全国大会2019 準々決勝:カイザ(滋賀県)vs. セキボン(北海道)
ライター:カミ神王子
撮影者:後長 京介
たった1つのシンプルな目標に向かい、強豪45名が集まったデュエル・マスターズ 全国大会2019 日本一決定戦。
その戦いも予選ラウンドを終え、ついに決勝トーナメントを迎えた。
45名いた選手も8名までに絞られ、賑やかだった会場は、静けさと更なる緊張感に包まれていた。
そんな中、対峙するのは関西エリアAブロック優勝者カイザとDMGP8th準優勝者セキボン。
皆さんは、チーム「マラかっち」をご存知だろうか?
GP9thの優勝デッキ【水闇カリヤドネ】や、セキボンをGP8th準優勝まで導いた【光水ハイオリーダ】はマラかっちの度重なる調整の結果であり、2人はマラかっちとして数々の競技シーンで戦ってきた仲間だ。
今日2人が持ち込んだデッキは全く同じ40枚の【モモキングダム退化】。環境最大級の高出力に加え、対応できる仮想敵も広い、まさにTier1と言えるデッキタイプだ。
それに加え、カイザとセキボンが握る40枚はチームで調整を重ねたことで唯一無二のオリジナルと言える仕上がりになっている。
互いの優勝を願い、調整と練習を重ね臨んだ今日ではあるが、大会の神は2人の決着を望んだ。日本一になれるのはたった1人。
手の内を知り尽くした2人の決戦は、壮絶なミラーマッチとして幕を開けた。
Game 1
先攻はカイザ。《禁断のモモキングダム》をマナチャージしてターンエンド。
続くセキボンも《禁断のモモキングダム》をマナチャージしてターンを返す。
ここまでミラー展開ではあるが、2ターン目にゲームが分かれた。
カイザの2ターン目、《アルカディアス・モモキング》をチャージしてターンを終えた。先攻の有利を活かしたかったカイザではあるが、キーカードの着地には至らなかった。
一方、返しのセキボンは《禁断英雄 モモキングダムX》をプレイ。デッキ最高の初動に成功する。
確定した未来、《未来王龍 モモキングJO》がデッキからめくれ、その上に《禁断英雄 モモキングダムX》を重ねてターンを終えた。
返しのカイザのターンは《キャンベロ <レッゾ.Star>》をチャージするに留まる。
セキボンのターン、
セキボン「チャージ無し!……いや…指差し確認しよう。」
裏返しのカードをマナに置いたところでセキボンは自問する。最善の勝ち筋を探るために。1%でも勝利に近付くために。
一呼吸し、マナを3にした後、セキボンは《雪溶の鎖/堕牛の一撃》の呪文側をプレイし、《禁断英雄 モモキングダムX》を破壊。《未来王龍 モモキングJO》を出現させた。
セキボンは手を緩めない。残りの2マナを使い、《進化設計図》をプレイし、追加3枚の進化クリーチャーを確保。そのままテンポ良く攻撃に移行した。
まずは《未来王龍 モモキングJO》でアタックし、《禁断のモモキングダム》を上に重ねてW・ブレイク。
カイザに有効札は無く、《未来王龍 モモキングJO》の効果で《禁断のモモキングダム》を墓地においてアンタップ&1ドロー。
2度目の《未来王龍 モモキングJO》のアタック時、《アルカディアス・モモキング》が上に乗り、残り3枚のシールドを割り切る。
カイザはまたも有効札無く、更にアンタップした《未来王龍 モモキングJO》にダメ押しの《アルカディアス・モモキング》が乗ってダイレクトアタックが決まるのであった。
カイザ0-1セキボン
カイザ「全て下ぶれた…」
カイザは悔しそうに呟きつつも、その手は次の対戦に向けたシャッフルの準備を行っていた。
Game 2
カイザ「どの束を何番目に入れますか?」セキボン「うーん、右端の束を左端の束に重ねて下さい。そして上から3枚を山札の下に入れていただき…」
デッキをいくつかの束に分け、丁寧にカードの無作為化を行う両者。
決勝トーナメントからは2本先取。1試合目で負けてもまだ2試合目がある。シャッフルを通し、勝者は興奮から冷静さを、敗者は落胆から闘志を取り戻していく。
カイザとセキボンの2ゲーム目が始まった。
カイザの先攻。
カイザ「考えます…結構考えます。」
10秒…30秒…1分ほど経っただろうか。カイザは《雪溶の鎖/堕牛の一撃》をチャージしてターンを終了。
返しのセキボン。
セキボン「考えます。」
カイザと同じく長考を宣言した。
カイザとは旧知の仲。盤面から得られる情報に加え、カイザの一挙手一投足からも多くの情報が読み取れるのだろう。対面試合特有の、深い読み合いが行われる。
思考を巡らせた後、セキボンは《禁断のモモキングダム》をチャージしてターンを返す。
続くカイザは2マナで《進化設計図》をプレイするも、回収は《アルカディアス・モモキング》1枚に限られた。
返しのセキボンのターン、1ゲーム目同様、2マナで《禁断英雄 モモキングダムX》をプレイし、《未来王龍 モモキングJO》を下においてターンエンド。
それに対し、カイザの3ターン目。マナを3にするも、《エボリューション・エッグ》を唱えて山札を念入りに確認した後、《禁断英雄 モモキングダムX》を回収するまででターンエンド。
セキボンのターン。チャージして3マナにし、まずは《進化設計図》をプレイした。2枚の進化カードを回収し、残る1マナで《バッドドッグ・マニアクス》をプレイ。
《禁断英雄 モモキングダムX》を破壊し、下から現れた《未来王龍 モモキングJO》による攻撃を開始した。
1試合目同様、《未来王龍 モモキングJO》の上に《禁断のモモキングダム》を重ね、W・ブレイク。
ブレイクされたシールドに、カイザの有効札は…無し。
セキボンは手を緩めない。
《禁断のモモキングダム》を墓地へ置き、アンタップした《未来王龍 モモキングJO》の攻撃時に《キャンベロ <レッゾ.Star>》の侵略と《アルカディアス・モモキング》を宣言し、そのままT・ブレイク。
カイザに有効札は…またも無し。
《未来王龍 モモキングJO》のシンカパワーにより、《アルカディアス・モモキング》を墓地に送ってアンタップした《キャンベロ <レッゾ.Star>》がダイレクトアタックを決めるのであった。
Winner:セキボン
カイザ「今日はセキボンさんの日だよ!勝てるよ!!」
敗北したが、カイザの第一声は友への称賛と激励であった。これまで幾度も切磋琢磨してきた2人の間には、喜びを分かち合う関係性ができていた。
セキボン「任せて!絶対勝ちます!」
力強く、笑顔で応えるセキボン。
この勝利は彼だけのものではないのだ。
試合後、セキボンに聞いてみた。
筆者「なぜ今回のデッキタイプを選択したのですか?セキボンさんはGP8thの時から受けて返すデッキが得意な印象があったのですが。」
セキボン「カイザが選び、仲間で調整したデッキだからです。今日の大会には5人が同じデッキで参加しています。5人中4人と当たってしまい、自分が代表してここまで来られた形なので、もう負けられないなって笑。」
そう語るセキボンからは、勝利の喜びに加え、仲間への信頼が伝わってきた。
加えて、仲間と調整したデッキについても聞いてみた。
筆者「このギミックはこのデッキだけ!というポイントなどあるのですか?」
セキボン「ありますが、まだ秘密です笑。この後の試合を見ていてください。」
セキボンは既にこの後の戦いへと思考を向ける。
本記事では登場機会がなかったが、このデッキのオリジナル、《神帝英雄 ゴッド・モモキング》は、セキボンの宣言通りこの後の試合結果を左右する活躍を見せることになる。
仲間たちと共に作り上げたデッキとセキボンの活躍、是非見届けていただきたい。
日本一になれるのは一人だ。それは変わらない。
しかし、一人で目指すか仲間と目指すかは選ぶことができるのだ。
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