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超CSⅦ広島 Round 1:かつん vs. むーんらいと仮面

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:瀬尾 亜沙子

 1100名が、殿堂施行後の環境に本気で向き合う。

 大会の幕開けとなる第1回戦からフィーチャーマッチに呼ばれたのは、超CSⅢ4位のほか関東エリア予選を優勝し2019年度の日本一決定戦に出場した経験を持つかつん。つい3週間前にもチーム戦の超CSⅦ横浜で、taki・リルクとともに準優勝したばかりの強豪だ。

 だが、超CSでの2位はもちろんそれ自体立派な成績にせよ、日本一決定戦への出場権の有無という点においては0-3ドロップと変わらない。いやそれどころか、会場で最も悔しさを味わったプレイヤーとも言える。近づけば近づくほどに焦がれる、あと一歩で届いたはずの権利。その無念を今度こそ晴らすべく、かつんは今日も頂点を目指す。

 対するむーんらいと仮面は香川のプレイヤー。CSに出始めたのはここ1年くらいのようだが、既にCS優勝経験もあり、その実力は確かだ。

 とはいえ、今回の超CSⅦ広島においては誰にとっても大きすぎる課題が立ちはだかっている。それは3週間前とは事情が大きく異なる事前メタゲームだ。

 《邪幽 ジャガイスト》《瞬閃と疾駆と双撃の決断》《緊急再誕》の殿堂と、《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》の解除。そして「ドリーム英雄譚デッキ」の発売。ただでさえ「超感謝祭 ファンタジーBEST」で環境に激変が起きていたところへの追い打ち。1100名がそのカオスに本気で向き合ったとき、はたして環境がどんな姿を見せるのか。誰にも予測することはできない。

 しかし、それでも一つだけ確かなことがある。自分が勝てば、それが正解になるということだ。

 そう、ゆえに。
 本気を、正しさを、証明するために。

 超CSⅦ広島、開幕の第1回戦が始まった。

Game

 じゃんけんで先攻を取ったかつんは時間をかけて初手と向き合うと、《龍后凰翔クイーン・ルピア》をチャージしてターンエンド。3週間前のチーム戦では《異端流し オニカマス》入りの「水闇COMPLEX」を使用していたが、ここにきてあえてのド直球「ファイアー・バード」は、メタゲームの裏の裏まで読んでの選択か。

 一方、対するむーんらいと仮面は《ケンザン・チャージャー》をチャージしてターンエンド。こちらは《聖霊超王 H・アルカディアス》の活躍によって最近《巨大設計図》型を押しのけて流行している「光水天門」の線が濃厚といったところ。

 そうなると先攻の利を生かしたいかつんは《アシステスト・インコッピ》チャージから2ターン目《ルピア&ガ:ナテハ》で手札を拡充。これを見てむーんらいとも《ヘブンズ・ゲート》をチャージして力を溜めるが、3ターン目に《コッコ・武・ルピア》をチャージしたかつんは、まずは《ハンプティ・ルピア》で動きを崩しにいく

 だが、ここで公開された手札は《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》《闘門の精霊ウェルキウス》《∞龍 ゲンムエンペラー》という5枚で、マナ加速からのアケルナル→ウェルキウス→ゲンムエンペラーが確定している完璧な手札内容。どこを崩すべきか、ここはかつんの判断が問われるところだが……熟考ののち、《闘門の精霊ウェルキウス》を落としてターンエンドする。

 返すむーんらいと仮面は《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》チャージから《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》。めくれた3枚ははたして、《光開の精霊サイフォゲート》《ケンザン・チャージャー》……そして《闘門の精霊ウェルキウス》
 せっかく落とした《闘門の精霊ウェルキウス》を拾われてしまい、このままだと《∞龍 ゲンムエンペラー》に蹂躙されてしまうかつんは勝負に打ってでる。すなわち《アリスの突撃インタビュー》空打ちから《龍后凰翔クイーン・ルピア》そのままアタック時に自身を破壊して「ファイアー・バード・メクレイド8」。《アリス・ルピア》《龍后凰翔クイーン・ルピア》《ヤット・パウル》という3枚から、《アリス・ルピア》を降臨させる!

 だがここでのめくれが《ハッター・ルピア》《ヤット・パウル》《ルピア&ガ:ナテハ》と小型のみで、これだと次の展開が続かない上に《∞龍 ゲンムエンペラー》の着地を一切妨害できない。

 それでも唯一可能性があるとすれば、このターン中に相手のシールドを割りきって紛れを起こすこと。意を決したかつんは《ハッター・ルピア》でブレイク、通る。《ルピア&ガ:ナテハ》でブレイク、通る。《ヤット・パウル》で3点目ブレイク……S・トリガー、《ヘブンズ・ゲート》

 着地した《聖霊超王 H・アルカディアス》《闘門の精霊ウェルキウス》こそ《ハッター・ルピア》の効果で即座に破壊されるものの、むーんらいと仮面は手札補充からついに《∞龍 ゲンムエンペラー》を降臨させる。さしもの《ハッター・ルピア》も、無限の無効化能力を咎めることはできない。

 さらに返すむーんらいと仮面のターン。《閃光の精霊カンビアーレ》チャージから《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》

かつん……ジャッジ!

むーんらいと仮面「あっ、そっか」

 フィーチャーマッチでの緊張が出たか。唱える分には自由だが、《∞龍 ゲンムエンペラー》で効果が失われているためにブロッカーは出せず、無為にターンが飛んだ形となる。

 とはいえ返すかつんもジャスキルがない状況であり、しかも「ファイアー・バード」は《アリス・ルピア》以外はほとんど5コスト以下しか入っていないデッキのため、スピードアタッカーで打点を増やすこともできない。

 それでも可能性を諦めないかつんは、能力のない《雷炎翔鎧バルピアレスク》を出してから《アリス・ルピア》で攻撃し、これが《∞龍 ゲンムエンペラー》にブロックされるや、《ルピア&ガ:ナテハ》でブレイクしにいく。
 だがむーんらいと仮面が力強く表向きにしたのはなおもS・トリガー、《光開の精霊サイフォゲート》ここまで淀みのないリズムでプレイしていたかつんの手が、思考を停止したかのように初めて止まる。手札から着地したのは《閃光の精霊カンビアーレ》で、クリーチャーたちも降り注ぐ閃光によって動きを縛られる。

かつん「……ターン終了です」

 そしてむーんらいと仮面は、今度こそ間違いないと確認してからの《ヘブンズ・ゲート》《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》2枚を出し、念には念を入れて《アリス・ルピア》《雷炎翔鎧バルピアレスク》を宣言すると、満を持してかつんのシールドをブレイクしにいく。

 やがてそのままダイレクトアタックまでもが決まり、かつんは「ありがとうございました」と潔く右手を差し出したのだった。

Winner: むーんらいと仮面

かつんやばいプレイしたんでtakiに怒られる……」

 フィーチャー席からの去り際、ぽつりとかつんが漏らした。《アリス・ルピア》からのめくり不発にトリガー2枚。避けようのない不運に見舞われた対戦にも思えたが、やりようはあったのか。

かつん「クイーンでメクレイドしたとき、《アリス・ルピア》の他に《龍后凰翔クイーン・ルピア》もあったんで、もう1回自壊させてメクレイドしたら《アリスの突撃インタビュー》《ハンプティ・ルピア》にアクセスできる確率が上がって、手札の《闘門の精霊ウェルキウス》をもう1回叩き落とせたかもしれなかったんですよ」

 《アリス・ルピア》は確かに強力だが、大量展開で気持ちよくなるばかりがファイアー・バードではない。正しくプレイできていれば……それでも勝敗はわからなかったにせよ、まだしも分のある展開に持ち込めたはずだった。

 フィーチャーマッチエリアには魔物が棲む……競技の厳しさを心に戒めながら、かつんは早くも6連勝縛りの旅に出るのだった。
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