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全国大会2019 決勝戦 :セキボン(北海道) vs.NJ(北海道)

ライター:河野 真成
撮影者:瀬尾 亜沙子

 どんなプレイヤーにも、その活動の基盤となっている地元というものがある。
 インターネットを介して遠距離同士のプレイヤーが連絡を取り合うのが当たり前の時代であっても、誰にだってもっとも近いショップや、馴染みの大会というのは存在するものだ。

 全国大会は、最強のプレイヤー同士が集まる舞台。
 そしてそんな彼らにも、自身のルーツである地元というのは等しく存在する。
 
 例えばフィーチャー卓で戦ったぴゅうZweilanceが、実は同じ地元だとか。
 例えば現在は関東にいるおんそくが、ギラサキdottoといった地元関西のプレイヤーたちと談笑していたとか。
 例えばランキング1位の♦ドラ焼きが、デッキの調整に際して地元高知のプレイヤーを頼ったとか。

 もし同じ地元のプレイヤーと最高の舞台で戦えたら――どんなに楽しいだろうか。
 そしてそんなプレイヤーが望んでいるであろう、そのための舞台は今回、用意されたのだ。
 
 さて、ここは「試される大地」である北海道……からは、遠く離れた都市である、首都東京。
 
 北海道と言えば、冬の厳しさはもちろんのこと、その広大さ故に気軽なCS参加や遠征も難しい土地であり、デュエマを継続する上でも試されているとも言える。ちなみにカバレージ班の中には、北海道の大会に行った際にコンビニに行くつもりが遭難しそうになった人もいたらしい。
 
 その大地からやってきた二人が、決勝の舞台に揃った。一人はGP8thで【光単絶十】を使い2位となったセキボン。そしてもう一人は、北海道地区予選を勝ち抜いたNJ
 同じ地元の両プレイヤーが、文字通り日本一を決めるための試合に挑むこととなったのだ。
 
セキボン「そこまでよく会うわけじゃないんですけどね」
NJ「そうなんですよね」

 セキボンは小樽で、NJは旭川。これは北海道あるある話だが、同じ北海道内と言っても都市間の距離は本州の人が想像するより遥かに大きかったりする。ちなみに話によると、バスで2時間掛かるらしい。
 
 予選でも当たったというこの対決。アドバンスではあったが、その時はNJが勝利をしている。
 
 地元が同じということもあり、決勝卓の雰囲気は異様と言えるほど明るい。お互いがシャッフル中に自身のデッキをこぼし、爆笑し合っている。……もっとも、両者ともデッキのシャッフルに慣れていない筈がない。朗らかで明るい雰囲気とは裏腹に、或いは互いに緊張を抱えているのかもしれない。

 それもそうだ。
 数多のプレイヤーが目指した全国大会2019。そしてその決勝という、誰もが望んだ舞台なのだから。

 やがてグータッチを交わして、準備は整った。
 2019年度の一番を決める戦いが、遂に始まった。

Game1

先攻:NJ

 《ドンドン火噴くナウ》《ソーシャル・マニフェストⅡ世》と埋めていったNJに対して、セキボンは《雪溶の鎖/堕牛の一撃》《キャンベロ <レッゾ.Star>》を埋めて《進化設計図》を撃ってスタート。《禁断のモモキングダム》2枚に《キャンベロ <レッゾ.Star>》と3枚の回収に成功し、幸先が良い。
 
 一方のNJは3ターン目にブーストが撃てなかった。《魔天降臨》を埋めてエンドしていることから、そもそも引けていないのは明らかだった。
 ターンを貰ったセキボンは「どうすっかねぇ……」と手札を見て熟考に沈む。状況が優位であるからこそ、ここは慎重に、ミスなくいきたい。

セキボン「決めました」

 そう言って《キャンベロ <レッゾ.Star>》をチャージすると、《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚する。続けてそのまま1マナで《バッドドッグ・マニアクス》を唱え、《未来王龍 モモキングJO》が姿を現す。
 NJの手札が事故っている以上は待つという選択肢もあったが、セキボンが決断したのは攻撃だった。
 JOの効果で乗せられたのは、《アルカディアス・モモキング》だ。そのままT・ブレイクが宣言される。

 光以外の呪文を封殺するこのカードは、本来であれば【5cネバー】相手には1枚で致命傷を与えることも出来る。それだけでゲームが決まりかねないカードだ。
 
 しかしNJのデッキは対JOも強く意識している。即ち、このカードに対する回答が存在するのだ。
 ブレイクされたNJのシールドから飛び出したのは、光の呪文である《ドラゴンズ・サイン》

その効果でまず《龍風混成 ザーディクリカ》が、そして《龍風混成 ザーディクリカ》の効果で再度《ドラゴンズ・サイン》が唱えられて《覚醒連結 XXDDZ》まで場に降り立つ。
 3枚のシールドを割ったはずが、EXライフによって4枚に回復され、ドラゴンも2体並んでしまった。スレイヤーをケアするため一旦《未来王龍 モモキングJO》を起こし、ターンを終了する。
 
 こうなるとNJが戦いやすくなる筈だったが、ここでマナを伸ばせなかったのが響く。プレイ出来たのは《天災 デドダム》で、《未来王龍 モモキングJO》を処理することが出来なかったのだ。

 セキボンにターンが返ってきた。
 《ドラゴンズ・サイン》からのブロッカー付与が消えていることを確認したセキボン。《未来王龍 モモキングJO》が場に残ったことで、チャンスがやってきていた。
 
 恐らく主導権を握れるのは、このターンが最後だろう。
 
 セキボンはマナを1つ埋めると、JOをシールドに直行させる。まずは《禁断のモモキングダム》を乗せて、2点。これは通った。
 残るシールドは2枚。
 そしてもう一度、《未来王龍 モモキングJO》《禁断のモモキングダム》を乗せる。
 
 《灰燼と天門の儀式》や≪ナウ・オア・ネバー≫などが見えれば……といったところだったが、NJのシールドにトリガーはなく、まずGame1をセキボンが制した。
 
セキボン 1-0 NJ
 

 北海道のプレイヤーの話になると、絶対に名前の挙がる男がいる。
 それがtakiだ。
 恐らく客観的事実として、takiは間違いなく北海道最強の男なのだ。
 
 そんなtakiは今回、チームマラかっちの一員としてセキボンを見守る立場にあった。
 
セキボン「実は準決勝、かなりプレミしてて……」

 セキボンは言う。
 
セキボン「takiさんがいたら、たぶんボコボコに言われているんですよね……」

 どうやらイマジナリーtakiさんは、セキボンのプレイングにはかなり厳しいらしい。思えばGP8thのときも、セキボンは勝ち試合のあとにしっかり説教をされていた、と記憶している。
 
 それでもあと一勝だ。
 あと一勝を挙げれば、地元で待つtakiにも最高の報告が出来る筈なのだが……。


Game2

先攻:NJ

 後攻のセキボンは、初手の6枚を見てゲームプランを考えた。しばしの時間を経た後、まず《禁断のモモキングダム》を埋めてターンを終了する。
 そして続くターンには《バッドドッグ・マニアクス》を埋めて《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚。
 
NJ「引いてるねぇ……」
 
 思わずそう零したNJ。
 先の試合の展開から考えても、NJとしてはS・トリガーはある程度前提の上で、一定のマナは伸ばしておきたい。トリガーを踏ませた返しに、《ロスト・Re:ソウル》などで相手に蓋をするためだ。
 しかしなんとこの試合も、NJは3ブーストをプレイできなかった。今回手札が多色で溢れており、引いていたブーストをプレイするための単色カードがなかったのだ。
 
 この間に、セキボンは2体目の《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚する。2体のJOが並走する展開は、【モモキングダム退化】の最強の動きの一つだ。
 しかしセキボンには、退化札がない。《禁断英雄 モモキングダムX》の効果で《怒りの影ブラック・フェザー》が下敷きになったときは、思わず「あ~~」と唸ってしまった。

NJ「あ、そういうことなのか」
セキボン「そういうことなんだよ」

 恐らく先の試合のプレイから考えると、セキボンは退化出来る状況ならここで走っていた筈なのだ。

 NJはようやく≪白米男しゃく≫をプレイして、足を伸ばす。なおマナに落ちたのは最強のトリガー札である《灰燼と天門の儀式》。マナゾーンに3枚、このカードが揃ってしまった。これは正直、あまり嬉しいことではなかった。
 
 しかしセキボンは、相変わらず退化札を引けていない。《バッドドッグ・マニアクス》のチャージが、かなり裏目になっている。
 一応このプレイ自体は「状況的に2~3ターンの間に残っている10枚の退化札を引けばよい」とプランニングでもあり、それそのものが致命的であるとは言えない。ただ結果として、その裏目を一番手痛い形で被ってしまったというわけだ。
 
 そしてこのターンプレイしたのが3枚目の《禁断英雄 モモキングダムX》というわけなのだが、山札の中にもう《未来王龍 モモキングJO》はいなかった。互い山札を確認して、シールドの中身を把握しあう。

 その後《エボリューション・エッグ》をプレイして、回収したのは《禁断英雄 モモキングダムX》
 
セキボン「意外とこれだったりせん?」
NJ「わからん……」

 恐らく意図としては「低コストで場に出せるカードを拾っておいて、すでに場にいる《禁断英雄 モモキングダムX》を退化ではなく6枚にして殴る」ということなのだろう。

 ターンが帰ってきたNJだが、表情は芳しくない。こちらもどうも、手札が渋いらしい。≪ナウ・オア・ネバー≫から《龍風混成 ザーディクリカ》を出すまではいいのだが、打てる呪文は≪白米男しゃく≫しかなかった。マナに落ちた《ロスト・Re:ソウル》を回収して、ターンを終える。これを次のターン撃ってしまおう、ということなのだろう
 
 セキボンは4枚目の《禁断英雄 モモキングダムX》を出した。これが《ケロヨン・カルテット》だったら勝利だったかもしれないが、残念なことにモモキングダムにはそういった特殊勝利条件はない。返しのターンに予定通りの《ロスト・Re:ソウル》を食らってしまい、手札は0となる。

 チャージエンドをするセキボンに対し、地道に勝ちを目指せるようになったNJ。2体目の《龍風混成 ザーディクリカ》を送り込み、≪「本日のラッキーナンバー!」≫宣言1で退化を止めつつ、手札を充実させていく。

 しかしセキボンが《進化設計図》からリソースを回復させつつ1体目の《禁断英雄 モモキングダムX》を6枚のカードにしたことで、NJの《龍風混成 ザーディクリカ》は一掃されてしまった。
 実のところ、NJの構築は対アグロに寄せているためゲームを決めにいけるカードの枚数は限られていた。また本来であれば《龍風混成 ザーディクリカ》が墓地に落ちてもそこまで困らないのだが、いまは《灰燼と天門の儀式》が3枚マナに落ちていた。頼みの綱であった《ソーシャル・マニフェストⅡ世》は、一向に姿を現さない。
 
 もうお気付きだと思う。
 この試合は、泥沼と化したのだ。
 
 互いに減っていく山札と、増えていく墓地。経過するターン。
 
 ……我々は何を見せられているのだろうか?
 
 セキボンは最終的に、どうにかして動ける《禁断英雄 モモキングダムX》2体を作り、同じく動ける《禁断のモモキングダム》と併せてシールドに攻撃に向かう。
 ところがセキボンはここで致命的なミスを犯してしまった。手札にあった《キャンベロ <レッゾ.Star>》の侵略を宣言しなかったのだ。
 
 この攻撃は、《ドラゴンズ・サイン》《ドンドン火噴くナウ》のトリガーで止まってしまうが、《キャンベロ <レッゾ.Star>》の制約がなかったのはNJにとって好都合だった。
 
 返しのターン、NJは13マナを払ってようやく《ソーシャル・マニフェストⅡ世》を召喚する。

バズレンダを3回使って≪お清めシャラップ≫で山札を回復した後に、《灰燼と天門の儀式》を複数唱えて墓地の《龍風混成 ザーディクリカ》《覚醒連結 XXDDZ》を順々に繰り出していく。
 
セキボン「いや、ミスった」
 
 ……そういえば筆者も、聞いたことがある。
 あれもやっぱりGP8thだっただろうか。「セキボンという男は、一度ミスをするとガラガラと崩れたようにミスを重ねてしまうことがある」と。
 
 この試合は一体何だったんだ……?
 
 筆者・視聴者を含め、そして当の本人たちも100億回は思ったことだろう。しかし死力とデッキを尽くした試合は、どうにかしてNJが制した。
 
セキボン「いや、ほんまごめんドラちゃん」
 
セキボン 1-1 NJ
 

 話は変わるが、個人的にNJのデュエマに対する取り組みには好印象を持っている。本人の人当たりが良かったり、インタビュー取材にも快く応じて話をしてくれたり、わざわざお土産を配ってくれたりとか、そういった個人としての「いい奴エピソード」とは別の、あくまでデュエマへの取り組みについての話だ。
 
 それは「CSは週に1回しか出られない」という本人の地元の事情もあるだろうが、そうしたCSを含めてデュエプレ、リモートデュエルの大会等、デュエマに関わる大会であればなんでも参加する。
 
 デッキはアドバイスや情報共有こそするものの、基本的には自分で作る。今回のデッキも、オチャッピィひんたといったプレイヤーからのフィードバックを参考に構築を弄ってはいるが、大筋は自分で組み上げたとのことだった。

 対面するセキボンのように、チームで構築を共有するというプレイヤーも増えた昨今、NJのように個人で戦うプレイヤーは少なくなっているように思える。
 個人というのは、時間も人手も足りない。しかし、それを言い訳にすることも出来ない。
 
 しかしNJは今回メタに合わせた構築で、自身のプレイを確立させ、この場所まで辿り着いていた。ランキング1位だった♦ドラ焼きも倒した。そして優勝まで王手も掛けた。
 
 それはシンプルに言ってしまえば、非常にかっこよく映って見える。
 
 デュエル・マスターズの取り組み方の可能性――NJは、ベストと思われる以外の方法でも勝てることをこの大会で見せてくれていた。
 
 ゲームは1-1。相対するは同郷の男。
 あと一勝だ。あと一勝で彼も本懐を果たすことが出来る筈だが……。


Game3

先攻:セキボン

 気を取り直して、3本目。
 先攻のセキボンは2ターン目に≪雪溶の鎖≫を召喚。5マナからの《未来王龍 モモキングJO》プランを見せる。
 
 しかし続くターンで《禁断英雄 モモキングダムX》を引いたセキボンは、ここでプランを変更する。《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚し、少考した後にターンを終了した。
 
 NJは《天災 デドダム》を召喚する。ここに来て3ターンスタートに成功した。
 
 しかし今回はNJが後手だった。さすがに分が悪かった。
 
 セキボンは≪堕牛の一撃≫をプレイすると、《未来王龍 モモキングJO》の攻撃に合わせて《神帝英雄 ゴッド・モモキング》を乗せていく。単体でも十二分に仕事が可能なこのカードによって、セキボンはリソースを
 
 NJもそのシールドから《ドンドン火噴くナウ》をトリガーする。
 しかしゴッド・モモキングのコストは8とかなり高い。
 
NJ「頼む、≪黒豆だんしゃく≫来てくれ……!」

 しかしその願いは叶わず、8は見えなかった。悔しそうに≪雪溶の鎖≫を破壊出来るが、JOは止まらない。
 続いてセキボンはJOのシンカパワーを使うと、続いて《アルカディアス・モモキング》で攻撃を仕掛ける。

 3枚のシールドに《灰燼と天門の儀式》《ドラゴンズ・サイン》は……ない!
 思わず、悔しそうにシールドを置くNJ。
 セキボンのダイレクトアタックが決まると、長い長い決勝、そして長い長い2019年度に、遂に終止符が打たれたのだった。
WINNER:セキボン


 日本一の決勝。
 それに相応しい戦いだったのか……と言われると、正直わからない。セキボンは幾つかのミスを重ねたし、NJは初動に嫌われた。この試合に、神は恐らく宿っていない。魔王は生まれなかったし、鬼才がその力を発揮したわけでもなかった。
 
 しかし確実に言えるのは、明るい雰囲気とは裏腹に互いの死力は尽くされていた。地元同士の対決とは思えないほどに神経をすり減らし、死線を乗り越えた勝負の中で……最後にセキボンが、そして【モモキングダム退化】が勝利した。
 
 2020年3月から、2年と3ヵ月。
 
 その膨大過ぎる期間を思うと……今回の決勝は、ある意味ではそれをよく象徴している戦いだったのかもしれない。

 こうして2019年度は、遂に終わった。
 最後に立っていたのは、地元北海道同士の対決を制したセキボンと、【モモキングダム退化】だった。
※撮影時のみマスクを外しています。
 全国大会2019は2019年の終わりであり、そして2022年の始まりだ。

 こうしてデュエマは続いていく。

 超CS、GP……プレイヤーが望む限り、次の舞台へと。

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