デュエル・マスターズ

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DMGP2025-1st Day1(アドバンス) 準決勝:みるえめ vs. つっかー/

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:瀬尾 亜沙子

本気の情熱が、そこにはある。

 4500人が参加したアドバンス・フォーマットのグランプリ。それがトップ4に至ってこんな事態になるとは、一体誰が予想しただろうか?

 勝ち残ったのはまさかの、「ファイアー・バード」3人に「ヘブンズ・ゲート」が1人……オリジナル・フォーマットならまだしも、「バクオンソー」や「モルトDREAM」、「バロムドルマゲドン」に「ゼナーク」など怪物たちがひしめき合う中で、ここまで偏った結果になろうとは。

 そしてそれは、「準決勝のうち1テーブルが必ずファイアー・バード同型対決になる」ということをも意味している。

みるえめ「結構CS出られてます?お名前をよく見るような……」

つっかー/「そうですね、最近は……100位以内にはいる感じで」

みるえめ「ですよね。自分も今期100位狙いで……でも、ここのポイントの時点で3000は確定ですよね」

つっかー/「そうですね」

 そんな事情を知ってか知らずか、対峙するのは神奈川のみるえめと千葉のつっかー/。どちらもCSなどでの優勝経験はこれまで豊富にあるものの、大型大会でのトップ8入賞は今回が初めてという共通点がある。

 だが、それ以上に2人に共通するのは、日本一決定戦という舞台への憧れだ。

 みるえめには、つい4ヶ月ほど前まで24年度後期のDMPランキングで日本一決定戦招待を目指して走るも、結果は27位で招待ラインまでは3000ptsほど届かなかったという背景がある。そして対するつっかー/にも、過去には超CSでの決勝トーナメント進出経験もあるとはいえ、必勝を期した関東エリア予選では予選突破すらかなわず、忸怩たる思いを重ねていたという経緯がある。

 関東のCSに出ていれば、日本一決定戦の出場者や経験者との交流も自然と生まれる。彼らと自分とでは何が違うのか?デッキか、実力か、その両方か?一体あといくつの夜を越えれば、あの輝かしい舞台へと手が届くのだろうか?

 そんな思いを抱えながら出場した今回のグランプリでしかしついに、その何層とも知れなかった天井を一気にブチ破り、ここまで勝ち上がることができたのだ。

 そしてその結果、喉から手が出るほどに欲していた日本一決定戦の出場権が、いまや目の前にある。与えられるのは、グランプリの上位3名。つまり決勝戦に進出することができれば、権利は確定する。

 あれほど焦がれた権利が、あとたったの一勝で。

 だが皮肉にも、互いにその最後の障害は、全く同じ熱量を抱いた対戦相手なのだ。

 だから、「負けても3位決定戦がある」などという弱い考えはここでは要らない。必要なのはゾーンに入った過集中。全力を超えた全力。そして何より、勝ちたいと願う意志だ。  「倒す」「絶対勝つ」。物言わぬ瞳の中にも隠しきれないほどの闘志を浮かべたまま、準決勝が幕を開けた。

Game 1

 予選ラウンド9-0で3位抜けのみるえめが先攻ながらも《凰翔竜機マーチ・ルピア》《アリスの突撃インタビュー》とチャージして2パススタートなのに対し、《龍后凰翔クイーン・ルピア》《ルピア&ガ:ナテハ》とチャージしたつっかー/は《マジシャン・ルピア》を送り出すと、《ポッピ・冠・ラッキー》を捨てて手札を回転させる。これを見てみるえめが《コッコ・武・ルピア》チャージから《ポッピ・冠・ラッキー》を送り出せば、対するつっかー/もマナ置きとプレイをあらかじめ裏向きで予行演習した上で、《アリス・ルピア》チャージから《ポッピ・冠・ラッキー》の鏡打ち。お互いじわりとした進行。

 続いてみるえめは4ターン目、《マジシャン・ルピア》チャージから《アシステスト・インコッピ》。そして《ポッピ・冠・ラッキー》で攻撃するか、チェンジの択まであるか悩む素振りをわずかに見せつつもターンを返す。だが後攻4ターン目、《アリス・ルピア》《凰翔竜機マーチ・ルピア》《ハッター・ルピア》《アリスの突撃インタビュー》《ポッピ・冠・ラッキー》という手札内容から《ポッピ・冠・ラッキー》をチャージしたつっかー/は、《ハッター・ルピア》を送り出して勝負に打って出る。《マジシャン・ルピア》タップして「ハイパー化」、さらに攻撃時に《凰翔竜機マーチ・ルピア》へと「革命チェンジ」宣言しつつ、まず「メクレイド5」。《ハンプティ・ルピア》  明らかになったみるえめの手札は、《雷炎翔鎧バルピアレスク》《アリスの突撃インタビュー》《龍后凰翔クイーン・ルピア》という3枚。ここから《雷炎翔鎧バルピアレスク》を落とすと、チェンジを解決してW・ブレイク……通る。

つっかー/「……きちー……」

 攻めているはずのつっかー/が小さくうめく。だがそれでも《ポッピ・冠・ラッキー》でさらに1点ブレイクしにいくと……これも通る!

 残シールド2枚まで追い込まれたみるえめにターンが返る。 《ポッピ・冠・ラッキー》チャージから《アシステスト・インコッピ》の軽減を駆使して《龍后凰翔クイーン・ルピア》《ルピア&ガ:ナテハ》と一気に展開。《アシステスト・インコッピ》《マジシャン・ルピア》を倒してから、《龍后凰翔クイーン・ルピア》《凰翔竜機マーチ・ルピア》へと攻撃時に《ルピア&ガ:ナテハ》を破壊して「メクレイド8」……だがめくれたのは《ハッター・ルピア》《アリスの突撃インタビュー》《ポッピ・冠・ラッキー》という3枚で、やむなく《アリスの突撃インタビュー》《アリスの突撃インタビュー》を捨てつつ《ハンプティ・ルピア》を破壊。その後バトルを解決し、スレイヤーによる破壊は《アシステスト・インコッピ》で置換することで、結果このターン3面を処理だけしてターンエンド。

 互いに「エスケープ」持ちの《ポッピ・冠・ラッキー》で相手の《アリスの突撃インタビュー》《凰翔竜機マーチ・ルピア》の蘇生効果を封じつつ、みるえめだけタップ状態の《龍后凰翔クイーン・ルピア》を残したという状況。盤面の優位は押し戻されつつあるものの、ブレイク数で先行するつっかー/が攻めきれるかどうか。  勝負のターン。つっかー/は 《ハンプティ・ルピア》をチャージすると、《ハッター・ルピア》を送り出し、《ポッピ・冠・ラッキー》をタップして「ハイパー化」。《龍后凰翔クイーン・ルピア》は初手でチャージした1枚しか見えていない。

つっかー/「……プレイヤーで」

 少し上ずった声で宣言。必要なのは、追加の分割2打点。《龍后凰翔クイーン・ルピア》さえめくれれば一瞬でカタがつく。緊張する手で「メクレイド5」の3枚を見る……だが最も大事なこの局面で、あろうことか《マジシャン・ルピア》を出すことしかできない!

みるえめ「……ふー……」

 これにはみるえめも一安心といったところ。一方つっかー/はやむなく《アリスの突撃インタビュー》を捨てて2ドローしつつ、1点ブレイクだけ通してそのままターンを返すしかない。

 だが、みるえめもこのターンに勝負を決めるしかない。意を決して2体目の《龍后凰翔クイーン・ルピア》を送り出すと、《ポッピ・冠・ラッキー》に破壊を当てて「エスケープ」しながらの「メクレイド8」……ここは《凰翔竜機マーチ・ルピア》を着地させながらのW・ブレイク。

つっかー/「……通ります」

 さらに前のターンからいた《龍后凰翔クイーン・ルピア》で攻撃したばかりの《龍后凰翔クイーン・ルピア》を破壊しながらの「メクレイド8」……結果は。

みるえめ「…っし!」  《アリス・ルピア》自身は《ハッター・ルピア》で破壊されるも、お供としてめくれた《ルピア&ガ:ナテハ》《龍后凰翔クイーン・ルピア》《ハッター・ルピア》はスピードアタッカーを付与された状態で残る。

 そして《龍后凰翔クイーン・ルピア》のW・ブレイクがそのままつっかー/の手札に吸い込まれると、残りの過剰打点を止める術はもはやつっかー/には残されていないのだった。

みるえめ 1-0 つっかー/

つっかー/「マジかー……」

 確率。抽選。期待値。選択。「ファイアー・バード」を使う以上、当然向き合ってきた事象だ。そこには分散があり、結果は決して平等ではないことも頭ではわかっている。

 だが《ハッター・ルピア》によるものとはいえ、先に2回も「メクレイド」しておいて攻めきれなかったことは、つっかー/の胸中に重く影を落とした。

 しかしそれでも。結局、収束するまで挑み続けるしかないのだ。

 そうして挑み続けてきたからこそ、今のこのチャンスがある。2本先取だ、負けることもあるだろう。けれども、最後には勝てばいい。

 そう信じて、つっかー/は2ゲーム目に臨む。

Game 2

 《ヤット・パウル》《アリス・ルピア》から《マジシャン・ルピア》を送り出し、《アリス・ルピア》を捨てて2ドローというまずまずな立ち上がりのつっかー/に対し、みるえめも《アシステスト・インコッピ》《アリス・ルピア》チャージから《マジシャン・ルピア》《ハッター・ルピア》を切って2ドローする鏡打ち。そして返すターン、つっかー/は早くも一つの選択をする。すべてに裏目はある。あるが、《ポッピ・冠・ラッキー》チャージから《ハッター・ルピア》ではなく同型対決の鍵となる《ポッピ・冠・ラッキー》を優先して送り出し、「メクレイド」からの《アリスの突撃インタビュー》《凰翔竜機マーチ・ルピア》を使っての連鎖を確実に咎めにいく。

 だが後攻3ターン目を迎えたみるえめは、《ポッピ・冠・ラッキー》チャージから《ハッター・ルピア》《マジシャン・ルピア》をタップして「ハイパー化」し、攻撃時に「メクレイド」……《ハンプティ・ルピア》《凰翔竜機マーチ・ルピア》《マジシャン・ルピア》《ハッター・ルピア》という3枚から《ハッター・ルピア》を抜き、《ポッピ・冠・ラッキー》への破壊は「エスケープ」でかわすものの、4枚に減ったシールドからさらに1枚ブレイク。つっかー/の選択は、残念ながら裏目に出てしまったように思われた……しかし。

つっかー/「考えます」

みるえめ「……はい……」

 「ファイアー・バード」がシールドをブレイクされて手が止まるなら、理由は一つしかない。その瞬間は、どこかで必ず訪れる。  《アリスの突撃インタビュー》《凰翔竜機マーチ・ルピア》を捨てて《ハッター・ルピア》《ハンプティ・ルピア》をまとめて破壊しつつ捨てられたばかりの《ハッター・ルピア》を墓地から蘇生させると、形勢は一気に逆転する。

 ターンが返ってきたつっかー/はまずは落ち着いて《アリス・ルピア》チャージから《マジシャン・ルピア》《マジシャン・ルピア》を切って2ドロー。手札は引いたばかりの2枚のみ。

つっかー/「っふー……」

 そして意を決して《マジシャン・ルピア》をタップして「ハイパー化」。《ハッター・ルピア》でタップ状態の《マジシャン・ルピア》へと攻撃時に「メクレイド」。《アリスの突撃インタビュー》《ポッピ・冠・ラッキー》《ハッター・ルピア》から《ハッター・ルピア》を選択。さらにここが攻め時とばかりに《マジシャン・ルピア》《ポッピ・冠・ラッキー》と立て続けにシールドブレイクし……トリガーはない!

 かくしてシールドは互いに3枚。だが返すみるえめは納得したように頷くと、《ハンプティ・ルピア》をチャージして力なく「終わり」とだけ宣言するのみ。それは、つっかー/に下駄を預けた意思表示に等しい。

 はたしてつっかー/は《アシステスト・インコッピ》《マジシャン・ルピア》と並べ、「ハイパー化」の種としてから《ハッター・ルピア》で攻撃すると、上3枚にいたのは1ゲーム遅れでようやくたどり着いた《龍后凰翔クイーン・ルピア》

 ブレイクで《アリスの突撃インタビュー》を踏み返すも、《ポッピ・冠・ラッキー》がいる状況では効果は半減。さらに《龍后凰翔クイーン・ルピア》の「メクレイド」が新たな《龍后凰翔クイーン・ルピア》を呼び、今度こそダイレクトアタックまで成し遂げたのだった。

みるえめ 1-1 つっかー/

つっかー/「あー、1-1かー……」

みるえめ「お互いなんか微妙な動き方でしたね……」

つっかー/「そう……実は今日バードのミラー初めてで」

みるえめ「自分も初めてです。ずーっと多分違うデッキを食い続けてる……」

 拳ならずとも札を交えたことで、二人の間だけで通じ合うものがあった。練度。熱量。物語。それらが高いレベルで伯仲していること。多くの言葉を交わさずとも十分だった。それがゆえの寂寥感があった。

 あとたったの1ゲームで終わってしまうのか、と。

みるえめ「結局先攻ゲーなんですよね、大分」

つっかー/「ですね……引きが拮抗しちゃうと」

 それでも、どちらからともなく終わったシャッフルは、最終ゲームの始まりを告げる合図となる。

 あとはどちらが上を行くか……その雌雄を決するのみ。

Game 3

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》《瞬閃と疾駆と双撃の決断》とチャージしたみるえめは《ルピア&ガ:ナテハ》で前のめりに攻める覚悟を示す。対するつっかー/は《ハンプティ・ルピア》《ルピア&ガ:ナテハ》チャージから《マジシャン・ルピア》《龍后凰翔クイーン・ルピア》を切って2ドロー。そのまま3ターン目は《ルピア&ガ:ナテハ》チャージから《ポッピ・冠・ラッキー》を送り出したみるえめに対し、つっかー/も《マジシャン・ルピア》チャージからの《ポッピ・冠・ラッキー》で応じる。

 だがここで4ターン目を迎えたみるえめは勝負に出る。《アリス・ルピア》チャージから《アリスの突撃インタビュー》《凰翔竜機マーチ・ルピア》を切りながら2体を対象にすると、《ポッピ・冠・ラッキー》には「エスケープ」されるものの、まずは《マジシャン・ルピア》を破壊する。  そして4枚に減ったシールドに対してそのまま《ルピア&ガ:ナテハ》でブレイク……通る。続けて《ポッピ・冠・ラッキー》でブレイク……通る!

 ターンを終えて《ルピア&ガ:ナテハ》の能力を解決すると、先攻4ターン目終了時にしてお互いのシールドは2枚。とはいえつっかー/には返しのマナが4マナしかない上に相手に《ポッピ・冠・ラッキー》がいる以上、まくれるカードは限られている。はぁ、と浅く息を吐くみるえめ。出しきった。

つっかー/「手札3枚?」

みるえめ「3枚です」

 だが、この局面でつっかー/もしっかりと解答を握っていた。《ルピア&ガ:ナテハ》チャージ、《ハッター・ルピア》《ポッピ・冠・ラッキー》をタップして「ハイパー化」しつつ攻撃時、《凰翔竜機マーチ・ルピア》へと「革命チェンジ」を宣言しながら、山札の上3枚を手にとる。

つっかー/「メクレイドします!」

 奇しくもそれは1ゲーム目と似た状況。《龍后凰翔クイーン・ルピア》《雷炎翔鎧バルピアレスク》ならジャスキルが通せる。

 祈るみるえめ。はたしてつっかー/は……首を傾げる!

 見えた3枚は《ハッター・ルピア》《アリスの突撃インタビュー》《アリスの突撃インタビュー》《ポッピ・冠・ラッキー》のせいで追加打点にできず、リーサル(決着盤面)が作れない。やむなく《アリスの突撃インタビュー》を使用してチェンジ宣言中の《凰翔竜機マーチ・ルピア》を捨てることで返しの打点を削りつつ無駄にトリガーを誘発させない選択をすると、みるえめもさすがという表情をしながら「エスケープ」。かくして《ポッピ・冠・ラッキー》だけが残りつつ、最後のシールドがブレイクされたのみでターンが返る。

 すなわち、今度はつっかー/が祈る番。両手を握りながら見守るみるえめのアクションは……《龍后凰翔クイーン・ルピア》 みるえめ「どっちかなー……」

 つっかー/のシールドは2枚、打点は他に《ポッピ・冠・ラッキー》のみ。選択肢は無数にあるが、「メクレイド」を挟もうとした時点で最悪自爆の可能性もある。

みるえめ「頼む!」  意を決しての選択は、ランダムを排したスピードアタッカーW・ブレイカーによるジャスキル。だがそれはつまり《アリスの突撃インタビュー》でも、《ハンプティ・ルピア》《アリス・ルピア》の「G・ストライク」でも止まるということ。みるえめにもシールドはない。通るか。止めるか。全国か。  2枚のシールドを、1枚ずつ確認するつっかー/……そして、そこには。

 声を上げる勝者と、俯く敗者の姿があった。

みるえめ「っしゃ全国行った!!!」

つっかー/「いやーマジかー……」

みるえめ 2-1 つっかー/

Winner: みるえめ

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