超CSⅧ北海道 決勝Round 2:ざおまる vs. @ゆゆう大
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:坂井 郁弥
北海道初の公式大型競技イベントとなった超CSⅧ北海道。約1200名がアクセスサッポロに集ったこの大会は、殿堂施行の直前ということもあり、「愛感謝祭 ヒロインBEST」で《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》という超強化を得た完全体の「ファイアー・バード」が有終の美を飾るものと多くのプレイヤーに目されていた。……実際、予選ラウンド終了時点での結果はそのヴィジョンに忠実だった。決勝ラウンドに進出した128名の中には、使用率2位の「サイバー」(19名)を押しのけて当然使用率1位となる30名もの「ファイアー・バード」使いがいたからだ。
だが他方で、デッキの種類自体は29種類もあったことも忘れてはならない。全盛期の「ファイアー・バード」と新興の「サイバー」に挟まれつつも、その両者を乗り越えられるという27の信念……そう、それはちょうどかつて北海道を開拓した屯田兵のフロンティア・スピリットのような、自らの手で困難な環境を切りひらくという意思もまた、確かにそこにはあった。
そして偶然にもその体現者たちが、この決勝ラウンド2回戦で激突することとなったのである。ざおまると@ゆゆう大はいずれも地元・北海道のプレイヤーだが、どちらも決勝ラウンド128名の中で使用者3名以下のデッキを持ち込んでここまで勝ち上がっているというのだ。
それは当然、互いに互いのデッキを全く意識していないということでもある。再現性などまるで考えられない、奇跡の一回性がこの対戦にはあった。
最適解と最適解。環境に対する2つのアプローチが激突する、その結末やいかに。Game
予選順位の差で先攻は@ゆゆう大……だが初手を見ると思わず苦笑する。それもそのはず、開いた5枚がすべて水単のカードだったからだ。仕方なく《サイバー・ブレイン》《飛翔龍 5000VT》と、開幕2ターンは静かにマナを埋めていく。そう、@ゆゆう大のデッキは水単のままだと支障があるデッキ、「フィオナアカシック」だった。それでも先攻だったのがせめてもの救いか。一方、ざおまるは《アストラル・リーフ》《アストラル・ハート》と埋めてから2ターン目の《アストラルの海幻》で《アストラルの海幻》を捨てるのが初動となる。とはいえこれだけだとどう見ても「サイバー」だが……その秘密は、すぐに明らかになる。
ともあれこの返しで@ゆゆう大もようやく《K・アトラン&キング海賊団 / アイアイサー・チャージャー》チャージから《K・アトラン&キング海賊団 / アイアイサー・チャージャー》を呪文側で唱え、依然として水単のままであり呪文回収も発動しないながらも、どうにかマナだけは伸ばすことに成功する。それに対し、後攻3ターン目を迎えたざおまるは《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》をチャージすると、《アストラル・ハート》を《アストラルの海幻》の上に「NEO進化」させ、3ドローでターンエンド。
通常の「サイバー」には受け札の《ルード・ザーナ》以外には光や水のドラゴンが入っていないため、さすがにここで@ゆゆう大も違和感に気づいたかもしれない……だがそれでも自分の手を進めるしかなく、ようやく引いた自然のカードである《フェアリー・Re:ライフ》をチャージしつつの《サイバー・ブレイン》でターンを返すのみ。
するとここで、ついにざおまるが動き出す。《ルード・ザーナ》をチャージすると、召喚したのは《~西方より来る激流の竜騎公~》。《アストラル・ハート》に「NEO進化」させ、即座にこれを攻撃させる。続けて「革命チェンジ」宣言、《未来の法皇 ミラダンテSF》!そこから《審問の絆》を唱え、着地したのは……。
《∞龍 ゲンムエンペラー》!そのまま《未来の法皇 ミラダンテSF》のT・ブレイクが通り、@ゆゆう大にターンが返ってくる。突然の強襲に対し、対抗手段はあるのか。
はたしてカードを引いた@ゆゆう大は、《完全水中要塞 アカシック3》をチャージすると……だが、そのままターンエンド。さすがに成す術がないか。
かくして、そのままざおまるが《ミラクル・ホーリー・スパーク》チャージから《アストラルの海幻》→《~西方より来る激流の竜騎公~》と《∞龍 ゲンムエンペラー》下でも影響を受けない進化速攻で打点を増やすと、@ゆゆう大の残り2枚しかないシールドをあっさり割りきってダイレクトアタックまで決めたのだった。
WINNER: ざおまる
@ゆゆう大「悔しー!普通のサイバーじゃないんですよね?……ガン不利です」
超CSトップ64入賞も十分立派な成績とはいえ、あと3回勝てばトップ8というところまで見えていただけに、@ゆゆう大は悔しさを隠さなかった。ただそれでも、ざおまるのデッキに呪文を止める要素が数多く搭載されていることを知ると、自然が引けなかった自身の不運もあり敗北を処理できた様子だった。
一方、勝者のざおまるにも今回のデッキについて簡単に話を聞いてみた。
ざおまる「もともとYouTubeで《~西方より来る激流の竜騎公~》と《未来の法皇 ミラダンテSF》の基盤については出ていたんです。それを改造して、《審問の絆》を足して《∞龍 ゲンムエンペラー》を最速で出せるようにしました」
ざおまる「とにかく『ファイアー・バード』をどうにかしたいというのがあって。そう考えたら、《∞龍 ゲンムエンペラー》さえ出してしまえば『ファイアー・バード』も『サイバー』も止まるな、と。もともと2マナ域は《飛ベル津バサ「曲通風」》や《洗打の妖精》などのメタクリーチャーで固めていたんですけど、思いきって自分の動きを優先しました」
3月の「異次元の超獣使い」、4月の王道W第1弾に7月の「愛感謝祭 ヒロインBEST」の最新カードをも組み合わせて、あまり知られていない基盤に独自のチューンを施して見事に実績を残したざおまる。
この後残念ながらトップ32で敗れてしまったものの、彼と水単《~西方より来る激流の竜騎公~》ならば、殿堂施行後の新環境をも開拓してくれそうだ。
|
ざおまる 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
|
|
|
@ゆゆう大 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
|
|
©ANYCOLOR, Inc.
TM and © 2025, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY










