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DMGP2025-1st Day2(オリジナル)決勝戦:てるふぇす vs. カルマ

ライター:秋山 大空
撮影:坂井 郁弥

 DMGP-1stから約10年。

 この10年で、DMGPの参加者は1000人超から4000人超へ。

 更に超CSやジュニアグランプリという新たな大型大会も増え、三つを合わせた開催数は、今大会でちょうど30回目を迎えることとなった。

 今もなお現役のプレイヤー、去ってしまったプレイヤー、ジャッジやライターへ移行したプレイヤー、そして新しいプレイヤー。

 10年という時の中で数多のプレイヤー達が紡いできた歴史と栄光の裏には、好成績を残しながら惜しくも途中で敗れてしまい、持ち帰られた悔しさが無数に存在する。

 決勝戦に上がった二人もまた、その悔しさを手に決勝へ来ているのだ。

 てるふぇすはDMGPベスト16で、カルマは超CS準決勝で。

 二人の前には一つのトロフィー。

 今大会で、リベンジを果たせるはどちらか一人である。

てるふぇす「短期間で何度もフィーチャーされたせいか少し慣れてきて、逆にあんまり緊張してないです」

 そうカルマに話すてるふぇすだが、緊張はしていなくても疲労は溜まるもの。

 シャッフルする手が少し震えているてるふぇすに、カルマが声をかける。

カルマ「落ち着いてで良いですよ、ゆっくりで」

てるふぇす「ゆっくりで(笑)」

 そして、「デュエマ・スタート!」の掛け声と共に制限時間の無いタイマーが動き出す。

てるふぇす「せん(攻どうぞ)…あっ」

 手を差し出すカルマに気づいたてるふぇすは、その手を握る。

 しっかりと握手を交わし、DMGP2025 1st Day2最後の試合が始まった。

Game1

先攻:カルマ  てるふぇすは1ターン目の《戦攻のシダン アカダシ / 「いいダシがとれそうだ」》からスタートし、2ターン目の《ツイン・シックス》に繋ぐ。

 カルマは2ターン目の《異端流し オニカマス》から、《冥土人形ヴァミリア・バレル》を召喚。

 ≪戦攻のシダン アカダシ≫を手札に戻し、《~西方より来る激流の竜騎公~》を捨てさせる。

 順位先攻のアドバンテージを存分に生かしたカルマの先攻3ターン目《冥土人形ヴァミリア・バレル》に、苦い顔をするてるふぇす

 手札をバトルゾーンに変換し、効果で手札を増やしていく【水単ハイパーエナジー】にとって、《冥土人形ヴァミリア・バレル》はクリティカルだ。

 やむを得ず≪戦攻のシダン アカダシ≫を出し直し、ハイパーエナジーで《爆藍月 スケルハンター》を召喚。

 《ツイン・シックス》《爆藍月 スケルハンター》のドローで手札を入れ替え、残り1枚の質を上げる。

 更にジャストダイバーが切れた《ツイン・シックス》カルマの攻撃を誘い、《爆藍月 スケルハンター》による殴り返しで勝機を探す構えである。

 だが、カルマはそれに付き合わない。

 ≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫で7を宣言、ハイパー化した《冥土人形ヴァミリア・バレル》《ツイン・シックス》を破壊。

 《爆藍月 スケルハンター》の殴り返しを防ぎつつ、《冥土人形ヴァミリア・バレル》のハイパー化を維持するカルマの丁寧なプレイが光る。

 てるふぇすターン。トップデックし召喚した《飛翔龍 5000VT》は、《冥土人形ヴァミリア・バレル》本体には触れられない。

 《飛翔龍 5000VT》の召喚制限がかかる中、カルマ《アーテル・ゴルギーニ》《爆藍月 スケルハンター》を除去しつつ、《冥土人形ヴァミリア・バレル》のハイパー化を維持する。

 《アーテル・ゴルギーニ》は攻撃で破壊できるが、《冥土人形ヴァミリア・バレル》を何とかするにはもう一押し欲しいところ。

 てるふぇすのターン。ドローは2体目の《飛翔龍 5000VT》

 攻撃で《アーテル・ゴルギーニ》を破壊し、《冥土人形ヴァミリア・バレル》のハイパー化を再び牽制する。

 カルマはマナチャージのみでターンを終え、ついに《冥土人形ヴァミリア・バレル》のハイパー化が途切れた。

 ここが一番のチャンス。てるふぇすが引いたカードは……  《ツイン・シックス》を召喚してターンエンド。

 《爆藍月 スケルハンター》のようなドローカードこそなかったが、カルマの手札もターン開始時のドローを含めて2枚。

 お互いに手札の枚数が苦しい中で、バトルゾーンの状況はてるふぇすに傾きつつある。

 そんな中で、カルマがプレイしたのは《アーテル・ゴルギーニ》。効果で《貴布人 テブルカッケ=エディ》が落ち、そのまま蘇生。

 これでカルマの手札枚数の心配は無くなり、てるふぇすは早期の決着を求められることになる。

 しかし、《貴布人 テブルカッケ=エディ》がいる限り《アーテル・ゴルギーニ》《冥土人形ヴァミリア・バレル》も、墓地から召喚することが出来る。

 《飛翔龍 5000VT》2体が攻撃に行くが、《アーテル・ゴルギーニ》への攻撃は受け、シールドへの攻撃は《冥土人形ヴァミリア・バレル》がブロック。

 返すターン、カルマは墓地から《忍蛇の聖沌 c0br4》《アーテル・ゴルギーニ》《冥土人形ヴァミリア・バレル》×2と連鎖させて《飛翔龍 5000VT》2枚を除去し、盤面を固める。

 あとは《飛翔龍 5000VT》で蓋をし、《貴布人 テブルカッケ=エディ》で墓地からクリーチャーを並べ、《奇天烈 シャッフ》《同期の妖精 / ド浮きの動悸》を止めれば準備万端。

 てるふぇすのシールドにトリガーは無く、カルマのダイレクトアタックが通った。

てるふぇす 0-1 カルマ

てるふぇす《冥土人形ヴァミリア・バレル》がしんどいですね…。《魔誕の斬将オルゲイト》を探しに行ったんですけど、見つからなかったです」

 現環境のほとんどのデッキは、3ターン目以降に大きく動き出すが故に、先攻3ターン目に置かれるクリティカルな対策カードは致命的になりやすい。

 しかし、次はてるふぇすが先攻。

 先に大きなアクションを通す側となる。

Game 2

先攻:てるふぇす  てるふぇす《バブル・ボール》召喚からスタートし、2ターン目もクリーチャーを召喚。

 光るカードを確認しようとする筆者に、二人からひと言。

てるふぇす&カルマ《洗打の妖精》です』

 ありがとうございます。

 順調に《異端流し オニカマス》を置くカルマだが、Game1とは違い《冥土人形ヴァミリア・バレル》よりも先に《爆藍月 スケルハンター》が着地。

 《バブル・ボール》効果と《爆藍月 スケルハンター》効果で3ドローを通す。

 今からでも《冥土人形ヴァミリア・バレル》を置きたいところだが、カルマが召喚したのはそれ以上に求めていたカード、《DARK MATERIAL COMPLEX》

 《異端流し オニカマス》《洗打の妖精》を攻撃し、《DARK MATERIAL COMPLEX》のカウントが一つ進む。

 《爆藍月 スケルハンター》のドローこそ通ったが、《DARK MATERIAL COMPLEX》を引かれると話が変わってくる。

 【水闇COMPLEX】の豊富な除去とS・トリガーを躱しきるのは困難を極め、《爆藍月 スケルハンター》も起動を抑えきるには頼りない。

 何はともあれ、今出来ることは盤面を作ること。《飛ベル津バサ「曲通風」》《魔誕の斬将オルゲイト》を場に出すてるふぇす

 《DARK MATERIAL COMPLEX》を早期に出せたおかげで手札破壊を急ぐ必要がなくなったカルマは、《終止の時計 ザ・ミュート》で手札を入れ替える。

 てるふぇすも、《魔誕の斬将オルゲイト》で効果を奪い手札入れ替え。

 続いてコスト1になった《飛翔龍 5000VT》で、てるふぇすのハイパーエナジー元のクリーチャーを退かせる。

 《魔誕の斬将オルゲイト》で痛み分けとなるが、それにより《DARK MATERIAL COMPLEX》のカウントが一気に進んで次ターン起動が見えてきた。

 ひとまず《飛翔龍 5000VT》の効果が切れるのを待つためにターンを終えるてるふぇす

 てるふぇすにとって苦しい展開だが、《魔誕の斬将オルゲイト》《爆藍月 スケルハンター》《DARK MATERIAL COMPLEX》に睨みを利かせている。

 一方カルマにとっても、てるふぇすの盤面はやや厄介だ。

 《爆藍月 スケルハンター》を除去しない限り《DARK MATERIAL COMPLEX》はアンタップせず、安易な除去は《魔誕の斬将オルゲイト》が許さない。

 ならば、呪文で対応するまで。

 流石と言うべきか、カルマはやはり持っていた。  《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》《魔誕の斬将オルゲイト》《爆藍月 スケルハンター》を手札に戻し、《DARK MATERIAL COMPLEX》が動き出す。

 《DARK MATERIAL COMPLEX》攻撃時に≪ボン・キゴマイム≫を場へ…出そうとするが、《飛翔龍 5000VT》の効果は「次の相手のターン中」。

 《魔誕の斬将オルゲイト》で奪われた《飛翔龍 5000VT》の効果が、遅れてカルマにやってきた。

カルマ「あっ…やっちゃった…」

 だがてるふぇすのデッキに、《DARK MATERIAL COMPLEX》と横の《飛翔龍 5000VT》を同時に止める手段は存在しない。

 カルマは再び手を差し出し、てるふぇすは再びその手を握った。 てるふぇす 0-2 カルマ

Winner:カルマ

てるふぇす《DARK MATERIAL COMPLEX》引かれるか~…」

カルマ選手が《爆藍月 スケルハンター》の効果忘れていることしか勝ち筋が無かったんですけど、やっぱりそう甘くはなかったですね」

「あれだけ…最後、あっさり過ぎました」

 優勝まであと1戦。

 届かなかった悔しさは、経験した者でないと計れない。

 だが、悔しさだけを持ち帰る必要はない。

 ここまで来た選手には、リベンジのチャンスが用意されている。

運営スタッフてるふぇすさん、全国大会出場決定おめでとうございます!」

てるふぇす「今回トロフィーは無いんですよね?」

運営「ないです…が、全国優勝すれば、トロフィーを持って帰れます」

てるふぇす「わかりました、リベンジ果たします!」

 賞品を手に、リベンジの誓いを胸にてるふぇすは帰路につく。

てるふぇす「明日仕事があるんで、急いで帰らないと…。有休がまだないんですよね…新入社員なので…」

 忙しい時期の中、夜行バスで関西へ帰りそのまま出社するとのこと。

 なぜ、社会はDMGP準優勝の新入社員に厳しいのだろうか。

てるふぇす「今週はちょっと、(疲れていると思いますが)頑張ります!」

 頑張れてるふぇす!体に気を付けてほしい!

 そして、おめでとうてるふぇす!全国大会2025の時には有休が貰えているはずだ!その時は是非有休をとってゆっくりしてほしい!


 放送のインタビューを終え戻って来たカルマは、【水闇COMPLEX】を使用した理由について語ってくれた。

カルマ「ポジティブな方の理由は、ループ系以外には概ね五分以上とれるかな、と。今回はいつものCS環境より《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》が流行ってたので、《真気楼と誠偽感の決断》によって遅くなっていたゲームレンジが更に遅くなって、環境的にも有利を取れていたかな、という印象です」

「消極的な方の理由は、【ファイアー・バード】を使ってミラーマッチで勝ち続けるのは無理!と思ったからですね(笑)」

 デッキ相性は、集合知と本人の練習による認識で組み上げられた、信頼できる情報だ。

 だが、それだけが全てではないのもまた確かである。

 例えば「この構築の【水闇COMPLEX】は、【ファイアー・バード】にやや有利である」という知識は、大会出場時に背中を押してくれるだけ。

 不利なデッキに当たらず勝ち進むこともあれば、有利なデッキ相手に負けてしまうこともある。

 予選全勝及び優勝は、カルマが実力で運命を引き寄せた結果である。

 決勝トーナメント進出時「順位先行で全部踏み潰す」とポストし、宣言通り全てを乗り越えていった。

 そして、プロフィール写真の撮影時、「前(超CS)は3位だったので」と指を3本立てていたが、「やっぱり1位を狙うので指1本にします」とポーズを変え、優勝を掴み取った。

 言うは易く行うは難し。

 数多のライバルを超え、二つの目標はここに成就した。

 改めて、カルマ!DMGP2025ー1st Day2優勝おめでとう!
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