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全国大会2024 準々決勝:3can/えもとも vs. デデンネ

ライター:秋山 大空
撮影:後長 京介

 【ファイアー・バード】と【ジャイアント】。

 現環境を定義し得るデッキであり、今大会のオリジナルフォーマットのシェア1位と2位である。

 【マーシャルループ】がいなくなったことで、クリーチャー同士のやり取り、所謂「地上戦」が重要視される中、どちらも≪アシステスト≫クリーチャーで、メタ(妨害)カードを守りながら戦う構成に落ち着いたことは興味深い。

 母数の多さから今大会で幾度も繰り広げられたマッチアップだが、準々決勝のうちの一戦もその中のひとつとなった。

 【ファイアー・バード】を使用するのは中国・四国エリア予選代表の3can(みきゃん)/えもとも

 予選16位、決勝トーナメント全ての試合で後攻を取りながらも【アグロマジック】で勝ち抜く大きな戦果を挙げた。

 【ファイアー・バード】もまた、どちらかと言えば【アグロ】寄りのデッキ。新殿堂前から環境上位にいたため、触れる機会も時間も十分。

 順位先攻で3can/えもともは後攻となるが、彼ならば多少の不利は覆せるかもしれない。

 【ジャイアント】を使用するのはDMPランキング後期ランキング8位のデデンネ

 DMGP8thにて優勝、デュエプレグランプリ2024にて優勝、更に今年はランキングで全国大会出場権利を獲得と、マルチに活躍するプレイヤーとしてお馴染み。

 私の印象では、デデンネはどちらかと言うと【ジャイアント】ような、少しゆっくりと動くデッキを強く使うのが得意だ。

 これまでに2回【ファイアー・バード】と当たっており、現在対【ファイアー・バード】は1-1。

 先攻と言うアドバンテージを是非とも活かしたいところである。

 「アドバンスで一回当たってるんですよね(笑)」とデデンネ

 アドバンスでは3can/えもともの【火水BAKUONSOOO】に、デデンネの【ドリームメイト】が《激烈元気モーニンジョー》をトリガーさせて勝利したとのことだが、リベンジは果たせるだろうか。

Game1

先攻:デデンネ  2ターン目の《とこしえの超人》に次ターンの《アシステスト・シネラリア》を添え、《アリスの突撃インタビュー》の脅威を遠ざけるデデンネ

 3can/えもとも《マジシャン・ルピア》から《ハンプティ・ルピア》と順調だ。

 《チアスカーレット アカネ》を捨てさせ、残りは《銀河竜 ゴルファンタジスタ》2枚。

 マナチャージのみでターンを終えるデデンネに、3can/えもともは追撃の《アリスの突撃インタビュー》

 しかし、これは予定調和。

 《アシステスト・シネラリア》《とこしえの超人》は守られ、蘇生の無い虚無の《アリスの突撃インタビュー》となる。

 流石に2枚目の《アシステスト・シネラリア》はなく、《キャディ・ビートル》を置いて不意の《アリス・ルピア》を警戒しつつ様子を見るデデンネ

 これで《とこしえの超人》は無防備となった。

 3can/えもともは2枚目の《アリスの突撃インタビュー》で、《とこしえの超人》《キャディ・ビートル》を処理し《龍后凰翔クイーン・ルピア》をねじ込む。

 まずは《ハンプティ・ルピア》で攻撃。

 だが、ブレイクした先には《とこしえの超人》のG・ストライク!

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》を止められ唸る<b>3can/えもとも

 デデンネの手札は1枚。多少のリスクは承知の上ではあったが、シールドを詰めるための《ハンプティ・ルピア》攻撃に手痛いカウンターだ。

 デデンネ《とこしえの超人》、エンドで」

 2枚の《アリスの突撃インタビュー》で急速に手札を消費した3can/えもともの手札は0。

 デデンネの一手は、強引なメクレイド以外から《アリスの突撃インタビュー》が飛んでこないことを確信した《とこしえの超人》召喚ターンエンド。

 3can/えもとももトップから《マジシャン・ルピア》《アシステスト・インコッピ》と繋ぐが、《とこしえの超人》《龍后凰翔クイーン・ルピア》のメクレイドに睨みを利かせている。

 《アリスの突撃インタビュー》《とこしえの超人》を超えられる当たりだ。しかし既に2枚も使っており、残りの2枚を山札から探しに行くのはあまりにも心許ない。

 先ほどのターンと次のターン、この2ターンの間に≪アカネ≫系統をトップデックされなければ次のターンに数で押せる。

 攻撃せずターンを終えた3can/えもともに降りかかったのは、《チアスカーレット アカネ》と言う最大値。  効果でマナから《キャディ・ビートル》を召喚し、《アシステスト・インコッピ》に攻撃。

 革命チェンジ先は、3ターン目からずっとキープしていた《銀河竜 ゴルファンタジスタ》

 《チアスカーレット アカネ》の効果で《キャディ・ビートル》をマナに送り、《五番龍 レイクポーチャー ParZero》をメクレイド。

 《ハンプティ・ルピア》《アリスの突撃インタビュー》で失った盤面と手札が一瞬で再生する。

 《五番龍 レイクポーチャー ParZero》の効果で《爆翠月 アカネ》を見せるが、《アシステスト・インコッピ》《龍后凰翔クイーン・ルピア》を守る。

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》は残ったが、既にデデンネは強固な盤面を築いている。

 対して3can/えもとも。一度《とこしえの超人》下で《アリスの突撃インタビュー》を唱えたのが大きく響き、後続がない。

 先ほどは躊躇いターンを終えたが、こうなってしまえば山札から3枚目の《アリスの突撃インタビュー》を引くしかない。

 まず《ハンプティ・ルピア》でのブレイク…に、追い打ちのG・ストライク。

 ターンが戻ってきたデデンネ《アシステスト・シネラリア》召喚から、軽減を生かして《チアスカーレット アカネ》《キャディ・ビートル》、ハイパーエナジーを使用しマナから《爆翠月 アカネ》と並べ、【ジャイアント】の最大の強みであるバトルでのバトルゾーンの制圧を始める。

 《五番龍 レイクポーチャー ParZero》と革命チェンジした《超重竜 ゴルファンタジスタ》《ハンプティ・ルピア》を。

 《チアスカーレット アカネ》《マジシャン・ルピア》を。

 《超重竜 ゴルファンタジスタ》で出た2体目の《チアスカーレット アカネ》《龍后凰翔クイーン・ルピア》を攻撃。

 《チアスカーレット アカネ》《龍后凰翔クイーン・ルピア》のバトルは《銀河竜 ゴルファンタジスタ》が肩代わりして、3canのバトルゾーンは0。

 更に《チアスカーレット アカネ》のメクレイドで《キャディ・ビートル》《アシステスト・シネラリア》と、《爆翠月 アカネ》《完璧妖精マリニャンX》と入れ替わる。

 ターン開始時のドローを含めて3can/えもともの手札は3枚。

 《アシステスト・シネラリア》3体、《銀河竜 ゴルファンタジスタ》2体、《完璧妖精マリニャンX》を超える手段は【ファイアー・バード】に存在せず、そのままターンエンド。

 そして、ここに≪同期の妖精≫を添えれば、G・ストライクでも【ジャイアント】は止まらない。

3can/えもとも 0-1 デデンネ

3can/えもとも「いやー強いなー……」

 一度着地してしまえば【ファイアー・バード】にとってクリティカルとなる《銀河竜 ゴルファンタジスタ》

 デデンネ《ハンプティ・ルピア》を見据えて《超重竜 ゴルファンタジスタ》より優先して持ち、革命チェンジの瞬間まで手放すことはなかった。

 《ハンプティ・ルピア》で手札を削られようと、≪アカネ≫系統さえどこかで引けばそれでいい。

 3can/えもともの手札枚数をしっかりと確認し、無理に動かないデデンネの落ち着きが、G・ストライクで生まれたチャンスを掴んだのだ。

デデンネ「【ファイアー・バード】はやっぱり一番多いと予想してました。みんな迷ったら【ファイアー・バード】使うかな、と(笑)」

「【ジャイアント】対【ファイアー・バード】は、まあ先攻有利なのでトリガーを踏ませに行くしかない時が結構ありますね」

 試合後、対【ファイアー・バード】について語ったデデンネの構築は《蒼神龍トライクラブ・トライショット》を採用し、S・トリガーとG・ストライクは合計15枚。

 一般的な【ジャイアント】の中では、最大限シールドからの受け札に枠を割いている構築だ。

 とはいえ、その中から《アリスの突撃インタビュー》以外のメクレイドをシャットアウトする《とこしえの超人》を引いてしまったのは、3can/えもともにとって痛手だった。

Game 2

先攻:3can/えもとも  3can/えもともの動きは《ヤット・パウル》から【ファイアー・バード】の代名詞とも言える先攻3ターン目の《ハッター・ルピア》

 デデンネ《キャディ・ビートル》がいるため、仮に《龍后凰翔クイーン・ルピア》《雷炎翔鎧バルピアレスク》があったとしても出すことはできない。

 《ルピア&ガ:ナテハ》をメクレイドしてターン終了。

 効果でシールドから《ハンプティ・ルピア》が落ち、《アリスの突撃インタビュー》の選択肢も広がる。

 先ほどの試合よりも、余裕を持ってゲームを組み立てることが出来るだろう。

 一方、先攻3ターン目の《ハッター・ルピア》は当然辛いが、《アシステスト・インコッピ》が出なかったことはデデンネにとって幸運だった。

 《アシステスト・シネラリア》を召喚し、《キャディ・ビートル》攻撃時《チアスペース アカネ》に革命チェンジ。

 セイバーで《ハッター・ルピア》の効果から《チアスペース アカネ》を守り、バトルで《ハッター・ルピア》を討ち取る。

 デデンネのバトルゾーンは空になるが、次のターンには5マナ。間に合ってしまえばこちらのもの。

 勿論、3can/えもともも大人しくそれを待つつもりはない。

 《アリスの突撃インタビュー》《ハッター・ルピア》を蘇生しハイパー化。

 攻撃時にメクレイドされたのは《龍后凰翔クイーン・ルピア》

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》の攻撃時に《ヤット・パウル》を破壊しメクレイドするが、出目は芳しくなく《ルピア&ガ:ナテハ》がバトルゾーンへ。

 顔が曇る3can/えもともに、デデンネはブレイクされた楯を見て一言。

デデンネ「考えます」

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》がブレイクしたのは《とこしえの超人》《同期の妖精 / ド浮きの動悸》

 ≪ド浮きの動悸≫で《ハッター・ルピア》を手札に戻し、攻撃できる《ルピア&ガ:ナテハ》をG・ストライクで止める。

 《ハッター・ルピア》を処理するのは最低限の勝ち筋だが、G・ストライクでシールドを1枚残せたのは非常に大きい。

 《フェアリー・ギフト》から《チアスペース アカネ》。軽減で余ったマナを使い《とこしえの超人》を添えて《ルピア&ガ:ナテハ》に攻撃。

 《超重竜 ゴルファンタジスタ》に革命チェンジし《ルピア&ガ:ナテハ》を破壊。

 マナから出た2体目の《チアスカーレット アカネ》も、《超重竜 ゴルファンタジスタ》に革命チェンジ。

 《五番龍 レイクポーチャー ParZero》を場に出し、《龍后凰翔クイーン・ルピア》を手札に戻す。

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》とバトルする必要がなくなったため、攻撃中の《超重竜 ゴルファンタジスタ》《チアスカーレット アカネ》の効果に利用できる。マナに送り、《チアスカーレット アカネ》をメクレイド。

 3体目の《チアスカーレット アカネ》は、革命チェンジした《チアスペース アカネ》をマナに送り、攻撃をキャンセルしつつ《蒼神龍トライクラブ・トライショット》をメクレイド。

 《チアスカーレット アカネ》と革命チェンジを組み合わせて攻撃をキャンセルし、メクレイドや《超重竜 ゴルファンタジスタ》で展開する。

 これぞ、相手に触れずにバトルゾーンを回転させる剛流振の神髄。

 最後に残った《ルピア&ガ:ナテハ》も手札に戻り、デデンネの場にはジャストダイバーがついている《五番龍 レイクポーチャー ParZero》とブロッカーの《蒼神龍トライクラブ・トライショット》が1体ずつ。

 一見強固な盤面に見えるが、手札が潤沢な【ファイアー・バード】なら突破できないことはない。

 つまり、今の3can/えもともなら。

 《アリスの突撃インタビュー》《とこしえの超人》を破壊しながら《雷炎翔鎧バルピアレスク》を蘇生。

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》を場に出しながら、シールドを攻撃。

デデンネ「通します!」  無情にも、最後のシールドは《蒼神龍トライクラブ・トライショット》

 《龍后凰翔クイーン・ルピア》から《凰翔竜機マーチ・ルピア》に革命チェンジさえすれば、無限の可能性があった。

 そして《凰翔竜機マーチ・ルピア》がなくとも、《雷炎翔鎧バルピアレスク》を破壊し《アリスの突撃インタビュー》《アリス・ルピア》をメクレイド出来れば勝機はあった。

 しかし、今日のデデンネはそれすら許さない。

3can/えもとも 0-2 デデンネ Winner:デデンネ

3can/えもとも「(踏むタイミングが)噛み合ったと言うのもあるんですけど、個人的には踏まない前提で打点組むんで、仕方ないです」

 シールドと言うシステムがゲームの中心として存在するデュエル・マスターズにおいて、トリガー等を踏む、踏まないのリスクはデッキを問わず存在する。

 攻めるデッキは相手のシールドに一喜一憂し、守るデッキは自分のシールドに一喜一憂する。

 そして、攻めるデッキは攻撃の順番を調整することによって、多少リスクを操作することが出来る側にある。

 通れば大きい場面で、どこまで攻めた選択を取るか。

 それこそが【アグロ】の面白さであり、難しいところでもある。

「あまりにも運がない…とは言え、負けるべくして負けました」

 3can/えもともの、覚悟と勇気の1点。デデンネは、その1点に受け札と言う答えを返した。
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