全国大会2024 Round 2:◆ドラ焼き vs. ZweiLance
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:後長 京介
グランプリ1位~3位と超CSの優勝者。各エリア予選の優勝者に、DMPランキング2024前期後期それぞれの上位者たち。そして、前年度優勝者。強者の中の強者がしのぎを削り、その一年の覇を競う。それが日本一決定戦だ。今年度は昨年度の48名から57名にまで参加枠が増量されたが、それにもかかわらず競技シーンの盛り上がりもあり、参加者は例年にもまして強豪揃いとなっている。
その背景には、公式YouTubeチャンネル「デュエチューブ」上にて今年度はじめから開始した「デュエチューブリーグ」の影響も、少なからずあることだろう。フォーマットこそ特別ルールが多いものの、毎月の真剣なデュエマは、視聴者に熱を伝播する。だがもちろん、ただ真剣というだけでは毎週のCSなどとそう変わらない。「デュエチューブリーグ」が特別なのは、出演する各チーム所属のトッププレイヤーの存在あればこそだ。さらにそれが日本一決定戦の出場者ともなれば、真剣勝負の説得力は何倍にも増すことだろう。
そして、そんなトッププレイヤー同士の対決が見られるのが、日本一決定戦の醍醐味でもある。「魔王軍」サブリーダー◆ドラ焼きと、「Team SAGA」リーダーZweiLanceとが、アドバンス・フォーマットの第2回戦で早くも激突したのだ。
「デュエチューブリーグ」における直近の対戦成績は、「悪魔神、復活」のカードをフィーチャーした後期第3節では「5cワルドバロム」の◆ドラ焼きを「水闇ハイパーエナジー」のZweiLanceが下し、今回と同じアドバンス・フォーマットの後期第5節では「水闇自然ボウダン=ロウ」の◆ドラ焼きを「火光自然ドラゴン」のZweiLanceがこれまた下している……つまり、ZweiLanceの2勝0敗。
しかもZweiLanceは初戦を勝利している一方で、◆ドラ焼きは初戦を敗北しているいわゆる「階段当たり」のマッチアップ。予選6回戦の上に人数の多い今大会において、序盤での2敗は実質的に目無しと同義である。◆ドラ焼きの側は、背水の陣にまで追い込まれた状態だ。

「デュエチューブリーグ」よりもさらに真剣な、ここしかない1ゲームが始まった。
Game
先攻はジャンケンに勝利した◆ドラ焼き。《轟廻!グランドスラム・スコーピオン》《ヘームル・エンジオン》とチャージして《蒼狼の豊穣 ワクムテラス / オリジナル・ライフ》の呪文側でマナ加速したのに対し、ZweiLanceは《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》《超神星DOOM・ドラゲリオン》とチャージから最新カード《雷撃の冥将クーゼン / ダーク・ライフ》の呪文側でこちらもマナ加速。公開領域が一気に広がり、互いのデッキ情報が明らかとなる。◆ドラ焼きのデッキは、まさしく「デュエチューブリーグ」の後期第5節で使用した「水闇自然ボウダン=ロウ」をブラッシュアップしたもの。それをdotto、カイザを合わせた「魔王軍」3名に旧知の25も加えた4名でシェアしている。アドバンス・フォーマットの解答には、2月の段階で既に到達していたということなのだろう。

アプローチは異なるが、どちらもマナを伸ばして大型クリーチャーへとつなげるランプ系統のデッキ。となれば先攻有利か……と思う間もなく、3ターン目を迎えた◆ドラ焼きは《超暴淵 ボウダン=ロウ》チャージから《天災 デドダム》、返すZweiLanceも《流星のガイアッシュ・カイザー》チャージからの《天災 デドダム》で鏡打ちとテンポ良くゲームが進む。
だが、その《天災 デドダム》の効果で《とこしえの超人》が墓地に置かれたことで、◆ドラ焼きの手が少し止まる。漂ってくるのは、《アーテル・ゴルギーニ》や《飛翔龍 5000VT》の濃厚な気配だ。しかも《流星のガイアッシュ・カイザー》もマナチャージされており、これらがハンドキープされていると読むならば、ここからのゲーム分岐が勝負所だ。

ZweiLance「うん」
知り合いにも丁寧語を崩さない◆ドラ焼きと、知り合いだからこそフランクに返すZweiLanceとの対照的なやりとりを挟んだのち、はたして◆ドラ焼きは《アクア・ジゲンガエシ》チャージから《雷撃の冥将クーゼン / ダーク・ライフ》の呪文側を唱え、そのまま《天災 デドダム》を素材に「フシギバース」!「マッハファイター」でZweiLanceの《天災 デドダム》を除去しつつのこのターン2ブースト、さらに《アーテル・ゴルギーニ》に対して場持ちの良いパワー6000でかつ《飛翔龍 5000VT》のカウントをずらすことで、「水闇自然ボウダン=ロウ」において何より貴重なクリーチャーの頭数を残りやすくする。

ZweiLance「……うーん」
決して少なくない時間をかけて導き出した結論は、《復活の祈祷師ザビ・ミラ》チャージからの《流星のガイアッシュ・カイザー》召喚。第5節で見た《超暴淵 ボウダン=ロウ》のループは、《アクア・ジゲンガエシ》から≪次元のスカイ・ジェット≫を出して《超暴淵 ボウダン=ロウ》の効果をしゃぶり尽くすことを前提としていた。ならばこれでループの始動を咎めつつ、自身のリソースを拡充できる。どうせマナ置きで抱えていることは透けているし、2枚目の《雷撃の冥将クーゼン / ダーク・ライフ》を抱えているとは思えない。ならば自分からゲームを動かしにいけばいい。

だが返す◆ドラ焼きは《アーテル・ゴルギーニ》を召喚、蘇生2回で《蒼狼の豊穣 ワクムテラス / オリジナル・ライフ》と《天災 デドダム》を釣り上げると、バトルゾーンのクリーチャーに手をかける。
◆ドラ焼き「4体タップ」
その4体には当然、《アーテル・ゴルギーニ》と《雷撃の冥将クーゼン / ダーク・ライフ》が含まれていた。すなわち、「ハイパーエナジー」ではない!

第5節のデッキでも45枚デッキの中のピン差しだったからこそ、印象に残らなかったサブプラン。だがZweiLanceの「水闇自然DOOM」はビッグマナ、はたして有効打になるのか。
ZweiLanceの手札に解答は……?
ZweiLance「うーん……ゲンム……ゲンム……(苦笑)」
◆ドラ焼き「……ふっ(苦笑)」
あまりにも素直な反応に、◆ドラ焼きも思わず苦笑のお返し。
それでもZweiLanceはできることはすべてやるとばかりに、《天災 デドダム》を出してから《飛翔龍 5000VT》を召喚して《蒼狼の豊穣 ワクムテラス / オリジナル・ライフ》と《天災 デドダム》を手札に戻すと、さらに《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》素出し。そして《流星のガイアッシュ・カイザー》を≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫へと「P革命チェンジ」させ、《雷撃の冥将クーゼン / ダーク・ライフ》を打ちとる。
これで◆ドラ焼きのクリーチャーは《∞龍 ゲンムエンペラー》と《アーテル・ゴルギーニ》のみのジャスキル。「G・ストライク」1枚で止まりうる。これならまだ……。
◆ドラ焼き「エンド前《流星のガイアッシュ・カイザー》で」

夢幻の王が、王道を駆ける。
無限の一撃でもってブレイクされた5枚のシールドの中には、「G・ストライク」《とこしえの超人》、そして……《終止の時計 ザ・ミュート》。ただしそのテキストには、もはや何の効果もない。
◆ドラ焼き「ダイレクトで」
ZweiLance「はい」
技ありなデッキ構築を見せた◆ドラ焼きが見事リベンジを果たし、決勝進出の可能性を首の皮1枚でつないだ一方で、「ゲンムかー……」というZweiLanceの小さなボヤキが、「してやられた、やるな」という響きをもって2人の間を漂ったのだった。
Winner: ◆ドラ焼き
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