DMGP2025-1st Day1(アドバンス) 3位決定戦:ごペんなさい! vs. つっかー/
ライター:原田 武(たけじょー)
撮影:坂井 郁弥
カバレージの「顔」とも言える、握手をする選手の写真撮影。だがごペんなさい!とつっかー/ の表情は硬い。疲弊か、緊張か。重圧か、消耗か。恐らくはそれら全てが彼らにのしかかっている。
それも無理からぬ話だ。ここは勝った側のみに全国大会出場権が与えられる、グランプリの3位決定戦の場。昨年下半期のDMPランキングに挑戦していたごペんなさい!、そしてエリア予選のルートで全国大会を狙ったつっかー/ にとってその意味合いは一段と大きい。
手を伸ばせば届くところに、あの日願ったものが待っている。
だがその総量は一人分のみ。ごペんなさい!かつっかー/ 、どちらか一方しか持ち帰ることはできない。その事実を噛み締めるように、二人は淡々と対戦準備を進める。
準備が整ったのち、両者はどちらからともなく右手を差し出し、固く握った。

Game 1
先攻:ごペんなさい!先に述べておくと、この対戦は【ファイアー・バード】同型戦である。それも《カモン・ピッピー》を採用しないオリジナル環境と酷似したものである点まで同じ、39枚が共通したリストでのミラーマッチだ。
事実上のブラフとなっている超次元ゾーン・超GRゾーンのカードを除けば、その違いはわずかに1枚。ごペんなさい!は《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を、つっかー/ は《アシステスト・インコッピ》2枚目を採用している。
であれば勝敗を分けるのはこの1枚の差か、あるいはプレイングの差か、それとも運命力の差か。いずれにせよ、わずかな違いが勝負を決定づけることになるだろう。

すぐさま《ハッター・ルピア》を召喚しハイパー化、攻撃させるごペんなさい!。メクレイドの結果は《龍后凰翔クイーン・ルピア》!
この1点ブレイクは無事に通り、《龍后凰翔クイーン・ルピア》が動き出す。攻撃時に《マジシャン・ルピア》を破壊してもう一体の《龍后凰翔クイーン・ルピア》をメクレイド。
G・ストライクがめくれ、なんとかターンを貰ったつっかー/ は《ハンプティ・ルピア》を召喚し《ハッター・ルピア》を破壊することには成功するものの、トップデックでこれを引き込んで再度召喚するごペんなさい!の動きを見て苦々しい表情。

ごペんなさい! 1-0 つっかー/
つっかー/ 「水分補給していいですか」
ジャッジに確認を取り、ペットボトルのお茶を口に含ませるつっかー/ 。先攻を取られての押し付けムーブ被弾という、分かっていても避けられない敗北。言いようのない思いを腹の底に押し流す。
ごペんなさい!「僕も飲んでもいいですか」
こちらも水分補給。幸先の良いスタートを切ったごペんなさい!だが、決して安心はできない。ミラーマッチで自分だけが最大値を出せるなんて都合のいい話はないのだ。乾いた唇を湿らせる。
Game 2
先攻:つっかー/先手後手を入れ替えて2試合目が始まった。2ターン目に《ルピア&ガ:ナテハ》を繰り出したつっかー/ に対し、ごペんなさい!はアクション無し。
続く3ターン目につっかー/ は《ポッピ・冠・ラッキー》を戦線に追加し、そのまま《ルピア&ガ:ナテハ》で1枚ブレイク。ごペんなさい!も《ポッピ・冠・ラッキー》を出し返す。

ここで《ハンプティ・ルピア》を繰り出し、ごペんなさい!の《ハッター・ルピア》を引き抜くことに成功。《ポッピ・冠・ラッキー》エスケープでシールドを消費させつつブレイクを通す。
これでごペんなさい!に残されたシールドは2枚。《ルピア&ガ:ナテハ》によってつっかー/ のシールドも残り2枚まで減ってはいるものの、バトルゾーンの頭数には大きな開きがある。
少しでも差を詰めるべく《ハンプティ・ルピア》を召喚するごペんなさい!だが……確認したつっかー/ の手札は《アシステスト・インコッピ》《龍后凰翔クイーン・ルピア》《雷炎翔鎧バルピアレスク》《アリス・ルピア》という強烈なもの。
しばし考えて《雷炎翔鎧バルピアレスク》を落とし、《ポッピ・冠・ラッキー》で《ルピア&ガ:ナテハ》を討ち取るものの、これだけではつっかー/ の攻勢は止めきれない。

エスケープで場に留まった《ポッピ・冠・ラッキー》も含め、4打点を抱えた状態で残るシールドを割り切る。《アリスの突撃インタビュー》が封じられた状態では耐えきれるはずもなく、勝負は最終戦へともつれこむこととなった。
ごペんなさい! 1-1 つっかー/
この時点で経過時間はたったの10分。わずかな時間で息の詰まるような差し合いが繰り広げられた。
ごペんなさい!「水飲みます」
呼吸を整えるごペんなさい!。つっかー/ も意識を研ぎ澄ませるように、淡々とシャッフルを進めていく。
大会進行の関係で既に観客の姿は会場から消えている。幕張メッセの高い屋根にたたえられた静寂に、カードとカードが触れる音や椅子の軋み、両者の息遣いが心なしか大きく響く。そこには無駄な言葉もノイズもない。一切の余分を削ぎ落して、闘志のボルテージだけが着実に高まっていく。
コミュニケーションこそ最小限だが、互いに互いの気持ちは痛いほど分かっていることだろう。
これで、最後だ。
GAME3
先攻:ごペんなさい!先手のごペんなさい!は《ルピア&ガ:ナテハ》から動き出し、3ターン目に《ハンプティ・ルピア》をプレイ。

ならばと《ポッピ・冠・ラッキー》を立ててどっしり構えるつっかー/ 。相手の場に《ルピア&ガ:ナテハ》がいるのだから、焦らずともシールドは削れていく。ひとまずは《アリスの突撃インタビュー》によるジャンプアップを咎める意図だ。
これに対してごペんなさい!は大きな動きを起こせず、4ターン目を《マジシャン・ルピア》による手札の循環に充てて終えた。終了時に《ルピア&ガ:ナテハ》が更なるドローをもたらすが、代償として残るシールドは2枚となる。
つっかー/ 、4ターン目。ドローしたのは《凰翔竜機マーチ・ルピア》。
つっかー/ 「そっか……」
今、ごペんなさい!は《ハッター・ルピア》も《ポッピ・冠・ラッキー》も繰り出せていない。つっかー/ は自由だ。
つっかー/ 「ふーっ……」
強く息を吐いて、《ハッター・ルピア》召喚。《ポッピ・冠・ラッキー》をタップしてハイパー化。そのまま攻撃、革命チェンジ《凰翔竜機マーチ・ルピア》!メクレイドからは……《龍后凰翔クイーン・ルピア》!ダイレクトアタックに手が届く!
ここまでポーカーフェイスだった両者の表情に、はじめて明確に感情が宿る。手を組んで祈るつっかー/ 。ぎらつく目でシールドに手を伸ばすごペんなさい!。2枚のシールドがブレイクされれる。そして。
表面を確認したごペんなさい!が一言。
「考えます」
それすなわち、まだ終わらせないという意思の具現。


思わず両手で顔を覆うつっかー/ 。束の間見えた勝利の可能性が一気に遠のく。
まずは《アリス・ルピア》G・ストライクで《龍后凰翔クイーン・ルピア》が停止。ピッタリだった打点が止まり、このターン中のダイレクトアタックは不可能となる。
続いて《アリスの突撃インタビュー》効果で《アリス・ルピア》が捨てられ、《ポッピ・冠・ラッキー》と《龍后凰翔クイーン・ルピア》を破壊しようとする。
蘇生を許すわけにはいかないつっかー/ 。はエスケープで《ポッピ・冠・ラッキー》を維持、《龍后凰翔クイーン・ルピア》の破壊は《凰翔竜機マーチ・ルピア》に肩代わりさせる。《マジシャン・ルピア》こそ復活してくるものの、ここでつっかー/ はターンを終えるしかない。
九死に一生を得たごペんなさい!は、ターンドローの後に額を手札にうずめて考え込む。

大丈夫です、というつっかー/ の返事を受け、たっぷりと時間を使って思考するごペんなさい!。せっかく繋いだ望みだ、ここは絶対にミスできない。
こちらのクリーチャーは《ハンプティ・ルピア》《マジシャン・ルピア》に《ルピア&ガ:ナテハ》。相手にはブロッカーの《龍后凰翔クイーン・ルピア》に《ポッピ・冠・ラッキー》。《アリスの突撃インタビュー》での除去や《凰翔竜機マーチ・ルピア》による打点増強は難しい。
つっかー/ のシールドはあと4枚。高い壁であることは否めない。だが、どうにかして越えなければならないのだ。これまでに培った全てを尽くして、ごペんなさい!は最良の手を模索する。

そして《龍后凰翔クイーン・ルピア》で攻撃。《マジシャン・ルピア》を破壊してのメクレイドは《アリス・ルピア》!《龍后凰翔クイーン・ルピア》と《マジシャン・ルピア》が駆けつける!
これで見かけ上の打点は揃った。あとはシールドの内容次第だ。先程とは正反対に今度はつっかー/ が奇跡を、ごペんなさい!が奇跡の不在を願う。
その結果は。


逆転劇が再演される。G・ストライクが《龍后凰翔クイーン・ルピア》を止め、《アリスの突撃インタビュー》が《ハンプティ・ルピア》と《ルピア&ガ:ナテハ》を破壊しつつ《龍后凰翔クイーン・ルピア》を呼び戻す。これでターン終了。
最後は《コッコ・武・ルピア》で除去を飛ばしつつ、つっかー/ のクリーチャー達が一斉攻撃。
ごペんなさい!「ありがとうございました!」
つっかー/ 「ありがとうございました!」

ごペんなさい! 1-2 つっかー/
WINNER:つっかー/
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