デュエル・マスターズ

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超CSⅧ大阪 決勝戦A卓:四階堂ふみふみ vs. ラボン

ライター:高橋 穂(北白河)
撮影:瀬尾 亜沙子

 かつて、【ファイアー・バード】というデッキがあった。

 1年前の「ファンタジーBEST」で登場するや、妨害・速度・再現性などあらゆる面で高すぎるポテンシャルを生かして環境を席巻。それから1年間、常に環境のトップを走り続けてきた逸品と言えるだろう。

 デュエマ史上に残る強さで駆け抜けたその活躍を認められたこのデッキは、今年8月の殿堂入りで絶対的フィニッシャーたる《雷炎翔鎧バルピアレスク》をプレミアム殿堂、防御と展開の要たる《アリスの突撃インタビュー》を殿堂入りに送り込み……

 そして、この決勝戦という晴れ舞台に【ファイアー・バード】というデッキがある。

 失った穴を新たなフィニッシャー《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》で埋めることで「驚異的な突破力を持つメタビート」と再定義されたこのデッキを手に、DRIFTERS四階堂ふみふみはここまで勝ち上がってきた。

 BESTシリーズの1年後輩となる【サイバー】をはじめとするデッキを薙ぎ倒してここまでやってきたその結果からは、「これから始まる新環境のメタゲームでも【ファイアー・バード】は健在なり」というデッキの主張が聞こえてくるようだ。

 しかし。決勝戦にて四階堂ふみふみを待ち受けていたのは、「新環境のメタゲーム」の理の外の異形のデッキであった。

 かつて、【4cディスペクター】というデッキがあった。

 優秀な多色カードでリソースを伸ばしつつ、《ヘブンズ・ゲート》等から踏み倒した《砕慄接続 グレイトフル・ベン》から一気にマナを伸ばして出した巨大ディスペクターで圧倒するという、豪快な動きを得意としていた。

 3-4ターン目に趨勢を決めてしまうほどに、環境が高速化してしまうまでは。

 ウィン篇以降の強烈なデザイナーズデッキが多数登場して以来いつの間にか環境の上位層から追い出され、新カードで細々とした強化を得ながらも「一部の愛好家が好んで使うデッキ」という立ち位置に長らく甘んじており……

 そして、この決勝戦という晴れ舞台に、【4cディスペクター】というデッキがある。しかも、3つ。

 そう。ラボンが所属する特攻の卓は、メタゲームの論理から完全に逸脱したように見えるこのデッキの3面統一チーム。しかし、彼らはこのデッキとともにこの決勝戦まで勝ち抜いてきたのだ。

 全く違う思想で組まれたデッキだが、ここまでたどり着いた以上はどちらもこの大会に向き合ううえでの「正解」の一つだったのだろう。

 柔和な表情でシャッフルを進める四階堂ふみふみに対して、ラボンはやや緊張気味。対照的な雰囲気だが、ゲームの開始が近づくにつれ少しずつその表情は戦意に満ちたものに変わっていく。

 こうして、最後の戦いが始まった。

Game1

先攻:四階堂ふみふみ  1ターン目からB席のじゃーまんと相談しつつマナ置きやゲームプランを考える四階堂ふみふみ。絶対にミスが許されない大舞台ならではの光景だが、それはラボンも同じ。賽盗と相談しつつ、数ターン先までプランニングを立てていく。

 通常の対戦ではまず見ないほどの両者の熟考の末のこのゲームのファーストムーブは、先攻2ターン目の《ルピア&ガ:ナテハ》。これに対して、ラボンはマナに文明を揃えていくのみでターンを返す。

 そして【ファイアー・バード】の3ターン目と言えば。  《ハッター・ルピア》の時間だ。

 迷わずハイパー化してラボンに攻撃を行うと、メクレイドで出て来るのは《龍后凰翔クイーン・ルピア》!一年前から変わらない最強ムーブを始動させる!

 しかし、この《龍后凰翔クイーン・ルピア》からの連鎖が成立することはなかった。ブレイクしたシールドから《光開の精霊サイフォゲート》がめくれ、その効果で《天彩の精霊ミルディアス》が出てきたからだ。

 この2体は《ハッター・ルピア》によって即座に破壊されるが、それでも《天彩の精霊ミルディアス》の出たとき効果は発動。《龍后凰翔クイーン・ルピア》をバウンスしつつマナを伸ばし、身を守りながら加速することに成功する。

 そして無事にターンの終わりを迎えたラボンの手から放たれたのは、《真気楼と誠偽感の決断》《ルピア&ガ:ナテハ》《ハッター・ルピア》をシールドに送り込み、バトルゾーンを更地に変えてコントロールしきる構えだ。

 ターンが返ってくるやいなや、《天災 デドダム》を繰り出すラボン。3枚のカードを見ながら何度もプランニングし、マナを伸ばしながら墓地にキーカードの《砕慄接続 グレイトフル・ベン》を送り込む。これにより蘇生呪文の《ブレイン・スラッシュ》が素撃ち・トリガーともに強烈な有効牌となり、プレッシャーを高めていく。

 増え切ったシールドを指で撫でつつ考える四階堂ふみふみ《ポッピ・冠・ラッキー》を繰り出し、蘇生そのものを封殺するとともに攻めの起点を作らんとする。

 ……が、ここで返しに登場したのは《飛翔龍 5000VT》《ポッピ・冠・ラッキー》どころか、次のターンの四階堂ふみふみのムーブすら封殺してしまう!  これには四階堂ふみふみもさすがに堪えた模様。じっと手札に目を落とし、手札に溜まったパワー5000以下の鳥たちを眺める。

 これまでならもはやゲームセットものの危機的状況だが、今の【ファイアー・バード】にはまだ抗う手段がある……すなわち、パワー13000の《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》だ。進化GVで召喚し、ロックが解ける次のターンの総攻撃へと望みを繋いでターンを返す。

 しかし、《ポッピ・冠・ラッキー》がいない今はラボンにとっても絶好のチャンス。満を持して《ブレイン・スラッシュ》が放たれ、《砕慄接続 グレイトフル・ベン》が墓地から蘇る!

 墓地の合計5枚のカードがマナに送られ、大量のマナからのマナ召喚による無限の選択肢が生まれる。次のターンからこのリソースが機能し始めれば、それらが四階堂ふみふみを押し潰すのは時間の問題だ。

 事実上のラストターンを押し付けられた四階堂ふみふみ。ならば、すべきことはひとつ。このターン中に勝負を決めてしまうことだ。

 《ハンプティ・ルピア》で前方確認したのち2体目の《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》を召喚して攻撃にかかると、ラボンの表情がこわばる!

 メテオバーンにより、裏向きの3枚の進化元から踏み倒し先を選ぶことを迫られることとなったラボン。逡巡の末指差した一番下のカードは……  《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》

 この状況で最も選んではいけなかったカードの登場に、思わず頭を抱えるラボン。シールドが強制的に3枚まで削られたうえで《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》のT・ブレイカーが通り、しかもそこにトリガーの姿はない!

 かろうじて残したブロッカーの《砕慄接続 グレイトフル・ベン》1体ではどうしても後続の攻めを受けきれないと悟ったラボンは、続く《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の攻撃を受け入れて投了の代わりとした。
 
四階堂ふみふみ 1-0 ラボン

 全体スピードアタッカー付与効果と展開効果を併せ持ち、あまつさえ相互に踏み倒しが可能な《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》。妨害効果で自在にゲームレンジを操りつつ新フィニッシャーたちで強引に突破してのけるという、新時代の【ファイアー・バード】の強みが出た試合となった。

 すでにC席では特攻の卓さくやまが勝ち星を獲得しており、これが最後の勝負になる可能性もある。

 悔いを残さぬようお互い念入りなシャッフルを行った後、Game2が幕を開ける。

Game 2

 先攻:ラボン  ファーストムーブは、先攻2ターン目の《フェアリー・Re:ライフ》。手の空いたC席のさくやまと相談を行いながらゲームを進めるラボンに対し、四階堂ふみふみ《マジシャン・ルピア》で順調なスタートを切る。

 続くターンをチャージのみで終えたラボンを見つつ、四階堂ふみふみはB席のじゃーまんと相談に入る。すなわち、《真気楼と誠偽感の決断》をどこまでケアするかという問題だ。

 今の四階堂ふみふみには、「《真気楼と誠偽感の決断》を使われることを承知で、あるいはこのターン中に勝負を決めるつもりで全力で展開する」「あえて展開を2体以下に絞り、《真気楼と誠偽感の決断》を使わせない」という選択肢がある。読み勝てばそのままA席の勝敗が確定しうる、重大な二択だ。

 長い相談の末、選ばれたのは《真気楼と誠偽感の決断》の上からの全力展開だった。すなわち、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》からの《ハッター・ルピア》踏み倒し&連撃効果付与!  即座にハイパー化してラボンに攻撃を仕掛けると、メクレイドから出てきたのが《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》。無事にブレイクを終えてアンタップした《ハッター・ルピア》を後詰めに置いてこの不死鳥が攻撃を仕掛けると、メテオバーンからさらに《龍后凰翔クイーン・ルピア》が姿を現す。

 突然の致死打点の形成に目を見張るラボン。祈るように3枚のシールドを絞ってチェックしたのち、S・トリガーの名を告げる。  ≪「この先は修羅の道ぞ」≫。  その言葉は、四階堂ふみふみへの抗戦の意志か、はたまたラボン自身への覚悟の意志か。

 いずれにせよ、攻撃可能な《ハッター・ルピア》《龍后凰翔クイーン・ルピア》をバウンスすることで、このターンの四階堂ふみふみの攻撃は打ち切られる。

 そしてこのタイミングで手札から公開されたのははたして《真気楼と誠偽感の決断》……それも、3枚!  無限と言える選択肢を前にして考え込むラボンに、C席のさくやまから声がかかる。

さくやま「覚悟決めろよ」

 この言葉でラボンも気合が入りなおしたか、自らも修羅の道を歩むべく、一つずつ選択肢が宣言されていく。

 1枚目。手札交換を2回宣言。

 2枚目。手札交換とS・トリガー踏み倒しを宣言。《光開の精霊サイフォゲート》を捨ててそのまま踏み倒す。

 3枚目。手札交換とシールド化を宣言。手札を整えたのち、《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》をシールド化。そして。

 《光開の精霊サイフォゲート》の効果で手札からやってくるのは、当然《砕慄接続 グレイトフル・ベン》  合計4回の手札入れ替えで肥えきった墓地がそっくりマナに移動し、Game1でも狙った大量のマナと選択肢がラベンにもたらされる!

 しかもこれはまだ四階堂ふみふみのターン終了ステップのこと。そのままターンが終了すると、ここで得た合計12マナは当然すべてアンタップする。

 こうなってしまえば、もはやビッグマナである【4cディスペクター】のレンジ。

 10コストの《終末縫合王 ミカドレオ》が2体目の《砕慄接続 グレイトフル・ベン》をはじめとする大量のクリーチャーを呼び出したうえで《飛翔龍 5000VT》が1コストで登場すると、四階堂ふみふみのバトルゾーンは更地に変わる。

 盤面も手札も封殺され応手なくターンを返した四階堂ふみふみに対して、《終末縫合王 ミカドレオ》がGame2の終末を宣言した。

四階堂ふみふみ 1-1 ラボン

 加速しきった現環境において、3ターン目ごろまでに踏み倒しを絡めた複数展開を行うデッキは【サイバー】【ファイアー・バード】など枚挙にいとまがない。

 そのタイミングで《流星のガイアッシュ・カイザー》《真気楼と誠偽感の決断》を宣言することで、「そのターンにクリーチャー3体以上出ている」条件を満たして特大のムーブを叩き込める……というのが、この【4cディスペクター】の狙う必殺ムーブだ。

 以前は【ペテンシーフシギバース】にも採用されていたこのギミックだが、そちらが《逆転の影ガレック》の殿堂入りで姿を消した今となっては警戒もされづらい。加えて、《真気楼と誠偽感の決断》から踏み倒し効果持ちのS・トリガー経由でスムーズに《砕慄接続 グレイトフル・ベン》によるビッグムーブに繋がる……という出力の高さも確保している。

 さらに、特攻の卓の3人の構築は(基盤は同じながら)どれも採用カードを少しずつ変えており、相手プレイヤーが「横の席のプレイヤーを見て採用カードを推測する」という行為にすら裏目を持たせている。

 そこに、もとよりメタ外にあった【4cディスペクター】の「わからん殺し」性能も加わり、「相手に動きを読ませないまま相手の動きを逆用して勝利を狙う」という本来困難なコンセプトを高いレベルで実現できるのだ。


 
 一勝一敗のイーブンとなったこの試合。

 B席でも一勝一敗の佳境であり、両プレイヤーともシャッフルを行いつつ呼吸を整えて心を落ち着かせようとしているのが見える。この一戦に掛かっているものの重さもあり、緊張してしまうのは当然だろう。

 それでも、最後の戦いは始まる。

Game 3

先攻:四階堂ふみふみ

 Game 3のファーストムーブは、先攻2ターン目の《マジシャン・ルピア》

 返しの2ターン目の動きのないラボンの動きに付け込んで3ターン目のビッグムーブを決めたい四階堂ふみふみだが、こちらの手札もそこまで芳しくない模様。《ルピア&ガ:ナテハ》で手札を稼ぐためのターンに留まる。

 とにかくマナを伸ばす必要があるラボンは、《天彩の精霊ミルディアス》を召喚してマナを伸ばす。ついでに《ルピア&ガ:ナテハ》をバウンスして少しでも時間を稼ぐ構えだ。

 だが、可及的速やかにゲームを終わらせるという四階堂ふみふみの意志とともに《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》が登場。攻撃時のメテオバーンからは《ハンプティ・ルピア》が登場し、ラボンの手札を明らかにする。

 その布陣は、《流星のガイアッシュ・カイザー》《真気楼と誠偽感の決断》《天災 デドダム》《終末縫合王 ミカドレオ》というもの。

 ここまで踏み倒し入りで2体のクリーチャーが出ている以上、手をこまねいていれば《流星のガイアッシュ・カイザー》《真気楼と誠偽感の決断》が両方踏み倒されるコンボは成立してしまう。ここでどちらかを落とすチャンスが生まれたのは四階堂ふみふみにとって非常に大きい。

 相談と熟考の末、四階堂ふみふみ《流星のガイアッシュ・カイザー》を落とすことを選ぶ。軽減・メタ・ドローという影響の大きさに加え、このT・ブレイカーでS・トリガーがなければ《真気楼と誠偽感の決断》を使わせずに済む……と、理に適った選択と言えるだろう。

 この3枚のブレイクを巡り、両者の願いは交差する。デュエマというゲームが生まれてから、数えきれないほど行われてきた祈りだ。

 震える手で3枚のシールドを手札に加えたラボンは……  S・トリガーで《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》を2枚宣言!シールドの女神は、ラボンに微笑んだ!

 まずは1体目の効果で《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》のみを選んで確実にシールドに送り込み、2体目で《ハンプティ・ルピア》(マナへ)と《マジシャン・ルピア》(シールドへ)を選んでバトルゾーンを空にする。

 このトリガーにより《真気楼と誠偽感の決断》の踏み倒しが確定し、一気に辛くなった四階堂ふみふみ。手札にトリガーと踏み倒し先のセットが揃っていないとはいえ、今出た《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》2枚をシールド送りされるだけでさらに守りが固まってしまう。

 なんとか二の矢、三の矢を作り出してこの強固な守りを突破することを考えつつ、四階堂ふみふみはターン終了を宣言する。

 だが、シールドの女神がラボンに与えたのはS・トリガーだけではなかった。

 ターン終了時にラボンが宣言したのは、予定調和の《真気楼と誠偽感の決断》に加え、ブレイクされたシールドの中から出てきた2枚目の《流星のガイアッシュ・カイザー》  スピードアタッカーを封殺し、ドローと軽減で後続の大型ディスペクターを呼び寄せるこのドラゴンが出たことで、四階堂ふみふみの勝ち筋はさらに狭まってしまう。《真気楼と誠偽感の決断》で想定通り《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》2体をシールドに送りつつ、ラボンはターンを得る。

 ここで《天災 デドダム》を召喚したところで、B席にて「ありがとうございました」の声が響く。賽盗が勝利したことで、この時点で特攻の卓の優勝が確定したのだ。  長きにわたったこの「超CSⅧ大阪」にもついに終止符が打たれ、デュエマの歴史に新たな一ページが刻まれた。

CHAMPION:特攻の卓!

 チームの優勝が確定し、ゲーム開始時からの緊張が少し解けたような表情のラボンに、C席のさくやまが告げる。 さくやま「じゃあ、ここからは一人でやって」

 ここで、初めてラボンが強い感情を込めた声で答える。

ラボン「チーム戦で『一人でやって』なんてそんなひどいことある?俺だけ優勝してないんだけど!

 そう。「超CSⅧ大阪」という大会は終わったが、今目の前で繰り広げられているこのゲームはまだ終わっていないのだ。

 結果や順位だけを求めるならば、このゲームを続けることには何の意味もない。だが、これがデュエル・マスターズである以上、ラボン四階堂ふみふみの決着がつくまではゲームは続く。


 長くそのままになっていた《天災 デドダム》の効果が解決され、マナに《CRYMAX ジャオウガ》、墓地に《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》が送られる。

 《流星のガイアッシュ・カイザー》の効果で概ね次のターンの安全が確保されているラボンは、いったんここでターンを終了。

 四階堂ふみふみも突破手段を引けていないらしく、次のターンに備えて《ハッター・ルピア》《ポッピ・冠・ラッキー》を出してターンを返す。


賽盗「きれいに決めて!」

 B卓の賽盗の声にせっつかれつつ、ラボンもこのゲームの明確なゴールに向けて動き始める。

ラボン「山札の枚数確認していいですか」

四階堂ふみふみ「20枚です」

 その言葉を聞いてから、ラボンが召喚したのは《終末縫合王 ミカドレオ》。召喚時効果で出てくるのは《天災 デドダム》《光開の精霊サイフォゲート》≪修羅の死神フミシュナ≫2枚。特殊勝利に必要な8コスト以上のクリーチャーの姿はないが、盤石な体制だ。

 ≪修羅の死神フミシュナ≫のハンデス2回と《天災 デドダム》の効果が処理され、《光開の精霊サイフォゲート》からは《天彩の精霊ミルディアス》が出て《ハッター・ルピア》をバウンス。最後に《ハッター・ルピア》の効果による《終末縫合王 ミカドレオ》の破壊をEXライフで耐えると、再びターンを終了する。

 先ほどの山札枚数確認でこのゲームのゴール地点に感づいているであろう四階堂ふみふみだが、それでも最後までベストを尽くす構え。残りのマナを使い切って《ハッター・ルピア》2体を召喚し、ターンを返す。

 ターンを得たラボンは最後にもう一度だけ山札を確認すると、7コストを払って一枚のカードをバトルゾーンに召喚する。  《S級宇宙 アダムスキー》。数多のコントロールデッキの最良のフィニッシャーとして、無数の試合に終止符を打ってきた一枚だ。

 《天彩の精霊ミルディアス》の上にカードを重ねたラボンは、万感の思いを込めながら最後の攻撃に入る。

 《S級宇宙 アダムスキー》で攻撃。山札残り15枚。

 《流星のガイアッシュ・カイザー》で攻撃時、《S級宇宙 アダムスキー》のS級侵略[宇宙]を宣言。山札残り11枚。

 《天災 デドダム》で攻撃時、《S級宇宙 アダムスキー》のS級侵略[宇宙]を宣言。山札残り7枚。

 2体目の《天災 デドダム》で攻撃時、《S級宇宙 アダムスキー》のS級侵略[宇宙]を宣言。山札残り3枚。

 《天彩の精霊ミルディアス》で攻撃時、《S級宇宙 アダムスキー》のS級侵略[宇宙]を宣言。シールド1枚分だけブレイクが置換され、山札残り1枚。

 そして。

 そのブレイクされたシールドが何事もなく四階堂ふみふみの手札に加えられたのをこの場の全員が見届けたのちに。 ターン終了。ドロー。山札、残り0枚。

四階堂ふみふみ 1-2 ラボン

WINNER:ラボン


 固い握手ののち、張りつめていたラボンの表情がついに崩れて笑顔に変わる。

 チームの二人に遅れること数分、ついに自分自身も「優勝」を果たしたという表情だ。

 優勝者インタビューに向かう特攻の卓の三人の後ろ姿は、喜びと開放感に満ちていた。


 じゃーまん「終わったー!」

 こちらも緊張の糸が切れたように声を上げたのは、B卓のじゃーまん。その声を聞いて、悔しげな表情で固まっていた四階堂ふみふみの表情が元の柔和なものに戻る。誰からともなくチームメンバーとの感想戦に興じる中、じゃーまんは運営スタッフに少し寂しげに語る。

じゃーまん「(次のチーム戦GPである)愛知はもう仕事って決まってるんすよ」

 このチームでの挑戦は、現時点ではこれが最後となる。準決勝という素晴らしい結果を得ることができたとはいえ、心の中に悔いが残っているのも事実だろう。

 しかし。

じゃーまん「最後に写真撮ろうよ!」

 解体されつつあるカバレージ席を背景に写真撮影に興じる三人の姿は、チーム愛と満足感に満ちていた。



 こうして、真に「超CSⅧ大阪」は幕を閉じた。

 それでは、改めて。  おめでとう、特攻の卓!そして、最高の試合をありがとう、DRIFTERS

 四階堂ふみふみ
 超CSⅧ 大阪
 オリジナル構築
 38 クリーチャー
4 《ルピア&ガ:ナテハ》
4 《マジシャン・ルピア》
1 《ヤット・パウル》
4 《ハンプティ・ルピア》
4 《ハッター・ルピア》
3 《アシステスト・インコッピ》
3 《ポッピ・冠・ラッキー》
4 《龍后凰翔クイーン・ルピア》
4 《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》
1 《凰翔竜機マーチ・ルピア》
4 《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》
2 《アリス・ルピア》
 2 呪文その他
1 《瞬閃と疾駆と双撃の決断》
1 《アリスの突撃インタビュー》



 ラボン
 超CSⅧ 大阪
 オリジナル構築
 27 クリーチャー
4 《天彩の精霊ミルディアス》
4 《天災 デドダム》
2 《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》
3 《光開の精霊サイフォゲート》
3 《流星のガイアッシュ・カイザー》
2 《CRYMAX ジャオウガ》
1 《S級宇宙 アダムスキー》
3 《砕慄接続 グレイトフル・ベン》
1 《飛翔龍 5000VT》
1 《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》
1 《終末縫合王 ミカドレオ》
1 《逆転の剣スカイソード》
1 《大樹王 ギガンディダノス》
 3 ツインパクト
3 《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》
 10 呪文その他
2 《フェアリー・Re:ライフ》
4 《真気楼と誠偽感の決断》
2 《絶望と反魂と滅殺の決断》
2 《ブレイン・スラッシュ》

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