超CSⅧ北海道 Round 5:咲くSAKU vs. まりんか
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:瀬尾 亜沙子
事前記事でまとめられているように、昨年度の日本一決定戦で王者となったリノグレをはじめとして、北海道というのは数多くの競技プレイヤーを輩出してきた地だ。これまで公式の大型大会の開催地となったことがなく、出場するためには必ず数時間をかけての遠征となるはずにもかかわらず、である。厳しい気候が、極限の状況において正解を導き出すためのインスピレーションを育むのか……それはわからないがともあれ、北海道のプレイヤーはデュエマが強いというのは、そろそろ普遍的な定理として認めなければならないかもしれない……というところまで来ているのである。
そしてそんな北海道で今回ついに、超CSが開催されることとなった。約1200名が参加し、予選7回戦中の4回戦を終えた次の第5回戦。はたしてフィーチャーマッチに呼ばれたのは……ここまで4勝0敗同士、そしてむべなるかな、ともに北海道勢同士の咲くSAKUとまりんかだった。
まりんか「フィーチャー久しぶりだなー」
咲くSAKU「前にもあるんですか?」
まりんか「エリア戦以来かな」
CA(2015・2016)、まりんか(2017)、北のあーさん(2018)、NJ(2019)、リノグレ(2024)……そう、2017年度の全国大会、その北海道エリアにおける代表がまりんかだった。それでも北海道を背負って出場した日本一決定戦では、わずかなチャンスに望みをつないだ予選最終戦で引き分けてしまい決勝進出はかなわなかった。2018年度のエリア代表決定戦では、準々決勝でCAとの激闘を制したカバレージが残っていた。だが結果は北のあーさんが優勝。2019年度は予選落ち。そこからコロナ禍でエリア戦そのものが行われなくなり、ようやく昨年度からエリア代表決定戦が復活するも、2024年度も予選落ち。今年の2025年度は既に店舗予選を通過しているが、年々強豪が増えてきている北海道のエリア予選で、CAの前例があるとはいえ2度目のチャンスが巡ってくるかどうかはわからない。
だからまりんかにとってこの地元開催の超CSは、再び日本一の舞台に立つための最大のチャンスなのだ。
咲くSAKU「自分は普段デュエマの人間じゃないんで、他のカードゲームだとあるんですけど」
対する咲くSAKUはデュエマ以外にもカードゲーム経験が豊富なプレイヤーだという。だがそのカードゲームでもフィーチャーマッチ的な場所に呼ばれた経験があり、あまつさえデュエマでもここまで4連勝しているということは、そもそもゲーム自体の地力が高いことが窺える。
既に夏の殿堂発表が行われ、特にオリジナル・フォーマットでは《逆転の影ガレック》《アリスの突撃インタビュー》の殿堂と、《雷炎翔鎧バルピアレスク》のプレミアム殿堂が環境に大きな影響を与えるであろうことが決まっている中で、殿堂施行前の最後の大型大会がこの超CSⅧ北海道である。それはつまり、環境の結論がここで導き出されるということだ。
5連勝できれば、予選突破はかなり現実的なものとなる。地元北海道に結論の碑を打ち立てるべく、そして日本一決定戦の権利を獲得するべく。決勝進出に向けて一歩先んじるのは、はたして咲くSAKUとまりんかのどちらとなるのか。Game
じゃんけんで先攻はまりんか。《龍装者 ジスタジオ》《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》というチャージから《大虹帝 ミノガミ / 「ミノマルちゃん!わたしがついてるわ!」》の呪文側を唱えて「自然単グランセクト」であることを隠そうともしないまりんかに対し、《Disアイ・チョイス》《真気楼と誠偽感の決断》とチャージした咲くSAKUのデッキは、ループ系の気配だけはするものの全貌がいまだ不明で不気味な立ち上がりを見せる。それでも決まってしまえば相手が何であろうと封殺できるのがまりんかの駆る「自然単グランセクト」の強みだが、あにはからんや3ターン目は《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》チャージのみで《ジャンボ・ラパダイス》も《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》もない様子。一方この隙に咲くSAKUが《逆転の影ガレック》チャージから送り出したのは……まさかの《Disゾロスター》!?
決して弱いカードではないとはいえ、墓地・マナ・シールドと3つのゾーンに行くカードを振り分けられず、器用とはとても言えないこのカードのすべてのスペックを生かせるデッキが、ローグデッキに分類されるアーキタイプの中に一つだけあった。となれば、まさか「あれ」なのか……そう思ったかどうかは定かではないが、それでも依然として5マナ目をチャージしてターンを返すのみのまりんかに対し、返す咲くSAKUはなおも《異端流し オニカマス》+《怪盗妖精カサブランカ / 「信じていたのに裏切られるなんて!」》と展開。そしてここでマナに落ちたのが……何と《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》!?!?
カオス。それがまりんかの眼前に広がっている光景だった。《Disアイ・チョイス》《真気楼と誠偽感の決断》からは、強力なS・トリガーを踏み倒そうという意思が感じられる。加えて《Disゾロスター》とくれば、「あれ」の気配は濃厚だ。だが《異端流し オニカマス》に《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》まで入っているというのは、もしかして何か重大な見落としや思い違いをしてしまってはいないだろうか?……そんな苦しい逡巡の間があった。
まりんか「……手札は?」
咲くSAKU「2枚です」
だがそれでも結局、できることをやるしかない。まりんかは意を決して《地龍仙ロマネアース / 仙なる大地》をチャージすると、《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》の呪文側を唱え、《地封龍 ギャイア》召喚!
もし咲くSAKUに2枚目の《真気楼と誠偽感の決断》を抱えられていたならばイージーに処理されてしまう局面。はたして《異端流し オニカマス》をマナチャージした咲くSAKUのアクションは……。咲くSAKU「……終了です」
残った!
こうなると《地封龍 ギャイア》の2つ目の能力が火を噴く。《クイーン&かぼちゃうちゃう》チャージ、マナから《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》召喚で3マナブースト。序盤の遅れを一気に取り戻す。そして返す咲くSAKUがなおも《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》チャージのみでターンを返したのに対し、《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》チャージをマナチャージしたまりんかは《地封龍 ギャイア》の能力でマナから《龍装者 ジスタジオ》、手札から《クイーン&かぼちゃうちゃう》と立て続けに召喚すると、さらに《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》の効果で《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》を「G・ゼロ」で召喚!
クリーチャーと非クリーチャー、論理的に逆転手段をすべて封じられてしまった咲くSAKUは、もはや引いたカードをそのままマナチャージすることくらいしかできない。一方まりんかはなおも《地封龍 ギャイア》の効果でマナから《地龍仙ロマネアース / 仙なる大地》を召喚し、ダメ押しの2体目の《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》を探しにいく。続くターンにも《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》、《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》と並べるが、まだ見つからない。
そして結局残り山札3枚になっても2枚目の《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》は見つからず、仕方なくまりんかはありったけの打点を伸ばしきったのち、咲くSAKUの6枚のシールドをブレイクしにいく。《龍装者 ジスタジオ》でT・ブレイク……通る。《大虹帝 ミノガミ / 「ミノマルちゃん!わたしがついてるわ!」》でT・ブレイク……そこには。
「あれ」こと《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》が確かに眠っていた。だが逆転の切り札となるべきそれも現代のカードパワーの前には無力で、《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》の効果で無情にもマナに送られるだけなのだった。WINNER: まりんか
--「咲くSAKUさんのデッキは、ご自身で作られたデッキなんでしょうか?」
咲くSAKU「そうですね、たぶんこの世にないですね(笑) 環境の通りが良いというわけじゃないですが、殿堂になった《逆転の影ガレック》の追悼のつもりで持ち込みました。ループとキャベツだけ割りきってて、『まあでもキャベツは序盤で鳥が潰してくれるだろう』と思ってたんですが、まさかここで当たるとは……」
まりんか「ファイアー・バード、今日2回当たって2回とも倒しました(笑)」
咲くSAKU「それはすごい!手札弱そうだったし、《怪盗妖精カサブランカ / 「信じていたのに裏切られるなんて!」》抱える択もあったんですけどねー……」
まりんか「こっちもできれば《地龍仙ロマネアース / 仙なる大地》から入りたかったんですけど……」
勝敗登録が終わり、カバレージライターが去っても、2人の検討は続いていた。環境やカードゲームが変わっても衰えることのない基礎体力が、霜に覆われた大地の下で根を張っていること。それが日常的に寒さに鍛えられている北海道プレイヤーの強さの秘訣なのかもしれない。
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咲くSAKU 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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まりんか 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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