DMGP2024-1st Day1(アドバンス) 準々決勝:あーるん。 vs. かめ
ライター:谷口 雄飛
撮影:瀬尾 亜沙子
当時は現在のようにフォーマットごとの区別はなかったが、今でいうところのアドバンスフォーマットのルールで開催されたGPだった。
そして彼は《熱き侵略 レッドゾーンZ》や《轟く侵略 レッドゾーン》などの侵略ギミックを軸にした火自然のレッドゾーンで準優勝を飾り、のちにデュエル・マスターズTCG 頂上決戦!!デュエキングMAX 2023で、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》の元ネタとしてフィーチャーされることとなる。 そんなソニック・コマンドを使用した彼は、今日もその系譜を継ぐ、光闇火のドルマゲドンを駆使してベスト8まで勝ち進んできた。しかもデュエル・マスターズと自身の歩んできた歴史を背負う、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を携えて。
そんな彼の名はかめと言う。
今やデュエル・マスターズのほとんどのカードが使用可能なアドバンスフォーマットの顔になったデッキとともに、7年前の忘れ物を取り戻すためここまで勝ち進んできた。
長年デュエル・マスターズとともに歩んできた歴戦の猛者として。今日、アドバンスフォーマットを戦い抜いてきた選手としても。
それに対してかめの対戦相手であるあーるん。は、これまでほとんど競技イベントに参加したことはなく、競技デュエマの世界に踏み込んだのは1年ほど前からだという。
彼にとって馴染みのあるカードはここ数年で登場したカードであり、試合開始前に入念に超次元や禁断のような外部ゾーンのカードの効果について、かめに丁寧に教えてもらうほどには馴染みがないのだろう。
そんなあーるん。が使用するのは現環境で絶賛活躍中の水火マジック。デッキのほとんどがアビス・レボリューションのブロックマークがあるカードで構成されており、今年からプッシュされる2ブロックフォーマットでも活躍が期待されるデッキだ。
今を生きる新参のクリーチャーと呪文が生み出すシナジーを使うことで連続攻撃を仕掛ける最新のデッキは、競技イベントの世界へ踏み込んだチャレンジャーであるあーるん。をここまで導いてきた。
デュエル・マスターズの歴史とともに進化し続けた、アドバンスフォーマットを代表するデッキを使う歴戦の猛者であるかめと、2ブロックフォーマットの未来を担っていくであろう環境最前線のデッキを使う、駆け出しのチャレンジャーであるあーるん。。 経歴も使用デッキも何もかもが対照的な2人の戦いが今、幕を開ける。
Game 1
試合開始前に両選手ともに相手の超次元ゾーンのカードを確認しているが、とても緊張しているあーるん。の様子をみかねてか、雰囲気が和むようにライターである筆者の質問にも丁寧に答えてくれるかめ。その姿勢からは「とにかくこの試合を楽しみたい」という思いが感じられた。あーるん。「カバレージやフィーチャーは初めてなので、すごい緊張します。」
かめ「そうですよね。プレミをするとそれも残っちゃうんですよね…。」
「(ライターの方を向きながら)なのでお手柔らかにお願いしますね。」
DMGP5th 準決勝:かめ vs. ロマノフsign
かめのユーモアを感じさせるジョークに見守るジャッジや観衆はどう反応したものかフリーズしてしまった中で唯一、筆者だけは吹き出してしまったが、自身の過去の失敗談を話題にしながらあーるん。との試合開始前の会話を楽しんでいる。そんなかめの心遣いもあってか、あーるん。も緊張がとけた様子。
それでは、最高の雰囲気で始まりを迎えたこの試合を見ていこう。だが、試合が始まればそこにあるのはいつだって真剣勝負だ。
先攻:かめ 先攻をとったかめは、《灰燼と天門の儀式》、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》と2ターン連続で多色カードをマナチャージ。 対するあーるん。は、2ターン目に《AQvibrato》を召喚して1ドローという、水火マジックで最高の滑り出し。 だがその動きに対してかめは返しの3ターン目に手札を1枚捨てながら《D2V3 終断のレッドトロン / フォビドゥン・ハンド》を召喚。効果であーるん。の《AQvibrato》を破壊する。この時に捨てられたのは後々《魔光神官ルドルフ・アルカディア》から進化したいであろう、《闇鎧亜クイーン・アルカディアス》。盤面を処理しつつ公開領域を広げていくプレイ。 《闇鎧亜クイーン・アルカディアス》の影を感じとったあーるん。は3ターン目にメタカードである《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を召喚。革命チェンジ元にはなれないが、相手の踏み倒しを防ぎ、ゲームを後ろに延ばすことで走り出すタイミングを見極める。
4ターン目までゲームを引き延ばしているかめだが、手札はかなり細いのでこのターンはマナチャージせずに《終断γ ドルブロ / ボーンおどり・チャージャー》の呪文面を唱える。手札管理しつつ墓地を増やす。こういったプレイができるのが上級者たる所以だろう。
4ターン目を迎えたあーるん。は、かめの手札が少ないことと、後々の脅威を排除すべく《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を唱えて自身のリソースを確保してターンを返す。 こうなると逆に苦しいのはかめ。
5ターン目はマナチャージして《D2V3 終断のレッドトロン / フォビドゥン・ハンド》を召喚。封印を外しつつ《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》をバトルで破壊する。 ここまでかめと高度な駆け引きをしてきたあーるん。の5ターン目。相手を倒すための手札は整った。 《芸魔隠狐 カラクリバーシ》召喚からあーるん。は走り出す。
かめの手札にある《終断χ ベガスランチャー》1枚だけでは、《芸魔王将 カクメイジン》と《瞬閃と疾駆と双撃の決断》による連続攻撃は止まらない。
あーるん。 1-0 かめ
Game 2
先攻:かめ あとがなくなったかめの先攻で2試合目が始まった。だが、かめはまたしても《灰燼と天門の儀式》、《Forbidden Sunrise ~禁断の夜明け~》と多色カードをマナチャージしてから3ターン目に《Forbidden Sunrise ~禁断の夜明け~》をバトルゾーンに。これが2ターン目だったらどれほど良かっただろうか。
対するあーるん。は2ターン目まではマナチャージのみで終えたが、3ターン目に《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を召喚。 あーるん。「捨てるカードはなしで。」
この言葉が意味するところを、かめは瞬時に理解しただろう。《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》の効果で手札交換をしないということは、「必要なカードはそろっている」という宣言だと同義だ。
まず《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》が攻撃するときに、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に革命チェンジ。 そして《芸魔隠狐 カラクリバーシ》の効果で唱えられるのは、もちろん《瞬閃と疾駆と双撃の決断》。 再度攻撃できるようになった《芸魔隠狐 カラクリバーシ》の横に現れたのは、
逆転こそが、カードゲームだ。というデュエル・マスターズのキャッチフレーズを全否定するアウトレイジ、《単騎連射 マグナム》!!!
そして再度攻撃できるようになった《芸魔隠狐 カラクリバーシ》は《芸魔王将 カクメイジン》へ革命チェンジ! ブレイク前の効果で《瞬閃と疾駆と双撃の決断》と《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》の呪文面が唱えられ、かめの逆転の目を摘みながら攻撃が行われる。
途中の《魔光神官ルドルフ・アルカディア》のG・ストライクで攻撃は阻止されかめはなんとか一命を取り留める。
だが、4ターン目を迎えたとしてもかめには4マナしかなく、《Forbidden Sunrise ~禁断の夜明け~》は前のターンで破壊されてしまっている。
このデッキを熟知しているかめの理性はここから逆転できないことを悟っているが、感情的な話でいえば、自分の敗北を受け入れるのはつらいだろう。ここで負けるということは、今日の自分の挑戦がここで終わることを意味するのだから。
しかし、かめは、最後に本当に逆転できる方法がないか入念に確認してから、「ありがとうございました。」という、あーるん。を称えるメッセージとともに右手を差し出した。
あーるん。 2-0 かめ
Winner:あーるん。
勝負の世界はとても残酷だ。ベスト4進出がかかったこの状況で、自分の敗北をすんなり受け入れることは、どれほどつらいのだろう。今日の自分はここでおわりなのだという現実を突きつけられるのは、とても受け入れがたいことのはずだ。
しかしかめはそんな素振りすら見せずに、まだ先のあるあーるん。にエールを送ってから会場をあとにした。筆者にはその背中がとても大きく見えた。
そしてかめの思いを受け取ったあーるん。は次なる戦いへと駒を進める。
DMGPの決勝まで、あと2つ。
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