超CSⅦ広島 決勝Round 1:けみー vs. ニシケン
ライター:齋藤 陽(あーくん)
撮影:瀬尾 亜沙子
フィーチャーテーブルに着くなり語るのは、けみくろ放送局のチャンネル主、けみーだ。
普段はあまり競技の場に出てくることはないが、元全国大会TOP8の実績も持っているスタープレイヤーである。
それもそのはず、彼の出自は競技プレイヤー。今回も魔王dottoと練習を重ねて参加し、全国の切符を掴むことを目標としている。
ニシケン「ほんと、凄い席ですね」
そんなけみーに対し、フィーチャーテーブルに着席するのは初めてというニシケンも、笑いながら同意する。
かといってあまり緊張しているといったことはなさそうで、手際よく準備を整えた。
ここからは1回負ければ即敗退。128/1100から更に先、1/128を決めるトーナメントが始まった。
Game
先攻:ニシケン 試合はニシケンが1ターン目に《お目覚めメイ様》のプレイ。2ターン目は《配膳犬のトレス》をプレイし、《料理猫のプワソン》を手札に加えたところから始まった。【ドリームメイト】は種族デッキであるため、一般的な構築から大きく外れることが少ない。使用者のニシケンはそのことをわかっているためマナセットやカードのプレイと言った部分では迷わず手を動かし、けみーも想定内といった顔をしている。
対するけみーが2ターン連続で《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》をマナにチャージ。
このシグナルが示すことはなんだろう?
ニシケンは《トレジャー・マップ》を唱え、《森夢のイザナイ メイ様》を手札に加え、そのまま革命チェンジを行ってターン終了宣言。 手札には《料理猫のプワソン》と《料理長のラビシェフ》。
光臨効果を使い、《激烈元気モーニンジョー》をデッキから引っ張れば圧倒的な盤面を構築することができる。
デッキには《激烈元気モーニンジョー》や追加の《料理長のラビシェフ》などもあり、この後のゲームを作ることは容易だろう。
デッキの中身を確認しきって、ニシケンは見落としがないかを確認する。自分の手札。組み上がる盤面。相手の返し手……。
ニシケン「ん」
ニシケンの手が止まり、もう一度けみーのマナを見る。
《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》が2枚入っているデッキ。
けみーからのメッセージを受け取り、ここから予想されることを考える。
けみーのデッキとして真っ先に考えられるのは【水闇自然DOOM】だろう。 10コスト。水と自然文明。嫌でもちらつく存在だ。
だがそれはマッハファイターでいくらでも処理できる。今出てきても被害は少ない。 水文明が相手であれば考えないわけにはいかない。
しかし、《流星のガイアッシュ・カイザー》と合わせて出てきても《料理長のラビシェフ》がいるからこちらも被害は少ない。 水文明といえばこちらも忘れられない。
そしてこれは綺麗に着地すると勝利条件である7体まで一気に遠ざかってしまう。
《流星のガイアッシュ・カイザー》と合わせて出てくるとそのままゲームエンドだろう。
「《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》だけは避けなければならない」
そう考えたニシケンは、山札から《料理長のラビシェフ》を光臨させ、3ドロー。≪ブルー・インパルス≫をケアするゲームの組み立てを選んだ。
エンド宣言を受けたけみーは初手から抱えていた《流星のガイアッシュ・カイザー》を着地させ、ターンが渡る。
そのまま《天災 デドダム》をプレイ。ここで見えたのが《キャディ・ビートル》と《流星のガイアッシュ・カイザー》が2枚。
手札には既に後続の《流星のガイアッシュ・カイザー》が構えていたため、ここで姿が見えすぎてしまうことは相手に動きを悟られてしまうことに変わりない。
小考したけみーは、結局相手に隠せないと割り切り手札の多色との兼ね合いでマナと墓地に振り分け、《森夢のイザナイ メイ様》を殴り返してターンを終える。
4ターン目。ニシケンは引いた手札を確認してプランニングを行う。
《流星のガイアッシュ・カイザー》は処理しないといけない。
その前提から考えていった際に大きく分かれそうなのは、《ピザスターのアンティハムト》をプレイするか、直接《料理犬のヴィヤンドゥ》をプレイするかだ。
考えることは前のターンと同じ。青い罠をどれだけ避けるか。
《流星のガイアッシュ・カイザー》が連続で出てくると、《料理犬のヴィヤンドゥ》が無駄遣いになる恐れがある。
クリーチャーを広げすぎると《飛翔龍 5000VT》も≪ブルー・インパルス≫も圏内に入る可能性がある。
ならば……
「《料理犬のヴィヤンドゥ》召喚で」
踏み倒さない。徹底してケアをし続ける。それがニシケンの選んだ道だ。
余ったマナで《トレジャー・マップ》で《森夢のイザナイ メイ様》を回収すると、《料理犬のヴィヤンドゥ》をハイパー化。
料理長のパワーパンプにより《流星のガイアッシュ・カイザー》を処理しに行く。
ニシケン「ここ、完全に抜けてましたね」
《料理長のラビシェフ》がいるため、《料理犬のヴィヤンドゥ》のアタックでけみーの《天災 デドダム》をタップすることができたが、意識から抜けてしまったと試合後にニシケンは語った。
単純な見落とし、と言い切ることもできるかもしれないが、都度検討するニシケンのプレイスタイルを考えると、けみーが仕掛けた見えない爆弾が、ニシケンに負荷を掛け続けているのだと受け取ることもできる。
とはいえ、このターンは《流星のガイアッシュ・カイザー》も≪ブルー・インパルス≫も出させないゴールを迎えた。ニシケンはそのままエンドを宣言する。 けみーは5マナ目をチャージして《アーテル・ゴルギーニ》を戦場に送る。
マイナス効果を2回宣言し《料理長のラビシェフ》を破壊。
更に《天災 デドダム》でハイパー化要員とされた《配膳犬のトレス》と相打ちを取ってバトルゾーンを解体していく。
こうなるとニシケンは踏み倒しを解禁するしかない。
《森夢のイザナイ メイ様》と《お目覚めメイ様》をそれぞれ召喚し、ハイパーモードで光臨を達成させる。
山札からは《激烈元気モーニンジョー》を呼び出し、《料理猫のプワソン》への進化までを行う。 ニシケンのクリーチャーは4体。けみーのクリーチャーは1体。
ニシケンは手を止める。
「《料理猫のプワソン》効果では出すものなしで」
一貫して≪ブルー・インパルス≫をケアする。
けみー「では≪ガイアッシュ≫で。ターンもらってドローします」 けみー「≪ガイアッシュ≫で4軽減、≪キラー・キーナリー≫召喚します」 《料理猫のプワソン》を戻し、墓地から《流星のガイアッシュ・カイザー》が蘇る。
タップしている《森夢のイザナイ メイ様》踏みつけてターンを返す。
出たとき効果を駆使して展開する【ドリームメイト】にとって、この状況は実質的なゲームセット宣言に近い。
盤面を一気に減らされたニシケンは頭を抱える。
わずかに残った勝ち筋を掴みに行くためニシケンは6マナ使って《料理猫のプワソン》を召喚。寝ている《流星のガイアッシュ・カイザー》を踏みに行きながら《料理長のラビシェフ》を踏み倒す。盤面は3体。
けみーはこれに≪「真実を見極めよ、ジョニー!」≫を唱えて全て手札に戻す。
続くターンにニシケンが《お目覚めメイ様》を2体と《料理長のラビシェフ》をプレイしたのを見ると、けみーは《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》で手札を整えて《大樹王 ギガンディダノス》で負け筋を完全に潰しにいく。
次のターン、ニシケンがトップの《料理長のラビシェフ》をプレイしたのを確認すると、けみーは満を持して《超神星DOOM・ドラゲリオン》を召喚。大型クリーチャーが並ぶ状態で一斉攻撃の命を下した。
WINNER:けみー
ニシケン「過度に恐れすぎたかな~。最初の展開で《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》は割り切って良かった気がしますね」
ニシケンはこのゲーム中、見えない罠を警戒し続けた。その結果、自分で出力の最大値を抑えてしまった。
対するけみーは見せる情報をコントロールし、ニシケンを袋小路へと誘い込んだ。その手腕は流石であろう。それを裏付けるように、けみーは中盤まで《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》を引けていなかったのだから。
しかし、ニシケンの視点でそれを看破するのは非常に難しい。一発勝負となれば尚更のことだろう。
《流星のガイアッシュ・カイザー》や《飛翔龍 5000VT》、《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》という青い魔法は、もはや見慣れた人も多いだろう。プレイングでケアできるという人も少なくない。
しかし、ケアさせている事自体が時間稼ぎに直結することだってある。ゲームの終着点を決めるのは、必ずしも攻めている側に限った話ではない。
見えない主導権争いを制し、けみーは次の試合へ駒を進めた。
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