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超CSⅣ宮城:メタゲームブレイクダウン

ライター:清水 勇貴

 8月15日に新たなる殿堂入り施行を控え、現在の環境としては最後の大型大会となった超CSⅣ宮城。

 さっそく本大会で本戦に進出した128デッキを見ていこう。


TOP128 デッキ分布

モモキングダム退化 15名
光水闇墓地退化 11名
水闇自然ハンデス 10名
巨大墓地ソース 9名
水火アポロヌス 8名
4cガイアッシュ覇道 7名
火自然アポロヌス 7名
水魔導具 7名
火単ブランド 5名
ガイアハザード退化 5名
光水闇ギャラクシールド 5名
光水ギャラクシールドライオネル.Star 4名
MDWチョイス 4名
水闇スコーラー 3名
水闇自然デッドダムド 3名
5cザーディクリカ 3名
旅路G3 2名
光水火鬼羅.Star 2名
4cディスペクター 2名
その他(使用者1名) 16名
合計 128名


 【モモキングダム退化】に【光水闇墓地退化】、【巨大墓地ソース】と、キーパーツが殿堂入りするデッキがこぞって上位を占めている

 世に言う「使い納め」としてこれらのデッキを持ち込んだプレイヤーが多かったのは間違いないが、本戦までその勢力を維持しているということは、やはり殿堂入りするカードには殿堂入りするだけの強さがあるということだろう。

 その一方で、基本となる条件自体は同じながらも、【水闇スコーラー】の戦績は振るわなかった

 4ターンでのコンボフィニッシュを高い再現性で実現できるデッキとして名を馳せるコンボデッキだが、基本的にコンボ一直線で、コンボパーツとドローソース以外のカードが限りなく少なく構築されている。

 ゆえに、高速で攻めてくるビートダウンには非常に脆く、メタカードを除去する手段にも乏しいため一度抑え込まれると打開が難しい。相性差を覆せる要素が速度以外にないのも弱点だ。

 本戦進出者数が最大となった【モモキングダム退化】に加え、本大会の台風の目である水火・火自然2色の【アポロヌス】と【水闇自然ハンデス】の存在が、【水闇スコーラー】の前に大きな壁として立ちはだかったと考えられる。これら2つは、殿堂後の新環境で活躍が期待されるデッキの中でも、特に目立った活躍を見せたデッキたちだ。
かなと/
デュエル・マスターズ 超CSⅣ宮城
オリジナル構築
 19 クリーチャー
3 《オンソク童子 <ターボ.鬼>》
4 《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》
1 《ダイナボルト <ドギラ.Star>》
4 《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》
4 《轟く侵略 レッドゾーン》
2 《SMAPON》
1 《冒険妖精ポレコ》
 21 呪文その他
4 《ストリエ雷鬼の巻》
4 《ヘルコプ太の心絵》
4 《ジャスミンの地版》
4 《エボリューション・エッグ》
4 《進化設計図》
1 《未来設計図》

かりん☆
デュエル・マスターズ 超CSⅣ宮城
オリジナル構築
 28 クリーチャー
4 《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》
1 《轟く侵略 レッドゾーン》
1 《ダイナボルト <ドギラ.Star>》
4 《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》
2 《超次元の王家》
4 《禁断の轟速 レッドゾーンX》
4 《ネ申・マニフェスト》
4 《飛ベル津バサ「曲通風」》
4 《異端流し オニカマス》
 12 呪文その他
4 《瞬閃と疾駆と双撃の決断》
4 《シブキ将鬼の巻》
4 《アストラルの海幻》


 【アポロヌス】は超CSⅣ静岡が開催された付近から注目度を高めている、超高速ビートダウンデッキだ。

 直近の環境では【火自然アポロヌス】のサーチ力を犠牲に、「引いて捨てる」カードや《終末の時計 ザ・クロック》などを採用して3ターン目でのインパクトよりも4ターン目の確実なフィニッシュを狙う【水火アポロヌス】も台頭してきている。

 コンセプトやゲームレンジの違いから本記事では別種のデッキタイプとして集計しているが、【水火アポロヌス】が8人・【火自然アポロヌス】が7人と、合計すれば15人となり、最大母数の【モモキングダム退化】と並ぶ本戦出場者を輩出した

 具体的な数字には残っていないが、予選段階から非常に多くのプレイヤーが選択しており、今大会を紐解くうえで重要な鍵となるデッキだと言えるだろう。

 例えば、本戦進出したデッキの中でも、【4cガイアッシュ覇道】や【マッド・デッド・ウッド】、【光水ギャラクシールドライオネル.Star】や【光水闇ハンデスギャラクシールド】といったデッキは、いずれも【アポロヌス】に対して明確な解答を持っている。

 【4cガイアッシュ覇道】は《一王二命三眼槍》によって《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》による致命的な一撃を確実に回避し、そのターン終了時に《流星のガイアッシュ・カイザー》を召喚すればカウンターを狙いやすい。

 【マッド・デッド・ウッド】はビートダウンに勝つつためデッキとして構築されただけはあって《ヘブンズ・ゲート》《ディスタス・ゲート》をはじめとして豊富な受け手段を持ち、【ギャラクシールド】系のシールド追加トリガーも《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》を受けるうえで非常にスマートだ。
 少なくとも予選の段階では、【モモキングダム退化】や【アポロヌス】といったビートダウンが母数の多くを占める中で、メタを読み切り防御的なデッキを手に取ったプレイヤーが128名の中に多く滑り込んだと考えられる。

 【水闇自然ハンデス】《飛ベル津バサ「曲通風」》《若き大長老 アプル》などの最新式メタクリーチャーをうまく取り入れつつ、軽量ハンデスを連打して相手のリソースをじわじわと奪い去るメタコントロールデッキだ。

 特に今回の殿堂入りで大きな影響を受ける4デッキは、いずれも《飛ベル津バサ「曲通風」》《若き大長老 アプル》のどちらかに多少なりの足止めを受けてしまう。

 他のデッキについても、メタクリーチャーの通りの良さはさることながら、そもそも「ハンデス」という戦術の一貫性が高いため、極端に相性不利な相手が意外なまでに少ない。

 幅広い対面に有利を取れるデッキとして、【水闇自然ハンデス】は予選から注目すべき結果を叩き出した。

 同じようなポジションにあったのが【巨大墓地ソース】や【水魔導具】といった、ある程度メタ耐性のあるコンボデッキだ。これらのデッキは中低速デッキに有利を付けつつビートダウンに対しても一定の勝ち筋は持っており、それらうまく切り抜けられたプレイヤーが上位卓まで勝ち残ったと考えられる。

 改めて情報をまとめよう。

 本大会において環境の第一勢力となったのは、【アポロヌス】や【モモキングダム退化】に代表されるビートダウンデッキ。

 人気が高く、母数の面で突出しており、勢いそのままに決勝ラウンドにも多くのプレイヤーが残った。

 メタの中心となったこれらのデッキ、特に【アポロヌス】に対して《一王二命三眼槍》を用いたデッキや【ギャラクシールド】、【マッド・デッド・ウッド】といった防御力に優れたデッキが真っ向から対抗、複数のプレイヤーを本戦に送り込んでいる。

 【光水闇墓地退化】もコンボデッキではありながら、豊富なトリガーから【アポロヌス】をはじめとしたビートダウン全般に強い。殿堂入り直前のブーストを差し引いても、環境に合った選択だったと言えるだろう。

 この二者による大規模抗争が繰り広げられる水面下で、【水闇自然ハンデス】や【巨大墓地ソース】、【水魔導具】などが中速デッキをはじめとする雑多なデッキを喰らい尽くした。

 これらのデッキはビートダウンにはやや脆いが、絶望的な戦いを強いられる【水闇スコーラー】とは異なり、先手後手や動きの噛み合い次第では十分に戦える。

 勝ち進めば勝ち進むほどビートダウンを倒してきたデッキが勝ち残り当たりやすかっただろうこともあり、結果としては影の成功者だったと言える。

 以上が予選ラウンドまでのメタゲーム総括だ。


 ここからは、熾烈な本戦を勝ち抜きダブルエリミネーションに進出した8名のデッキを紹介しよう。

TOP128 デッキ分布

水闇自然ハンデス 2名
モモキングダム退化 1名
光水闇墓地退化 1名
火自然アポロヌス 1名
火単ブランド 1名
5cザーディクリカ 1名
闇火邪王門 1名

 デッキタイプ自体はある程度バラけたが、結果として勝ち組となったのは唯一2人のベスト8進出者を輩出し、そのうちひんた選手がそのまま優勝をかっさらった【水闇自然ハンデス】だ。

ひんた
デュエル・マスターズ 超CSⅣ宮城
オリジナル構築
 32 クリーチャー
2 《アクア・ベララー》
4 《飛ベル津バサ「曲通風」》
1 《コオニ弁天》
1 《学校男》
4 《特攻人形ジェニー》
4 《若き大長老 アプル》
4 《悪魔妖精ベラドンナ》
4 《天災 デドダム》
2 《Disジルコン》
1 《虹速 ザ・ヴェルデ》
1 《魂晶 リゲル-2》
2 《CRYMAX ジャオウガ》
2 《SSS級天災 デッドダムド》
 8 呪文その他
4 《有象夢造》
3 《絶望と反魂と滅殺の決断》
1 《生命と大地と轟破の決断》

 ベスト8まで勝ち残った2名の選手はどちらも《CRYMAX ジャオウガ》をフィニッシャーとして採用している。メタクリーチャーや《天災 デドダム》などのクリーチャーを横展開することによって過剰打点を形成、素早くゲームを畳めるのがメリットだ。

 強力なトリガーから戦況を返されかねないデッキならいざ知らず、受けの強くないデッキと戦ううえでは、《Q.Q.QX. / 終葬 5.S.D.》によるフィニッシュはやや悠長に過ぎる。

 ダラダラとゲームが長引けばトップからの逆転を許すリスクがあるため、出して攻撃するだけで相手のシールドを全て割り切り、その場で勝負を決められる《CRYMAX ジャオウガ》の存在は大きい。

 また、いざというときにはバトルゾーンにあるクリーチャーを犠牲にして敗北を回避することもできる。

 破壊したクリーチャーは《有象夢造》《絶望と反魂と滅殺の決断》で釣り上げればよく、そもそも《Disジルコン》を破壊すれば自分で戻ってくるため無駄がない。クリーチャーをバトルゾーンに用意しやすい【水闇自然ハンデス】というデッキとの相性は抜群だ。

 ここ数週ほどで徐々に使われはじめた《CRYMAX ジャオウガ》だが、今回の超CS優勝により、その強さはより広く周知されたことだろう。

:taka:
デュエル・マスターズ 超CSⅣ宮城
オリジナル構築
 34 クリーチャー
4 《カンゴク入道》
2 《斬斬人形コダマンマ GS》
4 《星空に浮かぶニンギョ》
4 《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》
4 《影速 ザ・トリッパー》
4 《「貪」の鬼 バクロ法師》
4 《龍装者 バルチュリス》
3 《一王二命三眼槍》
4 《バサラ》
1 《単騎連射 マグナム》
 6 呪文その他
2 《秩序の意志》
4 《百鬼の邪王門》


 そのほかにも注目すべきデッキはあるが、筆者が個人的に面白く感じたのは:taka:選手の【闇火邪王門】だ。

 ある程度の速度が出せるビートダウンデッキでありながら、《一王二命三眼槍》《百鬼の邪王門》によってカウンター性能が非常に高いのが強みの【闇火邪王門】。

 特に【アポロヌス】に対しては相手の突貫に合わせて《一王二命三眼槍》でダイレクトアタックを無効化しつつも、《百鬼の邪王門》の鬼エンドや《バサラ》の侵略ZEROを連打して一気に頭数を確保。そのまままっすぐカウンターに向かえば余程のことがなければ受け切れないため、かなり有利に立ち回れるだろう。

 また、警戒されていないメタゲームでは《龍装者 バルチュリス》の通りが非常に良い。単なる除去トリガーやG・ストライクでは全く止まらないし、中途半端なトリガーブロッカーであれば《百鬼の邪王門》で強引に突破してしまえる。

 【アポロヌス】をはじめとしたビートダウンに強く、ある程度までのトリガーケアができ、きちんと回れば4ターンほどでの決着を狙える速度がある。

 これらの特徴は【光水闇墓地退化】にも言えることだが、【闇火邪王門】はそれだけではない。

 特定のカードの組み合わせを必要とせず、《カンゴク入道》《「魂狩」の鬼 ガシャド髑髏》などで絶えずリソースを補給できるため、【水闇自然ハンデス】に対しても一定の耐性があるのだ。
 決定力の面では《竜魔神王バルカディア・NEX》にはどうしても劣ってしまうため、防御力に割り振ったデッキに勝ちづらくはあるものの、受け手段の薄い環境では大きな活躍が見込めるだろう。

 :taka:選手は惜しくもベスト8で敗退してしまったが、今回のメタゲームの中では非常に巧妙なデッキ選択だったのではないかと感じた。

 ここまでは【闇火邪王門】というデッキタイプの強みだが、この構築独自の強みにも少し触れておこう。

 :taka:選手の構築で最も目を引くのは、《星空に浮かぶニンギョ》《影速 ザ・トリッパー》などのメタクリーチャーが多数採用されている点だ。

 これらのマナに干渉するメタクリーチャーたちは相手のテンポを強制的に遅らせ、自分のペースに持ち込みやすいことが大きな強みとなる。【ガイアッシュ覇道】や【ガイアハザード退化】、前回の超CSⅣ福岡で優勝を飾った【火自然ボルシャック】のような多量のマナを要するデッキを妨害するにはもってこいのカードたちだろう。
 《星空に浮かぶニンギョ》は殿堂入り施行後に活躍するではないかと目されている、マナを伸ばして戦う中速以降のデッキにクリティカルに刺さる1枚だ。これからのデュエル・マスターズにおいて注目すべき1枚になる……かもしれない。


 以上が超CSⅣ宮城のメタゲームブレイクダウンだ。
 
 【モモキングダム退化】が準優勝、【光水闇墓地退化】が4位と殿堂入りが告知されているカードが最後までその強さを見せつけた一方で、優勝した【水闇自然ハンデス】や3位に入賞した【5cザーディクリカ】など、「この先」を想起させるデッキの活躍も目立った本大会。

 時代と時代の境目としてはこの上なくふさわしい結果だったのではないかと個人的には感じられた。

 7月23日の静岡大会からはや3週間、これまで全国3ヶ所を巡ってきた超CSⅣもいよいよ最後の京都大会を残すのみとなった。

 殿堂入りが施行され、環境が一新された京都の地を制するのはどのデッキなのだろうか。今回の結果を眺めながら、8月15日からのデュエル・マスターズに思いを馳せてみてほしい。
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