超CSⅧ北海道 3位決定戦:ハバキ vs. Curuto
ライター:清水 勇貴(yk800)
撮影:坂井 郁弥
ハバキ「いや~、もうしんどい……」Curuto「もうへとへとですよね」
決勝戦が行われるその裏で、同時に行われるもうひとつの「最後の戦い」、3位決定戦。
言うまでもないが、彼らは決勝進出者と同じ数の戦いを積み重ねてきている。体力的にも精神的にも、疲れはひとしおだ。
——実のところ、超CSにおいて3位決定戦に勝利して得られるものはそれほど多くない。全国への切符は優勝者のみに手渡され、獲得できるDMPポイントは3位と4位で同じ。つまり、この戦いはただ勝利を手にするためだけに、
ハバキ「いや、BOX2個とVT1枚の差はデカい!」
明るく陽気に、しかし何かを突き破らんばかりのハバキの声。
それは自分の、そして対戦相手であるCurutoの摩耗した闘志を奮い立たせるかのように響いた。
全力と全力をぶつけ合う、彼らにとって今日最後のデュエル・マスターズが始まった。
Game1
先攻:ハバキ
ハバキ「ターンもらいます。……ステゴロ埋めてターン終了で」《サファイア・ウィズダム》、《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》とマナに並べてのターンエンド。
ハバキの使用デッキはいわゆる【巨大アルファディオス】だが、2ターン目の《巨大設計図》はプレイできず、後攻のCurutoにターンが渡る。
一方のCurutoは2ターン目の《ルピア&ガ:ナテハ》からゲームをスタート。マナゾーンには《ハンプティ・ルピア》と《ルピア&ガ:ナテハ》、言わずと知れた【ファイアー・バード】だ。
続く3ターン目にはようやく、ハバキもアクションを起こす。《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》の呪文側をプレイし、手札を2枚補給しつつ、次ターンの5マナへと繋ぐ。
ここで《ハッター・ルピア》か、せめて《ハンプティ・ルピア》を出したいCurutoだったが……このターンのプレイは《マジシャン・ルピア》を召喚するに止まる。
手札を整えてエンド時、《ルピア&ガ:ナテハ》の能力で2枚目のシールドが墓地へ。Curutoの残りシールドは3枚……T・ブレイカーを1回通されれば消し飛ぶ水準に到達してしまう。
そして、ハバキのデッキの切り札は、言うまでもなく、
ハバキ「マナゾーンにエンジェル・コマンドが3枚以上。5マナで、」
《王導聖霊 アルファディオス》。
超魂レイドによって進化元が注入され、すぐに走れる3打点が動き出す。
即座に攻撃を宣言して2ドロー、《闘門の精霊ウェルキウス》から≪支配の精霊ペルフェクト≫!
ブロッカー2体、しかも1体はバトルゾーンを離れない。このターン中の決着も《∞龍 ゲンムエンペラー》も無いが、Curutoにとって苦しい盤面であることには変わりない。
T・ブレイクはそのまま通り、Curutoのラストターンが訪れる。勝つにせよ負けるにせよ、ここで勝負は決するのだ。
4マナをタップして唱えるは、次期殿堂入り呪文・《アリスの突撃インタビュー》。次期プレミアム殿堂クリーチャー・《雷炎翔鎧バルピアレスク》を捨ててからそのままバトルゾーンへ。殿堂施行前だからこその強みを存分に活かし、ラストチャンスにフルベットする。
《雷炎翔鎧バルピアレスク》でタップされている《王導聖霊 アルファディオス》に攻撃、手札から《アリス・ルピア》をバトルゾーンへ!
デッキトップ3枚は《マジシャン・ルピア》2体に《アリス・ルピア》、登場するのはわずかに《マジシャン・ルピア》2体のみ。出力としては物足りないが、なんとかファイアー・バード5体をバトルゾーンに確保し、追加ターン獲得の準備は整った。
《雷炎翔鎧バルピアレスク》はバトルに敗北するが能力によって破壊されず、一方で《闘門の精霊ウェルキウス》の能力が解決される。ハバキはカードを1枚引き……それを見て目をぱちくりとさせる。

《∞龍 ゲンムエンペラー》。前のターンには姿を見せなかった「絶望」が、そこにいた。
Curuto「それは無理ぃ!」
《雷炎翔鎧バルピアレスク》の能力がなくなり、追加ターン獲得は露と消え……。Curutoは力無く次のゲームの準備へと移った。
ハバキ 1-0 Curuto
Curuto「さっきウェルキからゲンム出てこなかったから顔じゃなくてバトルしに行ったんだけどなぁ〜……上からですよね?」
ハバキ「上からです」
勝ったハバキの側から思わず「申し訳ない」という声すら漏れる「神引き」。しかし、勝負の場においては運もまたゲームの一要素。
次のゲームでは、Curutoが運を手繰り寄せられるか、あるいはハバキが乗りこなすか。
Game2
先攻:Curuto
第二ゲームの立ち上がりはお互いに順調だ。先攻のCurutoが《マジシャン・ルピア》からスタートすると、返すハバキは先ほどのゲームでプレイできなかった《巨大設計図》をプレイする。
《ルード・ザーナ》、《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》、《飛翔龍 5000VT》、《サファイア・ウィズダム》の4hit。
Curutoにとって不穏なカードがいくつも目に入り、面食らった表情のCurutoだったが……やることは変わらない。

先3《ハッター・ルピア》に勝るパワームーブは【ファイアー・バード】に存在しないのだから。
間髪入れずハイパー化を起動、攻撃、メクレイド5!
デッキトップ3枚から《アリスの突撃インタビュー》をプレイし、手札の《ハンプティ・ルピア》を墓地経由でバトルゾーンに送り出す。
Curuto「手札は……」
ハバキ「8枚です!」
前ターンの《巨大設計図》で手札を山と抱えたハバキ。捨てさせたいカードはいくらでもあるが……Curutoは展開の起点となる《闘門の精霊ウェルキウス》を捨てさせる。トリガー《光開の精霊サイフォゲート》からの連鎖を嫌った形か。
ハバキの3ターン目、リソースは十分だと判断したか、プレイしたのは≪ギャラクシー・チャージャー≫ではなく《竹馬の超人 / テイクバック・チャージャー》の呪文側。
《ハッター・ルピア》をマナ送りにしてメタを解除しつつ無事に次ターンの5マナへとバトンを渡す。
……しかし同時に、Curutoも5マナ域に到達することとなる。
4ターン目、5マナを揃えたCurutoは3マナで《アシステスト・インコッピ》、1マナ軽減して2マナで2体目の《ハッター・ルピア》をプレイ。メタを継続、さらにウルトラ・セイバーで除去も1回までなら耐えられる盤面を作り上げた。
そのまま《アシステスト・インコッピ》をタップしてハイパー化を起動。攻撃時のメクレイドで《ハンプティ・ルピア》を繰り出すCuruto。またしても展開を作れないが、手札破壊を継続して喰らいつく。
できればハバキの次のターンの動きを妨害したいところだが……ここで《飛翔龍 5000VT》が立ちはだかる。《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》や《龍后凰翔クイーン・ルピア》を持てていないCurutoにとって、このカードによるロックは次ターンを丸々明け渡すことになりかねないクリティカルな1枚だ。
悩みながらも《飛翔龍 5000VT》を捨てさせると、Curutoは《ハンプティ・ルピア》を《凰翔竜機マーチ・ルピア》へ革命チェンジしてW・ブレイクを通しにかかる。溜めを作る猶予がないと判断し、果敢に攻め立てるCuruto。
……が、ここでS・トリガー、《ルード・ザーナ》。
《ハッター・ルピア》の能力で本体は即座に退場するが、登場時能力でCurutoのクリーチャーは一気に押し流される。《アシステスト・インコッピ》で《ハッター・ルピア》のメタだけは死守し、ターンはハバキへ。
《王導聖霊 アルファディオス》は《ハッター・ルピア》によって阻止された。しかし、ハバキの手札には第二のプランが揃っていた。
ハバキ「スターゲイズ、ウェルキウス出して、1ドローからゲンム着地まで」
登場してから除去するタイプのメタを貫通する、《∞龍 ゲンムエンペラー》の面目躍如だ。
《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》+《闘門の精霊ウェルキウス》を起点とするブロッカー連鎖展開コンボは、登場から今に至るまで【ヘブンズ・ゲート】系デッキのメインギミック。
【巨大アルファディオス】には《ヘブンズ・ゲート》本体こそ入っていないが、《巨大設計図》→ブースト→展開からなる「守りの王道」の血脈は確かにこのデッキへと受け継がれている。
デッキ内のカードほとんど全てが機能停止し、一気に窮地に立たされるCuruto。
唯一能力が失われていない6コストの《凰翔竜機マーチ・ルピア》を召喚して攻撃に移るが……。
ラストのシールドから、無慈悲なトリガー《光開の精霊サイフォゲート》。
手札の≪支配の精霊ペルフェクト≫が場を離れないアタッカーとして降臨し、ハバキの戦線にはCurutoを倒し切ってなお2体のアタッカーが控える打点が揃った。
周到に《飛翔龍 5000VT》によるロックまで仕掛け、いよいよハバキは《∞龍 ゲンムエンペラー》でCurutoのシールドを根絶やしにする。
軽量カードを主体とするCurutoのデッキに、天使の軍勢を押し止める術はなかった。
ハバキ 2-0 CurutoWINNER:ハバキ
決着の直後、2人は固く、そして強く握手を交わす。
勝利を手にし、ハバキは安堵に包まれた表情を浮かべる。Curutoも悔しさは滲ませながら、どこか解放されたような顔つきだ。
決勝を目前に逃した彼らの思いは、その場に立つ者にしかわからない。
おそらく、後悔はあるだろう。悲しみもあるだろう。もしかすれば、疲れて、もう帰りたいと感じたかもしれない。その全てが、想像でしかないが。
しかし、それはこの戦いで全力を尽くさない理由にはならなかった。
自分自身のため、そして目の前の相手のために戦い抜いた二人に、今は惜しみない賛辞を送りたい。
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ハバキ 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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curuto 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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