DMGP2025-2nd Day1(アドバンス)決勝Round3:kaisora vs. スクラッパー
ライター:高橋 穂(北白河)
撮影:瀬尾 亜沙子
「日本一デュエマが強いのは誰か?」ともすれば不毛なものにもなりかねない(うえ、筆者のカバレージの冒頭でわりとよく問われる)この問いだが、間違いなくその候補に入ってくるプレイヤーがいる。
GP2024-1st(Day2)チーム戦優勝、GP2024-1st(Day1)3位、2024年上期・2025年上期全国ランキング1位……などなど数々の実績を現在進行形で積み上げ続けている男、kaisoraだ。
DTL新チーム「シモカワ・ゴールデン・ラビッツ」のメンバーとしてユニフォームを背負った彼が駆るのは、【光水自然der’Bande】。
攻撃時に呪文を踏み倒せる《俳句爵 Drache der’Bande》と優秀な妨害効果持ちクリーチャーを駆使し、多彩な攻め手で連続攻撃を叩き込むこのデッキは、新進気鋭ながら(決勝開始時点で)全体の約30%が使用するというまさしくトップメタデッキ。
そんな新たなデッキのパワフルさに、日本最強の使い手の練度が乗ったとなれば、ここまで勝ち上がってきたのも納得だ。
しかしそんな彼にここで相対するのは、あるデッキをひたすら磨き続けるというある意味kaisoraと真逆の道を選んだ男……スクラッパー。半年前のGP2025-1stから彼が使い続けているのは、【無色ジョーカーズ】だ。トーナメント環境ではあまり見ないデッキ(実際に、決勝におけるこのデッキの使用者は彼一人だ)ではあるが、昨今のジョニー関連カードのプッシュにより着実にその力を増している。
《ベイビーポンの助》《万能バンノー》《ポクチンちん》といった優秀かつ多彩なメタ(妨害)クリーチャーに、《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》によるリソース確保。そして何より《ジョット・ガン・ジョラゴン》《ジョギラゴン&ジョニー ~Jの旅路~》を絡めた突然のビッグムーブや即死ループ等も兼ね備えており、その爆発力は折り紙付きと言えるだろう。
さらにスクラッパーの構築はアドバンスに向けて独自のチューンがなされた、長年の研究の結晶と言える逸品。《13番目の計画》を採用してデッキを45枚にすることで、キーパーツの盾落ちや道中で引きたくないコンボパーツ等を引く確率を減らしつつ、《神聖斬鬼 アシッド・テクノ》等で引っ張ってこれる少数積み枠も同時に捻出する……という、この大会に向けての最適化ぶりには驚くばかりだ。
環境の変化によりメタの質が変わり、こちらの動きを通しやすくなった……と彼はのちに語ってくれた。実際に予選を8-1という好成績で駆け抜けたという事実が、その言葉と選択の正しさを証明している。
そんな正反対と言えるデッキ選択の二人だが、試合前の雰囲気は驚くほど気さくで親しげなものだ。見せあった超次元ゾーンの「使わない部分」のチョイスについて雑談したり、予選での順位を笑いながら話し合うのを見ていると、まるで店舗大会やデュエマフェスの途中であると錯覚してしまいそうなほど。
……しかし、ここはGPの決勝トーナメントであり、彼らはその中で勝ち残ってきた飛び切りの強者なのだ。
ここで勝利を手にし、ベスト16に駒を進めるのははたしてどちらか。
Game
先攻:スクラッパー
このゲームのファーストムーブは先攻2ターン目、スクラッパーによる《透明妖精リリン / 妖精のプレリュード》のクリーチャー面の召喚。これに早出しの気配を感じたか、kaisoraは《洗打の妖精》で応えてコスト軽減による高速展開に睨みを利かせる。
この選択は結果的に大正解だった。返しのターンにスクラッパーが召喚したのは(早期定着すれば一気に有利になっていたはずの)《万能バンノー》だったが、これは1ドローだけをもたらして手札に戻ることとなる。
1ターンの猶予を得たkaisoraだが、すぐに走り出せる手札は入っていない模様。《ネ申・マニフェスト》で手札を整え、走り出せる時を待つにとどめる。
この隙を逃すわけにはいかないスクラッパーは、≪透明妖精リリン≫《万能バンノー》《ポクチンちん》と一気に展開。《俳句爵 Drache der’Bande》を走らせない布陣を作りつつ、《キユリのASMラジオ》《心転地と透幻郷の決断》等による多面展開の牽制も行い盤石の態勢だ。
二重に動きを封じられたkaisoraは熟考。スクラッパーの手札が2枚しか残っていないことを確認したのち、《心転地と透幻郷の決断》をドローと除去(《万能バンノー》がマナに送られた)のモードで使用して、リソースを溜め込みつつ切り返しを図る。
今度は次のターンに《俳句爵 Drache der’Bande》を走らせたくないスクラッパーが考える番。ドローを見て首を傾げつつ6マナまでマナを伸ばし、《ポクチンちん》を手札に戻しながら《ジョット・ガン・ジョラゴン》を召喚する。
この《ジョット・ガン・ジョラゴン》はすぐに《洗打の妖精》で手札に戻るが、今回収した《ポクチンちん》を出しなおすことでkaisoraの墓地を掃除して、墓地利用系カードへの牽制としてターンを返す。《洗打の妖精》の妨害の旬が過ぎつつあり、さらなる妨害を行うか走り出すかの選択を迫られたkaisora。
手札を眺めつつマナのカードを3枚タップし……そこからしばし考えたのちに選ばれたのは《天彩の精霊ミルディアス》の召喚。≪透明妖精リリン≫をバウンスでどかしつつマナを伸ばし、残った2マナで《ネ申・マニフェスト》の上に《一音の妖精》を進化させ、シンカパワーで選ばれない妨害としてさらに待ちの体勢を整える。
しかし、クリーチャー・呪文ともに1枚までという制限がかかっても、スクラッパーのやることは変わらない。マナを伸ばして前のターンに予告していた《ジョット・ガン・ジョラゴン》を召喚すると、攻撃時に手札から《燃えるデット・ソード》の効果をkaisoraめがけて発射する!
思わずカードテキストを確認したkaisoraは苦い顔。この処理はあくまで《ジョット・ガン・ジョラゴン》の効果の一部なので、事前に用意した妨害は効かない。1:6交換をもたらすこの弾丸はスクラッパーには新鮮な手札を与えるとともに、kaisoraのマナ・手札・そしてバトルゾーンの《一音の妖精》を同時に貫いた。そのまま攻撃は通り、2枚のブレイクの中にトリガーはなし。確保したリソースにより言外にラストターンを突き付け、スクラッパーはターンを返す。
こうなっては、kaisoraにもはや猶予はない。幸いにも、6ターン目までゲームを長引かせたことと、先ほどのブレイクによってリソースは回復している。ならば……全力で走りきるしかない!最も確実なリーサル(決着)へのルートを考えたのち、満を持して登場したのはデッキの主役である《俳句爵 Drache der’Bande》……しかも2枚!
それぞれ《ネ申・マニフェスト》と《洗打の妖精》の上に進化したことで、片方はシンカパワーで選ばれずブロックもされないという半無敵状態となった。まず《天彩の精霊ミルディアス》で攻撃してスクラッパーのシールドを1枚刻むと、次の《俳句爵 Drache der’Bande》の攻撃時に《キユリのASMラジオ》をマナから踏み倒す。
その招集に応えて山札からやってきたのは、《ネ申・マニフェスト》2体!
彼ら自身はすぐに《ポクチンちん》で山札に帰っていくが、今は出たとき効果でもたらす手札が何より重要。合計6枚もの新鮮なカードを見れば、確実に詰め切るための手段はもはやすべて手に入るといっても過言ではない!贅沢すぎる手札入れ替えの処理が終わり2枚のブレイクが通ると、最後に待ち構えているのは選ばれないほうの《俳句爵 Drache der’Bande》。
攻撃時に《煙幕の聖沌 k3mur1 / 聖沌忍法 メカくしの術》の呪文面を踏み倒してアンタップしつつ最後の2枚のシールドを割り切ったのち、ダメ押しの《心転地と透幻郷の決断》による2面除去を添えたダイレクトアタックをスクラッパーに突きつけた。
Winner:kaisora
|
kaisora DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
|
|
|
スクラッパー DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
|
|
©ANYCOLOR, Inc.
TM and © 2025, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY










