DMGP2025-1st Day2(オリジナル)Round 3:ジンジャー vs. Naq
ライター:小林 隆介(004)
撮影:坂井 郁弥
先行発売パックから現れた《超竜バジュラ》は、その少年を魅了した。
あれから22年。
ボロボロになった相棒とともに、その少年は再び幕張の地を訪れる。

Naqにとって今回が初めてのグランプリである。
YouTubeの『けみくろ放送局』で観た王闘連ドラにピンときて、自分なりに調整した。
1回戦、勝ち。
2回戦、勝ち。
今日はすごく調子がいい。
デッキが応えてくれている。
3回戦目のテーブルに座ったとき、アナウンスが聞こえてきた。
「次のラウンドのフィーチャーマッチをお呼びいたします。ジンジャー選手対Naq選手」
自分の名だ。
ジャッジに連れられて配信テーブルへ移動する。
まさかフィーチャーマッチに呼ばれるなんて思わなかった。
対面に座ったのは前回グランプリ優勝者のジンジャー選手。
画面の向こうにいた人が目の前でシャッフルをしている。
こんなにたくさんのカメラを向けられたり、ジャッジの真横で対戦をするのなんて初めてだ。
緊張で自分のカードを落として表になってしまった。
ジンジャー選手はとっさに目を背け「大丈夫です、見えてないですよ」と言ってくれた。
ジャッジがにこやかに「落ち着いて、ゆっくりでいいです」と声をかけてくれた。
ミスのおかげで冷静になるための間が生まれる。
シャッフルが終わる。
運命の手札が配られる。
ここまできたらベストを尽くすだけだ。
特別な一日の、とりわけ特別な一戦が幕を開ける。

先攻はNaq。

対してジンジャーはマナチャージするのみでターンを返す。
マナのカードを見る限り、ジンジャーのデッキはペテンシーフシギバースだろう。
《龍世界 ドラゴ大王》が出ればシールド・トリガーは怖くない。
踏み倒しにリスクはあれど、ここは行くべき時だ。
Naqは意を決し《王来英雄 モモキングRX》を召喚、効果で《ボルシャック・モモキングNEX》に進化した。
このデッキトップの捲りが命運を分ける。

最上級の当たりに加え、更にターン終了時《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》効果で手札から《龍世界 ドラゴ大王》を踏み倒す!
今日はすごく調子がいい。
先攻4ターン目にして115マナ分を踏み倒して”ドラゴン以外はバトルゾーンに出ず光ではない呪文は唱えられない”強烈なロックが完成した。
ここからのゲームは一方的なものになる。はずだった。
ジンジャー「ターン終了時、《流星のガイアッシュ・カイザー》と《真気楼と誠偽感の決断》を宣言します」
ジンジャーはまずドラゴンである《流星のガイアッシュ・カイザー》を踏み倒し、2ドローする。
そして光の呪文である《真気楼と誠偽感の決断》でシールド化を2回選択。《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》をEXライフを剥がして除去する。

マッハファイターで《ボルシャック・モモキングNEX》にアタックしながらNaqの《龍世界 ドラゴ大王》をマナの《ボルシャック・ドラゴン / 決闘者・チャージャー》と入れ替える。
あれだけ強固だったロック盤面が、一瞬で解体された。
運命は逆転し、ここからのゲームは一方的なものになった。
Naqのクリーチャーを除去し、《流星のガイアッシュ・カイザー》でプレイヤーへの速攻を止め、《ブラキオ龍樹》で出たとき効果も封じ、《大樹王 ギガンディダノス》で手札も埋める。
ジンジャーが的確にバトルゾーンをコントロールし、反撃を許さずダイレクトアタックを決めた。
WINEER:ジンジャー
対戦中は常に表情を崩さなかったジンジャー。
初手に高マナ域のカードしかなく「マジかよ、こういう日か」と思った瞬間も、3ターン目にトップで《真気楼と誠偽感の決断》を引いて逆転の可能性を見出した瞬間も、ポーカーフェイスを貫いた。
対戦を終えたNaqは悔しいよりも興奮している様子だった。
本物の強者と対戦できた。
競技デュエル・マスターズの緊張感をビリビリ感じた。
この舞台がグランプリなんだ。
Naq「大好きなカードを入れたデッキでグランプリに参加できて良かったです!」
きっとパックから《超竜バジュラ》が現れたときも同じ顔をしていたのだろう。
晴れやかな表情でフィーチャー席を後にするNaq。
一方、ジンジャーは表情を崩さない。
ジンジャー「優勝まではまだまだ長いので、残りも頑張ります」
頂点に立つ者は、驕らず、侮らず、ただ撃滅するのみ。――《超竜バジュラ》のフレーバーテキストより
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