デュエル・マスターズ

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DMGP2024-2nd Day1(アドバンス)Round 6:BUKOU@酒場 vs. 飲酒ロック

ライター:原田 武(たけじょー)
撮影:後長 京介

 デュエル・マスターズにおいて、「こだわり」とはなんだろう。

 ひとつ挙げるならば、それは愛情の結晶だ。

 予選、Round6。フィーチャーテーブルの一方に着いたBUKOU@酒場は熱烈な【モルトNEXT】愛好家として名を馳せている。トレードマークは4枚携えたGP仕様の《超戦龍覇 モルトNEXT》

 対戦準備で開示した超次元ゾーンにも、当然のように《闘将銀河城 ハートバーン》《銀河大剣 ガイハート》《爆銀王剣 バトガイ刃斗》……そして鎮座する《禁断 ~封印されしX~》

 アドバンスのグランプリ、それも『天下夢双!!デュエキングDreaM 2024』によってさまざまな【モルトNEXT】強化がもたらされた直後の開催である。「こだわり」を発揮する場としてこれに勝るお膳立てもないだろう。

 重ねて問う。デュエル・マスターズにおいて、「こだわり」とはなんだろう。

 もうひとつ挙げるならば、それは勝利への探求心だ。

 フィーチャーテーブルを訪れたもう一人、飲酒ロックがこの大会の相棒に選んだのは従来の構築からやや外れた【ドルマゲドン】。

 《悪夢神バロム・ナイトメア》及び《混沌の獅子デスライガー / カオス・チャージャー》を軸としてデーモン・コマンドで固めた上で、採用文明が増えてしまうことを承知の上で《ブレイン・スラッシュ》《S・S・S》といった強烈なS・トリガーを多数搭載。防御して反撃、という逆転のセットアップを突き詰めている。

 【火光闇ファイアー・バード】や【火光水BAKUONSOOO】を筆頭に攻めっ気が強いデッキが多いと予想し、この形に仕上げたと語る飲酒ロック。その甲斐あってここまで4-1のスコアで駒を進めることとなった。

 こだわりの理由は、形は、十人十色だ。各々で違うそれらを一括りにして語るのは無茶というものだし、なにより横一線で比較できるものではないだろう。

だから、必要なのは証明だ。

 己の思い入れの価値を、勝ちを掴んで証明する。その勝負の場として、大型大会のフィーチャーマッチほどおあつらえ向きな舞台はないだろう。
 腕相撲じみた力強い握手を経て、試合が始まった。


GAME

先行:飲酒ロック

 飲酒ロック《S・S・S》《テック団の波壊Go!》《ブレイン・スラッシュ》と3ターンに渡ってチャージエンド。BUKOU@酒場も3ターン目の《ボルシャック・栄光・ルピア》2マナ加速までは動きなしと、両者ともゆっくりとした立ち上がり。

 しかしそれも3ターン目までのこと。4ターン目、飲酒ロック《D2V3 終断のレッドトロン / フォビドゥン・ハンド》クリーチャー側で禁断爆発へ1歩前進したのを尻目に、BUKOU@酒場《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて!モルト!!」》呪文側を使用!

 出すのは《超戦龍覇 モルトNEXT》……ではなく、《夢双龍覇 モルトDREAM》

 《爆銀王剣 バトガイ刃斗》《熱血剣 グリージーホーン》《無敵剣 プロト・ギガハート》をわしづかみにしたかと思うと、そのまま≪D2V3 終断のレッドトロン≫へ攻撃。
 ここでデッキトップから《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が現れ≪爆熱王DX バトガイ銀河≫が龍解を果たす。

 さらに≪爆熱王DX バトガイ銀河≫が飲酒ロックのシールドへ突撃し、手札から《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》をバトルゾーンへ。一瞬にしてバトルゾーンがドラゴンで埋め尽くされる。

 が、ここで飲酒ロックの拘りが生きた。S・トリガー、≪フォビドゥン・ハンド≫&《最終龍覇 ボロフ》
 妥協無く枚数を採ったS・トリガーをしっかり踏み抜かせ、迎撃開始。まずは≪フォビドゥン・ハンド≫で《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を仕留め《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》を封印。その後《最終龍覇 ボロフ》を召喚するという流れで《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》のターンスキップを見事にかわす。

 《FORBIDDEN STAR ~世界最後の日~》封印解除に伴うスレイヤー付与と《将龍剣 ガイアール》の合わせ技で≪爆熱王DX バトガイ銀河≫の破壊まで繋げた。

 手痛い反撃を受けたBUKOU@酒場ではあるが、《夢双龍覇 モルトDREAM》は健在。このターンで割り切る判断とし再度シールドを攻撃させ、ターン終了。≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫禁断爆発のタイムリミットが迫っているため、少しでも早くゲームを畳みたいところだ。

 飲酒ロックとしては更なる反撃の糸口を掴みたいが……ブレイクされたシールドからは《闇参謀グラン・ギニョール》のみがトリガー。≪カオス・チャージャー≫を2回唱えて《邪心臓の魔法陣》を回収し、《闇参謀グラン・ギニョール》《時空の禁断 レッドゾーンX》にP侵略させて《夢双龍覇 モルトDREAM》を除去。巻き返しを図る。

 だが、その反撃すら想定内だったか。飲酒ロックのターン終了に合わせ、BUKOU@酒場《流星のガイアッシュ・カイザー》を宣言する!

 そう、BUKOU@酒場の使用デッキは【火光自然モルトNEXT】ではない。デッキ全体を火・水・自然に寄せ《流星のガイアッシュ・カイザー》からの《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》、トドメの《夢双龍覇 モルトDREAM》をメインプランに据えた、言うなれば【火水自然ガイアッシュモルトDREAM】!

 《流星のガイアッシュ・カイザー》着地によって《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》の封印が解除、息を吹き返す。そのままターンが回ったBUKOU@酒場《流星のガイアッシュ・カイザー》と自身の軽減効果を合わせ、わずか5マナで《夢双龍覇 モルトDREAM》2体目を召喚。《銀河大剣 ガイハート》《無敵剣 プロト・ギガハート》《爆炎大剣 ガイサーガ》を装備させる。

 一見十二分な手勢を構えつつも、BUKOU@酒場は警戒を怠らない。そこここで垣間見えるデーモン・コマンド……悪夢神の影。無視するには大きすぎるリスクだ。
 
 可能な限りケアをするべく、まずは《夢双龍覇 モルトDREAM》《時空の禁断 レッドゾーンX》に向かわせる。そして、無事攻撃が通ったことを確認した上で飲酒ロックへダイレクトアタックを宣言。

 これに対して飲酒ロックは序盤から温存していた《悪夢神バロム・ナイトメア》を発動。≪カオス・チャージャー≫で仕込んでおいたデッキボトム、《聖魔連結王 ドルファディロム》を進化元に着地させる。

 が、2体の悪魔がバトルゾーンを吹き飛ばす前に《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》がターンを強制終了する。
 飲酒ロックは間一髪凌いだ形にはなったものの、BUKOU@酒場のドラゴン軍団を解体しなければ圧殺必至の状況は変わっていない。ここは《聖魔連結王 ドルファディロム》を繰り出して制圧に向かう判断。

 ……しかし、《夢双龍覇 モルトDREAM》《無敵剣 プロト・ギガハート》に守られ生還。切り崩すには至らない。
 EXライフで増やしたシールドに望みをかけてBUKOU@酒場に攻撃を仕掛けていくものの、これも《時空の禁断 レッドゾーンX》を侵略させた段階で《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》がインターセプト。ターンが終わる。

 直前の《聖魔連結王 ドルファディロム》召喚によって《FORBIDDEN STAR ~世界最後の日~》の封印は残り一枚、タイムリミットはもうすぐそこだ。

 勿論、BUKOU@酒場は詰めに行く。《爆炎龍覇 モルトSAGA》《闘将銀河城 ハートバーン》《最前戦 XX幕府》を並べ、飲酒ロックのクリーチャーを《夢双龍覇 モルトDREAM》で踏み荒らしながら連続龍解。

 ≪超戦覇龍 ガイNEXT≫!≪熱血龍 GENJI「天」≫!≪熱血星龍 ガイギンガ≫!
 ≪超戦覇龍 ガイNEXT≫が残るシールドを全て叩き割る。《最終龍覇 ボロフ》でも《闇参謀グラン・ギニョール》でも《S・S・S》でも止まる、見かけ以上に綱渡りの総攻撃。その、結果は———




 S・トリガーなし。

 ≪熱血星龍 ガイギンガ≫が決着をつけると、BUKOU@酒場飲酒ロックは再び固い握手を交わしたのだった。


Winner:BUKOU@酒場

BUKOU@酒場「こだわり捨ててでも、勝ちたかったんで」

 BUKOU@酒場にとってのこだわり——《超戦龍覇 モルトNEXT》。今回、彼はそれを捨てる決断をした。

 今回BUKOU@酒場が使用したリストに《超戦龍覇 モルトNEXT》の姿は無い。宝物のGP版《超戦龍覇 モルトNEXT》も、今日は鞄の中で彼を見守る役目に就いている。

BUKOU@酒場「自分なら【火光自然モルト】を使ってくるだろうと(相手プレイヤーが)読んでくることも含めて選びました。九州のプレイヤーさんのリストを原案に、環境を広く観られるようにしています」
 
 【火光自然モルト】は間違いなく強力だが、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》からの後続の不足や受けの弱さなど課題も多い。リソース補給と足止めを《流星のガイアッシュ・カイザー》《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》が、破壊に頼らない受けを《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》《蒼神龍トライクラブ・トライショット》が担ってくれるなど、【火水自然ガイアッシュモルトDREAM】がより現環境に適しているとの判断だという。

 勝つためにこだわりは捨てた、とBUKOU@酒場は言った。思い入れを切り捨て勝利にフォーカスを合わせる。生半可な決断ではなかったはずだ。自分の「こだわり」の価値を真に理解しているのは、結局は自分ただ一人なのだから。こだわりを捨てることによって、得られる強さがある。

 そしてまた、こだわることにも紛れもない価値がある。飲酒ロックが「趣味枠」と称し、しかし抜かずにいた《悪夢神バロム・ナイトメア》が驚異的な粘りを生んだように。BUKOU@酒場が【モルトNEXT】への愛と造詣を深め続け、その知見を【モルトDREAM】へと昇華させたように。こだわるからこそ、辿りつける強さがある。

 デュエル・マスターズにおいて、「こだわり」とはなんだろう。

 答えはきっと人それぞれだ。自分だけの「こだわり」を、見つけに行こう。
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