2019年度日本一決定戦事前メタゲーム総括記事:オリジナル編
ライター:清水 勇貴
度重なる開催延期を乗り越えて、いよいよ今週末に迫ったデュエル・マスターズ2019年度日本一決定戦。この記事は、日本一決定戦を観戦する皆さまへ向けて、現在のメタゲームと、注目すべきデッキについて簡単に解説したものです。
先んじて公開されたアドバンス編に引き続き、今回はオリジナル編。
オリジナルフォーマットとはデュエル・マスターズの歴史の中で幾度かに渡って追加されてきた外部ゾーンやゲーム開始時からバトルゾーンに置かれる特殊なカードを一切使用せず、メインデッキの40枚のみで戦うルール。
ドラグハートや超GRクリーチャーが使えないことで、また一味違ったゲーム性になっています。
それでは、まずは現在のメタゲームから振り返っていきましょう!
メタゲーム概観
現在のオリジナル環境は、一言でいえば「群雄割拠」。多数のデッキが最前線でしのぎを削りあう混沌としたメタゲームです。ありとあらゆるデッキが活躍する複雑な環境ですが、その中でも全体として大きく3つのデッキタイプによる三すくみが形成されています。
ひとつ目が、「素早くシールドを割り切って決着を目指す高速ビートダウン」。
【火単ブランド】や【モモキングダム退化】、【火自然アポロヌス】に代表される、3ターンから4ターンでの決着を狙うデッキタイプです。
いずれも1、2枚の単体を止める防御手段は簡単に乗り越えるだけの火力があり、警戒の薄いデッキであれば容易に押し切ってしまえるのが最大の強みです。
ふたつ目が、ビートダウンを抑え込む「受け手段の豊富なミッドレンジ〜コントロール」。
ミッドレンジに近いデッキとしては【5cコントロール】や【ガイアッシュ覇道】が、より防御力に特化させたデッキとしては【光闇火ライオネル.Star】や【マッド・デッド・ウッド】、【天門ディスペクター】が挙げられます。
もちろん個々のデッキによって強みと弱みがあるものの、それぞれに傾向が存在するのは事実です。
ミッドレンジ寄りのデッキは強烈に対戦相手へ干渉するビッグアクションを4ターン目〜5ターン目に用意しやすく、攻撃的なデッキだけでなく受けに寄せたデッキやコンボデッキに対しても一定の勝率を確保できるのが強み。
その分噛み合い次第ではビートダウンデッキに貫通されることも多く、良くも悪くもバランスのデッキだと言えるでしょう。
防御力をさらに高めたデッキ群は、文字通りとにかく堅牢な受けが最大の魅力。
王来MAXから加わったタマシード、特に多くの場面で1打点以上を止められる《ヴィオラの黒像》の恩恵が受け主体のデッキにとっては多大です。
呪文やクリーチャーの召喚をロックしてから攻撃してくるデッキすらも受け止める防御力は、それだけでひとつのアピールポイントになるメリットです。
最後にみっつ目が、「防御的なデッキの受け札を無視して勝てるコンボデッキ」です。
速度自慢の【スコーラー】を筆頭に、【チェイングラスパーキリコ】や新進気鋭の【キリコ³】などが環境で活躍中です。
いずれもライブラリアウトや特殊勝利を最終的な勝ち手段に据えており、S・トリガーをはじめとした相手の受け手段を貫通できるように構成されています。
デッキタイプによって最速でコンボを決めることに腐心するいわゆる「オールインコンボ」からボードコントロールや受け手段も搭載してゲームメイクしながらコンボを狙う構築まで幅がありますが、超高速で強烈な打点を叩き込んでくる高速ビートダウンには強く出づらい傾向にあります。
環境の大枠としてはこの3つを中心に流動していますが、現在のオリジナル環境にはこの枠組みからは少し離れた位置で独自の立ち位置を築いているデッキも活躍中です。
その代表的な例が、2種類の【墓地退化】と【水魔導具】。
【墓地退化】は水と闇の2色をベースに、第3色として自然を採用するか光を採用するかでデッキの構築が大きく分岐。
詳細な違いは後述しますが、自然を採用した構築はマナが伸びるため妨害に強く、コンボ成立が遅れやすいため高速ビートダウンは少し苦手。
光を採用した構築は防御力に優れておりビートダウンにも立ち回りやすい分、墓地メタやハンデスといった妨害手段には脆くなっています。
そのほかにも細かな違いはありますが、どちらにも共通するのは「4〜5ターンでの《竜魔神王バルカディア・NEX》を絡めた強烈なフィニッシュ」。
ジャストダイバーで選ばれなくなりながら襲いくる《禁断竜王 Vol-Val-8》とのセットは極めて強力で、《竜魔神王バルカディア・NEX》の呪文ロックと合わせて強烈な貫通力を誇ります。
その一方でタマシードを止める手段はなく、《ヴィオラの黒像》から展開を作られれば受け切られることもしばしばあるのが共通の弱点です。
【水魔導具】は《卍 新世壊 卍》による呪文ロック貫通・ハンデス耐性が最大の持ち味となるスペルコンボデッキ。
多くのコンボデッキが苦手とする要素に対して抗う手段を持ち、【モモキングダム退化】や【火自然アポロヌス】に対して《ガル・ラガンザーク》という切札を有しているのが強みです。
その一方で、勝ち筋そのものは《凶鬼卍号 メラヴォルガル》のシールドブレイクに依存している点は明確なネック。
本来コンボデッキが有利を取れるはずの防御的なデッキに対しても、S・トリガーの踏み方次第ではあっさりと負けてしまう危険性があります。
防御力に特化したデッキの中でも【マッド・デッド・ウッド】や【光闇火ライオネル.Star】はこれらの「最終的にシールドをブレイクして勝つコンボデッキ」を仮想敵として構築されており、大枠の流れとは相性関係が逆転しています。
他にもいくつかのデッキで個別のカードチョイスによって相性が逆転している例があり、一概に環境の流れを読み切れないのが現在のオリジナル環境です。
では、ここからはオリジナル環境の中でも選りすぐりの注目デッキについて紹介していきます!
デッキ紹介
【火単ブランド】
サンプルデッキ 火単ブランド |
|
1ターン目、2ターン目とテンポよくクリーチャーを繰り出しつつ、3ターン目ないし4ターン目に軽量クリーチャーを口火として《我我我ガイアール・ブランド》や《“罰怒“ブランド》を召喚。
時として2ケタにも到達するほどの猛烈な打点を作り上げ、速やかに勝利を狙う環境屈指の速攻デッキです。
【火単】系速攻デッキらしく単純な速度も驚異的ですが、《カンゴク入道》や《斬斬人形コダマンマ GS》によるリソース力を活かした「タメ」性能の高さも現在の【火単ブランド】の魅力。
無理に3ターン目の決着を狙わず、4ターン目に10打点以上を形成して物量で押し切る作戦も取りえます。
……と、ここまではアドバンス環境と全く同じ点。
オリジナル環境で2マナ域に採用されるのは、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》や《こたつむり》といったメタクリーチャーたちです。
《》の呪文側や各種革命チェンジ、クリーチャーのコスト踏み倒し全般を幅広く止められる《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》に、【火単ブランド】同型や【モモキングダム退化】、【墓地退化】系デッキのスピードアタッカー・進化クリーチャーへ待ったをかけられる《こたつむり》。
これらのカードの存在と《カンゴク入道》のもたらすリソースを合わせれば、メタビートのようにゲームを引き延ばしながら2種の「«ブランド»」を引き込むまで粘ることもでき、立ち回りの幅が広がります。
中でも《こたつむり》はメタ能力以外の部分が優秀。
4ターン目まで持ち込めばW・ブレイカーになり、ビートジョッキーなので《一番隊 チュチュリス》で軽減も可能。殴り手として非常に頼れる1枚です。
複雑な搦め手こそないものの、少しのメタ要素と純粋な瞬間火力の高さのみで他のデッキを蹂躙するに足るだけの実力を有する、現在のオリジナル環境において最強格のデッキです。
しかしながら、日本一決定戦は、全国から選りすぐられた精鋭のみが集う舞台。環境トップをひた走る【火単ブランド】は熾烈なマークを受けることでしょう。
【火単ブランド】包囲網が成るか、それとも【火単ブランド】がそれを突き抜けるか。
強豪たちの選択はいかに。
【5cコントロール】
サンプルデッキ 5cコントロール |
|
|
【5cコントロール】には《ドラゴンズ・サイン》を主軸にした構築と«ナウ・オア・ネバー»
を主軸にした構築の2種類がありますが、今回は多数派を占める«ナウ・オア・ネバー»軸の構築を中心にご紹介いたしましょう。
《天災 デドダム》や《フェアリー・ミラクル》といった良質なマナ加速で4ターン目に5マナを揃え、«ナウ・オア・ネバー»から《龍風混成 ザーディクリカ》や《ソーシャル・マニフェストⅡ世》をプレイ。
コスト7以下の呪文を踏み倒す能力で《ロスト・Re:ソウル》を高速で押し付けゲームを掌握する、コントロールとミッドレンジの中間に位置するデッキです。
最速で4ターン目にゲームを制圧する必殺の一撃を持ちながらにして、豊富な受けトリガーやG・ストライクのおかげで高水準な防御性能が保証されているのが最大の特徴。
《》や《希望のジョー星》、《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》といった対策カードも採用しやすく、メタゲームに合わせた構築変動もお手の物です。
尖りきった強みはないものの総合的なバランスに秀でており、大きく不利の付く対面がほとんど存在しない環境の優等生です。
唯一明確に弱点と言えるのが、呪文ロックへの耐性の低さでしょう。特に速度面で上を取られ、大打点で襲いかかってくる【モモキングダム退化】の《アルカディアス・モモキング》に対しては非常に苦戦を強いられます。
ただし、《ドラゴンズ・サイン》を主軸にした構築であれば話は別です。
そちらであれば《アルカディアス・モモキング》で止まらない光文明の《ドラゴンズ・サイン》や、《アルカディアス・モモキング》のT・ブレイクに対して「革命2」でS・トリガーを得て切り返せる《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が標準搭載されています。
貫通できない受け札がかなりの数採用されているため、十分にリソース回収できていない【モモキングダム退化】であれば、受け切ることも難しくはありません。
このように、メタゲーム次第では《ドラゴンズ・サイン》軸の【5cコントロール】が活躍することも十分に考えられます。
ミッドレンジ、コントロール、コンボデッキが多い環境であれば、4ターン目に《ロスト・Re:ソウル》を打ち込める成算が高い«ナウ・オア・ネバー»軸の構築が。
ビートダウンデッキが多い環境であれば、《ドラゴンズ・サイン》を起点とした連続展開でカウンターを狙いやすく、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》+《百族の長 プチョヘンザ》のパッケージでバトルゾーンを制圧しやすい《ドラゴンズ・サイン》軸の構築が。
【5cコントロール】という大枠のデッキタイプがどれほど持ち込まれるかだけでなく、プレイヤーたちがどちらの【5cコントロール】を選択したのかにも注目です。
【水闇自然墓地退化】
サンプルデッキ 水闇自然墓地退化 |
|
|
《竜魔神王バルカディア・NEX》に代表される重量級クリーチャーを進化元に墓地進化クリーチャーを召喚。のちにカード指定除去でそのクリーチャーの一番上のカードだけを除去することで進化元となった巨大なクリーチャーをバトルゾーンに残す、「墓地退化」ギミックをメインとするデッキです。
墓地進化クリーチャーやその進化元が持つ闇文明と、手札調整やカード指定除去の代表格である《龍脈術 落城の計》を有する水文明の2色を基調とする【墓地退化】系デッキ。
このデッキはそこに自然文明を取り入れた発展形です。
進化元を墓地に落としてから墓地進化+《龍脈術 落城の計》の流れは変わらず、《天災 デドダム》や《地龍神の魔陣》といったマナ加速手段によって、1ターン内の行動回数を多く確保できるようになっています。
《Disジルコン》、《絶望と反魂と滅殺の決断》などの手札外からプレイできるカードが多く採用されていることも合わせて、妨害手段への耐性は劇的に増加。
ハンデスや墓地対策を受けても素早く体勢を立て直しやすく、《絶望と反魂と滅殺の決断》を絡めたハンデスプランも選択肢になりうるのが、自然文明を採用する最大の利点です。
また、追加の退化パーツとして採用される《ロイヤル・ドリアン》はクリーチャーであるため呪文ロックを貫通できるほか、スター進化クリーチャーが多数活躍するオリジナル環境では受けトリガーとして機能することもあります。
基本となるフィニッシュは《竜魔神王バルカディア・NEX》+《禁断竜王 Vol-Val-8》の【墓地退化】黄金パターン。
タマシードの活躍や《一王二命三眼槍》の流行によってこれだけで詰めきれない場面は徐々に増えているものの、それを差し引いても十分に強力なフィニッシャーです。
メタ耐性が高く、プレイ次第で幅広い対面と戦える万能型のデッキですが、唯一の懸念は高速ビートダウンデッキにやや脆い部分がある点。特に【火単ブランド】の猛攻を凌ぎ切るには適切なタイミングでのG・ストライクが必要不可欠です。
数多くのデッキがひしめくメタゲームでは活躍しやすい【水闇自然墓地退化】。使用デッキが狭まりやすい日本一決定戦のフィールドでは、どのような活躍を見せてくれるでしょうか。
【光水闇墓地退化】
サンプルデッキ 光水闇墓地退化 |
|
|
同じく【墓地退化】系デッキとしては、【光水闇墓地退化】も大いに活躍中。
王来MAX第1弾で《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》を獲得して成立したカラーリングです。
【水闇自然墓地退化】と違ってマナ加速がない分、動きは水闇の2色で構築されていた頃のものに近く、2ターン目、3ターン目と連続で手札交換カードをプレイし墓地を準備。
4〜5ターン目に墓地退化コンボを決めて決着を狙います。
《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》は待望の追加カード指定除去。
退化コンボパーツ、メタカード除去、自分のトリガークリーチャーの埋め直し、G・ストライクと1枚に役割がぎっしり詰め込まれており、単なるコンボパーツには止まらない活躍を見せてくれます。
特に「自分のトリガークリーチャーをシールドに埋め直す」動きのおかげで、このデッキの防御力は大きく高まっています。
ケアしづらいS・トリガー《終末の時計 ザ・クロック》を再度埋め直せば確実に2ターンを稼げる対面も多く、【水闇自然墓地退化】とは打って変わってビートダウンデッキに対しても立ち回りやすい点が最大の特色です。
一方で、マナが伸びないこともあって墓地対策やハンデスにはめっぽう弱く、妨害を受けると脆い点が大きな弱点。
得意と不得意がはっきりしており、メタゲームの予想次第では【光水闇墓地退化】を持ち込むプレイヤーがいたとしても不思議ではないでしょう。
【モモキングダム退化】
サンプルデッキ モモキングダム退化 |
|
|
進化ではないレクスターズが出るまで山札をめくり、そのレクスターズを進化元として登場する進化クリーチャー、《禁断英雄 モモキングダムX》。
その性質上デッキに1種類しか非進化レクスターズが採用されていなければ確実にそのクリーチャーを進化元にできるため、《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚してから自分のクリーチャーをバトルゾーンから離すカードを使うことで、間接的に山札から特定の非進化レクスターズを踏み倒すことができます。
このコンボを活用して素早く着地させるのが、《未来王龍 モモキングJO》。このクリーチャーは、攻撃するたびに名前に«モモキング»とある進化クリーチャーを踏み倒して進化し、攻撃の終了時に自身の一番上にあるカードを墓地に置くことでアンタップする能力を持っています。
手札に進化「«モモキング»」があればあるだけ連続で攻撃できるこのカードを主軸に、《進化設計図》などで手札に進化「«モモキング»」を貯め込んでから一気に殴り切ってしまうのがこのデッキのコンセプトとなるギミックです。
高速ビートダウンでありながら攻め一辺倒ではなく、《キャンベロ <レッゾ.Star>》や《アルカディアス・モモキング》といったロック手段で相手を妨害できるのがデッキとしての明確な強みとなっています。
オリジナル環境は単体による連続攻撃を止める手段がアドバンスと比較して多く、タマシードを使用した受け主体のデッキにあっさり止められてしまうこともしばしば。
手札事故のリスクも決して低くないなど弱点もいくつかあるものの、上手く動けた【モモキングダム退化】の出力の高さには目を見張るものがあります。
最大値の高さに惚れ込み、このデッキを選択する選手がいてもなんらおかしくはないでしょう。
【4cガイアッシュ覇道】
サンプルデッキ 4cガイアッシュ覇道 |
|
|
対戦相手のコスト踏み倒しに対応して飛び出し、2ドローとコスト10以上のクリーチャーのコスト4軽減をもたらしてくれる《流星のガイアッシュ・カイザー》。
このカードで大幅に軽減された《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を叩き込み、Exターンを獲得していくのがこのデッキのメインギミックです。
アドバンス環境と同じく、オリジナル環境では《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を綺麗に受け止められるカードが限られています。
《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を採用するデッキが少ない分、ともするとアドバンス以上。コンボが決まった際の貫通力は十分すぎるほどですので、デッキのコンセプトに据えるには申し分ない強力さでしょう。
基本的にはこれら2枚がそれぞれ有する水/火/自然の3色で構築される【ガイアッシュ覇道】でしたが、オリジナルではここに闇を加えた4色のデッキが活躍中です。
闇文明を加える利点は《天災 デドダム》、《ロスト・Re:ソウル》、そして何よりも《一王二命三眼槍》。
【墓地退化】デッキのトリガーでは受け切れないフィニッシュブロウや【光闇火ライオネル.Star】に採用される《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》のメテオバーンにも手札1枚で切り返せる環境に噛み合った受け札です。
受け手段は多ければ多いほど相手の攻勢を凌いで《流星のガイアッシュ・カイザー》の自己踏み倒しへと繋げる動きの再現性が上がるため、その意味でも複数枚採用する価値は高いカードでしょう。
また、《ロスト・Re:ソウル》の追加も大きな特徴です。
【5cコントロール】のように4ターンで叩きつける法外なムーブはないものの、順当にマナを伸ばして5ターン目に相手の選択肢を根こそぎ奪うだけでも十分強力。
このカードもG・ストライクを持っており、入れるだけで受けの枚数をある程度確保できる点もデッキと噛み合っています。
コスト踏み倒しを一切用いないため《流星のガイアッシュ・カイザー》でのカウンターを狙えない【火単ブランド】、先んじて《ロスト・Re:ソウル》を叩き込んでくる【5cコントロール】と環境の2トップに対して脆い点はやや気になるものの、それ以外のデッキと幅広く勝てるデッキとして注目が高まっています。
【スコーラー】
サンプルデッキ スコーラ― |
|
|
序盤から大量のドローソースや手札調整カードを連打して準備を整え、4ターン目以降にノーコストで唱えられる《月下旋壊 ド・リュミーズ》を絡めながら呪文を連打。
合間に《超宮兵 マノミ》での手札補充を挟みつつ呪文5回を達成して《次元の嵐 スコーラー》でExターンを獲得したのち、«魔導管理室 カリヤドネ»で《堕呪 ウキドゥ》を無限ループさせて山札切れで勝利するスペルコンボデッキです。
デッキのほぼ全てを4〜5ターンで決着するコンボの再現性に振り切っているため、自分より遅いデッキ全てに強く、自分より早いデッキ全てに弱いのが最大の強みであり最大の弱みです。
【火単ブランド】や【モモキングダム退化】といった日本一決定戦でも活躍が予想されるデッキに明確な不利が付くため持ち込むリスクは非常に高いですが、実際のメタゲーム次第では大盤狂わせも起こしうるデッキタイプだと言えるでしょう。
【水魔導具】
サンプルデッキ 水魔導具 |
|
|
《卍 新世壊 卍》を展開した状態で水文明の魔導具呪文を4回唱えて、ターン終了時に無月の門99で《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》をコストを支払わずに詠唱。
《凶鬼卍号 メラヴォルガル》を複数体バトルゾーンに送り込み、シールドを大量にブレイクしながら追加ターンを取ってゲームを決着させる、専用ギミックを詰め込んだコンボデッキです。
【水魔導具】を語るうえでは、何よりも《卍 新世壊 卍》というフィールドが非常に重要でしょう。
このカードが存在する限り水魔導具呪文を唱えるたびに1枚ドローができ、呪文のプレイをロックされていても水魔導具呪文だけは妨げられません。
《卍 新世壊 卍》の存在によって、ハンデスや呪文ロックといったコンボデッキによく用いられる妨害手段のほとんどを機能させずにコンボデッキとして独自の立ち位置をキープしつづけています。
また、《ガル・ラガンザーク》の高速着地を狙えるのも、特定の対面に非常に有効。
特に【モモキングダム退化】はまともな除去手段すらほぼなく、登場した時点で即詰みかねないほどの劇的な効力を発揮します。
水魔導具のみでデッキを構築した場合、複数体のクリーチャーを止める手段をほとんど持たないため、複数体の小型クリーチャーでビートダウンしてくる【火単ブランド】はやや苦手な部類。
その他の環境上位デッキに対しては満遍なく互角以上で戦えるため、日本一決定戦においては密かに立ち位置が良さそうなデッキとして個人的に注目を寄せています。
総括
今回はオリジナル環境の大まかな形と、現在のオリジナル環境で活躍するデッキの中でも注目度が高い8つのデッキについて紹介しました。個別のデッキ解説でも触れていますが、日本一決定戦のように強豪のみが集まる大会は、日頃開催されているCSとは異なり、極めて偏ったメタゲームを形成することがままあります。
現在のオリジナル環境はデッキ数が多いため一概には言えないものの、環境最上位と目される【火単ブランド】は間違いなく本大会最大の台風の目となるでしょう。
参加する選手たちの多くが、まず「【火単ブランド】を使うか、【火単ブランド】を対策するか」という二者択一からスタートしたことは想像に難くありません。
果たして、47人の出場者のうち、何人が【火単ブランド】を駆り、何人が【火単ブランド】に立ち向かうのでしょうか。使用デッキの公開が、今から待ち遠しいですね。
この記事が、日本一決定戦当日の生配信やテキストカバレージをご覧になる際の一助となれば幸いです。それでは!
TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY