌いだものの…こればかりは返す手段がなかったようだ。

　次のターンのぴゅうの一斉攻撃により、この準々決勝は幕を閉じる。


みみみ 1-2 ぴゅう
Winner：ぴゅう

---

　3ゲーム通して、お互いの先攻の強力な動きを文字通り押し付け合った両者。


　だが、最終ゲームは先攻の動きを押し付ける側と押し付けられる側の逆転という劇的な幕引きとなった。
　そういった時の運すらもこの大舞台で引き込んだぴゅうは、頂きを見据え次の準決勝へと向かっていくのだった。