超CSⅦ広島:ローグデッキピックアップ
ライター:齋藤 陽(あーくん)
この環境で順張りのデッキといえば【ファイアー・バード】だ。疑う余地はあまりないだろう。では逆張りのデッキはと聞かれると、【ヘブンズ・ゲート】【グラスパーループ】など、様々な答えが返ってくる。これは、自分が使ってきた経験や、対戦した記憶など、共通した認識からできる会話だろう。
だがしかし、デュエル・マスターズはもっと自由だ。
順張りや逆張り、そんな言葉では片付かない煌めきを放つ特異点だって存在する。
この記事ではTOP128まで入賞したプレイヤーの中で使用者がそれぞれ1人しかいなかった、燦然と輝く8種のローグデッキについて紹介しよう。
しゃる:(:【ジョーカーズ】
しゃる:( 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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「五文明五種族でデュエルせよ!」それがアビスレボリューション最初のキャッチコピーだった。
しかし、新たに語られた英雄譚は第六の文明を呼び起こす。
《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》を引っ提げて、【ジョーカーズ】が帰ってきたのだ。
今大会で予選通過をしたしゃる:( は《ジョット・ガン・ジョラゴン》を使用せずに《ガンバトラーG7》をフィニッシャーにしたスマートな形を持ち込んだ。
細かいところでは《飛翔龍 5000VT》のピン投など、そこには確かな調整の跡が見て取れる。
まだまだ発展途上のアーキタイプであるため、これをきっかけに今後も研究が進むことだろう。
お餅吸収委員会:【闇単アビス】
お餅吸収委員会 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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現在の主役種族であるアビス。その中で唯一本戦に駒を進めたのは元祖《アビスベル=ジャシン帝》を中心とした【闇単アビス】だった。
今回勝ち残ったのは一時期流行った《邪魂龍 ジャビビルブラッド》を中心に据えたワンショットコンボ特化のものではなく、《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》と《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》で相手のテンポをくじき、《アビスベル=ジャシン帝》でしっかりと打点を組み上げる構築だ。
派手なコンボではなく、1つ1つのアドバンテージを大切に立ち回るこのリストは、まさに質実剛健という言葉がよく似合う。
綾鷹にごり:【火光バクテラス】
綾鷹にごり 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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《ハッター・ルピア》を退かしつつ、《ハンプティ・ルピア》を避けながらカウンターできたら最強なのでは??
その願いを叶えるカードが《爆殺!! 覇悪怒楽苦》だ。
それだけ聞くと夢物語に思えるかもしれない。もちろん、スーパーシールドトリガーを狙って発動させることは極めて難しい。
であれば、ロマンを実行するために、しっかりと脇を固めたデッキを作ればいいだけのだ。
綾鷹にごりが持ち込んだ【火光バクテラス】は手札の減らないチャージャーが8枚に強力なトリガーが12枚。大型の革命チェンジが11枚と必要なカードをできる限り大量に積み再現性を挙げたカウンタービートダウンだ。
さらに必要なカードに確実にアクセスするために《レーホウ・衛・デカッチ / 「暴竜爵様のお出ましだッチ!」》の採用も行われている。
極上の上振れと、安定した力強さ。大会環境ではあまり見られることのないデッキだが、ボルシャックを信じた結果、見事今大会で爪痕を残すに至ったというわけだ。
サンダーボルト:【光自然ヘブンズ・ゲート】
サンダーボルト 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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いきなり強い。今年の4月にデュエル・マスターズの王道として選ばれたのは《巨大設計図》を使用した【光自然ヘブンズ・ゲート】だ。
時は流れ8月。環境で人気なのは【光水ヘブンズ・ゲート】になってしまった。
メタカードやドローソースの強化。環境に適応させた結果というわけだ。
しかし、サンダーボルトは信じた。王道たる、最強の守りのデッキはこちらだと。
周りに流されなかった強靭な意思が、彼に勝利をもたらしたのだ。
ハンター協会会長:【4c邪王門】
ハンター協会会長 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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ハンター協会会長が持ち込んだのは、かつての環境トップ。【4c邪王門】だ。
最も注目する部分は《鬼ヶ大王 ジャオウガ》の採用枚数減少だろう。
その分、《機怪人形ガチャック2》《百威と族絆の決断》《秩序の意志》《滅界の魔将バフォロメア》といったカウンター札を採用しているのが興味深い。
その中でも《秩序の意志》は【ファイアー・バード】と【ドリームメイト】の両方にクリティカルなダメージを与えることができ、守備の起点になったであろう。
それを乗り越えてても、最後には《百鬼の邪王門》でカウンターが待つ。
【火水マジック】が環境から消えたことによるカウンターデッキの反撃は、まだ始まったばかり。そう言わんばかりの守備力を持っている。
とーやP:【5c蒼龍】
とーやP 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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1枚積み、いわゆるピン投のカードが21種類採用されたデッキがあった。それがとーやPの【5c蒼龍】だ。
その中でも12種類14枚採用されたトリガーが目を惹く。
【ファイアー・バード】があらゆる手段でケアをしてこようと言うなら、ありとあらゆる裏目を押し付けようというのが目論見だろう。また、フィニッシャーも多種多様に渡り、ドンナ相手にも対応できるようになっている。
あかパラ:オボロティガウォック
あかパラ 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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ピン投の多さという点ではこちらも負けていない。
あかパラが持ち込んだ【オボロティガウォック】は、愛好家の多いアーキタイプとして有名である。
その特徴は大量にドローを行い、対戦相手ごとに必要なカードを使い分けて戦えることに他ならないだろう。
このリストの特徴としてはフィニッシャーとして《DARK MATERIAL COMPLEX》を採用しているのが挙げられるだろうか。
2枚目以降はあまり使わないが早期に設置できないと適切なタイミングで起動できないという弱点を、枚数を抑えドローを回す事で補完するというアプローチは、最初からそうだったのではないかというほどの美しさを感じることができる。
また、《飛翔龍 5000VT》や《流星のガイアッシュ・カイザー》といった環境全体へのメタカードもしっかり採用されており、環境理解度を感じさせられる仕上がりになっている。
きゅうくりりん:【闇単XENARCH】
きゅうくりりん 超CSⅦ広島 オリジナル構築 |
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超CSⅦのフォーマットはオリジナルである。熱狂的なファンもいるアドバンスと違い、超次元や超GRといった外部ゾーンや、置物と呼ばれるような《零龍》などは使用することができない。
しかし、メインデッキのカードは制限がかかっていないデッキもある。
そこに目をつけたのがきゅうくりりんの【闇単XENARCH】だ。
《零龍》があることにより規格外の動きができることは有名だが、なくたって超高速の《死神覇王 ブラックXENARCH》着地を耐えられるデッキはそう多くはないのだから。
外部ゾーンのカードが使えないことは、後ろ髪を引かれる、一種の呪いになってしまうことだってあるだろう。しかし「諦めた」って言わなくちゃいけないようなことは一つもない。
そんな哲学を感じる持ち込みであると言える。
ここまで見てきたデッキたちはどれも当人たち以外勝ち上がると予想していなかったと思われるデッキだ。自分の考えや信念を貫き、オールインする。その行為が報われた結果だと言える。
一つの大会が終わった後の世界は全員の認識が一新され、また次のメタゲームが生まれる。
次にローグデッキで世界を変えるのはこの記事を読んでいるあなたかもしれない。
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