DMGP2025-2nd Day1(アドバンス)Round 4:ネバー vs. セロ
ライター:高橋 穂(北白河)
撮影:後長 京介、坂井 郁弥
【天門ループ】を駆ったじゃきーが『全国大会2015』を制し『天門の鍵を持つ男』と呼ばれるようになって、はや10年。そして、ここに『ペテンシーの鍵を持つ男』を名乗りその座を継がんとするプレイヤーがいる。『DMGP2025-1st』アドバンス部門優勝者、ネバーだ。
【光水天門】を操り、《真気楼と誠偽感の決断》による劇的な逆転劇を何度も見せて優勝を果たした彼が自らそう名乗ることに、異議を申し立てるものはいないだろう。
フィーチャー席でシャッフルを進める彼の目の前には、GP優勝を果たしたあの日と全く同じ構成……《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》のための超次元ゾーンが広がっている。ゲーム開始前に超次元ゾーンをお互いに公開するこのフェイズも、アドバンスならではの光景だ。
そして、その反対側の超次元ゾーンには……《剛腕の政》《不死身のブーストグレンオー》《炎上なる者ディス・リゲル》《大昇進!座美の花》が各2枚ずつ。しかも、デュエマ史において4種しか存在しないメタルカード仕様のもので統一されている。
言外に「超次元ゾーンには頼らない」という力強い宣言をしつつ穏やかにシャッフルを進めるのは、セロ。
地元愛知県で活動するプレイヤーたる彼は、ループデッキへの造詣の深さで知られている。フィーチャー席は初めてとのことだが、デッキへの信頼の表れか緊張の色は見えない。
全勝街道を引き続き走り続けるのは、王者か、職人か。セロが超次元ゾーンを束ねて移動した際の金属音が、開戦の合図となった。
先攻:セロ
初手の5枚を確認するや否や、ゲームプランを立てるべく熟考する二人。しばらく間があったのち、《ドレミ団の光魂Go!》をチャージすることでセロのデッキが【ジャスティスループ】であることが明らかになる。
《聖霊左神ジャスティス》で山札を掘りつつ《ウェディング・ゲート》などの踏み倒し呪文でさらなる《聖霊左神ジャスティス》を呼んで連鎖を進め、凝縮・固定された山札からループに突入する……という歴史の長いコンボデッキだが、昨今のカードプールの充実により飛躍的にその安定性を増しているのは見逃せない。
基本的にメインデッキのみで完結するオリジナル仕様のデッキにもかかわらず、実際に複数の強豪プレイヤーが秘密兵器として持ち込むなど、デッキパワーは折り紙付き。セロ自身もここまで全勝をしているところからも、その練度と完成度が伺える。
それに対してネバーがチャージしたのは……《アイドル・ハート》!このカードを使うデッキはただ一つ、【サイバー】のみだ。優秀なリソース源とメクレイドを絡めた展開により、最速3ターン目ループやビートプランまで完備……という、オリジナル・アドバンスともに「最強」の呼び声高いこのデッキ。その選択からは、「絶対に勝つ」という強い意志が感じられる。
しかも、ネバーのドラグハート軸の超次元ゾーンでこのデッキが利用できるカードはほとんど存在しない。この8枠は、【天門】で優勝した実績と《真気楼と誠偽感の決断》というフェイバリットカードの印象を利用した、王者による渾身のブラフだったのだ。
このゲームのファーストムーブは、後攻2ターン目のネバーの《アストラル・ハート》。3ドローの後に山札の上をきっちり仕込み、次のターンのビッグムーブに備える。こうなると《マクスハト》を絡めた最速メクレイド連鎖、ひいてはループ突入の気配が濃厚に漂ってくるが、セロは慌てず《サイバー・チューン》で手札を入れ替え。墓地に《ポジトロン・サイン》と《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》を送り込みつつ、手札の質を高めて準備を進めるのみに留める。
そして返しのネバーのターン、その手から放たれたのは果たして《マクスハト》!
《アストラル・ハート》を回収しつつのメクレイドからは予定調和的に《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》が登場し、整った手札からは《昇カオスマントラ》だけでなく《アイドル・ハート》までもが進化元として仕込まれる。3ターンキルすら狙える理想的なムーブを実現したネバーは、そのまま《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》でセロに攻撃宣言。メテオバーンで《アイドル・ハート》を墓地に送り、その効果でさらなるメクレイドに挑み盤石な体制を整えようとするが……。
ネバー「……出しません」山札の上3枚を確認したネバーは、表情を歪めつつそれらのカードをそのまま山札の下に戻す。
のちに彼が語ったところによると、この3枚には非サイバーのコンボパーツである《~墓碑に刻まれし魔弾の名~》や手札が足りずに出せない《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》などが固まっており、実行できるカードがない状態だったのだ。
最高のムーブが一転して暗雲が立ち込めるネバーだが、それでも《昇カオスマントラ》の効果で《黄昏ミミ&トワイライトMk.3 ー挑戦のヒロインー》を手札から出して《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》の上に進化させる。
さらなる展開に賭けてメクレイドを行うも、出てきたのは連鎖展開を継続できない《アイドル・ハート》。ここはこのターンの動きをいったん諦め、攻撃中の自身を手札に回収して攻撃キャンセルを行いつつ、次のターンの再始動を目指してターンを返そうとする。
そして、セロはずっとこの瞬間が訪れるのを待っていた。
間髪入れずに宣言されたのは、目の前のネバーの代名詞である《真気楼と誠偽感の決断》!
S・トリガー踏み倒し効果が2回宣言され、まず《サイバー・チューン》、そしてそこから捨てられた《ウェディング・ゲート》が唱えられる。そこから出てくるのはもちろん《聖霊左神ジャスティス》。このデッキの主役にして、チェインコンボの始動役だ。構造上、【ジャスティスループ】というデッキは「墓地や手札から呪文を踏み倒せるクリーチャー」「墓地や手札からクリーチャーを踏み倒せる呪文」そして「墓地や手札から呪文を踏み倒せる呪文」で埋め尽くされている。
そんなデッキで、墓地を肥やしつつ呪文を踏み倒す《聖霊左神ジャスティス》が出たということは、もはやこのゲームがネバーのターンの終了を待たずに終わりに向けて動き出したということだ。
山札の上5枚を掘りつつ唱えられたのは、《真気楼と誠偽感の決断》。踏み倒し2回を宣言し、《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》で自分の《聖霊左神ジャスティス》とネバーの《アイドル・ハート》をバウンスしたのち、《ポジトロン・サイン》から《ウェディング・ゲート》ですぐさま《聖霊左神ジャスティス》を出しなおす。
そして《ブレイン・スラッシュ》→《爆藍月 Drache der’Zen》を経由してまたも《真気楼と誠偽感の決断》……と繋ぐと、(初回より墓地が肥えていることもあって)もはやチェインコンボは止まらない。
《真気楼と誠偽感の決断》1回目でバトルゾーンの《聖霊左神ジャスティス》《爆藍月 Drache der’Zen》を回収するなどして手札を整え、2回目の呪文で手札や墓地からそれらを踏み倒す……というムーブで山札を掘りつくしたのち、出てくるのは《黒神龍ブライゼナーガ》。
山札が最低でも一周している以上、完全に把握済みのシールドゾーンから姿を見せたのは……
奇しくも目の前の相手と同じ名を持つ、《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》!効果で《爆藍月 Drache der’Zen》が出入りして連鎖の継続が確定すると、ここからはセロによる証明の時間だ。
残り5枚の山札に《真気楼と誠偽感の決断》《ドレミ団の光魂Go!》《ウェディング・ゲート》《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》を積み込んだうえで≪ナウ・オア・ネバー≫で《聖霊左神ジャスティス》を出せるようになると、山札を同じ構成で修復しつつ適宜バウンスと踏み倒しを繰り返すことで《聖霊左神ジャスティス》の効果を無限にストックできるようになる。
こうなれば、同じ要領で《爆藍月 Drache der’Zen》も出入りさせて呪文踏み倒し効果をストックできるようになり……。
無限に積み上がった≪水晶の祈り≫が、ネバーの山札を葬り去るという結果が証明される。かつて《真気楼と誠偽感の決断》に愛された男を、まさにその《真気楼と誠偽感の決断》によって倒したセロが、貴重な一勝をその手に掴んだ。
Winner:セロ
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ネバー DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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セロ DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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