超CSⅥ福岡 Round 5:アリミツ vs. ぐるぐる
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:瀬尾 亜沙子
ここまで4戦全勝でフィーチャーマッチエリアに呼ばれたのは、2023年度のDMPランキングでも上期福岡県3位、下期福岡県暫定1位という地元福岡の強豪、アリミツだ。
2022年7月末に開催された前回の超CSⅣ福岡では、地元勢のゆきだるま。が環境外だった「火自然ボルシャック」で見事優勝し、トロフィーの県外流出を防いだ。ならば今回も、遠征勢に優勝トロフィーをかっさらわれるわけにはいかないだろう。
そして対戦相手のぐるぐるは、その遠征勢なのだ。
ぐるぐる「フィーチャー席で対戦したことあります?」
アリミツ「あります。でも大きな大会のフィーチャーじゃなくて、地方のおやつCSとかで、ですね」
ぐるぐる「おやつでも十分大きいですね」
アリミツ「3回くらいありますね。フィーチャーは初めてですか?」
ぐるぐる「初めてです」
アリミツ「初めてのときは、自分もすごく緊張しました」
ということは、今は特別に緊張などはしていないということだ。互いのデッキをシャッフルする間、慣れないフィーチャーマッチで緊張した様子のぐるぐるに対し、経験者のアリミツはまずは会話内容で一歩上手を行く態度を見せる。
アリミツ「大型大会のフィーチャーには1回呼んでもらいたいなーと思ってたんです。福岡の方ですか?」
ぐるぐる「いえ、自分は兵庫です」
アリミツ「どうやっていらしたんですか?」
ぐるぐる「車で来ました。片道9時間かけてきました(笑)」
アリミツ「それはよくやりますね……」
ぐるぐる「友達と3人で一緒に来ました」
アリミツ「ああ、それは良いですね。一人だとさすがに孤独ですからね」
アリミツはライターである私に対しても「フィーチャーってみんな喋ってるんですか?」と尋ねるほどに余裕がある。対戦が始まる直前でも対戦相手やカードだけでなくライターまでも視界に見えているというのは、よほどリラックスしている証拠だろう(ちなみに「喋らない人もいますよ」と答えたが、特にどちらでも構わないという前提で、プレイヤーが喋ってくれた方が書く側は楽であることは一応明記しておく)。
やがて対戦準備が終わり、自然と静寂が訪れる。ここからは会話ではなくプレイで語るフェーズだと、互いに了解しているのだ。 ストレートに6-0できれば、予選突破はほぼ確定的となる。そこまであと2勝……つまり喉から手が出るほど欲しい1勝をかけた、全勝対決が幕を開けた。
Game
じゃんけんで先攻はぐるぐる。互いの初手マナチャージは《氷柱と炎弧の決断》と《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 「すべて見えているぞ!」》で、「水火マジック」対「水闇ヴォゲンム」という自己紹介が早くも済んだ形となる。そこからぐるぐるが《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》マナチャージから順調に《AQvibrato》を送り出したのに対し、アリミツは《堕呪 エアヴォ》マナチャージのみでターンを終える。後攻で2コスト魔導具なしは相当なビハインドだ。
そして先攻3ターン目、一気にゲームが加速する。《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》をマナチャージしたぐるぐるはそのまま《AQvibrato》を攻撃に向かわせると《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと「革命チェンジ」、唱えたのは《瞬閃と疾駆と双撃の決断》!
ぐるぐる「効果少し考えます」
少考ののち、《AQvibrato》を手札から出し直しつつ攻撃後のアンタップ効果を《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に付与。そのままシールドブレイク。
だが。 シールドにあった《秩序の意志》を捨てながらの「S・バック」、《秩序の意志》!
「水闇ヴォゲンム」の平均的なリストなら、ブレイクされた1枚目のシールドが闇である確率は約50%といったところ。アリミツはその2分の1を見事に通し、イージーな3ターンキルを許さない。
とはいえ後攻3ターン目はまだ切り返せるターンではない。《堕呪 エアヴォ》をマナチャージしつつ「ちょっと時間もらいます」と断ると、《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》を「呪文側で」使用する。「水火マジック」に対してブロッカーが有用なのは周知の事実だが、それでもクリーチャー側で出さないのは手札内容があまり芳しくないか。少なくともこの1ターンをしのげば一気に切り返せるはずの《堕∞魔 ヴォゲンム》は持っていなさそうだ。 一方ターンが返ってきたぐるぐるは4マナ目をマナチャージせずに《AQvibrato》を召喚すると、前のターンからいた《AQvibrato》で攻撃時に《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと「革命チェンジ」し、前のターンに《秩序の意志》された《芸魔隠狐 カラクリバーシ》の「封印」を外しながら《イシカワ・ハンドシーカー / ♪聞くだけで 才能バレる このチューン》の呪文側で手札を整えつつ、アリミツのシールドを4枚から3枚へと削る。トリガーは、ない。
アリミツ「手札が今何枚ですか?」
ぐるぐる「6枚です」
もはや予断を許さない状況だが、それでもアリミツは《神の試練》マナチャージからの《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》をクリーチャー側で召喚というイマイチな動き。《芸魔王将 カクメイジン》だけブロックできればいいとはいえ、《堕∞魔 ヴォゲンム》がないのはやはり痛い。
一方、返すぐるぐるは《単騎連射 マグナム》マナチャージから《氷柱と炎弧の決断》でドロー効果を2回使用して手札を整えると、さらに《芸魔隠狐 カラクリバーシ》の攻撃時に《芸魔王将 カクメイジン》へと「革命チェンジ」!これはアリミツもノータイムで《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》で《堕呪 ボックドゥ》を捨てつつブロックし、スレイヤーでどうにか相打ちに討ち取る。
それでも、ガラ空きとなったアリミツのシールドめがけてなおもぐるぐるは《AQvibrato》の攻撃時に《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと「革命チェンジ」し、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》!《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を出しながら攻撃中の《芸魔隠狐 カラクリバーシ》にアンタップ効果を付与し、一気呵成に攻め立てる。
だがその《芸魔隠狐 カラクリバーシ》によるたった1枚のシールドブレイクが、最悪の運命を引き込んだ。 《堕呪 エアヴォ》トリガー、さらに宣言《ガル・ラガンザーク》!《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を手札に戻しながら、殿堂カードに相応しい「革命チェンジ」を封じる巨大なブロッカーが出現する!!
とはいえ、まだここから勝ちまでが遠いのが「水闇ヴォゲンム」というデッキだ。ターンが返ってきたアリミツはマナチャージなしで《堕呪 バレッドゥ》を唱えつつ、手打ち《堕呪 ボックドゥ》で《芸魔隠狐 カラクリバーシ》のうち1体の攻撃だけ封じてターンを返す。
ぐるぐる「《ガル・ラガンザーク》は呪文の対象で選ばれない?」
アリミツ「選ばれないです」
一応効果を確認したぐるぐるは出番がなさそうな《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》をマナに埋めると、《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》を召喚して1枚捨てて2ドローでターンエンド。アリミツのシールドは残り2枚であり、「革命チェンジ」が使えなくても横並びで無理矢理突破するプランがある。勝負はまだ、わからない。 しかもこの段階で、アリミツとぐるぐるの両者にとっての新たなる敵が出現する。時間だ。
アリミツがフィーチャーマッチ付きのテーブルジャッジに残り時間を確認し、7分半であることが共有される。それでもアリミツは冷静に《「無月」の頂 $スザーク$》マナチャージから《アーテル・ゴルギーニ》を召喚、マイナス効果2回で《芸魔隠狐 カラクリバーシ》2体を一気に打ち取り、横並びによる突破を防ぐ。
だがぐるぐるも必死に突破口を探す。《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》マナチャージから《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》をクリーチャー側で召喚し、宣言「8」で《ガル・ラガンザーク》をアリミツの手札に戻す。 アリミツ「墓地見ていいですか?」
返すターン、自分の山札の残り枚数とぐるぐるの墓地の内容をそれぞれ高速でひととおり確認したアリミツは、マナチャージから《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》の呪文側でぐるぐるの墓地を山札に戻しながら《ガル・ラガンザーク》の「夢幻無月の門」を宣言して出し直す。
さらに《堕∞魔 ヴォゲンム》を出してターンエンドし、特に無月の宣言なしで山札13枚を削ると、《「無月」の頂 $スザーク$》が1枚だけ墓地に落ちる。
この時点で残り対戦時間は5分。そして、ここで自ターン終了時の《「無月」の頂 $スザーク$》降臨を予告されたぐるぐるは勝負に打って出る。 《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の呪文側で「8」を宣言して《ガル・ラガンザーク》のブロックを封じつつ、手打ちの《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》と《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》に攻撃後アンタップ効果を付与したのだ。
そして《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》が攻撃する。アリミツのシールドは2枚であり、ブロック可能なのは《アーテル・ゴルギーニ》のみ。W・ブレイカーによる4度の攻撃は、それでもその2枚のシールドの中に1枚でもトリガーがあれば返されてしまうとはいえ、ノートリガーならば貫通するのには十分すぎる打点。
そのはずだった。だが。 「ニンジャ・ストライク」《光牙忍ハヤブサマル》!突如として出現した13000ブロッカーの《堕∞魔 ヴォゲンム》が、《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》を殴り合いにより無慈悲に沈める。一転ジャスキルがなくなったぐるぐるはターンを返すしかない。
他方のアリミツはエンド前に満を持して墓地の《「無月」の頂 $スザーク$》の「無月の門・絶」を宣言。《堕∞魔 ヴォゲンム》を巻き込みながらの召喚で《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》を破壊しつつT・ブレイカーを降臨させる。
この一連でアリミツの敗北はほぼなくなったと言っていいが、問題は時間だ。自ターンに入って残り時間は3分。《堕魔 ドゥポイズ》を召喚して《アーテル・ゴルギーニ》と《「無月」の頂 $スザーク$》を指定しつつ《アーテル・ゴルギーニ》の破壊置換で《「無月」の頂 $スザーク$》だけを墓地に送り、さらに《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》をクリーチャー側で素出ししつつ、終了時に墓地から再びの《「無月」の頂 $スザーク$》「無月の門・絶」宣言。打点を揃えてターンを返す。
ぐるぐるも《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》召喚から《飛翔龍 5000VT》で《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》を手札に戻して打点を減らし、最後の抵抗を試みる。
残り1分。
アリミツは《堕呪 エアヴォ》で《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》を《ガル・ラガンザーク》の下から拾い、ぐるぐるの墓地をシャッフルして《氷柱と炎弧の決断》のトリガー化をしっかりとケア。ここで時間切れだがこのターンの終了時までゲームは続く。自分にも《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》の呪文側を唱え、万が一にも山札切れする可能性をなくしてから、W・ブレイカー3体とT・ブレイカー1体で5枚のシールドに向けて最終攻撃を敢行する。
《堕魔 ドゥポイズ》でW・ブレイク。通る。《「無月」の頂 $スザーク$》でT・ブレイク。《同期の妖精 / ド浮きの動悸》がトリガーするが、《ガル・ラガンザーク》は選べず、《アーテル・ゴルギーニ》を選ぶも攻撃し終えた《「無月」の頂 $スザーク$》を代償にバトルゾーンにとどまる。
そして《アーテル・ゴルギーニ》のダイレクトアタックが、制限時間いっぱいを使った激闘に幕を下ろしたのだった。
Winner: アリミツ
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