DMGP2024-2nd Day1(アドバンス) 準々決勝:3900 vs. Nettoban
ライター:鈴木 響太(ボルスズ)
撮影:後長 京介
3900:「意外と当たらないですよね、お手柔らかに頼みますよ」
Nettoban:「いや~、BAKUONSOOOに無慈悲に轢かれる可能性はあるからな~」
長きにわたる、DMGP2024 2nd Day1もいよいよ準々決勝。負ければ後がない決勝トーナメントも乗り越え、ここからは2本先取ということもあってか、比較的和やかなコミュニケーションが行われていた。
しかし、その雰囲気も対戦が始まる前までの話。
フェアプレイのための相互シャッフルが終わり、ここからは真剣勝負の世界だ。
3900の操るデッキは【火光水BAKUONSOOO】。 直近一週間で登場した《頂上混成 BAKUONSOOO8th》を中心にした、今大会でも人気の爆発的ビートダウンデッキ。3900は《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》+《“末法”チュリス》の各4枚採用で、ビートジョッキー色を濃い目に仕上げてきた。
対するNettobanが駆るデッキは、いわゆる【マーシャルデリート】。 攻守両面に長けたこのデッキは、本日も並みいる【ヘブンズ・ゲート】や【ビートダウン】デッキを食い物にし、ここまでストレート勝利という立ち位置の良さを見せている。
とはいえ、Nettobanの言う通り爆速・爆音でビートダウン側が走りきるゲームもそう珍しくないゲーム展開ではあるはずだ。
「どちらが勝ってもおかしくない。」当たり前だが見失いがちな現実を、両者は軽いコミュニケーションで再確認し、戦いの火蓋は切られた。
Game1
先攻:Nettoban 《アクア・スペルブルー / インビンシブル・オーラ》をマナチャージし、文明を整えるNettobanに対し、3900は最初からフルスロットルだ。後攻1ターン目から《ア・ストラ・センサー》を発動、《ア・ストラ・センサー》を回収することでデッキを堀り進めていく。
続く2ターン目も《テック団の波壊Go!》で多色を逃がすのに対し、《ア・ストラ・センサー》再発動と、ここまでは同じ展開に。
しかし、ここで3900が引き当てたのは待望の《“必駆”蛮触礼亞》!
返しに出てきた《エメラルド・クーラー》を即座に《“必駆”蛮触礼亞》で退け、現れたのは《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》。3900は《アクア・スペルブルー》を無力化したに等しく、いくらか安全に殴れるように。
Nettoban:「それは普通にきつい……!」
思わず苦笑いを浮かべるNettobanに、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》の2枚ドローを処理する3900だが、ここは攻撃を仕掛けずターンエンド。
バトルゾーンはがら空き。《マーシャル・クイーン》の1発を決めるためには、どうしても5ターン目を迎えたいNettoban。ここは少しでも生存の確立を上げるべく、《超光喜 エルボロム》でシールドをセット。実弾が埋まっていても、それがブラフだとしても、3900には心理的負担がかかる。
返す後攻4ターン目。《閃光の守護者ホーリー》をマナチャージすると、2発目の《“必駆”蛮触礼亞》が飛び出す!
待望の《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が着地し、ここは冷静に《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》でプレイヤーを攻撃。EXライフのない今、除去を《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》にもらう事態は避けたい心情だ。
追加分のシールドを避けたW・ブレイクが通るも、トリガーで≪星龍の暴発≫が発動。追加で召喚された《暗黒の騎士ザガーン GR》、《ポッポーポップコー》は動かさず、ここはターンエンドを選択。
なんとか人心地ついたNettobanは、3900の手札枚数を確認する。枚数は1枚。3枚目の《“必駆”蛮触礼亞》はなさそうだ。
ここは耐性のある《キール・ロワイヤル》はマナへ置き、2枚目の《超光喜 エルボロム》でさらに守りを固める方針へ。
ここが分水嶺。両者に緊張が走る中、フーッと大きく息を吐いた3900が仕掛ける。
《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》をマナへチャージすると、《暗黒の騎士ザガーン GR》からプレイヤーを攻撃……するときに、《時空の禁断 レッドゾーンX》へと侵略。《超光喜 エルボロム》を退けながら、押し込みにかかる!
しかし、ここまで無敗を貫いてきたNettobanも甘くはない。ブレイクを受けたシールドからは放たれたのは逆転の一手、≪「真実を見極めよ、ジョニー!」≫!!
EXライフを失った《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》、《頂上混成 BAKUONSOOO8th》、オマケに攻撃可能な《ポッポーポップコー》が押し流され、《暗黒の騎士ザガーン GR》、《ドドド・ドーピードープ》が追加で登場するも、Nettobanは攻め手を奪い去ることに成功した。
最大の懸念であった《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》を退け、喉から手が出るほど欲しい6ターン目を手にしたNettobanが、ここぞとばかりに切り返す。
《エメラルド・クーラー》の召喚から続けざまに《マーシャル・クイーン》へと進化すると、伝家の宝刀≪星龍の暴発≫+《オールデリート》が超動!がら空きの盤面を、≪伝説の禁断 ドキンダムX≫が闊歩する、見慣れた光景がそこにあった。
Nettoban 1-0 3900
Game2
無事に1本目を先取した、Nettobanの顔は明るい。対象に、ほぼ理想的なムーブを返された3900は後がない。その顔には緊張と覚悟が見えた。
先攻1ターン目、3900は《ア・ストラ・センサー》から《“必駆”蛮触礼亞》を回収する理想的な流れになるも、その後は一瞬の静寂が訪れる。
ゲーム1同様、多色をマナへ逃がすNettoban、2ターン目の動きはない3900。
ゲームが動いたのは先攻3ターン目。ここまで水単色のマナ埋めを繰り返してきた3900は待望の火単色を引き当てるとすかさずマナへ。そして先ほど抱えた《“必駆”蛮触礼亞》から繰り出されたのはまたしても《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》!
激しい手札消費を補う2ドローを確認すると、3900はしばしの思考に入る。1ゲーム目と同様の展開に思われたが、今回の手札はその先に恵まれない。《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》がセーフティなうちに、《アクア・スペルブルー》を踏みつぶしながら仕掛けてしまうか、リスクリターンを計算する3900。
今行くか?いや、まだか?いや……今行くか?
3900の出した解答は、攻撃。《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》が動き出す。 ブレイクしたシールドは3900が理想としていた《アクア・スペルブルー》踏み!
アクティブ優先により、《アクア・スペルブルー》の能力が発動する前にターンはスキップされ、EXライフも守ることに成功した。
Nettoban:「そのカードはやっぱ強いなあ……」
バトルゾーンを残してもらえなかった1ゲーム目を踏まえ、Nettobanも《キール・ロワイヤル》をキャストする方針へ。シールドをチェックし、ここは入れ替えを選択した。
先攻4ターン目。3900の行動は《勇愛の天秤》による手札交換。《頂上混成 BAKUONSOOO8th》を2ドロー……どうやら《“必駆”蛮触礼亞》の2枚目を引き込めなかったようだ。
それでもなお、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》で果敢に攻める。短期決戦の覚悟を持ったW・ブレイク。
《キール・ロワイヤル》が生存したNettobanもまた、悩ましい1ターンとなった。
手札に《マーシャル・クイーン》はある。≪星龍の暴発≫と《オールデリート》もある。ただ、1つだけNettobanが持ち得ないもの、それが頭を悩ませていた。
それは情報。
《オリオティス・ジャッジ》は採用されているのか?ここまでアグレッシブに攻めるということは《KAMASE-BURN!》が採用されているのか?最新最前線のデッキなだけに、人によって採用が違うこのデッキは、何が飛び出してもおかしくない。
それゆえ、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》がいる以上、先ほどとは違い伝家の宝刀は必殺足り得ない。
デッキトップで、今挙げたカードを引かれれば、このゲームを落とすのは一転して自分だ。
しばしの逡巡。しかし、決心はほどなくして決まった。
相手の覚悟には、覚悟を持って応える。Nettobanの選んだのは、次のドローでの決着。
慣れた手つきで、《オールデリート》の処理までが行われ、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》が≪伝説の禁断 ドキンダムX≫を直立させる。
最後は、構築、そして運の勝負へと持ち込まれた。
3900のデッキに、この状況を逆転する一撃は入っているのか?入っていたとして、それを劇的に引き当てることはできるのか?
祈る両者、そのドローは……《終止の時計 ザ・ミュート》。 Winner:Nettoban
3900:「悔しい……」
3900:「マーシャル対面、練習しなきゃなあ……」
敗北の直後から、課題に向きあう者の本気は美しかった。
本気で取り組んでも、覚悟を持って攻め込んでも、思いや心だけでは勝利につながらないこともある。
それでも、それでも気持ちの乗った両者最後の攻防は、愛知の地で美しく輝いていた。
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