デュエル・マスターズ

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超CSⅦ広島 決勝Round 2:げんじXX vs. 斬札ガッツ

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:瀬尾 亜沙子

 デュエル・マスターズという文化は、様々な人に支えられて22年間続いてきた。

 プレイヤーはもちろんのこと、イベントの正常な運営を担保するジャッジがいる。大型イベントにはカバレージライターもいる。

げんじXX「いやー、緊張する。初めてだなー、プレイヤーとしてこの席に呼ばれるのは……」

斬札ガッツ「あー、そうなんですね」

げんじXX「過去に1回だけ公式でライターをやらせていただいて……いや、2回かな?」

斬札ガッツ「配信があると緊張しますよね……いや、今回は配信はないんですけど、カバレージがありますし……」

 ただ、それらの属性が被らないかというとそういうわけでもない。ジャッジもライターも、あるいは他の部分でデュエマに関わっている人も、多くはプレイヤーとしての側面を合わせもっている。それは、デュエマというゲームが際限なく面白いからだ。

げんじXX「せっかくのフィーチャーなんで、楽しんでいきましょう」

 だから大会に出れば色々なプレイヤーとの出会いがあり、出会いの数だけドラマがある。しかしどのような属性の持ち主であろうと、対戦中は他と変わらないただ一人のプレイヤーなのだ。 げんじXX「……いやー、緊張する!」

斬札ガッツ「これはなー……慣れないよ」

 そしてそれは、超CSのトップ32進出をかけた戦いであっても同様だ。デュエマを支えるただ一人のプレイヤー同士が、フィーチャーマッチエリアで激突した。

Game

 予選順位差で先攻のげんじXXが初手から《料理長のラビシェフ》をチャージしたのに対し、斬札ガッツの初手チャージは《ヘブンズ・ゲート》「ドリームメイト」対「ヘブンズ・ゲート」という構図が早くも確定する。

 だが、《お目覚めメイ様》による特殊勝利もあり先攻なら本来このマッチアップは歓迎なはずのげんじXXの様子がおかしい。「困った……」と漏らしながら、2ターン目も《料理犬のヴィヤンドゥ》チャージから《ベイB セガーレ》召喚のみでターンエンド。どうやら《お目覚めメイ様》《トレジャー・マップ》はおろか《配膳犬のトレス》すらも引けておらず、盛大に手札が事故ってしまっている様子。一方そんな対戦相手を尻目に斬札ガッツは、どの道しばらくやることもないのでこれ幸いとばかりに《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》チャージでターンエンド。

げんじXX「きついなー……きつい」

 そしてげんじXXがなおも3ターン目も《料理長のラビシェフ》を埋めてターンを返したのに対し、斬札ガッツは《閃光の精霊カンビアーレ》チャージから《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》で手札を補充。ここで返すターンにげんじXXも《料理犬のヴィヤンドゥ》チャージから《お目覚めメイ様》をようやく送り出すが、あまりにもお寝坊さんが過ぎる有り様。

斬札ガッツ「手札いま2枚で?」

げんじXX「2枚です」  しかも、返しで斬札ガッツが《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》チャージから唱えたのは《理想と平和の決断》《ベイB セガーレ》《お目覚めメイ様》をたった1枚で楯送りにしてまとめて処理する。これがアニメ「デュエル・マスターズ」に登場した"ラビット大佐"だったなら、ただ手札を4枚ガメて喜んでいたかもしれない。だが、斬札ガッツは油断をしない。「ドリームメイト」がどのような角度で攻めてくるのかを、しっかりと予習している。

 それでもげんじXXは5ターン目、《森夢のイザナイ メイ様》チャージから《激烈元気モーニンジョー》を召喚。キープしていた唯一の手札である《料理猫のプワソン》へと即座に進化させる。だが登場時の1ドローは有効なクリーチャーではなかったか、抱えたまま攻撃もせずターンを返す。  すると斬札ガッツは《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》チャージからなおも《理想と平和の決断》を使用。今度はドローモード2回で《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》《ヘブンズ・ゲート》《ヘブンズ・ゲート》《闘門の精霊ウェルキウス》という4枚を一気に手札に加え、もう猶予がなさそうだ。

げんじXX「……さすがに使ってらんないかな」

 いよいよ追い詰められたげんじXXは、使い道がなさそうな《森の指揮官コアラ大佐》をチャージする。 斬札ガッツ「……疑似SA?」

げんじXX「そうですね。一応《予言者マリエル》を突破できます」

 そして《トレジャー・マップ》から《配膳犬のトレス》、そのまま2枚目の《配膳犬のトレス》へとつなげ、《料理長のラビシェフ》を手札に加えることに成功する。

げんじXX「手札が今……?」

斬札ガッツ「8枚あります」  《料理猫のプワソン》で攻撃すれば、シールド2枚ブレイクのリスクを引き換えに《料理長のラビシェフ》を出して4枚までドローできる。だがということは、この《料理長のラビシェフ》4体目のクリーチャーとなってしまうのだ。前のターンの斬札ガッツのマナチャージは《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》だった。タップイン処理もできた5ターン目に、インパルスを抱えることができなかったはずがない……そう結論づけたげんじXXは、自身のハンドリーディングを信じてやはり《料理猫のプワソン》で攻撃せずにターンエンドする。

げんじXX「きっついっすねー……」

 しかし序盤の遅れがたたって、待てるタイミングはとうに過ぎている。すなわち、返す斬札ガッツが唱えたのは《ヘブンズ・ゲート》《光開の精霊サイフォゲート》《冥界を統べる新月のハーデス》が降臨し、さらに《闘門の精霊ウェルキウス》を挟んで登場したのは《∞龍 ゲンムエンペラー》!!  もはやげんじXXは、既に効果のない《料理長のラビシェフ》を出してターンを終えることしかできない。

斬札ガッツ「見えているトリガーの類って何かありますか?」

げんじXX《激烈元気モーニンジョー》が1枚だけですね」

 そして斬札ガッツはゲームを終わらせにかかる。召喚したのはダメ押しの《聖霊超王 H・アルカディアス》  《∞龍 ゲンムエンペラー》の攻撃こそ一度は《料理猫のプワソン》でブロックしたものの、《闘門の精霊ウェルキウス》の効果で2体目の《∞龍 ゲンムエンペラー》までもが降臨する。

斬札ガッツ「一旦これでターン終了します」

 一旦で返されても、2体の∞龍を前にげんじXXにできることはテキストが消えた《森夢のイザナイ メイ様》を出すことくらい。

 そして返すターン、なおも《飛翔龍 5000VT》を召喚して後顧の憂いをなくした斬札ガッツは、「念のため」と言いつつ《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》の呪文側で自分の《闘門の精霊ウェルキウス》を手札に戻して山札切れをケアしつつ《∞龍 ゲンムエンペラー》でげんじXXのシールドをすべて割りにいく。これがアニメ「デュエル・マスターズ VS」に登場した"ホカベン"だったなら、あるいは《闘門の精霊ウェルキウス》の強制ドローによる山札切れで大逆転負けを喫してトラウマになっていたかもしれない。しかし、斬札ガッツは油断をしない。「勝った」と慢心した瞬間こそが最も危険なのだと、人生経験を通じて学んでいる。

 ゆえに。

斬札ガッツ「ダイレクトアタック行きたいです」

げんじXX「通ります」

Winner: 斬札ガッツ

斬札ガッツ「いやー、疲れたー!」

げんじXX「なんもなかった!こんなになんもないかー、お昼寝するかー……みたいな引きでした。頑張ってください」

斬札ガッツ「ああー、力強い握手!」

げんじXX「ちゃんと《闘門の精霊ウェルキウス》もバウンスされてLO(ライブラリアウト;山札切れ)ケアもされたし、上手かったです」

斬札ガッツ「ありがとうございます!今日ドリームメイトには負けてるんで、リベンジのつもりでした」

 これがアニメ「デュエル・マスターズ WIN」に登場した"パパリン"だったなら、主人公の成長のために道を作る役回りの一戦だったかもしれない。しかしデュエマを支えるただ一人のプレイヤーである斬札ガッツには、丁寧なプレイで勝利という結果にたどり着いた勝者として、げんじXXの称賛を受け取る資格がある。

 そして何より、大事なフィーチャーマッチでひどい事故負けを喫しても腐ることなく、にこやかに対戦相手へのリスペクトを示すことができるげんじXXのようなプレイヤーが育っていることは、斬札ガッツがデュエル・マスターズという文化を支え続けてきたおかげでもあるのだ。
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