ライター：清水 勇貴(yk800)
撮影：瀬尾 亜沙子

　準々決勝のテーブルに向かい合う両者は、対照的な様子でテーブルに臨む。

　デッキシャッフルから明瞭な意思表示とコミュニケーションを絶やさず、ハキハキとした印象を受けるごぺんなさい!。

　大宮をホームタウンとして活動する彼は、長く練習し続けてきた愛機、【ファイアー・バード】とともにベスト8まで勝ち上がってきた。

　一方のRe:グッピーは緊張を隠せない様子ながらも、ゆったりと、自分のペースで準備を進めていく。

　デュエル・マスターズに復帰した時からドラゴンデッキを使い続けてきたという彼は、ここGPの舞台【モルトDREAM】を相棒に選んだ。

　《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》や《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》といった光の能動的に攻められるカードではなく、《ルード・ザーナ》や《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》、《流星のガイアッシュ・カイザー》といった水文明を採用し、カウンター気味に立ち回る構築でここまでを勝ち進んできた。地元・愛知に錦を飾れるか。

Game 1

先攻：ごぺんなさい！ 　【ファイアー・バード】を駆るごぺんなさい! は《ハンプティ・ルピア》、《ハッター・ルピア》をマナに《マジシャン・ルピア》を召喚。

　【モルトDREAM】を率いるRe:グッピーは《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》、《夢双龍覇 モルトDREAM》をマナに《メンデルスゾーン》での2マナブースト。

　どちらも理想的な初動でゲームを開始する。しかし、両者がベストな形でのスタートを切ればこそ、先手後手の差は無慈悲なほどに現れるものだ。2ターン目のごぺんなさい! のマナ置きを見たRe:グッピーは、《メンデルスゾーン》でのロケットスタートを決めたとは思えないほどの重圧に苦しんでいた。

ごぺんなさい!「《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を使います。使用モードは、出してアンタップ付与で」

　想定を超える「最善」がRe:グッピーに襲いかかる。

　2ターン目に《ハッター・ルピア》をマナに置いたごぺんなさい! があえてこの呪文からスタートするということは……もちろんある、2枚目の《ハッター・ルピア》！

　再攻撃モードの選択先ももちろん《ハッター・ルピア》だ。そのまま《マジシャン・ルピア》が《ハッター・ルピア》のハイパーモードを起動し、2回のメクレイドチャンスがごぺんなさい! にもたらされる。

　まずは1回目、メクレイドから登場したのは《ハンプティ・ルピア》。

　Re:グッピーの手札には……控えていた、《流星のガイアッシュ・カイザー》！ 返すターンに一発逆転が見込めるドラグナーなどの危険牌がないことも見届けたごぺんなさい! は、強く頷きながら《流星のガイアッシュ・カイザー》を抜き去る。

　ブレイクして再攻撃、今度は《ポッピ・冠・ラッキー》の登場。展開のチェインこそ止まってしまったが、《ハッター・ルピア》と《ポッピ・冠・ラッキー》により強固な妨害体制が構築される。これにてターンは終了だ。

　しかしRe:グッピーも負けじと《流星のガイアッシュ・カイザー》の召喚を宣言、シールドから手札に飛び込んでいたようだ。《ハッター・ルピア》により定着は許されなかったが、貴重な2枚のカードをRe:グッピーにもたらした。

　3ターン目を5マナで迎えたRe:グッピーは《五番龍 レイクポーチャー ParZero》を召喚。ジャストダイバーブロッカーを並べるとともにデッキトップ6枚から2枚のカードを手札に加えつつ、《ボルシャック・栄光・ルピア》を公開して《ハッター・ルピア》をバウンス。

　しかし、ごぺんなさい! の猛攻は止まらない！

　3マナで《ハッター・ルピア》を召喚したごぺんなさい!は 《マジシャン・ルピア》でハイパー化し即座に攻撃すると、確認したデッキトップ3枚から勢いよく《龍后凰翔クイーン・ルピア》が飛び出した。

　Re:グッピーは《ハッター・ルピア》をブロックして、ひとまずメタクリーチャーの排除には成功。トリガーしたクリーチャーがバトルゾーンに残るようになったため、あとはシールドが答えてくれることに望みを懸けるのみだ。

　待ちに待った女王陛下の御成りに勢い付くごぺんなさい! は、そのまま《龍后凰翔クイーン・ルピア》で攻撃。《マジシャン・ルピア》を破壊しながらメクレイド、更なる《龍后凰翔クイーン・ルピア》が後続の打点を確保する。

　オリジナルであればこのまま《龍后凰翔クイーン・ルピア》がW・ブレイクして残りシールド1枚、《ポッピ・冠・ラッキー》と《龍后凰翔クイーン・ルピア》でぴったりリーサル（決着）……という局面だが、ここでアドバンスの脅威が超次元ゾーンから襲いかかる。 　パラレル革命チェンジ、≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫。宣言不要、アタックトリガーの結果を見てから解決可能な打点増強の一手により、Re:グッピーのシールドが一気に消し飛ぶ！

　果たしてその中にS・トリガーはなく、そのままごぺんなさい! の打点が通り切って1ゲーム目は決着となった。

ごぺんなさい! WIN!

Re:グッピー 0-1 ごぺんなさい!

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Re:グッピー「《ルード・ザーナ》があればなぁ～……」

　「バード強いなぁ」、とポツリとこぼすRe:グッピー。

　【ファイアー・バード】の武器たる烈火のごとき速度が輝いた1ゲーム目。ごぺんなさい! はRe:グッピーが《五番龍 レイクポーチャー ParZero》でリソースを抱え込んだと見るや、「下手な時間の引き延ばしはリソースを自由に使わせるだけだ」と言わんばかりに一気に攻め込み、そして見事に勝利をもぎ取った。

　しかし、相手がEXターンに辿り着く前に《ルード・ザーナ》がトリガーして相手の盤面を一掃できれば、メタクリーチャーのくびきから解き離れたドラグナーたちが自在に剣を振るい、ひといきに勝利を引き寄せられる。

　運否天賦ではあるが、しかし確実にある勝ち筋に願いを繋ぎ。

　2戦目が始まる。

Game2

先攻：Re:グッピー 　Re:グッピーは初手を見るなりため息をついた。

　Re:グッピーが《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》、ごぺんなさい! が《ハンプティ・ルピア》をマナに置き、奇しくも 1ゲーム目の先手後手をそっくり入れ替えたような立ち上がりとなった2ゲーム目。

　唯一違ったところは、2ターン目を迎えたRe:グッピーの手札に《メンデルスゾーン》がないことか。タップインを消化してターンを回したRe:グッピーを尻目に、ごぺんなさいは《マジシャン・ルピア》からゲームをスタートさせる。

　どうにか3ターン目には《ボルシャック・栄光・ルピア》を召喚して2マナブーストに成功したRe:グッピーだったが……【ファイアー・バード】を相手に致命的な1ターンを与えてしまった。

　そして、ごぺんなさい! の3ターン目がやってくる。

　まずはご挨拶とばかりに《ハッター・ルピア》を召喚、ハイパー化を起動したごぺんなさい! は、そのまま攻撃を宣言してメクレイド。今度は素早く女王が駆けつけたが、しかし、前ゲームと違いメタクリーチャーによる護身は完成していない。まだ攻め込むには準備不足だ。

　まずは最初の1点で何も踏まなかったことを見届けたごぺんなさい! は、冷静に次の一手を取る。《龍后凰翔クイーン・ルピア》の攻撃時に自身を破壊して攻撃をキャンセル、山札の上から3枚を確認し……そしてデッキは応えた。

　ごぺんなさい! の戦列に降り立ったのは、《雷炎翔鎧バルピアレスク》、そして攻撃時にきちんと持っていた、《アリス・ルピア》！ デッキトップから2枚目の《龍后凰翔クイーン・ルピア》とともに小粒なファイアー・バードたちが飛び出し、群れを成してRe:グッピーに襲いかかる。

　攻撃時効果を解決し、シールドチェックへと移る。ラストチャンス、ここで踏まなければEXターン確定、しかし踏ませれば一発逆転の1点。果たしてトリガーは……。

　あった。 《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて！モルト!!」》が。

　Re:グッピーのマナは5枚。《ハッター・ルピア》を前に、コスト6以上の強制バトルはあまりにも無力だ。ゲーム開始前に彼が呟いていたように、《ルード・ザーナ》がトリガーしていれば、戦況は変わっていただろう。しかし無情にもごぺんなさい! のターンは続いていく。

　《龍后凰翔クイーン・ルピア》攻撃時に革命チェンジ《凰翔竜機マーチ・ルピア》、《凰翔竜機マーチ・ルピア》を破壊してメクレイドから《アリス・ルピア》、山上3枚から追加の《龍后凰翔クイーン・ルピア》、《凰翔竜機マーチ・ルピア》が破壊されたため墓地から《雷炎翔鎧バルピアレスク》。ファイアー・バードが止まらない！

　再び《龍后凰翔クイーン・ルピア》で《凰翔竜機マーチ・ルピア》に革命チェンジしながら自壊するとメクレイドからは《マジシャン・ルピア》が登場し、手札に戻った《龍后凰翔クイーン・ルピア》を捨てて《凰翔竜機マーチ・ルピア》で蘇生。

　《龍后凰翔クイーン・ルピア》の攻撃時に自壊メクレイドを行なって《アリス・ルピア》から《アシステスト・インコッピ》が呼び出され、バウンス除去に対しても1回の耐性を付けられようになった。さらに《凰翔竜機マーチ・ルピア》で墓地の《ポッピ・冠・ラッキー》を蘇生し、いよいよごぺんなさい! の盤面は磐石なものとなった。

　ここまでの盤面を作り上げながらも、油断なく自身の負け筋を検討していくごペンなさい。このターン中すでにEXターンを獲得していたことを改めてRe:グッピーとジャッジに確認すると、《龍后凰翔クイーン・ルピア》での攻撃を宣言する。

　《ポッピ・冠・ラッキー》の破壊をエスケープで置換しつつメクレイド。出せるカードがもはやないほどまでに薄くなった山札はそのまま元に戻し、1ゲーム目と同じく≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫のパラレル革命チェンジを解決する。ブロックされないT・ブレイカーが、Re:グッピーの眼前に残る3枚のシールドが一気に消し飛ばした。

　がたがたと震える手で最後の3枚を確認するRe：グッピー。果たして、追加ターンまで獲得していたごぺんなさい! に抗う術は残されておらず、Re:グッピーは相手の勝利を讃えるように「ありがとうございました」と頭を下げた。

ごぺんなさい! WIN!

Re:グッピー 0-2 ごぺんなさい!

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ごぺんなさい!「他のアドバンスらしいデッキも検討はしたんですが、3ヶ月間ずっと【ファイアー・バード】を練習していて、練度にも自信があったので、これしか無いな、と」

　ホビーステーション大宮店を拠点に精力的にデュエマへ取り組んでいるというごぺんなさい!。コミュニティの中でデュエマを教わる先輩プレイヤーとともに調整・練習に勤しんでいたという。

ごぺんなさい!「最終的にその方に背中を押してもらったんですけど……このデッキで参加することにして本当に良かったです」

　コミュニティへの感謝を携え、準決勝へと駒を進めたごぺんなさい! 。「GP優勝」のトロフィーを持ち帰るべく、彼と【ファイアー・バード】の戦いはもう少しだけ続く。

WINNER:ごぺんなさい!