超CSⅦ広島 3位決定戦:わっしー vs. ちてい
ライター:齋藤 陽(あーくん)
撮影:瀬尾 亜沙子
わっしーは神奈川県のプレイヤーだ。広島の地に来たのもデュエマ愛があるからではあるが、それはそれとして移動の予定はしっかり確認するのに越したことはないだろう。
とはいえ、現在は18時を少し過ぎたくらい。時間自体は比較的余裕を持てる状況だろう。
ちてい「でもそれ、晩ごはん食えないっすよ」
わっしー「そうなんすよね~。まあ~、駅弁食います!」
対するちていは関西のプレイヤー。わっしーより帰りの距離が短いため、大会が終わった後でも観光がてら食事を摂ることができるのかもしれない。
「グランプリを開催しにくい地域にも大型イベントを!」のスローガンで始まった超CSは、観光を兼ねた、旅行としての側面を楽しむプレイヤーも大勢いる。
わっしーも時間が許すのであれば駅弁ではなく、ご当地グルメを味わいたい気持ちがあるだろう。
「まあ勝利の味と思えば……」
わっしー「いやっ、負けてるんだよなあ〜〜」
食事についてジャッジがフォローを入れようとしたとき、ほぼ反射に近い反応を返す。
負けている。
そう、今から始まるのは3位決定戦だ。
超CSの3位はGPとは違い全国大会への切符は手に入らない。
それでも勝ち残ったという人もいるだろう。どこを区切りとするかはその人の目標によって変わってくる。
そうなると2年前GPの決勝に立ち、最強位決定戦への参加権利を得たわっしーからしたら、決勝にいない時点で負け。優勝していない時点で負けということなのだろう。
それでも、最後に勝つかどうかはその後のモチベーションや満足感に関わる。ここからは最早プライドの戦い。3位決定戦が始まる。
Game 1
先攻:わっしー先攻のわっしーが《マジシャン・ルピア》をプレイして手札を整える立ち上がり。
それに対して、ちていは《冥土人形ヴァミリア・バレル》、《母なる星域》とマナに埋めて《異端流し オニカマス》で応戦する。
【ファイアー・バード】 vs. 【水闇自然ジャオウガ】。新旧の王者がぶつかり合うこととなった。
《異端流し オニカマス》を見て一瞬止まったわっしーだったが、単純な突破法は【水闇COMPLEX】で履修済みという表情を見せる。
使うことがなくなった《アリス・ルピア》をマナに埋め、《ハッター・ルピア》をプレイ。
ハイパー化、アタックまで進めてメクレイド。《ヤット・パウル》を踏み倒して戦力を補強する。
これを見て、同じくすぐには使わないであろう《CRYMAX ジャオウガ》を埋めて《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》を召喚するちてい。そのまま《異端流し オニカマス》で《マジシャン・ルピア》をアタックしてターンを返す。
お互いにあまり悩まずゲームが進行する。
続くターン、わっしーが《ハンプティ・ルピア》で前方確認。
公開された手札は《飛翔龍 5000VT》に《キユリのASMラジオ》が2枚と《CRYMAX ジャオウガ》。
ここでは負け筋になる《飛翔龍 5000VT》をハンデス(手札破壊)し、もう一度《ハッター・ルピア》をハイパー化。先程タップされた《異端流し オニカマス》に向かって攻撃する。
今度のメクレイドでは《雷炎翔鎧バルピアレスク》が到着。厄介だった《異端流し オニカマス》も踏めたことで、《ポッピ・冠・ラッキー》を添えながらちていのシールドをブレイクしに行く。
シールドが残り少ないちていは、《キユリのASMラジオ》にすべてを掛ける。
現れたのは《異端流し オニカマス》と《冥土人形ヴァミリア・バレル》。
効果で《ハッター・ルピア》をバウンスし、そのままハンデス。ブロッカーも合わせて目下のリーサルは避けようとする。
5ターン目、わっしーが手札から2体目の《雷炎翔鎧バルピアレスク》を投下。攻撃時に2枚目の《ハンプティ・ルピア》。ここでは《アーテル・ゴルギーニ》をハンデス。
わっしー「バウンス(手札戻し)どうしますか?」
ちてい「お願いします」
ハンデスは痛いが、EXターンを取られるよりはマシ。ということで《ハンプティ・ルピア》が手札に返される。
そして《ハンプティ・ルピア》で3をハンデスされるとブロッカーが機能しなくなるため、まずは《冥土人形ヴァミリア・バレル》でキャッチ。
わっしーの目線では、後はなにもなければリーサルまで一直線。
2体目の《雷炎翔鎧バルピアレスク》、《ポッピ・冠・ラッキー》が順番にちていに向かい、シールドから危険信号はなし。
《ヤット・パウル》のアタック宣言でわっしーが一本先取した。
わっしー 1-0 ちてい
Game 2
先攻:ちていちてい「ゲンム埋めて終わりで」
わっしー「ゲンム!?」
意外なマナチャージに面食らうわっしー。「ゲンムは(出てきたら)ヤバいなあ……」と無理なものは割り切っていく姿勢でゲームを進める。
この試合も先に動いたのはわっしー。《マジシャン・ルピア》をプレイ。向かうちていも3ターン目にはデドダムをプレイしてお互い手札を整えに行く。
後攻3ターン目を迎えたわっしーは少考ののち、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱えて《ハンプティ・ルピア》を2枚踏み倒す。
ここで《飛翔龍 5000VT》と《アーテル・ゴルギーニ》の両抜きを狙い、この後のゲームの主導権を握る計画だ。
ちてい「VT、VT、アーテル、アーテルです」
わっしー「……えぇ?」
完璧を超える持ち方をされており、思わず困惑の声を上げるわっしー。ひとまず《飛翔龍 5000VT》を2枚とも抜いてターンを返す。
「え、強すぎるな」
ドローを見るなりそう呟いたちていのトップは《キユリのASMラジオ》!
再び《異端流し オニカマス》、《冥土人形ヴァミリア・バレル》と着地させ、ゲームの主導権を取りに行く。
《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で一度リソースを使ったわっしーはチャージのみでターンを返す。
この隙を逃さないちていはすかさず《アーテル・ゴルギーニ》を召喚。墓地肥やしと蘇生モードを選択して。《天災 デドダム》を戦線に加える。
着々と出来上がる盤面を前にわっしーは《龍后凰翔クイーン・ルピア》を立てるが、そこにはすかさず《冥土人形ヴァミリア・バレル》。盤面の優位を一切許さない姿勢を見せる。
わっしーがドローゴーをすると、ちていは《異端流し オニカマス》と《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》を追加投入。この時点でちていのクリーチャーは8体。
この盤面に対応することができないわっしーからターンが返ってきたのを確認すると、2体目の≪ボン・キゴマイム≫を添え、《冥土人形ヴァミリア・バレル》を2体ハイパー化。
これでもかというほど広げられ、なおかつ2体の《異端流し オニカマス》を含んだ打点を止められるはずもなく、2ゲーム目はちていが地上だけで殴りきって勝利した。
わっしー 1-1 ちてい
Game 3
先攻:わっしーわっしーは3度目の《龍后凰翔クイーン・ルピア》セットからゲームを開始。そのまま2ターン目には《ルピア&ガ:ナテハ》をプレイ。
ちていはこの試合も《異端流し オニカマス》をプレイするが、わっしーは意に介さず《ハッター・ルピア》でメクレイド。
《龍后凰翔クイーン・ルピア》を踏み倒して盾を刻むと、そのまま《龍后凰翔クイーン・ルピア》も《ルピア&ガ:ナテハ》を破壊して2点。
《ルピア&ガ:ナテハ》から変換された、《雷炎翔鎧バルピアレスク》もSAとして運用する。
3ターン目にシールド1枚。
先程までの地道な投げ合いとは打って変わって、この時点でゲームのクライマックスが訪れている。
一気に押し込まれたちていは、≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫の5宣言の後《ベイB セガーレ》を添え、見た目だけでも安全圏に逃れようとする。
しかしここでわっしーが投下したのは2体目の《ハッター・ルピア》。メクレイド目的ではなく、もはや3コストSAとしての運用だ。
2体の《ハッター・ルピア》が並び、ちていのシールドが割られていく。無情かな、最後のシールドにも防御手段はない。
ハンデス、除去、Exターン。様々な強みを持つ【ファイアー・バード】。
しかしその最大の魅力は速度と攻撃力。それを証明するように高速で駆け抜けたわっしーが超CSVII広島の銅メダルを首にかけた。
わっしー 2-1 ちてい
わっしー 「最強!先3のこれ(《ハッター・ルピア》)が!」
試合後、MVPをデッキから抜き出し褒め称えるわっしー。
メタられているとはわかっていても、デッキパワーを信じた。なにより、この環境で最も手に馴染んだというデッキを使いこなした結果だろう。
「カマスが見えてから、地上戦で勝つつもりだったので上手くいったのも良かったです」 と、狙ったプラン通りにゲームを進められたことも喜びに拍車をかけている。
対するちていも「鳥は手に合わなかったんですよねえ……。むしろ好きなデッキでここまで来れたし、やり切った感あります」と、改めて自分の選択に納得をしている。
超CSの3位決定戦という、先の見えない戦いは、人によってその意味を変える。今回はそれぞれが自分の信じた道で良かったと確認するための場になった。
ここで培われた経験はきっとまた彼らの力になるだろう。
WINNER:わっしー
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