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超CSⅥ群馬 ジャッジインタビュー :金子 幹 ~果て無き自問自答~

ライター:金子 幹(鐘子)
撮影者:瀬尾 亜沙子

 さて、福岡、群馬と2回にわたり行われた超CSⅥ。
 このイベントはご存じの通り、多くの役割を持った参加者、スタッフによって成り立っている。

 優勝を目指し大会に参加した選手はもちろんのこと、縦横無人に現場を動くジャッジに加え、ライターとしてこの日の記録を残す者もいれば、運営として各ブースで奔走するスタッフなど、役割は人それぞれによってさまざまだ。
 もちろん、その中には福岡と群馬の2会場で立場や役割が異なる人物もいるわけで……?


閑話休題。


 この度インタビュー席にやってきたのはジャッジ1期生の金子幹氏。

 そして、今回は不肖、カバレージライターである私、金子幹による氏へのインタビュー始終をお届けしようと思う。


Lv.1認定ジャッジ 金子 幹氏 --お疲れ様です。

金子「お疲れ様です。え、なんか唐突にはじまりましたね……と、とりあえず、よろしくお願いします」

--まあそんな緊張なされないでください…それではさっそく。本日はどのチームに配属されていましたか?

金子「緊張っていうか……まあいいや、えーと、今日はデュエパーティーですね。ここ群馬会場では福岡会場に引き続き、60卓以上できるほどの盛況ぶりでした。カジュアルなブースと言えども、4人で対戦をする都合で通常の対戦卓よりスペースを必要とするので、参加者の方を席へ誘導する際は空きスペースや動線に留意するなど、気を付けることは多かったですね」

--ありがとうございます。トラブル等はなかったようでなによりです。 金子「チームリーダーの和田さん、メルキスさんをはじめ、みなさんとても優秀なメンバーだったので滞りなく進行ができました」

--それはなによりでした。では続きまして、せっかくなので金子さんがデュエマを始めたきっかけを教えてもらっていいですか?

金子「これは姉がやってたからですね」

--お姉さんが!?なかなか珍しいですね。

金子「確かにちょっと珍しいかもしれません。とはいえ、父がベイブレードの蒐集家だったこともあり、ホビー系に強い家庭だったのは間違いないですね」

--なるほど。そういった経緯でデュエマに触れたと。

金子「そうです。1弾のころから始めてますから…小学校上がりたてで始めたことになるんですね。当時好きだったデッキは【ナスサファイア(※1)】。初めて公式大会に成績を残したのはエボリューション・マスター(※2)で、【水単サイバー速攻(※3)】でベスト8に入賞しました」
※1 2006年頃に成立した《ダンディ・ナスオ》《ロスト・チャージャー》《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》を墓地に仕込み《インフェルノ・ゲート》でタダ出しするデッキ。これを使用し、優勝したデュエルロード(※4)の翌週、参加者は自分1人だけになっていた。
※2 2010年度の全国大会の名称。やや薄いものの白を基調とした記念スリーブがかっこいい。
※3 《海底鬼面城》4枚、《パラダイス・アロマ》4枚の時代のサイバー速攻。前日に悩みに悩みぬき、《アストラル・ラッシュ》《エンペラー・マリベル》に差し替えた結果、準々決勝のミラーで相手の《斬隠テンサイ・ジャニット》にとどめの《エンペラー・マリベル》が手札に戻され敗北を喫した。
※4 デュエ祭、デュエマフェスの前身にあたる店舗公認大会のこと。

--それはすごい。当時はお姉さんとやっていたんですか?

金子「はい、姉や姉の友人、父親と一緒にプレイしていました。懐かしいです。そこから中学に上がった後、はじめて地元のデュエマ友達というものができました。こっちゃーさんや人参さん、せんめんさん、ロウさんなどこの時期に遊んでいた友人は今でもよく遊ぶ仲ですね」

--そういったつながりを今でも大事にされてるんですね。当時はいわゆる競技プレイヤーだったのでしょうか。

金子「そこでいくと、カードをコレクションしたり、ゲームをプレイすること自体に楽しみを感じていたこともあり、あまり勝ち負けに執心してはいなかったかもです。ただ、2014年度のデュエマ甲子園、エリア代表決定戦中部の決勝大会は熱かったなぁ。Thunders#36(※5)さんとの決勝の試合は今でも夢に見ます。Thunders#36さんをはじめとする静岡勢が持ち込んだ【水闇火トリガービート】は当日初見だったこともあり、一杯食わされたと思うと同時に、競技層のゲーム思考の深さや視野の広さを改めて実感した一日でした」
※5 『デュエル・マスターズ プレイス』でおなじみ松浦元気氏のこと。

金子 幹
全国大会2014エリア予選中部大会 TOP8デッキリスト
 40 クリーチャー
4 《ネクスト・チャージャー》
4 《勝負だ!チャージャー》
3 《メテオ・チャージャー》
4 《天守閣 龍王武陣》
4 《モエル 鬼スナイパー》
4 《英雄奥義 バーニング銀河》
2 《爆流剣術 紅蓮の太刀》
4 《永遠のリュウセイ・カイザー》
4 《龍覇 グレンモルト》
4 《次元龍覇 グレンモルト「覇」》
2 《暴龍事変 ガイグレン》
1 《龍覇 グレンモルト「爆」》
 8 超次元ゾーン
1 《神光の龍槍 ウルオヴェリア》
1 《最前戦 XX幕府》
1 《天守閣 龍王武陣 -闘魂モード-》
1 《爆熱剣 バトライ刃》
1 《百獣槍 ジャベレオン》
1 《将龍剣 ガイアール》
1 《銀河大剣 ガイハート》
1 《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》

↑当時使用した【火単ドラグナー】。《暴龍事変 ガイグレン》がお気に入り。

松浦 元気
全国大会2014エリア予選中部大会 優勝デッキリスト
 40 クリーチャー
2 《アクア・スーパーエメラル》
4 《停滞の影タイム・トリッパー》
4 《若頭の忠剣ハチ公》
2 《龍覇 M・A・S》
4 《龍覇 グレンモルト》
4 《超次元ミカド・ホール》
4 《終末の時計 ザ・クロック》
4 《モエル 鬼スナイパー》
2 《デーモン・ハンド》
4 《地獄門デス・ゲート》
2 《アクア・サーファー》
4 《龍脈術 水霊の計》
 8 超次元ゾーン
2 《龍波動空母 エビデゴラス》
1 《勝利のガイアール・カイザー》
1 《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》
1 《将龍剣 ガイアール》
1 《時空の封殺ディアス Ζ》
2 《銀河大剣 ガイハート》

↑Thunders#36さんが使用した【水闇火トリガービート】。本人曰く直前のエリア代表決定戦で成績を残したのが印象に残り、当日車内で組んだ構築という逸話がある。自分が《永遠のリュウセイ・カイザー》をアンタップ状態で返してしまったことで、次ターン《地獄門デス・ゲート》から《龍覇 グレンモルト》を出されて敗北したところまでがワンセット。

--あの試合は熱かったですね…カバレージに残っていないのが悔やまれます。もう少しその頃の話も聞いていたいところですが、時間も限られていますのでそろそろ次の話題にいきましょう。金子さんがジャッジを目指したきっかけを伺ってもいいですか?

金子「そうですね…これは他のジャッジの方もあるあるだとは思うんですが、いわゆる自分がデュエマの詳細なルールを覚える係だったから(※6)ですね。当時は通話で事務局に聞くこともできましたから、よく気になったことがあれば確認したものです」
※6 直接のきっかけは「《母なる星域》は進化クリーチャーを出す効果だから、進化元がいなくても問題ない」といわれ、3ターン目に《超神星プルート・デスブリンガー》を出されて負けたことがあまりにもショックが大きすぎたことによる。 --あーわかります。ところで金子さんって何期生でしたっけ?

金子「1期生ですよ。同期はそれこそ、さきほど挙げた松浦さんをはじめ、大塚さんや山田さん、小林さん、小林さん(※7)…などなど。他にもたくさんいるのですが、こうしてみると今でも立場は違えど現役でデュエルマスターズというコンテンツに関わっている方が多いですね」
※7 松浦氏以下、順に大塚蒼氏山田侃生氏小林隆介氏小林遼平氏のこと。

--そうそうたる顔ぶれですよね。ルール好きが高じて…といったお話でしたが、実際にジャッジとして活動してきた中でジャッジの魅力とはなんですか?

金子「月並みな言葉になってしまい恐縮ですが…やはり選手とは違った目線でイベントに参画できるのが、そもそもの体験としてとても面白いものだとは思います。例えばジャッジ間のコミュニティでの知識や見解の共有や、公式イベントでチームと共に活動している瞬間など、何かに一丸となって取り組む時間は何事にも変えられないかけがえのないものです」

--その通りですね。それでは最後に今後のジャッジとしての目標を伺ってもよろしいでしょうか?

金子「これからもジャッジとして活動をする際は、より多くの参加者の方により多く楽しんでもらう、ということは第一に自分自身も楽しみながら活動していきたいと思います。自分は後任を育てる、といったような大層な人物ではないので、同じく志をともにするジャッジの方々の魅力を今後も発信できたらといいなとは思いますね」

--お忙しい中、ありが…




金子「それは、金子さん。あなたもですよね?」

--自分が、ですか?


カバレージライター 金子 幹氏


――(席を入れ替わって)―― --えーそれでは、金子さん、本日はよろしくお願いします。

金子「え、これ本当にやるんですか?」


--福岡では、ライターをされていたとのことで、どの記事を担当されていたのでしょうか。 金子「あーそういう流れですか………そうですね。福岡では決勝戦、、ジャッジインタビュー主催者インタビューを担当しました」

--ジャッジ三銃士の記事は界隈外でも話題になっていましたね。特に金子さんというとジャッジインタビューのイメージが強いですが…

金子「そうですよね。自分自身がジャッジということもあって、インタビューをよく任せていただいています。知人のジャッジに最近活躍している若手の方の聞き込みをしたりしているのもそのためです。とはいえマッチカバレージで対戦の趨勢を書くのも好きですし、実際福岡の決勝戦の2本目も、不利対面に対して勝ちを拾った短いターン数の中に熱い攻防が繰り広げられていました。その情景が読者の方々に少しでも伝わっていれば幸いです」

--ありがとうございます。それでは次に金子さんがカバレージライターをやるきっかけを教えていただいてもよろしいでしょうか。

金子「自分が初めて公式のライターとして記事を執筆したのは2017年のDMGP5thです。当時ははじめて川崎さんがライターを公募(※8)していて、居ても立っても居られず、自分で書いた記事と共に応募しました」
※8 公募ではないが、プレイヤーからのライターの先駆者はあーくん氏。 

--それで、川崎さんの目に止まったと。

金子「ありがたいことに、そうですね。5thではプレインさん、クロイさんと共に参加しました。初めての経験でわからないことばかりでしたが、選手としてもジャッジとしても得ることができない、素晴らしい体験ができました」

--なるほど。これまで金子さんは何本ほど記事を書かれたのでしょうか。

金子「公式イベントのものだけなら…1イベントで平均3本ほど書いているので60本くらいですかね?ちょうど5thの時は19歳だったので年間8本ほど書いていることになりますね」 --結構な量になりますね。その中で印象に残っている記事はありますか?

金子「これはなかなか難しいですね…今まで担当してきた記事は面白い対戦ばかりでしたし、インタビューさせていただいた方も本当に素晴らしい方ばかりです。…………強いて上げるとすれば、マッチカバレージはDMGP9th 準決勝、インタビューは古賀さんの2回目のインタビューですね。前者はお二方ともハイテンションで見ていて面白かったですし、試合内容もこの日の決勝に負けずとも劣らぬ白熱した試合でした。後者は言わずもがな、やや茶番風味に書いてしまって恐縮ですが、古賀さんの明るい人柄に加え、ジャッジとしての信念や姿勢の仔細を伺うことができました。古賀さん自体とても面白い方なので、正直自分自身ファンになっちゃってる節がありまして…」

--確かに古賀さんは本当にどの現場でも明るく接してくださいますよね。さて、ライターとしての金子さんの歴は長いですが、ライターをする上で気を付けていることはありますか?

金子「そうですね。これに関してはまだまだ未熟な部分があることは承知しつつ、また基礎的なことではありますが【記事の目的をはっきりさせること】です。例えば【誰に向けた記事なのか】、【何を主題orメインの要素にした記事なのか】といった具合に、記事を書く前にある程度、考えをまとめておく必要はあるのかなと思います。例えばジャッジインタビューなら、主にジャッジの方が読むことを想定し、当日インタビューする前にインタビューする本人の方に事前にヒアリングしつつ、その方がどういったことを伝えたいのかを想定した質問を考えておきます。最終的な決まったテーマに沿って質問をすることで、インタビューもスムーズにいけるのではないのかなと。また、先に話したようなジャッジの方の魅力を伝えるためにもジャッジ活動を続けながら、ベテランから若手の方まで多くのジャッジと交流を持つのも大事かなとは思っていますね」

--ありがとうございます。金子さんのそういった考えは誰かから影響を受けたものでしょうか?

金子「あー、これは間違いなくヤスさん(※9)ですね。というかヤスさんは自身の人生の師…?というと過言かもしれませんが、学生時代から勉強だけでなく、マナーや思考方法など多くのことをヤスさんから学びました。今でも頭が上がりません(笑)」
※9 大会主催、ジャッジ、ライター、コレクター、情報サイト運営など多岐に渡って活動していた人物。

--それはなんというか、すごい方ですね……それでは逆にライター内に後輩みたいな方はいるのでしょうか。

金子「後輩という存在はライターの性質上特ににいませんが、自分が初めて執筆した5th以降、川崎さんから誘われてカバレージライターも今では多くのプレイヤーの方が参加していますよ。そういった意味で自分の活動が後進の役に立っているならうれしい限りだなと思います。また、自分はバリバリの現役プレイヤーというわけではないので、神結さんのような現役のプレイヤー出身のライターの方には、事前に環境デッキだけでなく密かにはやっているデッキの動き方など、裏で教えていただいたり、本当によく助けられています」

--なるほど。それではお時間もそろそろですので、今後ライターを目指す方に向けて一言いただいてもよろしいでしょうか。

金子「まずは自分で1記事書いてみることが大事だと思います。自分からやりたいと思うような気概があるとアピールするのも大事ですし、何より文章の地力がわかる指標がないと川崎さんも判断しにくいのかなと。何なら自分も他の人が書いたカバレージを読むのが大好きなので、ぜひぜひ書いて欲しいです!また個人的な要望としては、ジャイロさんやたけじょーさんをはじめとしたジャッジ兼ライター仲間がもっとほしいので、認定ジャッジの方も興味があればどんどんカバレージ書いてくださいね~!」

--本日はありがとうございました!


【本記事の経緯】

金子 幹 TCGライター歴 7年

 自分自身を育ててくれたジャッジ、そしてカバレージライターへの限りなく大きな恩を自分なりに返さんとする思いにより生まれたもの、それが本記事のテーマである「自分自身へのインタビューという挑戦」だった。

 TCGライターとしてはおそらく初(さすがに初だよね??)となるテーマに直面し、依頼の話を聞いた際は「何を言っているんだろう…?」と思い、悩み抜いた末、これは自身の新たなチャレンジになると思い本記事執筆に至った。

 自分自身にインタビューをすると決めてから、インタビューする側とされる側をイメージするために、最初は自身の記事を全て読み返し、目をつぶって暗誦したり、ただ眺めてみたりする。

 もはや記事を書いている最中に"自分自身は何か"という哲学的な思考に至りかけたものの、いつのまにか幻覚ではなく、自然ともう一人の自身と対話できるようにまでになった頃


………既に日が明けていた。


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