ジュニアグランプリ2025:メタゲームブレイクダウン
ライター:河野 真成(神結)
この記事は、ジュニアグランプリのメタゲームブレイクダウンです。そもそもメタゲームブレイクダウンとはなんぞや、となりますね。
日本語に直すと「大会環境分析」とかになるでしょうか。
この環境というのもまた厄介な言葉ではあるのですが、全体の意味合いとしましては、「この大会はどんなデッキが多くて、どんなデッキが勝ったのでしょうか? 参加者のデッキを詳しく見てみましょう!」といった内容の記事になっています。
というわけで、まずは今回の参加者たちが何のデッキを使っていたのか、そこから見ていきましょう。
26 火光自然ボルシャック
15 ゼーロ(4c、光水闇)
9 水単サイバー(うちアグロ型1)
9 ドリームメイト
8 ヘブンズ・ゲート(光水、光水闇、その他)
7 火闇自然レッドゾーン
7 光水自然アルファディオス(火、闇含む)
7 闇単アビス(闇単、タッチカラー含む)
4 5cコントロール
4 4c邪王門
3 自然単キャベッジ
3 火自然アポロ
3 火闇邪王門(水入りを含む)
3 火水闇アビス
3 水自然ジャイアント
3 闇単ゼーロ
3 ゼロジョーカーズ
2 火光ボルシャック
2 水闇ヴァミリアフミシュナ(COMPLEX)
2 巨大ヘブンズ・ゲート
2 ファイアー・バード
2 火水自然ドラゴン(VERSUSを含む)
2 5cバロム
2 5cディスペクター
2 5cザーディクリカ
1 火光闇ルドルフ
1 火光水ゴスペル
1 火自然“逆悪襲”
1 火自然ゼロジョーカーズ
1 火水マジック
1 火水闇ジャオウガ
1 火水自然刃鬼
1 火単我我我
1 光闇メカ
1 光自然G.O.D
1 光自然タマシード
1 光水闇COMPLEX
1 光水闇邪眼帝
1 光水自然 der’Bande
1 光水自然アルカディアス
1 自然単スノーフェアリー
1 水闇自然ジャオウガ
合計:150
今回の参加者は150名でした。全てのデッキリストに目を通させていただきました。
デッキ名に関しましては、可能な限り「一般化されているデッキ」に分類しております。ですので、もしかしたら「自分が使ったデッキがない」と思われるプレイヤーもいるかもしれませんが、そこはごめんなさい。たまに言われるんですよね。
ただデッキ分布というのは大会環境分析を目的に行うことが多いですので、基本的には大まかな区分をします。
例えば【水自然ジャイアント】に闇や光のカードが採用されていても、基本的にはまとめて【水自然ジャイアント】に区分しています。
さて、参加者全体のデッキを改めて見ていきましょう。
なんと言っても目立つのは、全体の20%弱(約17%)を占めた【火光自然ボルシャック】でしょうか。
それに続いたのは【ゼーロ】と【水単サイバー】。いずれもループデッキです。なお、ゼーロ15人のうち、《天災 デドダム》が入っている【4cゼーロ】が8名、《異端流し オニカマス》などが採用されている【光水闇ゼーロ】が7名でした。
以下、【ドリームメイト】、【ヘブンズ・ゲート】、【火闇自然レッドゾーン】、【光水自然アルファディオス】、【闇単アビス】と続いていきます。
全てのデッキリストを拝見させていただいたのですが、今年の参加者の多くはX等で見掛けた入賞デッキリストを使用しているプレイヤーが非常に多かったです。
また必ずしも流行してないデッキについても、採用意図の明確なカードが多く、基本的にデッキとしてはどれも完成度の高いものでした。
踏まえて、予選を突破した32名の分布についても確認していきましょう。
8 火光自然ボルシャック
5 ゼーロ(4c、光水闇)
4 光水自然アルファディオス
3 水単サイバー
3 火闇自然レッドゾーン
2 ドリームメイト
2 水闇ヴァミリアフミシュナ(COMPLEX)
1 火光ボルシャック
1 巨大ヘブンズ・ゲート
1 水自然ジャイアント
1 自然単キャベッジ
1 5cザーディクリカ
概ね全体分布に応じた結果になっているかなと感じました。
例外的に水闇の「ヴァミリアフミシュナ」系のデッキが2名使用に対して2名ともに予選を突破しています。これはもう、プレイヤーの勝利と言っていいんじゃないでしょうか。
では改めて、それぞれのデッキについて詳しく確認していきましょう。
最強の破壊力! その名はボルシャック
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ikeda-ya ジュニアグランプリ2025 オリジナル構築 |
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【ボルシャック】は最強の破壊力を持つデッキと言えるでしょう。
最大の魅力は《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》による大量のドラゴン踏み倒しです。《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》から革命チェンジで《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》を出すことによって、山札の上の5枚からドラゴンが飛んできます。
そのまま大量のドラゴンで倒し切っていいですし、≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫などを絡めて安全に倒すこともできます。
基本的には《メンデルスゾーン》や《ボルシャック・栄光・ルピア》でマナを伸ばして戦うことになりますが、その後に≪決闘者・チャージャー≫で手札を溜めたり、≪超英雄タイム≫で除去をしたり、《BARUGA-雷座87》などで更にマナを伸ばしたりと、意外と器用に戦えるのも魅力的です。
この大会でも人気が高く、その上で予選を突破したプレイヤーも一番多いデッキでした。人気と実力、両方を備えたデッキと言えるでしょう。
ドラゴンを使いたいというプレイヤーには、一番お勧めできるデッキだと言えます。
ループデッキたちよ、勝利を遂行せよ
今年のジュニアグランプリは、特にループデッキが多い大会でした。まずは【ゼーロ】の解説から始めましょう。
ゼーロデッキは2パターンありまして、自然文明を採用して《天災 デドダム》をプレイできるようにした【4cゼーロ】と、《異端流し オニカマス》や《裏斬隠 テンサイ・ハート》などを採用して相手を妨害する戦術も採れる【光水闇ゼーロ】があります。
その中で今回TOP8に勝ち残ったのは【光水闇ゼーロ】でした。
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ユウト0310 ジュニアグランプリ2025 オリジナル構築 |
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ただしデッキの基本的な動き、狙いは共通しておりまして、《~地獄帰りの騎士~》から《DARK MEMORY CONTAINER》を出して《闇王ゼーロ》を撃つ、というものになっています。
《闇王ゼーロ》さえ撃てれば、後は《戦国接続 ギャラクテスト・シデンシーザー》や《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》に繋がって、そのまま勝てます。
ユウト0310さんのリストだと、フィニッシャーは《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》を採用していて、手札・マナを完全にロックすることで勝利するというものになっています。
それ以外だと《サイバー・J・イレブン / 「みんなと戦えてよかった♥」》を出して特殊勝利を達成するのが一般的ですが、《水晶の祈り / クリスタル・ドゥーム》で相手にドローを繰り返させて山札切れにさせて勝つ、というパターンもありました。
また同じく、【ゼーロ】と同様に人気があったのが【水単サイバー】です。
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かどぴ~ ジュニアグランプリ2025 オリジナル構築 |
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こちらはメクレイドを使う事でデッキからどんどんクリーチャーを展開していき、最終的には《昇カオスマントラ》を進化元にした《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》を作ってループをしていくことになります。
最終的には《~墓碑に刻まれし魔弾の名~》と《シュトラ》によって手札とマナを全て空にしてターンを返し、自分は山札が減らないループを証明することで、相手の山札切れを待つことになります。
《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》がそもそもアタッカーとしても強いので、ループに入れなくてもそのまま攻撃して倒し切れるというのも大きなポイントです。
実際、かどぴ~選手のリストには《魔誕の悪魔デスモナーク》が採用されておりまして、これで《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》で2回攻撃する……というプランも採れるようになっていますね。
デッキとしては最強格なのですが、覚えるループの手順など、覚えることが多く複雑なのもまた事実です。
その中でしっかりと【水単サイバー】を使いこなし、入賞を果たしたプレイヤーは流石に見事と言えるでしょう。
降臨せよ、アルファディオス
さて、今大会で最も活躍したデッキを挙げるとしたら、それは【光水自然アルファディオス】ということになるでしょう。使用者7名に対して、うち4名が予選を突破。うち1名は全勝でした。
そして最終的に、このデッキを使用したRuka jr.さんが優勝しています。
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Ruka jr. ジュニアグランプリ2025 オリジナル構築 |
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このような勝ち上がった要因を分析するならば、戦いを出来たという点でしょうか。
《王導聖霊 アルファディオス》に繋ぐという大きな目標がある中で、序盤はマナを溜めるにしても《天彩の精霊ミルディアス》や《理想と平和の決断》による除去で妨害も出来ます。
また中盤で《王導聖霊 アルファディオス》を引けていなくとも、《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》や《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》でターンを稼ぐという動きがあります。
そして《王導聖霊 アルファディオス》が着地したあとは前述した2体のクリーチャーを《滝川るる&ラフルル ー閃光のヒロインー》などで繰り出すことで、大きく勝ちに持ち込めます。
受けも《ルード・ザーナ》や《宇宙妖精エリンギ》が存在しており、これらはいずれも1枚で逆転できるポテンシャルを持ったカードです。
こうしたデッキ全体のバランスの良さ、戦いやすさといった要素が今回の大会に上手くマッチしており、良い結果に繋がったのだろうと考えています。
王道も強い、邪道も強い
その他のデッキについても、触れていきましょう。準優勝した【自然単キャベッジ】は王道のビッグマナデッキです。ビッグマナとは、言葉通りマナをたくさん増やして戦うデッキのことです。
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どらごん04 ジュニアグランプリ2025 オリジナル構築 |
【自然単キャベッジ】というデッキはギミックの大きな部分を「マナからの踏み倒し」に頼っており、妨害クリーチャーによって止められることも多いです。
そうしたこともあってか、【自然単キャベッジ】を使っていたプレイヤーはそこまで多くはありませんでした。その中で、準優勝と結果を残しました。
これは私見ですが、大量の【火光自然ボルシャック】たちと戦ったときに《地封龍 ギャイア》が強く、少しゆっくりしたデッキも含めて今大会の環境に上手く適応できていたのではないかと考えています。
また、序盤から妨害クリーチャーで盤面を固めてくる……というようなデッキも少なかったですね。
一方で邪道の代表と言えば《轟く邪道 レッドゾーン》でしょうか。
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ゆうきうめ ジュニアグランプリ2025 オリジナル構築 |
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やっていること自体は王道のビートダウンではないか、というツッコミはさておき、こちらもベスト4まで勝ち上がっています。
このデッキの強さについては他の大会でも証明されているところではあり、この大会でもその強さを改めて証明したと言えるでしょう。
ジュニアグランプリの実像~ハイレベルな攻防~
ジュニアグランプリの実像というのは、その場にいないとわからないことも多いはずです。せっかくの機会なので、この大会で私が感じたことを書き残しておこうと思います。会場の雰囲気などは会場風景記事に任せようと思いますので、こちらであくまでゲーム内での出来事にフォーカスしたいと思います。
実際のところ、今大会に参加していたプレイヤーたちは、同世代の中でトップ層……いわば“上澄み”側のプレイヤーであったでしょう。この大会をもって、「これが現在のジュニア層のレベルだ」と言うのは、それはちょっと言い過ぎであるようには思います。
その上での話になりますが、150デッキリストを実際に眺めたところ、たぶん皆さんの想像以上に完成度が高かったです。
それは入賞リストだけに限らず、です。
私がジュニア世代だったときは、「自分の持っているカードを40枚の形にして、デッキとして遊ぶ」ということをしていたのですが、この日に関してはあまりそういったデッキは見掛けませんでした。
リストがあり、目的をもって集められたカードたちによるデッキ同士の戦いが多かったです。
既に他の大会で活躍しているデッキ(例えば上で紹介したデッキ群)ならそれもある程度納得できるのですが、そうでないデッキ……それこそ、使用者数が1のデッキについても、かなり意図がわかるようなリストになっていました。
またプレイについても、全体的にレベルが高かったです。
決勝の様子はそちらのカバレージを確認していただきたいですが、他にも例を挙げると、例えば《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を手出しできるようなマナの準備をしていたりとか、或いは【自然単キャベッジ】相手に《場和了GO-YAMA-58》がキーカードになることを把握して《轟く邪道 レッドゾーン》を敢えて進化させずに横に置いたりとか、相手や状況によってプレイを変化させることに対応しているように思いました。
またサプライズゲストとして魔王軍の◆ドラ焼き選手が登場するシーンがあったのですが、その際の歓声が凄く、デュエチューブリーグなど含めかなり熱心に情報を追っているという印象も受けました。
なおこれは完全に私事ですが、私は昨年のジュニアグランプリでの活躍をみて、《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》入りの【ヘブンズ・ゲート】を考えるようになりました。
ジュニアグランプリという大会が、環境そのものを動かすようになる日も、もしかしたら近いかもしれませんね。
といったわけで少し長くなってしまいましたが、ジュニアグランプリのメタゲームブレイクダウンは以上となります。
デュエル・マスターズはどのようなデッキを作っても使っても自由なゲームです。
貴方の好きなカードと一緒に戦うもよし、強いデッキで勝つもよし。ぜひ心の底からデュエル・マスターズを楽しんでいただければと思います。
©ANYCOLOR, Inc.
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