超CSⅥ福岡 決勝Round 4:レインボー vs. たぐ
ライター:原田 武(たけじょー)
撮影者:瀬尾 亜沙子
レインボー「椅子やわらかいし机広いし……テンション上がりますね!」
たぐ「ジャオウガが見てるのもテンション上がるっす!」
初っ端からフィーチャーテーブルならではの会話に花を咲かせる選手が二人。レインボーとたぐだ。
レインボーは今季の埼玉県DMPランキングで13位、たぐは開催地・福岡のランキングで4位につけている。二人がこの場で自然体でいられるのも、踏んだ場数の賜物だろうか。
とはいえ、彼らが挑むのはベスト8を決める一戦。いつも以上に多くのものがかかっている。レインボーもたぐも、目は笑っていない。興奮か、緊張か、あるいは。
予選順位によりたぐが先行であることを確かめ、試合が始まった。
Game
先行のたぐのマナチャージは《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》! たぐ「おわり」「相手がバトルゾーンのカードを選ぶ時、かわりに自分が選ぶ」。他に類を見ないテキストにより話題になった、新進気鋭のデッキ【闇火COMPLEX】のキーパーツだ。
対するレインボーのマナチャージはじっくり迷った末の《芸魔王将 カクメイジン》。こちらはすっかり環境トップとして定着した【水火マジック】だろう。
火力の高さと再現性、プランの柔軟性に継戦能力……デッキとしてのパワーが頭抜けている【水火マジック】に対して【闇火COMPLEX】が用意した対策はメタカード+《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》の組み合わせ。
たぐの場合《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》と《ルピア炎鬼》で〈革命チェンジ〉を牽制し、飛んでくる除去を《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》で不死身の《DARK MATERIAL COMPLEX》に誘導する構築となっている。 ただし、【闇火COMPLEX】に【水火マジック】の猛攻を受け切るだけのS・トリガーは投入されていない。たぐが体勢を整える前にレインボーが仕掛けることができるかが、勝負の分かれ目となりそうだ。
2ターン目、たぐは《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚。「(《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》)いてくれよー」と呟きながら山札をめくっていき、無事に発見。《禁断英雄 モモキングダムX》の下に置く。対するレインボーは《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》召喚でターン終了。
《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に繋がり得るこの≪歌舞音愛 ヒメカット≫は見過ごせない。返しのターンでたぐが使ったのは《バッドドッグ・マニアクス》! 《禁断英雄 モモキングダムX》と≪歌舞音愛 ヒメカット≫を破壊し、それによって《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》が姿を現す!
残るマナで《曲輪!ンプスvs.ブルトゥーラ》を召喚してデコイ(おとり)とし、ターンを終えるたぐ。レインボーの起点を叩きつつ、自分の動きを進めて見せた。
≪歌舞音愛 ヒメカット≫の除去とブロッカーである《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》登場により攻め込めないレインボー。一方、たぐの布陣は完成しつつある。あとは《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》か《ルピア炎鬼》、そして切札たる《DARK MATERIAL COMPLEX》を揃えればいい。
これはたぐのペースかと思われたその時、レインボーが口を開いた。
レインボー「手札、今一枚ですよね?」
……そう、たぐの手札は残り一枚。先行を取ったことに加え2.3ターン目の使用カードの多さ、そしてドローソースたる《雪溶の鎖 / 堕牛の一撃》や《スプーン=ンプス》が絡んでいないことが原因で、既に手札のリソースが尽きかけていたのである。 それを見逃さなかったレインボーは続くターンで《氷柱と炎弧の決断》を使用、ドロー効果を2回選択する。短期決着ができないなら長期戦。【水火マジック】の持ち味の一つ、継戦能力を活かそうというプランだ。
アテの外れたたぐは4ターン目を迎えてバトルゾーンに《ルピア炎鬼》を追加するものの、これによって遂に手札を使い切ってしまう。
たぐ「リソースほしいよ……」
嘆けども手札は増えず、泣く泣くターンを終える。
こうなるとレインボーのペースだ。《同期の妖精 / ド浮きの動悸》の呪文側に《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》、《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》のクリーチャー側に《氷柱と炎弧の決断》……複数ターンにわたって手札とバトルゾーンの双方を充実させていき、ダメ押しに≪同期の妖精≫まで着地させた。攻撃はせず、クリーチャーを横並びさせていく。
たぐもようやく引き込んだ《DARK MATERIAL COMPLEX》に2体目の《禁断英雄 モモキングダムX》、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》と並べていくものの、肝心の手札は苦しいままだ。 とにかく《雪溶の鎖 / 堕牛の一撃》が引き込めない。手札がなければ、能動的なアクションはできない!
総勢10体以上のクリーチャーが睨み合う緊張状態が破られたのは実に後攻8ターン目。《瞬閃と疾駆と双撃の決断》による二回攻撃が(《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》経由で)≪同期の妖精≫に付与され、≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫で《「復活」の鬼 ヨミノ晴明R》がブロック不能に。 革命チェンジ無しでも打点は十分。堰を切ったようにレインボーのマジック軍団が襲い掛かり、たぐを押し流した。
Winner:レインボー
レインボー「【闇火COMPLEX】と当たるのはまだ2回目とかですね。良かった……」
慣れない相手ながらも、的確な判断で勝利を掴んでみせたレインボー。《DARK MATERIAL COMPLEX》という特大の時限爆弾を設置されながらも、ギリギリまで勝負を引き延ばして自分の土俵に持ち込んだ。流石の胆力である。
たぐ「うわー面詰めてもよかったかなあ……」
一方のたぐはやや不完全燃焼といった面持ち。手札に恵まれず思うようにゲームを進められなかったことを考えれば、その胸中は察するに余りある。どんなに熟練のプレイヤーでも、自分の運勢にだけは干渉できない。
だが、感想戦を経て席を立つ彼の顔には試合前の笑顔が戻りつつあった。切り替えもまたプレイヤースキルの一つだ。
たぐ「やっぱかっけーな!」
最後にフィーチャーテーブルの《CRYMAX ジャオウガ》と≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫を写真に収めて去っていくたぐの背中は、既に元気を取り戻していたのだった。
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