超CSⅧ北海道:事前メタゲーム総括記事
ライター:宮崎 大(アーチー)
子供の頃にやっていたゲーム。ボスは中々倒せなかった。
一度倒しても次の形態。二度倒しても次の形態。
そして…
~最後の形態はありえないほど強いからだ~
「究極」
「真」
「完成系」
「最終形態」
人は、【ファイアー・バード】をこのように呼んでいた。
2025年8月1日の殿堂発表によって《アリスの突撃インタビュー》が殿堂入りし、1枚しか使えなくなった。
そして《雷炎翔鎧バルピアレスク》がプレミアム殿堂入りした。
今まで、どのデッキよりも遥か高みを飛び続けてきた片翼が遂にもがれてしまった。
今回の超CSⅧ北海道はその片翼がもがれる前、「最終形態」の最初で最後のお話である。
デッキ紹介
①ファイアー・バード
『愛感謝祭 ヒロインBEST』によって《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》を手にした【ファイアー・バード】。公認CSの結果では他のデッキの約3倍の入賞数で、他を寄せつけない強さを見せつけている。
DMGP2025-1stの【ファイアー・バード】と何が変わったかを解説すると大きく2点。
1つ目は対策カードへの耐性だ。
以前までは《飛翔龍 5000VT》、《カレイコの黒像》といった対策カードに苦しめられる展開も多かった。
そこを《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》はいとも簡単に解決してみせた。
パワーは13000。これは《飛翔龍 5000VT》の除去範囲を軽々と越え、【水自然ジャイアント】が盤面処理用に攻撃してくる大型クリーチャーにも負けない数値。
▶自分のマナゾーンにあるカードとエレメントが、合計5つ以上、種族にファイアー・バードまたはフェニックスを持っていれば、このクリーチャーを[ff03]支払って召喚してもよい。
という効果でコスト踏み倒し対策を越えながら、全軍にスピード・アタッカーを与え、T・ブレイクを行える。
予想以上に早くシールドを割られるため、【ファイアー・バード】が得意とするコスト踏み倒しからの展開に付き合おうとする時間が作れない。
もう、対策カードに屈していたその姿はここにはない。
2つ目が《ハッター・ルピア》のメクレイド火力UP。
単純にメクレイド5が《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》の採用によって強くなっている。
以前よりも押し付ける力も速度も強化。
メクレイド5の当たり枚数は《雷炎翔鎧バルピアレスク》が4枚の頃と同じ枚数と言ったら恐ろしいものだ。
以上が「最終形態」と恐れられる【ファイアー・バード】。
超CSⅧ北海道で誰よりも高く羽ばたく姿が見たい。
②アマテラスループ
【ファイアー・バード】と同じく、最後の姿となるもう1人の女王。《フォース・アゲイン》がプレミアム殿堂入りし、8月12日からはもうループさせることはできない。
『愛感謝祭 ヒロインBEST』によって《裏斬隠 テンサイ・ハート》を手にしたことで、新たな強みを得た。
それはクリーチャーカウント稼ぎである。唱えれば大幅なアドバンテージを得、そのままループにも繋がる《真気楼と誠偽感の決断》。
相手ターン中に、自分と相手含めてクリーチャーが3体以上バトルゾーンに出ていると、なんとコストを支払わずに唱えることが可能。よって対戦相手は出来るだけターン中に出すクリーチャーを、2体以内に収めながらプレイしなければならない。
そこで活躍するのがこの《裏斬隠 テンサイ・ハート》。
新能力である、ウラ・ニンジャ・ストライクの効果で相手ターン中に場に出し、強制的にクリーチャーカウントを稼ぐことができる。
相手プレイヤーはどこまでケアして、どこまで諦めるかの決断を蜃気楼に邪魔されている中で行わなければならない。
果たして【ファイアー・バード】を倒しきり、最後の王座に座れるか。
③自然単グランセクト
こちらは『愛感謝祭 ヒロインBEST』で強化されたテーマデッキ【自然単グランセクト】。【キャベツ】とも言われるデッキだ。
デュエチューブリーグ2024年度後期にて、flat-gamingのリーダーflat-が【キャベツ】を使って優勝を自らの手で決めたことで有名でもある。
このデッキは最強級リソースカード《ジャンボ・ラパダイス》を軸に手札とマナを増やし、大型クリーチャーを展開するド派手なデッキ。
何年も前からデッキ自体は存在したが、新たな2種類のカードがこのデッキをトップ層に押し上げていると考えられる。1つ目が《クイーン&かぼちゃうちゃう》。
2コストの妨害カードで、パワーはなんと12000という高さ。(《ジャンボ・ラパダイス》で回収可能)このカードを出すだけで、何ターンも失ってしまうデッキは多いだろう。
2つ目が《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》。
新たな7コストクリーチャーで、ターン中に1回マナからクリーチャーを召喚できる。《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》のクリーチャー面で展開するこのデッキが、喉から手が出るほど欲しかったカードだろう。
まるで野菜が水分や日光を必要とするように。
④水単サイバー
「【ファイアー・バード】が殿堂入りでいなくなれば次はこのデッキが最強」「次期Tier1」と評されるこのデッキは、【ファイアー・バード】と似た性能を持つ全く新しいデッキタイプである。
デュエチューブリーグ、チームSAGA所属のむったが開発した《昇カオスマントラ》型の構築は、殿堂施行前の今現在も暴れている。
強すぎる2種類のゲームプランを相手によって選ぶことでどのデッキ、どの場面でも対応できる強さを持つ。~ゲームプラン①ループ~
《昇カオスマントラ》×2
《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》
《黄昏ミミ&トワイライトMk.3 ー挑戦のヒロインー》
これらが合わさればサイバー・クリーチャーがメクレイドで出続けるたびに、ドローが出来るループがスタート。
そのまま相手の山札を0枚にして、安全にEXWIN(特殊勝利)が出来る。
~ゲームプラン②ビートダウン~
《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》はジャストダイバー、T・ブレイカー、メテオバーンで2ドロー2バウンスと、アタッカーとしても破格のスペックを持っている。
3ターン目の《マクスハト》によるサイバー・メクレイド5。もしくは自身の軽減効果を活かした召喚で、早期に相手の盤面を荒らしながらシールドを割りにいける。
中々にこのビートダウンが止まることを知らず、相手は対策することが非常に難しい。
この【水単サイバー】、今回の台風の目になると読んでいる。
⑤火自然アポロヌス
『いきなりつよいデッキ 力の王道』(税込550円)まさかの環境で大暴れ中。
正しくは《エボリューション・エッグ》や《禁断の轟速 ブラックゾーン》などで10枚程度の改造は行われているが、デッキタイプは全く同じもので間違いない。
赤き不死鳥(種族:フェニックス)、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》による貫通力の高い攻撃は、現メタゲームにおいても止められるデッキは少ない。止めたとしても《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》を止めた代償でマナが無くなり、第二波の攻撃に耐えられない。
《進化設計図》や《オンソク童子 <ターボ.鬼>》など、アグロデッキに見合わぬリソース確保能力もデッキの強さを支える大事な要素。
予選順位で決勝トーナメントの先攻後攻が決まる、超CSⅧ北海道ではかなり輝きやすいデッキタイプだと考えられる。
北の大地で駆け抜けるその姿を待っている。
⑥光水自然ゴルギーオージャー
①から⑤までのデッキとは違い、環境を定義するほどではないがこのデッキも紹介していこう。上記5つに不利な対面が多いが、『王道W 第2弾 邪神vs邪神Ⅱ ~ジャシン・イン・ザ・シェル~』で頭角を表したこのデッキも注目。
場を離れない《ソウルサンライト コハク》を活かしながら《一音の妖精》などの強力クリーチャーでロック。
ビートダウンもしくはワンショットでEXWINしていくデッキタイプだ。強みはコンボもビートダウンも、ほぼ全てマナコストを支払った召喚で完結していること。
相手のメタ(妨害)が刺さりにくいワンショットである。
⑦水自然ジャイアント
全国大会2024で北海道のリノグレが優勝を飾ったデッキである。
妨害クリーチャーの前には、どのデッキも地上に引きずりこまれる。その後はジャイアントという種族ならではのパワーで盤面を駆逐されるだけだ。
全国を手にした【水自然ジャイアント】。北海道でも地ならしにできるか。
最後に
以上が超CSⅧ北海道の事前メタゲーム予想である。【ファイアー・バード】最終形態の最後の舞台、どう転ぶか当日までわからない。
この記事が参加者や当日の対戦カバレージを楽しみに待っている方の一助になれば幸いである。
子供の頃にやっていたゲーム。
ボスは中々倒せなかった。
しかし倒せないボスはいない。
この記事を読んでいるあなたがボスを倒す日が来ることを私は応援している。
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