DMGP2024-2nd Day2(オリジナル):メタゲームブレイクダウン
ライター:高橋 穂(北白河)
「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」登場の興奮冷めやらぬ中開かれた、DMGP2024-2nd-Day2。結果を見ればこれまでから活躍を続けていた【ファイアー・バード】の優勝となった今大会だが、メタゲームという視点で見ればどんな環境が形成されていたのだろうか。
この記事では、予選を突破した128デッキ、そしてその中からさらに勝ち抜いた16デッキたちから今大会のメタゲームを振り返っていく。
というわけで、早速デッキ分布を確認していこう。
デッキ分布
41 【ファイアー・バード】16 【水闇COMPLEX】
15 【マーシャルループ】
12 【水闇自然マルル】
8 【火光水ゴスペル】
6 【ジョーカーズ】
5 【光水天門】
5 【ボルシャック】
4 【闇王ゼーロ】
4 【闇単アビス】
2 【火水闇バイク】
2 【チェイングラスパー】
8 その他(母数1以下)
圧倒的すぎる【ファイアー・バード】率。2位に二倍以上の差をつけ、なんと全体の約1/3弱を占める結果となった。特定のデッキがここまで高いシェア率となったのは、これまでの大会においてもほとんど例がない。
そしてそこから【ファイアー・バード】と相性がいい【水闇COMPLEX】、突然新型の構築が登場して強豪プレイヤーたちが持ち込んだ【マーシャルループ】、根強い人気のビッグマナ【水闇自然マルル】……という順位で上位層が構築されている。
逆にここより下のデッキは、地力に勝る上位層に駆逐されて大きく数を減らしている……と言えるだろう。
そして、この中で勝ち上がった16デッキを見ると……
6 【ファイアー・バード】
3 【水闇COMPLEX】
3 【マーシャルループ】
1 【火光水ゴスペル】
1 【ジョーカーズ】
1 【闇王ゼーロ】
1 【スノーフェアリーゴスペル】※
(※はベスト128時点で母数1のデッキ)
【ファイアー・バード】が割合をさらに増やし、それについていけたのも上位層だけ……という歪なメタゲームが浮き彫りになる。この時点で「狩られる側」に回ってしまった【水闇自然マルル】に至っては、なんと全滅。他デッキも「かろうじて生き残った程度」の数しか駒を進めることができない結果となった。
あと、下のほうにおそらく読者諸賢も見たことのないであろうデッキの名前も見えるが、こちらについては別途ローグデッキピックアップ記事で紹介予定なのでそちらも参考にしてほしい。
この結果を踏まえて、いくつか注目したいデッキをピックアップしていきたい。
【ファイアー・バード】
ジンジャー DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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まずは(8月の超CS2回に続いて)ぶっちぎりの最大母数デッキであり、優勝も果たした【ファイアー・バード】。有り体に言えば、これまでから「環境の中心」「最強のデッキ」と言われてきた逸品だ。
《雷炎翔鎧バルピアレスク》の追加ターンを交えた決定力と、《ハッター・ルピア》を絡めた最速3キルの上振れ性能、除去・メタ・ハンデスと三拍子揃った妨害……と、環境を完全に定義しきるビートダウンのこのデッキ。母数の多さもさることながら、デッキ出力のアベレージが高すぎて半端なデッキを完全に駆逐してしまっていると言っても過言ではない。
「超CSⅦ広島」では「警戒されすぎて数を減らし、かえってガードが減った結果のびのび動ける」という現象まで引き起こしていたが、今回は逆に「間違いなく最強と目されたうえで、その警戒を踏みつぶして暴れ回った」と言えるだろう。
構築についても基盤はほとんど最初から固まっているが、優勝したジンジャー選手のレシピには粘り強さと爆発力を増す《凰翔竜機マーチ・ルピア》が採用されるなど、さらなる最適化が図られている。
このデッキが「最強」の座から陥落するのは、まだしばらく先となりそうだ。
【水闇COMPLEX】
N0 DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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多彩な妨害と受け札で相手の攻めを受け止め、そして絶対的フィニッシャーの《DARK MATERIAL COMPLEX》で決める……という、いわゆる「受けデッキ」の筆頭と言えるこのデッキ。
その最大の売りは、ビートダウンである【ファイアー・バード】に有利を取れる数少ないデッキであることだ。激増したそちらのデッキを食える存在として、今大会でも存在感を発揮した形となった。
仮想的に合わせて採用する妨害札を変えられるデッキ構成を活かし、最近では《カレイコの黒像》でさらに【ファイアー・バード】を対策していくパターンが増加している。
ビートダウンあるところにその姿あり……というデッキだけに、まだまだ活躍を見せてくれそうだ。
【マーシャルループ】
えむつー DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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今大会のダークホースにして「勝ち組」となったのが、【マーシャルループ】だ。
現在の形のレシピが登場してからまだ1-2週間程度しか経っていないが、その出力とスピード、そして何より大量のトリガーによる防御力を活かして強豪プレイヤーがこぞって持ち込んで話題となった。
基盤そのものは昔から存在するデッキだが、強化のカギは《逆転の影ガレック》。《マーシャル・クイーン》を進化元ごと蘇生可能なトリガーたる彼と《邪魂転生》《学校男 / ゾンビ・カーニバル》などの自壊ギミックを交えることで、完全なループを成立させなくとも半ばチェインコンボのように大量のリソースを稼いでいけるようになったのは見逃せない。
最速《マーシャル・クイーン》からでも完走を狙える3-4キルの速度や【ファイアー・バード】に対抗できるトリガーの量もあり、今この大会での立ち位置だけ見れば非常によかったものと思われる。
半面、今大会においては「わからん殺し」の側面があったことは見逃せない。メタゲーム上に浮上した今、「環境最速のコンボデッキ」として対策される側に回った際にどうなるかはまだ未知数だ。
【水闇自然マルル】
アスベル DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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逆に「狩られる側」に回ってしまい、母数のわりにうまく動けなかったのがビッグマナ系の【水闇自然マルル】。
2マナブースト→《ヨビニオン・マルル》からの《天災 デドダム》による4ターン目7マナムーブの威力は非常に高い……のだが、2ターン目と3ターン目を完全に準備に充てる必要があり、それまでに耐え切るための受けもさほど強くないのは悩ましいところ。
【ファイアー・バード】との相性がそこまでよくないのに加え、こちらの準備中に動き出す【マーシャルループ】の登場や、【水闇COMPLEX】の《カレイコの黒像》で《ヨビニオン・マルル》《天災 デドダム》が妨害されるようになってしまうなど環境的な逆風をもろに受ける形となってしまった。
構造上、対策のための軽量クリーチャーを採用できないこともあって、しばらくは雌伏の時を強いられることになりそうだ。
【火光水ゴスペル】
無視無視ノンノン DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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【マーシャルループ】登場まで環境のコンボデッキの代表だった【火光水ゴスペル】だが、当然こちらも強さは本物。
手札入れ替えをしつつ高速で《水晶の王 ゴスペル》に繋いで必殺呪文を踏み倒す……という基本さえ守れば、多彩な対策呪文や受け札を搭載できるのは見逃せない魅力だ。
特に《最期の竜炎》の登場で幅広いエレメントに対処できるようになったのは嬉しいところ。
最終的に準優勝を果たすなど、柔軟性を武器にすることでまだまだ環境を生き抜いていけることが証明されたといえるだろう。
【ジョーカーズ】
もじゃくぼ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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【ファイアー・バード】に次ぐビートダウンの座に上り詰めたのが、【ジョーカーズ】だ。
最速メタクリーチャーの《ベイビーポンの助》や呪文を封殺するフィニッシャーの《王道の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》といった新規の登場や《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》の殿堂解除などもあり、ハマったときの突破力はまさに驚異的。大量ドローから軽減やG・ゼロを連打して瞬く間にゲームを終わらせることができてしまう。
特に「デュエキングDreaM2024」で獲得した《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》によって主要なクリーチャートリガーをも完封しつつ超打点を叩き込めるようになったのは見逃せない。サンプルレシピでは《シャダンQ》まで採用して運用を狙っているあたりにこのカードの強さが伺える。
総じて「受けに強いビートダウン」という唯一無二の特徴を持つことから、この先【ファイアー・バード】対策のために受けデッキが急増した際にも存在感を放つことができそうだ。
下馬評通りの【ファイアー・バード】の圧倒的な強さと、新型の【マーシャルループ】の登場が大きなポイントとなった今大会。
12月下旬の新パック発売までの約一か月半ほどの環境を占う材料として、「最強デッキを乗りこなすか、乗り越えるか」という選択をプレイヤーに問うているようだ。
今回の結果が、読者諸賢のデッキ選択に新たな閃きをもたらしてくれることを祈っている。
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