DMGP2024-1st :事前メタゲーム総括記事 アドバンス編
ライター:渋谷 直也(シオン)
デーモンオブハイパームーン発売後1週間と環境も落ち着かない中で開催される今大会。アドバンスフォーマットは≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫や《零龍》に加え、超次元ゾーンと超GRゾーンが使用できる。オリジナルと比べ全体的なカードパワーが高い分、派手な展開と多彩な戦略性が魅力だ。本記事では、新拡張パックの影響を考慮しつつ、現アドバンス環境で注目すべきデッキと今大会で予想されるメタゲームついて簡単に解説していく。
アドバンスではオリジナルで紹介したデッキも一部のカードを変えて登場するため、同解説記事のオリジナル編についても是非ご覧いただきたい。
光自然巨大天門
全国大会で使用率が最も高かったデッキだ。アドバンスでは《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》と超次元ゾーンの使用が可能なため、よりデッキパワーと対応力が増している。《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》や《邪帝斧 ボアロアックス》による展開補助、《邪帝斧 デッドアックス》や《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》による除去、≪次元のスカイ・ジェット≫によるワンショットと、もはや《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》でできないことを探すほうが難しいほどである。 オリジナルと同様に《光開の精霊サイフォゲート》の登場で強化されており、ビートダウンデッキに対する勝率を底上げしている。また、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》の龍解条件であるブロッカーの数を稼げたり、《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》を侵略できたりとオリジナルよりもこのカードの影響は大きい。 ただし、全国大会で使用率がNo.1だったように、プレイヤーから意識されているデッキであることに間違いはない。全国大会でも《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》や《キャディ・ビートル》の採用が見られたように今大会でもメタの対象になるだろう。このデッキを使用する際はメタカードにどう対処するのか考えておく必要があるだろう。
光闇火ドルマゲドン
こちらはアドバンス特有のデッキだ。《魔光神官ルドルフ・アルカディア》から早期に大型進化クリーチャーを踏み倒し一気に有利な状態を作り出すプラン、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》で相手に制限をかけつつ《FORBIDDEN STAR ~世界最後の日~》の封印を剥がしていき、カウンターを準備した状態で攻めるプランの2通りが用意されている。前者では最速3ターン目の《魔の革命 デス・ザ・ロスト》着地による全ハンデス、後者では最速5ターン目の《終断χ ベガスランチャー》と《最終龍覇 ボロフ》による禁断爆発と、その最大値の破壊力もなかなかのものだ。 デッキパワーはアドバンスでも高い部類だが、多色カードが多く含まれるデッキのため序盤の安定性に若干の不安が残っている。予選ラウンド数の多いGPであることを考えると、この弱点は少し気掛かりだ。
水火マジック
オリジナルでも使用者が多いデッキだ。アドバンスでは超次元、超GRゾーンの影響は大きくないものの、《禁断 ~封印されしX~》を採用することで《芸魔王将 カクメイジン》の出力を補助している。また、《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を合わせて採用することで《単騎連射 マグナム》へのアクセスルートを増やしている。 アドバンスの他のデッキと比較するとカードパワーは全体的に低水準、しかしその速度は十分に通用する。3、4ターン目の《芸魔王将 カクメイジン》は1度決まれば一方的な展開となることも多い。カードパワーで圧倒できない分、速度を生かして戦うことになるだろう。先ほど紹介した【光自然巨大天門】や【光闇火ドルマゲドン】は強力なS・トリガーを搭載しているため、一筋縄ではいかない。《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》を失ったこともあり、追加のトリガーケアを考える必要がある。全国大会では《ファイナル・ストップ》の採用が見られた。今大会のプレイヤーがどうアプローチするのかも注目だ。
闇火バイク
アドバンス環境で新拡張パックの影響を最も大きく受けたのが【闇火バイク】だ。以前からデッキタイプとしては上位に位置しており、全国大会でも数名が使用していた。【水火マジック】に並ぶ高速ビートダウンデッキで、低コストのコマンドに《禁断の轟速 ブラックゾーン》や《覇帝なき侵略 レッドゾーンF》を侵略させて早期に決着をつけるデッキだ。また、一度攻撃を防がれても二の矢三の矢を放つことで≪伝説の禁断 ドキンダムX≫を開放し、相手のブロッカーやメタクリーチャーを貫通することも可能だ。
デーモンオブハイパームーンで《炎怒の夜 アゲブロム》が侵略元のコマンドとして加わり、これまで以上の攻撃力を手に入れた。 《禁断の轟速 ブラックゾーン》と合わせてシールドを6枚ブレイクできるのはもちろん、単体で2回の攻撃が可能なため《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》などのEXライフ持ちクリーチャーを突破できる。
水闇卍夜
【水闇卍夜】は全国大会で再注目されたデッキだ。《卍夜の降凰祭》から強力な「ドルスザク・クリーチャー」を踏み倒し、最終的に≪龍月 ドラグ・スザーク≫と《ツタンメカーネン》を用いたループで勝利するデッキだ。《零龍》の《墓地の儀》次第では最速2ターン目に《卍夜の降凰祭》を唱えられることもあり、速度も兼ね備えたループデッキとなっている。《卍夜の降凰祭》の踏み倒し先には《ガル・ラガンザーク》や《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》も採用されている。【光自然巨大天門】や【闇火バイク】などの踏み倒しを多用するデッキには《ガル・ラガンザーク》を出すことでループまでの時間を稼ぐことができる。また、【水火マジック】に対しては《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》を出すことで実質的な勝利となる。 デッキとしての使用難易度が高いものの、メタゲーム上の立ち位置とデッキパワーは申し分ないデッキだ。
闇自然アビスロイヤル
オリジナルから代わり映えはしないもののアドバンスにおける【闇自然アビスロイヤル】は見た目以上にそのルールに適応している。すべては《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》の存在によるものだ。《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》や《最終龍覇 グレンモルト》を利用すれば超次元ゾーンのカードを、≪龍月 ドラグ・スザーク≫を利用すれば超GRゾーンのカードまで利用可能だ。超次元ゾーンや超GRゾーンに採用されているカードも《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》や《カット 丙-二式》と噛み合うものが多く、戦況を大きく変えることもある。 全国大会でも数名のプレイヤーがこのデッキで好成績を残しおり、デーモンオブハイパームーンでは強力な新カード、《超霊淵 ヤバーダン=ロウ》も登場した。【闇自然アビスロイヤル】の更なる活躍が期待できるだろう。
以上のデッキが現環境で最重要となるデッキだ。ここからは最重要デッキには一歩およばないものの、それらに匹敵しうるデッキを紹介していく。
その他の注目デッキ
アドバンスのコントロールデッキといえばこの【5cモルト】だろう。オリジナルの同タイプのデッキであった【5cコントロール】は《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》の殿堂入りによって大幅な弱体化を受けてしまったが、こちらは《ドラゴンズ・サイン》を使用しているため健在だ。このデッキの特徴はデッキ名ともなっている《最終龍覇 グレンモルト》の圧倒的なカードパワーだ。1度バトルゾーンに出れば次々にドラグハートを身に着け、数ターン後には1枚でゲームを終わらせるほどだ。
総合的なデッキの性能は【光自然巨大天門】と【光闇火ドルマゲドン】を足して割ったイメージだ。器用なデッキである分、尖った性能は持ち合わせていないので相手のデッキに合わせたプレイスキルが要求される。 《最終龍覇 グレンモルト》を使ったもう1つのデッキが【4cドラグナー】だ。こちらは《最終龍覇 ロージア》も採用されており、《メンデルスゾーン》や《ボルシャック・栄光・ルピア》など、より「ドラゴン」に寄せた構築になっている。
また、4月6日に発売された『ドラゴン娘になりたくないっ!』イェーイめっちゃドラゴン!!では多数の「ドラゴン」が新登場している。強力なクリーチャーも収録されているため、今大会ではこの【4cドラグナー】での活躍が見られるかもしれない。
おわりに
アドバンスは全国大会からの環境の変化が小さいと予想している。そのうえで、全国大会で使用者が多く更なる強化を受けた【光自然巨大天門】の使用者は多くなるだろう。自らも【光自然巨大天門】を使い、その構築で差を付けるのか。それとも【光自然巨大天門】に有利なデッキを使うのか。プレイヤーの選択も気になるところだ。
どちらにせよ、約1年ぶりのアドバンスフォーマットで開催される大型大会だ。参加される方々のデッキ選択が悔いのないものであらんことを。
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