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超CSⅣ宮城 Round 2:dotto vs. 立入禁止

ライター:高橋 穂
撮影者:堀川 優一

「魔王」

 ゲームではともかく現実ではなかなか聞かない単語であるが、確かにそう呼ばれるプレイヤーが存在する。

 全国大会2017を制しただけに留まらず、GP等の大型大会でも何度となく結果を残した男。間違いなく「日本最強のプレイヤー」の一角であるdottoだ。

 驚異的な実績と疑う余地のない実力を誇る「魔王」と2回戦にしてランダムエンカウントしてしまった立入禁止だが、その目から闘志は消えていない。

 まさに突然の「ラスボス戦」を勝ち抜き、相棒となるデッキにて目の前の「魔王」を討伐せんとする。

 勝利の女神は、「魔王」と「勇者」のどちらに微笑むか。


先攻:dotto
 それぞれ《禁断のモモキングダム》《貝獣 パウアー》をマナに送り、己のデッキタイプという名乗りを上げる二人。

 dottoの相棒は【JO退化】。圧倒的な速度と爆発力に加えて対応力を兼ね備え、明後日に控えた殿堂改定にて「勇退」を果たすことが決まっている、環境の覇者……どころか、「デュエマ史上でも最強格」の呼び声すらあるビート・コンボデッキだ。

 その強さは、全国大会2019や超CSⅣ静岡などで優勝したという実績が証明している。まさに魔王が駆るにふさわしい逸品と言えるだろう。

 そして、それに対する立入禁止の相棒は【光水ギャラクシールド】。圧倒的なシールド追加とトリガーによる堅固な受けを持つこのデッキは、最強の剣たる【JO退化】すら凌ぎうるポテンシャルを持つ。

立入禁止「殿堂前ということで使用率の増えそうな【JO退化】や、流行りの【水火アポロヌス】等を対策できるデッキを選びました」

 試合後に本人がこう語ったように、相手はまさしく仮想敵。このデッキならば「魔王」が相手でも一歩も譲ることはない。

 磨き抜かれた勇者の剣……ならぬ、銀河の盾は魔王に届くのか。



 《新世界王の闘気》をチャージしたdottoは、召喚した《禁断英雄 モモキングダムX》の下に《未来王龍 モモキングJO》を送り込む理想ムーブ。

 この最初の「王手」に対して、立入禁止はじっくり手札を眺めたのちに《MAX・ザ・ジョニー》をチャージ。《ゲラッチョの心絵》を送り込み、手札を整えていく。

 そして3ターン目。受けの固そうな【ギャラクシールド】相手に攻めるか溜めるかの二択を考えるdottoだが、ここは意を決して《クリティカル・ラブ》から「退化」を行い、《未来王龍 モモキングJO》から《キャンベロ <レッゾ.Star>》に侵略を決める。

 ……が、そこは立入禁止もこのデッキを選んだ時点で織り込み済み。トリガーした《護天!銀河MAX》で手札から《スロットンの心絵》を仕込み、徹底防御の姿勢を取る。

 このデッキでは止めようのない致命的トリガーの登場に、dottoは無理せずターンエンド。

 立入禁止もチャージだけ行ってターンを返し、ロングゲームを挑む構えを見せる。



 なんとかしてこの防御を打ち崩す必要のあるdottoの打った次なる手は、「時限爆弾」としての《禁断英雄 モモキングダムX》の召喚。

 容易に全体除去役と化す彼のバックアップのもと、元居た《未来王龍 モモキングJO》《無双龍騎 ボルバル・モモキング》に進化させシールドから手札を拡充しつつの4打点で強引に全てのシールドを割りにかかる!

 そして楯から出てくるのは…見えていた《スロットンの心絵》に加え、再びの《護天!銀河MAX》

 《無双龍騎 ボルバル・モモキング》をシールドに送りつつ、盤面にシールド差を覆しうる《MAX・ザ・ジョニー》を送り込む!
 ブロッカー化もあってこれ以上の攻めを危険と判断したdottoは、《未来王龍 モモキングJO》をシンカパワーで破壊しつつ手札1枚に変換してターンを終える。

 2度にわたって「魔王」の猛攻を凌いだ立入禁止は、ギャラクシールドで《「雷光の聖騎士」》を設置してさらに守りを固めた上で《MAX・ザ・ジョニー》で攻撃。dottoのシールドが3枚「吸収」され、シールド枚数はついに4枚:0枚と逆転を迎える。

 この鉄壁の防御の前にさすがのdottoも手を焼くが、先ほどのブレイクで手札が潤ったのもまた事実。

 帰ってきたターンで《未来王龍 モモキングJO》を素出しし、《禁断のモモキングダム》へ進化させてシールド攻略にかかる。

 …が、表向きの《「雷光の聖騎士」》へのブレイクは手札1枚と引き換えに阻まれ、もう一枚の楯からは《「光魔の鎧」》が登場!

 《「絶対の楯騎士」》がシールドにスタンバイし、その効果でさらなる《「光魔の鎧」》が楯に加わると、いつの間にかブレイク前よりシールドの質も量も増している。

 その後も《アルカディアス・モモキング》《禁断のモモキングダム》《無双龍騎 ボルバル・モモキング》と連打を掛けるも、ブレイク阻害・ブロック・トリガー・シールド追加のオンパレードによって攻めても攻めても楯が減らない!

 最終的には立入禁止のシールドは4枚のまま。《無双龍騎 ボルバル・モモキング》のバトル効果で《MAX・ザ・ジョニー》を除去してターンを返すことしかできない。

 そして立入禁止のターンの開始時、《「雷光の聖騎士」》《「絶対の楯騎士」》が満を持してギャラクシーGO!《無双龍騎 ボルバル・モモキング》を剥がしてシールドへ送り込み、さらなるシールドと手札を補充!

 手札にトリガー用のカードを確保したまま《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》を設置すると、次のターンに勝負を決めんとターンを返す。



 ……と、ここで無情にも制限時間の合図!規定に従って、次のdottoのターンでゲームが終わらなければ両者敗北となる。

 やれることをやるしかないdottoは《禁断英雄 モモキングダムX》(下にはもちろん《未来王龍 モモキングJO》が収まる)を召喚して元居た《禁断英雄 モモキングダムX》を「禁断解放」して盤面を処理。攻撃を通す道を開かんとする。

 そして《進化設計図》で手札を稼いで飽和打点を成立させようとするも、ヒットは1枚に留まる。

 《未来王龍 モモキングJO》から《アルカディアス・モモキング》《キャンベロ <レッゾ.Star>》そして素の攻撃まで交えて猛攻をかけるも、楯からさらなる《「光魔の鎧」》《護天!銀河MAX》、そして《スロットンの心絵》が登場して(もしゲームが続いていれば決定打となった)《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》が出てくると、もはや「魔王」の攻め手の全ては封じられてしまったのだった。

 こうして、「魔王」とそれを打ち倒すものの決戦は勝者なしという結果に終わった。


Winner:なし(両者敗北)


 止め続けられても何度でも攻めを継続できる粘り強さを見せた「魔王」dottoの剣も、それらすべての攻めを完全に封殺して「勇者」にならんとした立入禁止の盾も、勝利には届かなかった。

 しかし、この死闘がどちらもデッキのポテンシャルを極限まで生かした上に辿り着いた結果であることは言うまでもない。

 そして、彼らは続く戦いへと歩みを進める。

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