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DMGP2022Day1 Round 1:デデンネ vs. 舎弟きりたんぽ

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:瀬尾 亜沙子

 ついに、ついにグランプリが帰ってきた。

 参加者、何と3800名弱。会場は東京ビッグサイト。しかも土曜はアドバンス・フォーマット、日曜はオリジナル・フォーマットでそれぞれ開催されるという2日制のグランプリだ。

 2019年10月頭に開催され、カリヤドネループを持ち込んだイヌ科が優勝したGP9thから丸3年。折しもデュエル・マスターズの原作漫画でも主人公が5年半ぶりに交代し、最新パック「伝説の邪神」がもたらす新世代の清冽な気風とともに紙のデュエマが盛り上がりを見せているこのタイミングでの過去最大規模の大型大会開催は、プレイヤーたちの高まりきった熱量を表すかのようだ。

 ちなみに熱戦の模様はデュエル・マスターズの公式YouTubeチャンネル「デュエチューブ」の生配信でも確認できる。

 さてそんな中、唯一放送開始前となる開幕の第1回戦のタイミングでフィーチャーマッチに選ばれたのは、GP8th2日目、超天篇第1弾の発売直後のグランプリで、当時はまだそれほど注目されていなかった《BAKUOOON・ミッツァイル》をメタリカに組み込んだ見事なデッキ構築で頂点に立ったグランプリ・チャンピオン、デデンネだ。

 対戦相手は舎弟きりたんぽ。「#俺フィーチャー」が今回から転じてのTwitter上でのフィーチャー要望アピール企画「#フィーチャーme」では「デュエマフェス2回優勝」と嘯くが、2022年10月1日現在のDMPランキングで兵庫県5位・全国69位の強豪だ。

 シャッフル前に互いの超次元を確認するという、アドバンス・フォーマットならではの仕草も大型大会では久しぶりとなる。

 《最終龍覇 グレンモルト》入りのデッキや《最終龍覇 ボロフ》が入った闇火ドルマゲドンならば各種大型ドラグハート・ウエポンに≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫や《時空の禁断 レッドゾーンX》が数枚入るところだろうが、舎弟きりたんぽが公開したのは《時空の英雄アンタッチャブル》《STARSCREAM -ALT MODE-》などかなり軽めで、どことなく《超次元パワード・ホール》感のある内容。さらに《禁断 ~封印されしX~》も採用しているということは……デデンネほどのプレイヤーならば、この段階で既にデッキの想像がついているかもしれない。

 やがてそれぞれメインデッキのシャッフルに加えて超GRのシャッフルも終え、対戦準備が整った。

舎弟きりたんぽ「えー、めちゃめちゃ緊張する……」

 フィーチャーテーブルでの対戦が許されるのは、3800人の中でラウンドごとに2人ずつだけだ。それだけに、実際に座ってみると独特の空気感と重圧に気圧される部分があるかもしれない。グランプリ王者としてもはや呼ばれ慣れているだろうデデンネならばいざ知らず、多くのプレイヤーにとっては意識しないと緊張で普段通りのプレイができなくなる可能性もある。

 しかしそれだけに、注目を浴びつつも勝てたときの喜びはひとしおだ。

 はたして勝つのはデデンネか、舎弟きりたんぽか。今日一日の好不調を占う、大事な初戦が始まった。

Game


舎弟きりたんぽ「少し考えます」

 ジャンケンで先攻となった舎弟きりたんぽが、5枚の初手を睨みマナチャージを考える。互いの使用デッキが明らかになる1ターン目のマナチャージは、デュエル・マスターズの対戦の中でも最も緊張する瞬間の一つだ。

 そして逡巡の末にマナチャージしたのは……《ストリエ雷鬼の巻》このカードを採用するデッキは、メタゲーム上には1種類しか存在しない。
 すなわち、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》。3ターンですべてのシールドを一度にブレイクしながらそのままダイレクトアタックまで決められる、火単《我我我ガイアール・ブランド》と並んで環境最速のアグロデッキだが、舎弟きりたんぽがそのままターンエンドしたことで、ひとまず先攻3ターンキルの可能性は少し薄くなった。後攻のデデンネとしては一安心といったところだろう。

 一方そんなデデンネの1ターン目のマナチャージは……《堕呪 カージグリ》
 水魔導具。2018年の双極篇終盤で登場して以降、コンボデッキでありながらも浮き沈みはあれど4年にわたってメタゲームの第一線で活躍を続ける息の長いデッキタイプだ。

 《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》を駆る舎弟きりたんぽにとっては「侵略」を封じる《ガル・ラガンザーク》が立つまでが勝負となるため、こうなるとできる限り早く走りたいところ……だが。

舎弟きりたんぽマジかー……

 2ターン目のドローを見た舎弟きりたんぽはそう呟くと、《エボリューション・エッグ》チャージからの《ヘルコプ太の心絵》《轟く侵略 レッドゾーン》を回収、さらに《ストリエ雷鬼の巻》を設置する。一見順調な展開に見えるが、どこかに綻びがあるのか。

 とはいえそれを知る術のないデデンネは《堕呪 ギャプドゥ》チャージから《卍 新世壊 卍》を設置し、ひとまず仮に3ターン目に《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》に走られたとしても逆転しうる目を残す。

 はたして、返す舎弟きりたんぽの3ターン目のアクションは……《冒険妖精ポレコ》チャージ、3マナに手をかけ……しかし思い直して2マナをタップ、《シブキ将鬼の巻》でシールドを回収。《轟く侵略 レッドゾーン》は公開情報で持っているため、どうやら《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》はあるが《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が引けていない様子。

 これを見てデデンネは《MEGATOON・ドッカンデイヤー》チャージから《堕呪 バレッドゥ》を唱え、《堕呪 ゾメンザン》を捨てながら《卍 新世壊 卍》下に敷かないで(・・・・・・・)ターン終了。《ガル・ラガンザーク》の「夢幻無月の門」を予告したプレイで、舎弟きりたんぽにプレッシャーをかける。

 待ちの選択肢がなくなった舎弟きりたんぽは意を決して《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》を召喚し、攻撃に向かわせる。だが「侵略」は《轟く侵略 レッドゾーン》のみで、T・ブレイク。こうなった以上、デデンネにトリガーがないことを祈るしかない。
 だが、3枚のシールドの中からデデンネが公開したのは《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》《ガル・ラガンザーク》が捨てられ、《轟く侵略 レッドゾーン》が破壊されてしまう。

デデンネ「手札1枚ですね?」

舎弟きりたんぽ「1枚です」

 ここから勝勢を意識したデデンネのプレイがにわかに加速する。《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》チャージから《堕呪 バレッドゥ》を唱え、同時に《ガル・ラガンザーク》の「夢幻無月の門」も宣言。
デデンネ「……っし」

 これにより4枚目の魔導具となる《堕呪 ゾメンザン》も無事引き込め、そのまま墓地に送り込んだ結果、《ガル・ラガンザーク》が着地する。さらに《堕呪 ゴンパドゥ》《卍 新世壊 卍》の起動準備も整えていく。

 一方の舎弟きりたんぽは《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》を召喚し、わずかな《禁断 ~封印されしX~》の「禁断解放」の可能性にかけて封印を剥がすが、残る3枚を剥がすまでの距離が絶望的に遠い。

 その《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》もデデンネの手打ち《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》によって破壊されてしまうと、返すターンのドローはよりにもよって序盤に喉から手が出るほど待ち望んでいたはずの《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》で、今となってはマナチャージするしかないのが皮肉だ。

 そしてデデンネはそれを尻目に《堕呪 ゴンパドゥ》《堕呪 バレッドゥ》《堕呪 ゴンパドゥ》とつなげ、ついに《卍 新世壊 卍》の「無月の門99」を宣言する。
 唱えたのは、もちろん《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》

 《凶鬼卍号 メラヴォルガル》2体が着地し、追加ターンのダイレクトアタックが舎弟きりたんぽを介錯したのだった。

舎弟きりたんぽ「なんもできんかった……いやー走れんかった時点で負けなんよなー……ありがとうございました!いやー、バリ恥ずかしい。ふがいなっ!」


Winner: デデンネ

 試合後、2人にそれぞれのデッキ選択の理由を聞いてみた。

舎弟きりたんぽ「個人的に思ってる理由としてですが、闇火ドルマゲドンに対して強く出れるのと、押しつけが強いので仮にトリガーで《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が対処されても返しのターンで基本的に相手は何もできないってこともあって、そうなると1枚残った手札に走れるクリーチャーを抱えておけば追撃ができるんですよね。長丁場なので、そんな感じである程度簡単に握れる山で複雑な考えをしなくていいように選びました」

舎弟きりたんぽ「水魔導具も多いだろうなーと思ってたんですよ。アポロ多いし……ただこのデッキで乗り越えられるような手段は思いつかなくて。だから水魔導具だとわかった瞬間『踏んだー!』と思いました。悔しい!悔しいけど有利不利がはっきりしてるからまあしょうがない……」

デデンネ「調整段階で身内と闇火ドルマゲドンなどの環境上位のデッキとやったときに、環境トップであるガイアッシュ覇道に対してはかなり不利だけれども、それ以外には結構戦えるデッキという結論になりました。ガイアッシュ覇道はおそらく最大母数だけれども、大人数で色々なデッキがいるグランプリでは、ガイアッシュ覇道に最大2回当たって2敗してもそれ以外に勝てるなら7勝2敗で予選を抜けられるだろう、ということで選択しました」

 そういえば、舎弟きりたんぽの2ターン目の「マジか」はどういった意図で発せられた言葉だったのだろうか。

舎弟きりたんぽ初手の5枚が《ストリエ雷鬼の巻》《ストリエ雷鬼の巻》《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》《ヘルコプ太の心絵》《エボリューション・エッグ》で、相手のデッキがわからないのと先攻なので3ターン目ではなく4ターン目に確実にコンボパーツを集められるよう、1コストタマシードでスタートせずに《ストリエ雷鬼の巻》を埋めたんです」

舎弟きりたんぽ「そうしたら相手が水魔導具だった上に引いたのが《進化設計図》で、当初のプラン通り《ヘルコプ太の心絵》を埋めて4ターン目に走るか悩んだんですけど、その場合後手3ターン目《ガル・ラガンザーク》着地の可能性があったので、それを考えたときにやっぱり1コストタマシードをこのターンに置かないとなということで、最悪《轟く侵略 レッドゾーン》で走ることまで考えてプランを変えざるをえない葛藤から思わず声が漏れてしまいました」

 うまくプレイできていたとしても結果が変わっていたかどうかはわからないような難しい判断だったとはいえ、舎弟きりたんぽにとっては少しフィーチャーマッチの緊張に飲まれてしまった感のある結果となってしまった。

舎弟きりたんぽ「みっともない試合した~!」

 だが、予選ラウンドは全部で9回戦。長い一日は、まだまだ始まったばかりだ。

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