全国大会2024 準決勝:にわか vs. リノグレ
ライター:河野 真成(神結)
撮影:瀬尾 亜沙子
それは試合開始前のこと。
チームSAGAのにわかが、なんとFTGのユニフォームを着て登場したのだ。
筆者が困惑していると、スタッフの方がこんなことを仰っていた。
「同じデュエチューブリーガーのはるるくんからユニフォームを託された、ってカバレージに書いて貰えるよ!」
……なるほど、という話ではある。
筆者としては書き連ねたい想いもあるのだが、それはさておき舞台は全国大会の準決勝である。
ここまで来ると会場の人は捌け、ガヤもなく、足音さえも冴え渡るようになる。
そして、試合開始を待つ2人の姿があった。
1人は店舗予選からエリア予選、そして本日のアドバンス・オリジナルと全てジャイアント一本で勝ち続けて、「北の超人」を拝命したリノグレ。古くからのデュエマファンにはお馴染みのプレイヤーであり、この活躍を喜んでいるプレイヤーも多いことだろう。
そしてもう1人は、前述の紹介があったようににわかだ。
今大会、もっとも風が吹いているプレイヤーと言ってもいいだろう。
既にここまで配信卓で二度の試合を勝利し、最終的に予選は4-2ながらも、オポネントによって唯一の予選上がりを決めた。
そして準々決勝では、【ファイアー・バード】に激闘の末勝利した。
事前インタビューでは「昨年は悔しい想いをしたので、今年こそ勝ちたい。2年連続で決勝に行ったらたぶん初だと思うので、それを目指したい」と意気込みを語っていたが、それを実現してしまいそうな勢いである。
使用デッキである【火光自然ボルシャック】は、師匠であるマイケルより託されたもの。
超人か龍か。
決勝進出を懸けたバトルは、派手な試合が期待出来そうだ。

Game1
先攻:リノグレ
2ターン目に《同期の妖精 / ド浮きの動悸》を召喚し、対してにわかは《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》をチャージしての終了。
ひとまず、3ターン目の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の脅威はないようだ。
リノグレは《ボルシャック・大河・ルピア》のテキストを確認すると、《キャディ・ビートル》を召喚。そして≪同期の妖精≫を《チアスペース アカネ》へと革命チェンジ。マナを伸ばしていく。
次のターン、《チアスペース アカネ》が《銀河竜 ゴルファンタジスタ》などに成長されるのはかなりマズい。
とはいえマナのにわかは動きようがなく、《超竜ヴァルキリアス》をチャージして《メンデルスゾーン》を唱えるのみ。
一方でリノグレも、《キャディ・ビートル》が有効なうちにゲームを決着させたい。
まずは《アシステスト・シネラリア》、そして≪同期の妖精≫を召喚し直すと、《チアスペース アカネ》を革命チェンジで《超重竜 ゴルファンタジスタ》へ。

しかしにわかもこの3点で《王道の革命 ドギラゴン》をトリガーし、マナを伸ばすことに成功。反撃開始だ。
そして返しにチャージすると、これで7マナ圏内に。《ボルシャック・栄光・ルピア》を召喚。
だがここで落ちたのは痛恨の《メンデルスゾーン》だった。
にわか「マジかよ」
思わずつぶやくにわか。
ここで2マナブーストが決まれば、デッキトップ次第では《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》が着地する見込みがあったのだが……。
この後やむを得ず≪決闘者・チャージャー≫を唱えてマナを9まで伸ばし、《王道の革命 ドギラゴン》を≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫へと革命チェンジ。《超重竜 ゴルファンタジスタ》へ自壊して、ターンを返す。
これはいわば、首を差し出したのと同じだ。
ターンの開始、リノグレの《超重竜 ゴルファンタジスタ》が終極宣言を発動。手札にマナが、2倍になる。
こうなった後のジャイアントは自由だ。《とこしえの超人》に加えて、《アシステスト・シネラリア》に≪同期の妖精≫と、逆転の芽を摘むためのクリーチャーを、次々と並べていく。
最終的には《超重竜 ゴルファンタジスタ》が《完璧妖精マリニャンX》を添え、スノーフェアリー5体条件も達成して受けを封殺。

にわか 0-1 リノグレ
爆発力でジャイアントに勝るボルシャックのデッキだが、ジャイアントが作るメタクリーチャーとそれを守る《アシステスト・シネラリア》の盤面はかなり苦しい。
≪超帝王タイム≫こそあるものの、セイバーによってキーカードである《キャディ・ビートル》や《とこしえの超人》を守られるのが痛い。
これを突破するには、マナブーストの連打によって《キャディ・ビートル》を超えたり、先にマウントを取って《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》で盤面を制圧したり、という戦いが求められる。
ひとまず、第2ゲームは先攻が確定している。にわかの逆襲はなるか。
Game2
先攻:にわか
対してにわかは、3ターン目の《メンデルスゾーン》で2マナブーストを決める。
リノグレは《アシステスト・シネラリア》を召喚し、ジャイアントとしては全く不満のない進行だ。
ただにわかは≪決闘者・チャージャー≫を唱えると、《ボルシャック・大河・ルピア》と《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を回収。これでマナも7に届いた。
にわか「よしっ」
そして動きはこれで終わらない。残るマナから綺麗に《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を召喚すると、《アシステスト・シネラリア》をタップ、そのまま攻撃。

リノグレも≪同期の妖精≫に追加の《アシステスト・シネラリア》と続けて召喚し、何とか戦線を維持する構えを見せる。
しかし一度マウントを取った後の、ドラゴンは中々止まらない。
にわかがマナブーストをすると、気付けば10へ。
そう、奴が着地する。
にわかが《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》で攻撃時に革命チェンジを宣言。《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》が降臨する。

そして《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》自体の捲りも≪ボルシャック・ドラゴン≫がヒットし、確実に盤面にドラゴンを追加していく。
とにかく、このタイミングの《ボルシャック・大河・ルピア》は致命傷だ。リノグレが並べた小型ジャイアントたちが、一瞬で壊滅していく。
リノグレは≪ド浮きの動悸≫によって《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》は戻してターンを得ると、返しに《チアスペース アカネ》から《銀河竜 ゴルファンタジスタ》への革命チェンジで抗うものの、盤面には既に複数のドラゴンが並んでいる。
ターンが無事返ってきたにわかは、《地封龍 ギャイア》を手出しで召喚すると、《銀河竜 ゴルファンタジスタ》に対して《ボルシャック・大河・ルピア》から《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》という追撃の革命チェンジで処理していく。
最後は《地封龍 ギャイア》+≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫の盤面を作り、この試合をにわかが奪取。
ゲームは最終戦へともつれ込んだ。

北海道というエリアには、伝統的に強豪プレイヤーが多い。
今大会であればtaki、えむつーは共に北海道のプレイヤーだ。
それ以外にも2019年度全国大会を制した魔王軍のセキボン、更に同大会で2位だったNJ。
過去には2年連続でエリア予選を制したクリップアートや、その後のエリアを制した北のあーさん。超CS覇者で、23年度ランキングで圧倒的な強さを見せたミノミ―。
更に「北海道出身」という話まで加えていくと、お馴染みZweilanceや、全国大会・最強位決定戦で存在感を見せてくれたぴゅうといったプレイヤーも、皆々北海道の出身なのだ。
その中でもリノグレは古豪と言えるプレイヤーで、長らく北海道で活動を続けていた。
競技の第一線に立ってCSを勝ちまくる、というプレイヤーではなくなったものの、コミュニティ育成のためにジャッジ活動をしたり、或いは若いプレイヤーたちと共にCSに参加したりと、役割に変化こそあれ、デュエマと関わり続けていた。
そんな彼がエリア予選を制したとき、多くのプレイヤーが称賛し、そして祝福した。近年、こうしたプレイヤーにスポットが当たるケースは少ない。
ある意味「エリア予選復活」を象徴するような、そんな勝利だった。
そんな彼が相棒に決めたのが、ジャイアントだった。店舗予選以来それは揺らぐことなく、今大会でもアドバンス・オリジナル共に、ジャイアントを使い続け、そしてここまで来たのだ。
ジャイアントと運命を共にする「北の超人」が、決勝進出を懸けたラストマッチに向かう。
Game3
先攻:リノグレ決勝進出を懸けた3本目。互いに「お願いします」の挨拶からスタート。
しかしリノグレは苦しそうに《超重竜 ゴルファンタジスタ》を2枚埋める立ち上がり。3ターン目になんとか多色3枚を処理して《キャディ・ビートル》の召喚から入る。
対してにわかも序盤に爆発的なマナブーストを引けず、≪決闘者・チャージャー≫からのスタート。回収も《ボルシャック・大河・ルピア》のみとやや寂しいもので、ターンを終了した。
4ターン目、リノグレは《学識妖精サイクリル》を召喚し、一旦マナを伸ばしていく。
にわかには追加のマナブーストがなく、《ボルシャック・大河・ルピア》を埋めて、こちらもターンを返す。
相手が手詰まっているとはいえ、盤面に走り先もなく、リノグレも大きな展開は出来ない。ここは一旦《チアスペース アカネ》を召喚してターンを終える。
対してにわかは《ボルザード・スーパーヒーロー / 超帝王タイム》の下面を使い、《キャディ・ビートル》と《学識妖精サイクリル》を処理。
次のターンには倒すぞ、という意志を見せてくる。
互いにじれったい展開が続いたが、地道にマナを伸ばした恩恵が生きる。
リノグレは《アシステスト・シネラリア》を召喚すると、軽減も絡めて《超重竜 ゴルファンタジスタ》の素出しに成功する。そしてマナから再び、先のターンに破壊されていた《キャディ・ビートル》が帰ってきた。
にわかのマナは、チャージして8。《キャディ・ビートル》の主張が強く、《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》には届かない。
やがて覚悟を決めたのか、二度三度頷いた後に《メンデルスゾーン》を使って、2マナブースト。そのままターンを終了。
このままターンさえ返ってくれば勝てる、という状況を作った。
リノグレは、《超重竜 ゴルファンタジスタ》の終極宣言を発動。
手札は1枚なので追加1ドローとターンドローで3枚。マナは8から16に。
試合後の話によれば、元々キープしていたリノグレの手札は《アシステスト・シネラリア》だったという。ここから展開に繋がらないカードがダブると、一気ににわかに流れが傾くが……。
まずは《アシステスト・シネラリア》から入ると、そこで引き入れたのは値千金の《五番龍 レイクポーチャー ParZero》!

これを迷わずプレイすると、そこからは潤い溢れる大地より、大展開が始まる。
まずは《チアスカーレット アカネ》を繰り出し、その効果でマナから《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》も着地。にわかを封殺するクリーチャーを抱え、投下していく。
最終的には《とこしえの超人》が2体に《アシステスト・シネラリア》が2体。更に《銀河竜 ゴルファンタジスタ》という鉄壁の盤面を建設し、ターンを終了した。

にわかは《地封龍 ギャイア》を召喚して、ターンを終了する。

にわかは《光鎧龍ホーリーグレイス》こそトリガーしたものの、抵抗はそれまでだった。
リノグレは誰よりも頼れるジャイアントたちとともに、決勝進出を掴み獲った。
頂点まで、あと1つ。
にわか 1-2 リノグレ
WINNER:リノグレ

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