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超CSⅦ広島 決勝戦:愚っちゃん vs. あかべこ

ライター:山口 海斗(ジャイロ)
撮影:瀬尾 亜沙子

「グランプリを開催しにくい地域にも大型イベントを!」

 超CSの開催理念は当初から変わっておらず、本大会が開かれた広島県はうってつけの開催地だ。そんな超CS広島の決勝戦に座るのは長崎のプレイヤーであるあかべこと熊本のプレイヤーである愚っちゃん。九州地方に住む彼らにとって、普段の大型大会に比べて広島はかなり行きやすい、まさに開催理念に沿った決勝戦であるといえる。お互いに九州地方で戦っているプレイヤーなだけあって、対戦前の会話も共通の話題が多い。「福岡にまで行ってCSに参加している」「共通の知り合いがいる」とりわけ共通しているトピックは「この勝負に勝って優勝したい」であることは今更だろう。

 あかべこは予選を全勝で勝ち抜け、直前の準決勝戦で1戦負けるまでは文字通り負けなしであった。

あかべこ「全試合《森夢のイザナイ メイ様》が引っ付いてくる!」

 あかべこの使用する【光自然ドリームメイト】においてエンジンとなる《森夢のイザナイ メイ様》が全試合に絡んでくることの強さは想像するだけで恐ろしい。

 対して愚っちゃんが使用するのは【火光闇ファイアーバード】、現環境最強と評価されているデッキだ。ひとたび攻撃が始まると各種妨害、手札破壊、追加ターンなどを駆使して相手の逆転の目を潰す。

 どちらも「超感謝祭 ファンタジーBEST」で大幅な強化を受けたデッキであり、2024/8/17より適用の殿堂レギュレーション以降、注目されていたデッキたちである。新殿堂施行一発目の大型大会を飾るのはどちらのプリンセスだろうか。あるいはどちらのプレイヤーだろうか。

Game 1

先攻:あかべこ  あかべこは先攻1ターン目の《トレジャー・マップ》、続く2ターン目の《配膳犬のトレス》でデッキのエンジンとなる《森夢のイザナイ メイ様》を探しにいくがなかなか見つからない。とはいえ《配膳犬のトレス》で回収した《料理犬のヴィヤンドゥ》からくる圧は重たい。愚っちゃんは2ターン目まで思うように動けない。

 この隙に自身の優位な盤面を築いていきたいが、ひとまず多色の《ピザスターのアンティハムト》をマナゾーンに逃がすターンとする。先ほど回収したのと合わせて手札には2枚の《料理犬のヴィヤンドゥ》。仮に《ハンプティ・ルピア》による手札破壊を受けても避けきれる算段だ。全試合《森夢のイザナイ メイ様》を引いていると話していたあかべこだが、引けていない状況でもこの立ち回り。流石、決勝戦まで勝ち残ったプレイヤーである。

 しかしプレイで魅せてくれるのはあかべこだけでない。ここは超CSの決勝戦、1,100人のプレイヤーから勝ち残った最後の2人だ。愚っちゃんがバトルゾーンへ送り出した《ポッピ・冠・ラッキー》がこのゲームを大きく動かした。  エスケープにより盤面に残り続け、《料理犬のヴィヤンドゥ》によるマナゾーンからの展開を否定する。あかべこはハイパー化した《料理犬のヴィヤンドゥ》《ポッピ・冠・ラッキー》に攻撃するも、先の通りこれ以上の展開はない。安全にターンを迎えた愚っちゃん、ここからは彼のステージだ。

 愚っちゃん《ハッター・ルピア》を召喚するとハイパー化。攻撃時に《龍后凰翔クイーン・ルピア》をメクレイドすると待ってましたと言わんばかりの超展開を始める。《龍后凰翔クイーン・ルピア》あかべこに向けて攻撃時に《ポッピ・冠・ラッキー》を破壊してメクレイド。当然《ポッピ・冠・ラッキー》はエスケープで破壊から逃れる。《アリスの突撃インタビュー》を捲ると手札から《雷炎翔鎧バルピアレスク》を捨ててそのまま蘇生。攻撃は止まらない。《雷炎翔鎧バルピアレスク》の攻撃時に《アリス・ルピア》を踏み倒すと更に《龍后凰翔クイーン・ルピア》をバトルゾーンへ……。

 これが【火光闇ファイアーバード】の真骨頂。ここまで展開が連なると、止まってしまうことの方が難しい。追加ターンに加えて《ハンプティ・ルピア》による手札破壊まで。まずは愚っちゃんが1戦目の勝利を決めた。

愚っちゃん 1-0 あかべこ

 あかべこ「メイ様いないよ~!」  キーカードである《森夢のイザナイ メイ様》を引けなかったことに嘆くあかべこだが、その裏ではクールである。ダイレクトアタックを受ける直前まで愚っちゃんの公開領域をくまなく観察して採用枚数やデッキの全容にアタリをつけていく。細かなところまで行くと《雷炎翔鎧バルピアレスク》の型番に違いが無いかもチェックの対象だ。絶対に落とせない2戦目を勝つための努力は怠らない。

Game 2

先攻:あかべこ  あかべこ《配膳犬のトレス》を召喚して上々の滑り出し。愚っちゃんは先攻3ターン目の《料理犬のヴィヤンドゥ》のみ割り切って、《ルピア&ガ:ナテハ》を召喚。手札の補充を図る。あかべこ《料理犬のヴィヤンドゥ》こそ持っていなかったが、先の試合でこなかった《森夢のイザナイ メイ様》をターン開始時のドローにて引いた。3コスト支払い《森夢のイザナイ メイ様》を召喚すると、《配膳犬のトレス》のハイパー化のためタップ&光臨能力を使用。《料理長のラビシェフ》を出してゲームを優位に組み立てていく。

 しかしこのターン、《ルピア&ガ:ナテハ》を処理できずにターンを渡してしまったあかべこ。それを咎めるように、愚っちゃん《ハッター・ルピア》を召喚しハイパー化。すぐさま攻撃へ移行する。が、メクレイドによって出てきたのは《ポッピ・冠・ラッキー》のみと物足りない。肝心の《ハッター・ルピア》もバトルによって破壊されてしまった。

 迎えた4ターン目、あかべこは前のターンの《料理長のラビシェフ》によるドローを活かして《配膳犬のトレス》《Disガンバ》と大量展開。《Disガンバ》はマッハファイターにより《ポッピ・冠・ラッキー》に攻撃しつつ《森夢のイザナイ メイ様》へ革命チェンジ、さらにあかべこの展開を助ける構えを取る。気付けば6体のブロッカーにパワーは全員+6000、おまけに《ベイB セガーレ》まで添えられており【光自然ドリームメイト】の展開力をこれ以上ない形で再現していた。 愚っちゃん「頼むー!!」

 何か狙いでもあるのか、祈るようにドローを覗き込むがその顔は険しいまま変わらない。

愚っちゃん「やられた!!!投了します!」  あかべこの作り上げた盤面を崩すのは不可能と判断した愚っちゃんは3戦目にかける選択をとった。

愚っちゃん 1-1 あかべこ

 勝負は最終ゲームまで持ち越されることになる。初めて先攻の動きを押し付けられる愚っちゃんの有利に疑いは無いが、愚っちゃんには一抹の不安がよぎる。 愚っちゃん「そろそろ1メイ(※)される気がする…」

※1ターン目に《お目覚めメイ様》を召喚、《森夢のイザナイ メイ様》への革命チェンジに繋げること。【光自然ドリームメイト】にとって最高クラスの押し付けコンボである。

 もちろん狙ってできるものではないが、一定の確立で起こってしまう、起こせてしまうのが【光自然ドリームメイト】の強みでもある。それに相手はここまで勝ち残ってきた今日一番の【光自然ドリームメイト】の使い手・あかべこだ。優勝するプレイヤーならそれぐらい引いてしまうだろう。「ここまできたら緊張とは別のものがあるよね」などと談笑を交えながらシャッフルをする2人であったが、シールド、手札が広げられ3戦目の準備が整った。

Game 3

先攻:愚っちゃん 愚っちゃん「マジで?」

 そう漏らすのも無理はない。あかべこが1ターン目に召喚したのは《お目覚めメイ様》愚っちゃん《ルピア&ガ:ナテハ》を召喚してターンを終えるが、あかべこに止まる気配はない。《トレジャー・マップ》で山札の上から5枚を見て《森夢のイザナイ メイ様》を探しに行くが……回収は《料理長のラビシェフ》と心許ない。もちろん《森夢のイザナイ メイ様》への革命チェンジはなくターンエンド。愚っちゃんの先攻3ターン目、《ハンプティ・ルピア》あかべこの手札を覗くと、致命傷になる《料理犬のヴィヤンドゥ》と次のサーチ手段である《配膳犬のトレス》が同時に顔をみせる。

 《料理犬のヴィヤンドゥ》を捨てさせざるをえない愚っちゃんあかべこ《配膳犬のトレス》を召喚して今度こそ《森夢のイザナイ メイ様》を回収しに行くが……やはり見つからず《ピザスターのアンティハムト》の回収のみでターンを終える。対する愚っちゃんの手札のうち使用可能なのは《ハッター・ルピア》《アシステスト・インコッピ》のみと及第点。しかし《ハッター・ルピア》は強力な一手ではあるが、メクレイドの捲れ方次第では勝負はどう転ぶか分からない。

 愚っちゃんのドロー、見たカードを一度テーブルに伏せる。そして再度カードを確認する。一連の動作でカードが変わるわけではない。それでもこの動作を挟む理由があるとすれば、目を覆いたくなるような酷い引きをしてしまったか、あるいは千載一遇のカードが”突撃した”興奮を鎮めるためか。

 一拍置いて、《アシステスト・インコッピ》をマナチャージすると使用可能マナは4。伏せられたカードが表向きにされた。 《アリスの突撃インタビュー》!!  あかべこ《お目覚めメイ様》《配膳犬のトレス》が破壊され、《ハッター・ルピア》が蘇生される。愚っちゃんはすぐにハイパー化させてあかべこへ攻撃、その効果で《アリスの突撃インタビュー》を唱えて今度は《龍后凰翔クイーン・ルピア》をバトルゾーンに出す。バトルゾーンにクリーチャーはなく、相手のターンに使えるマナはチャージしても4。無理して攻撃する場面では無いと判断してここはターンエンド。《ハッター・ルピア》が踏み倒しに睨みを利かせつつ、ブロッカーとして《龍后凰翔クイーン・ルピア》も用意されており隙が無い。

 あかべこ《ピザスターのアンティハムト》から《配膳犬のトレス》を出してハイパー化。G(ガード)・ストライク能力によって愚っちゃんの猛攻をしのごうと試みるが愚っちゃんもそれは承知の上。《雷炎翔鎧バルピアレスク》を召喚しバトルゾーンの展開をしつつ追加ターンまで獲得。例え《配膳犬のトレス》によるG・ストライククがこのターンの動きを止めたとしても、続けて行われる愚っちゃんの次のターンに影響はない。万に一つの可能性すら《ハンプティ・ルピア》で摘み取って、愚っちゃんはデッキの花形である《龍后凰翔クイーン・ルピア》あかべこを貫いた。 愚っちゃん 2-1 あかべこ Winner:愚っちゃん


--「まずは優勝おめでとうございます。」

愚っちゃん「毎月CS優勝の記録が更新できて嬉しいです。」

 事前評価の高かった【火光闇ファイアーバード】だが、それゆえ仮想敵としてみられやすくもある。構築段階、あるいはプレイで意識した部分を聞いてみた。

愚っちゃん《ハッター・ルピア》が今大会のカギになると思ったので、ウルトラ・セイバーを持つ《アシステスト・インコッピ》を多めに採用しました。《ポッピ・冠・ラッキー》の枚数は減ってしまいますが、1戦目では引けて良かったです。」

 実際、《ハッター・ルピア》の活躍は凄まじく、準決勝戦で《異端流し オニカマス》のメタにも屈せず戦えたのは《ハッター・ルピア》による所が大きい。こちらもぜひ確認していただきたい。

 惜しくも敗れたあかべこだが、2戦目における《Disガンバ》の活躍など対【火光闇ファイアーバード】を意識した構築が光る。

あかべこ「決勝トーナメントはずっと【火光闇ファイアーバード】との対戦ばかりで。《Disガンバ》の採用は当日の深夜3時に決めたんですけど入れて良かったです。」

 「深夜3時にできたデッキはデッキじゃない時がある」という言葉を物ともしない強気な発言。《Disガンバ》の採用に至った経緯を伺ったところ……。

あかべこ「長崎県民だからですね。長崎県のマスコットに”がんばくん”ってキャラクターがいて。長崎県民なら使わなきゃって思いました。」

 筆者の想定とは大きく離れた回答が戻ってきたが、聞けば同じデッキリストを使った友人も5勝2敗の好成績を収めており、構築に自信はあったとのことだった。

--「お二人ともありがとうございました。優勝者アナウンスがそろそろなので、ぜひ表の方へ!」

 フィーチャー卓の近くでは、愚っちゃんあかべこ、どちらもの仲間たちが対戦結果を心待ちにしていた。GPとは違い配信が無いため、彼らにとってこのアナウンスが第一報になる。中嶋氏のアナウンスで優勝者である愚っちゃんの名前が呼び上げられたとき、今日一番の歓声と共に抱き合って喜ぶ感動的な姿と……そして仲間に土下座して詫びるあかべこの姿が……。

愚っちゃん「全国大会に向けて頑張ります!」
あかべこ「引き続きエリア予選頑張ります!」

 2人のプレイヤーの新たな門出を祝いつつ、本記事を締めたい。
 おめでとう!超CS広島の王者は、愚っちゃんだ!
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