DMGP2025-1st Day2(オリジナル) 準決勝:カルマ vs. Rikky
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:後長 京介
オリジナル・フォーマットの優勝候補筆頭と思われた「ファイアー・バード」の使い手がトップ8に一人も存在しないという、まさかの事態となったグランプリ2日目。その準決勝、「水単ハイパーエナジー」のてるふぇすと「ボルシャック」のえて.との対戦がフィーチャーマッチに呼ばれる傍ら、他のプレイヤーがすべて脱落し誰もいない閑散とした決勝トーナメントエリアの片隅で、灼熱の準決勝が始まろうとしていた。
カルマ「当たれて嬉しいです」
Rikky「ありがとうございます」
カルマは、昨年1月に開催された超CSⅥ福岡で「火水マジック」を使用し、3位に入賞した実績を持つ強豪。
対するRikkyはデュエチューブリーグ「魔王軍」に所属するリーガーであり、ちょうど一年ほど前に同じ幕張メッセで開催されたチーム戦のDMGP2024-1st2日目で優勝した、いわばディフェンディングチャンピオン。それが2年連続のトップ4以上入賞を確定させているというのだから、現在最もノリにノっているプレイヤーと言って間違いないだろう。
Rikky「予選順位って……」
カルマ「8位です」
Rikky「ですよね」
しかし、8勝1敗ながらもオポネントが高く12位通過となったそんなRikkyでも、カルマの予選順位には及ばない。なぜならカルマはこの大会で9人しかいない、予選9回戦を全勝したプレイヤーの一人だからだ。しかもそれが準決勝まで勝ち上がっている……それはつまり、決勝トーナメントまで含めてここまで無敗ということ。土をつけたのは唯一、準々決勝で1ゲームをとった†カナタ†だけだ。
Rikkyが使い慣れた「火水闇ジャオウガ」を使用しているのに対し、カルマのデッキは「水闇COMPLEX」。《DARK MATERIAL COMPLEX》の殿堂前よりもはるかに繊細なプレイが要求されるようになり、使い手次第では簡単に負けてしまってもおかしくなかったこのデッキで無敗ということは、既に超一流のプレイヤーであることを証明しているようなものである。
カルマ「強い人とやるの大好きなんで。でもいつも東京でやってるから、関西に遠征することはなかなかなくて」
Rikky「僕も嬉しいです。ここまで勝ち上がって、対戦できて」
そんな二人がこれから、決勝戦に勝ち進む権利と、そして3位までしか配られない今年度の日本一決定戦の出場権利をかけ、戦おうとしているのだ。

Game 1
開幕で《忍蛇の聖沌 c0br4》2枚をチャージしたカルマに対し、Rikkyも《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》《飛翔龍 5000VT》とお互い2パスの立ち上がりで、ゲームが動いたのは3ターン目から。カルマが《異端流し オニカマス》チャージから《終止の時計 ザ・ミュート》を出したのに対し、Rikkyは《偽りの希望 鬼丸「終斗」》チャージから《冥土人形ヴァミリア・バレル》。《終止の時計 ザ・ミュート》を戻しつつ、ランダム手札破壊で《終止の時計 ザ・ミュート》をそのまま捨てさせる。だが4ターン目にカルマが《異端流し オニカマス》チャージから《貴布人 テブルカッケ=エディ》を送り出すと、その墓地肥やしが《DARK MATERIAL COMPLEX》をもたらす!しっかり立たせていた黒マナ1枚でそのまま墓地から召喚し、Rikkyに対してこれ以上なく明確なタイムリミットを突きつける。しかも同時に《アーテル・ゴルギーニ》までも落ちており、《貴布人 テブルカッケ=エディ》を放置できないという状況。

Rikkyも《冥土人形ヴァミリア・バレル》チャージからの《飛翔龍 5000VT》でどうにか打点を用意しようと抗うのだが、返すターンにカルマが《飛翔龍 5000VT》返しをお見舞いすると、気づけば《DARK MATERIAL COMPLEX》のカウントは6まで溜まってしまっている。やむなくRikkyは《アーテル・ゴルギーニ》を出して4枚肥やし+蘇生で《邪龍 ジャジーブラッド》の落下を狙うものの、落ちたのは《冥土人形ヴァミリア・バレル》くらいでこれは《飛翔龍 5000VT》の効果で蘇生できない。
そして返すターンにカルマが《アーテル・ゴルギーニ》で《冥土人形ヴァミリア・バレル》《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》と蘇生し、Rikkyの《アーテル・ゴルギーニ》を戻すと早くも《DARK MATERIAL COMPLEX》が起動。敷いてあった中からさらなる《飛翔龍 5000VT》を出して反撃を封じ、盤石な状態でのワールド・ブレイクが走ると、そのままRikkyは大人しくダイレクトアタックを受け入れたのだった。
カルマ 1-0 Rikky
先攻で《DARK MATERIAL COMPLEX》が早期に着地したラッキーなゲームと言ってしまえばそれまでだが、実質的には《冥土人形ヴァミリア・バレル》《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》《アーテル・ゴルギーニ》の同型対決ともとれるこの対面では、4ターン目《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》からの5ターン目《アーテル・ゴルギーニ》がクリティカルな動きとなる。つまり先攻4ターン目のランダム手札破壊が走る前の後攻3ターン目に《冥土人形ヴァミリア・バレル》を出しておくことで、どちらかを落とすチャンスに使いたいのが通常の進行だ。
そこをあえて後攻3ターン目の《冥土人形ヴァミリア・バレル》を受け入れたのち、続く本来《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を出したいであろう後攻4ターンに2枚目の《冥土人形ヴァミリア・バレル》か《邪龍 ジャジーブラッド》の早出しを要求できる先攻4ターン目の《貴布人 テブルカッケ=エディ》による「ずらし」が、的確に機能したゲームだったとも言えるだろう。おそらく仮に《DARK MATERIAL COMPLEX》が落ちなくても、《貴布人 テブルカッケ=エディ》が生き残った段階で相当優位に立てたはずである……ともあれ、いずれにせよ「水闇COMPLEX」の構築とプレイの妙味を存分に発揮したカルマが、まずは1ゲームを先取する。
Game 2
先攻で《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》 《飛ベル津バサ「曲通風」》チャージから《異端流し オニカマス》を送り出すRikkyに対し、カルマも《∞龍 ゲンムエンペラー》《カレイコの黒像》チャージから《異端流し オニカマス》を鏡打ち。すると返すターンのRikkyは《偽りの希望 鬼丸「終斗」》チャージから《シャワ=アガール》で、カルマの手札を絞りつつ「選ばれない」と「ジャストダイバー」で堅実に盤面を作る。捨てたのはRikkyが《邪龍 ジャジーブラッド》に対してカルマが《カレイコの黒像》。一方、後攻3ターン目を迎えたカルマは《飛翔龍 5000VT》チャージから《冥土人形ヴァミリア・バレル》。戻す対象がないことを逆用してランダム手札破壊をぶち当てにいくも、3枚から捨てさせたのは《シャワ=アガール》でイマイチといったところ。
するとこの隙にRikkyは《偽りの希望 鬼丸「終斗」》チャージから、綺麗に4コストで《飛翔龍 5000VT》!さらに反撃を封じたこのタイミングできっちり楯を詰めにいく。まずは《シャワ=アガール》でブレイク……通る。続けて《異端流し オニカマス》でブレイク……《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》がトリガー!だが既に3体のクリーチャーが並んでいる状況で《異端流し オニカマス》《飛翔龍 5000VT》は戻せないまでもせめて《シャワ=アガール》だけは戻すこともできるところ、カルマはあえて2ドローを選択する。

バトルゾーンには「2」「3」「8」のクリーチャーしかいない……だが、前のターンに《飛翔龍 5000VT》を出すためとはいえRikkyは、4マナ目に《偽りの希望 鬼丸「終斗」》をチャージしている。カルマのマナに多色があるため追加打点として有用なそれをチャージしたということは、残る手札1枚はそれより強いカードか多色。墓地に《邪龍 ジャジーブラッド》が落ちているため、もし仮にその1枚が《邪龍 ジャジーブラッド》か《アーテル・ゴルギーニ》だとすれば、次のターンに「NEO進化」させての一斉攻撃でトリガー《忍蛇の聖沌 c0br4》貫通が狙いとしてありうる。自身のハンドリーディングを信じていなければできない、玄人のラッキーナンバーだ(「4」指定しておけば、既に出ているクリーチャーの上に「NEO進化」させても攻撃できなくなる)。しかも手札の消耗も、直前のトリガー2ドローで補えている。
Rikky「……上手いですね」
カルマ「ふふっ……でしょw」
Rikkyから自然と漏れたのは称賛の言葉だった。決勝進出を、日本一決定戦の権利を争っているというのに。しかも1ゲームを先取されているというのに、こみ上げてくる実感が口をついて出たようだった。
デュエル・マスターズとは、こんなに奥深いゲームだったのかと。
Rikky「いやー、わかってるなー……ハンドはちなみに?」
カルマ「5です」

カルマ「考えますね」
一方、ようやく《飛翔龍 5000VT》の制限がないターンが返ってきたカルマは、少考ののちに《アーテル・ゴルギーニ》を召喚。4枚肥やし+蘇生で《冥土人形ヴァミリア・バレル》を蘇生し、《シャワ=アガール》を戻して《偽りの希望 鬼丸「終斗」》を捨てさせる……だがこの《冥土人形ヴァミリア・バレル》は、Rikkyがしっかりと《異端流し オニカマス》で手札に戻させる。
かくしてカルマが《アーテル・ゴルギーニ》にシールド3枚なのに対し、Rikkyが《異端流し オニカマス》《邪龍 ジャジーブラッド》《飛翔龍 5000VT》という状況で回ってきたターン。この局面で《シャワ=アガール》チャージからRikkyが召喚したのは《単騎連射 マグナム》!すぐさま《飛翔龍 5000VT》を攻撃に向かわせると、これは《アーテル・ゴルギーニ》でブロックされるも、続く《邪龍 ジャジーブラッド》の攻撃でW・ブレイク……トリガーなし。さらに《忍蛇の聖沌 c0br4》が機能しないこのうちにと、ジャスキルはないものの《異端流し オニカマス》でラス楯をブレイク……だがここでトリガー、《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》!

Rikky「……そうだよなー」
カルマ「ちゃんと3分の1になってるといいなー」
Rikky「今日こんなんばっかよ……」
シールド0枚に対して《異端流し オニカマス》が残っている状況だが、Rikkyの手札から《邪龍 ジャジーブラッド》さえ落とせれば、まだブロッカー2体で耐久できる目が出てくる。対戦テーブルの下で3枚の手札を入念にシャッフル、はたして結果は……しかし残念ながら《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》。
カルマ「3分の1ちゃうやないかい……」
この時点で《異端流し オニカマス》に《邪龍 ジャジーブラッド》を「NEO進化」させられるので、「ブロックされない」効果により公開情報で負け確という状況。それでも一応投了せずにゲームを続けてみるカルマだったが、返すRikkyがそれよりももっと強い《アーテル・ゴルギーニ》を出して登場時効果を宣言しようとしたところで、「負けー!」と手早くカードを片付け始めたのだった。
カルマ 1-1 Rikky
カルマ「3本目……」
Rikky「……熱っ」
カルマ「次、先なんで」
Rikky「いやー、上手すぎるだろ。あんなプレイするやつおらんぞ」
カルマ「今日めっちゃ透けるw」
Rikky「『シヴァンリンネ』であってくれよーw」
カルマ「鳥にもペテバ(ペテンシーフシギバース)にも勝てなくて、気づいたら《不死の墓守 シヴァンリンネ》抜けてましたw」
1ヶ月前のCSでカルマが《不死の墓守 シヴァンリンネ》のデッキで準優勝していたポストを、たまたまRikkyもXで見たのだろう。もしカルマがデッキを乗り換えていなければ、ここまで勝ち上がることはおそらくなかったのではないか。それほどまでに、カルマのハンドリーディング力と「水闇COMPLEX」という組み合わせは相性が良すぎる。
だがRikkyももとより、超一流の「火水闇ジャオウガ」の使い手だ。近しい構造のデッキだからこそ、倒し方も熟知している。
上回るのはカルマか、それともRikkyか。運命の3ゲーム目が、始まる。
Game 3
《カレイコの黒像》2枚に《冥土人形ヴァミリア・バレル》《異端流し オニカマス》《飛翔龍 5000VT》という初手のカルマが《カレイコの黒像》《∞龍 ゲンムエンペラー》とチャージしたのに対し、Rikkyは《飛ベル津バサ「曲通風」》《アーテル・ゴルギーニ》チャージで互いに2パス。そのままカルマが《カレイコの黒像》チャージから引き込んだ値千金の《終止の時計 ザ・ミュート》を送り出して《異端流し オニカマス》を捨てるのに対し、Rikkyは《シャワ=アガール》チャージから《飛ベル津バサ「曲通風」》と微妙な展開。4ターン目を迎えたカルマは《異端流し オニカマス》チャージから《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》!で《飛ベル津バサ「曲通風」》を捨てさせつつ1ドロー、返すRikkyも《異端流し オニカマス》チャージからの《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》で《飛翔龍 5000VT》を捨てさせつつ1ドローとお返し。だが返すターンに《忍蛇の聖沌 c0br4》チャージからの《冥土人形ヴァミリア・バレル》で《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を戻されつつ手札の《冥土人形ヴァミリア・バレル》を落とされ、フミシュナで1ドローの後に《終止の時計 ザ・ミュート》をタップして「ハイパー化」までされると、小さなワンアクションで返すのが難しくなってくる。
Rikky「手札が3枚ですよね?」
カルマ「そうです」
ここでRikkyは意を決して《異端流し オニカマス》チャージから《アーテル・ゴルギーニ》を送り出し、《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を除去しつつ《冥土人形ヴァミリア・バレル》蘇生で《冥土人形ヴァミリア・バレル》を戻しつつ4枚になった手札から《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》を捨てさせ、《飛ベル津バサ「曲通風」》をタップして《冥土人形ヴァミリア・バレル》「ハイパー化」してターンエンド。一方カルマも《カレイコの黒像》チャージから《冥土人形ヴァミリア・バレル》2連打でRikkyの《冥土人形ヴァミリア・バレル》と《飛ベル津バサ「曲通風」》を戻しつつそのまま捨てさせ、両方「ハイパー化」して盤面の主導権を譲らない。

Rikky「さて、どっちが引けるか……」
しかしここで、カルマがトップ勝負の一発目で引き込んだのは《忍蛇の聖沌 c0br4》!
Rikky「うわっ……だけど!ヤツだけ落ちなければ……」
2枚肥やしするが、Rikkyにとっては幸運なことに墓地に《アーテル・ゴルギーニ》の姿はない。カルマはやむなく《奇天烈 シャッフ》蘇生からの「5」指定でRikkyの《アーテル・ゴルギーニ》の動きを封じる。
Rikky「生きた心地しない……」
この《奇天烈 シャッフ》はRikkyが《異端流し オニカマス》で手札に戻すものの、なおもカルマは《忍蛇の聖沌 c0br4》タップで《冥土人形ヴァミリア・バレル》を「ハイパー化」しつつ、《終止の時計 ザ・ミュート》でプレイヤーに向けて攻撃する……《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》が立っているもののブロックすると《冥土人形ヴァミリア・バレル》に踏まれるためRikkyはこれをスルーし、トリガーはなし。トップ勝負の最中だというのに、この局面で1点を詰められるプレイヤーがどれだけいるというのか。
だが返すターン、今度はRikkyが勝負強さを見せる。
Rikky「引いて……よしっ」

Rikky「けどどうするかだよなぁ」
悩んだ末、《アーテル・ゴルギーニ》を「ハイパーエナジー」の種にしての召喚。登場時効果が解決し、カルマのクリーチャーは「ハイパー化」した《冥土人形ヴァミリア・バレル》だけが残る。そして3枚になったシールドに向けてRikkyは、まずはS・トリガー・プラスをケアして《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を攻撃に向かわせる。
「ハイパー化」したヴァミリアでブロックするとジャオウガが盤面に当たってタダで蘇生を許してしまうため、カルマはこれを通すしかない……だがシールドを確認したカルマは、S・トリガーの仕草を見せる!
Rikky「ミュートであってくれ!」

だが落ちた2枚は《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》と《絶望と反魂と滅殺の決断》で、またしても肝心の《アーテル・ゴルギーニ》は見えない。やむなく《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を蘇生し、手札2枚のRikkyに対して2分の1で《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を捨てさせにかかる。
Rikky「いやー、まあそうっすよねー」
あまりにも大事すぎる局面に、さすがのRikkyもジャッジにシャッフルをお願いする。
Rikky「どっちかは俺も知らない!」
そして裏向きの2枚が差し出され、カルマが選んだのは……。

カルマ「「(フミシュナで)ドローします」
Rikky「カマス効果でバウンス」
しかもこの浮足立ってもおかしくない興奮の中でも、Rikkyはメタ能力の使用を即座に宣言してきっちり忘れない。《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》がカルマの手札に戻り、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を手札に抱えた状態で再びRikkyにターンが戻ってくる。
かくして6マナと《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》をタップし、再び《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》が降臨する!
カルマ「最終確認、すぐ終わります」
二度目の登場時効果解決。カルマは自分の墓地を確認したのち、盤面は《忍蛇の聖沌 c0br4》を残し、手札からは《アーテル・ゴルギーニ》を捨てる。シールドは変わらず残り2枚。
……互いにやれることはすべてやった。
Rikky「さて行くかっ!」
カルマ「楯を殴るデュエマだ……」
Rikky「ミュートはもういい。問題はコブラだ。コブラ踏んだら死ぬ」

Rikky「単騎!アーテル!」
2枚肥やし、その中には……《アーテル・ゴルギーニ》!4肥やし1蘇生のモードで再びの《単騎連射 マグナム》チャンス……しかし残念ながら《単騎連射 マグナム》は落ちず、見えたのは《邪龍 ジャジーブラッド》のみ。一応《アーテル・ゴルギーニ》の上に《邪龍 ジャジーブラッド》を「NEO進化」させて打点を伸ばし、《飛翔龍 5000VT》を回収しながら《忍蛇の聖沌 c0br4》を破壊。残り2枚のシールドを一息にW・ブレイクする!
結局Rikkyは《忍蛇の聖沌 c0br4》はケアできていない。だがそれ以外なら《異端流し オニカマス》がいるためほぼ貫通できる。《忍蛇の聖沌 c0br4》さえ、踏まなければ。
一方、カルマは残り2枚のシールドにすべてを託していた。すべては《忍蛇の聖沌 c0br4》があることが前提のプレイだ。《忍蛇の聖沌 c0br4》さえ、踏んでくれれば。
カルマ「1枚ずつ見てもいいですか?」
Rikky「どうぞ!」
カルマ「2024の決勝やんこれ……」
Rikky「決勝でいい!!」
その、シールドには。

《アーテル・ゴルギーニ》蘇生、蘇生効果2回で《冥土人形ヴァミリア・バレル》2体が盤面に舞い戻る。「G-NEO」の《邪龍 ジャジーブラッド》を2回戻すと、無人だった盤面が一瞬にしてブロッカー4体の鉄壁へと変貌する。Rikkyの残るアタッカーは《アーテル・ゴルギーニ》と《異端流し オニカマス》のみ。《アーテル・ゴルギーニ》がブロッカーとして機能する保証がないために返しの打点を少しでも削るべく攻撃すると、これはカルマが同じく《アーテル・ゴルギーニ》でブロック後、《冥土人形ヴァミリア・バレル》で破壊を置換する。
そしてRikkyは残った棒立ちの《異端流し オニカマス》を見ながら、悲しそうに呟く。
Rikky「『ブロックされない』とかないよなー?……終了です」
対し、プランを成就したカルマの動きが加速する。
カルマ「マガツカゼ何枚見えてますか、4枚ですね。シャワアガールGSついてますか、ないですね」
早口で懸案事項をまくしたてる。ここまで来て詰めを誤りたくはない。
カルマ「少しだけ検討します」
トップ勝負の最中に1枚だけブレイクしていたおかげで、Rikkyの残るシールドは4枚。カルマの盤面には《忍蛇の聖沌 c0br4》《アーテル・ゴルギーニ》《冥土人形ヴァミリア・バレル》の3体しかいないが、クリーチャーを1体でも出せれば《冥土人形ヴァミリア・バレル》を「ハイパー化」してジャスキルだ。
カルマ「フミシュナ何枚見えてますか?」
Rikky「2枚です」
《奇天烈 シャッフ》を召喚、「5」指定で《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》をケア。そのままタップして《冥土人形ヴァミリア・バレル》を「ハイパー化」。
カルマ「コブラ2枚とか入れてるの知ってんだよなぁ……」
Rikky「よく見てますねw」
最悪の可能性に逡巡してはみるものの、カルマにシールドは残されていない。どの道このジャスキルが通らなければ、今度こそ生き残る手立てはない。
カルマ「……さて」
Rikky「さて、勝負ですね」
カルマが、《冥土人形ヴァミリア・バレル》で攻撃する。W・ブレイク。
Rikky「いやーマジ頼む……通ります」
続けて、《アーテル・ゴルギーニ》でW・ブレイク。
……その2枚が、やがて諦めたようにRikkyの手札に重なり。
《忍蛇の聖沌 c0br4》のダイレクトアタックが、紙一重の勝負についに終止符を打ったのだった。
カルマ 2-1 Rikky
カルマ「……楽しかったー!」
Rikky「ふー……こちらこそです」
カルマ「ベストバウトじゃないですか?オレは今日のベストですよ」
Rikky「かもしれないですね……」
逆転に次ぐ逆転。それは間違いなく二人で作り上げた、互いに全力を尽くしたからこそ生まれた名勝負であり、「デュエル・マスターズ」そのものだった。
あと少し、ほんの少しだけ歯車が違っていたら、勝っていたのはRikkyだった。それほど際どい戦いだった。
Rikky「《コッコ・武・ルピア》か《単騎連射 マグナム》が落ちてくれれば……」
最後の《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の攻撃でもし、《忍蛇の聖沌 c0br4》をケアできるそれらのたった2枚が、墓地肥やしで落とせていたら。あるいはもしかすると、どうせジャオウガで流れるフミシュナを《異端流し オニカマス》で戻さなければ、《アーテル・ゴルギーニ》は手札から捨てられず墓地にいなかったりしただろうか?
……だが、それらは言っても詮無い話だ。切り替えなければならない。何せこれからすぐ、3位決定戦が待っている。日本一決定戦に出るためには、次こそは本当に勝たなければならない。
悔しい思いを飲み込み、Rikkyは自分を打ち負かした好敵手への礼儀を尽くす。プレイヤーの範となるべきリーガーとして。
Rikky「決勝、頑張ってください!」
カルマ「ありがとうございます、頑張ります!」
Winner: カルマ

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