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DMGP2023-2nd :~GP名勝負数え歌~

ライター:河野 真成(神結)

GP名勝負数え歌 ~頂上を目指した者たちの戦い~

 いまやデュエル・マスターズの競技シーンにおける象徴的なイベントとなったグランプリ。2015年にGP1stが開催されて以降、実に8年、計11回の歴史があります。

 それぞれのGPを紐解いていくと、和気藹々とした雰囲気を楽しむプレイヤーがいる一方で、厳しく残酷な結果を突きつけられ、涙と共に会場を去るプレイヤーもいます。

 決して美しいばかりの光景ではないのが、勝負の世界。
 だからこそ、人はそこに憧れ、熱狂し、美しさも覚えるのです。

 名勝負の世界へようこそ。ナビゲーターの神結です。

 ここではGPの過去の名勝負、頂上を決める戦いを厳選し、開催順に5つ紹介させていただきます。

 何年経っても色褪せないのが名勝負です。

 初めての方も、或いはかつてその場にいたという方も、改めてGPという大会に刻まれた歴史を実感してみては如何でしょうか?

1.GP1st決勝 垣根 vs. 市川


 2015年8月1日、歴史の始まりとなるGP1stが開催されます。当時の参加者は、記録によれば1114名。

 当時はドラグハートの全盛期であり、【闇単ヘルボロフ】や【火自然モルトNEXT】、【ヘブンズ・ゲート】といったデッキが環境の主軸でした。

 そんな中で決勝の組み合わせは垣根の【水自然イメンループ】と、市川の【ヘブンズ・ゲートループ】に決まります。

 【イメンループ】は《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》の殿堂や、《メガ・マナロック・ドラゴン》の登場などもあって一時は数を減らしていましたが、GP直前に開催された3人チーム戦で優勝を果たしており、注目のデッキへと変貌していました。

 また【ヘブンズ・ゲート】の方ですが、当時は《復活の祈祷師ザビ・ミラ》でフィニッシュが一般的で、完全なループ型はまだ珍しいものでした。

 しかしヘブンズ・ゲートの構築でどうであれ、決勝の組み合わせがわかった時点で、プレイヤーの多くは垣根の優勝を確信したことでしょう。
 【イメンループ】と【ヘブンズ・ゲート】の相性はよく知られているところであり、圧倒的にイメン側が有利でした。

 というのもこれは単純明快な理由で、同じループデッキであればより速度に優れたイメン側が勝つというのが道理です。
 
 加えてイメン側は《勝利のリュウセイ・カイザー》《イオの伝道師ガガ・パックン》《パクリオ》といった相手を遅らせる術にも長けており、一方のヘブンズにイメンを遅らせる手段は取れても《パクリオ》くらい。ここもヘブンズと差が付く大きなポイントでした。

 そして実際、第1ゲームは垣根のイメンが4ターンスタートという冷や汗ものの展開ながらも、先取に成功します。
 イメン側はマナ加速が絡められないゲームでしたが、《パクリオ》《イオの伝道師ガガ・パックン》が有効に働き、その隙に≪邪帝遺跡 ボアロパゴス≫が龍解。

 そして《パクリオ》を連打してヘブンズ・ゲート側の手札を機能不全へと追い込むと、《無双恐皇ガラムタ》へと到達し、そのまま勝負を決めたのでした。
 
 続く第2ゲームでも《イオの伝道師ガガ・パックン》が睨みを利かせながら≪邪帝遺跡 ボアロパゴス≫に成功。

 やはりヘブンズではイメンには敵わないか。

 この時点で市川のマナは5しかなく、マナチャージしても6。呪文のコストが重くなっているため《ヘブンズ・ゲート》は撃つことは叶わず、いよいよ垣根の優勝も決まったかと思われました。

 しかしここで市川が繰り出したのは、なんと《ポジトロン・サイン》 ヘブンズ側の切り札とも言える1枚で、ここから《ヘブンズ・ゲート》へと繋がり、天門を開いて《奇跡の精霊ミルザム》《音感の精霊龍 エメラルーダ》が登場します。

 いわゆる「ミルエメ」が決まれば、あとはヘブンズ側のゲームです。5枚のシールドから呪文を繋げていき、《フォース・アゲイン》が重ね掛けされ、最後に《光霊姫アレフティナ》が場に出てきて、このゲームを奪取します。

 これがGPということなのでしょうか。危なげなく優勝するかと思われたゲームに、とんだ魔物が潜んでいました。

 最終ゲームはイメン側が狙い通りにゲームを展開し、《勝利のリュウセイ・カイザー》で縛り上げて≪邪帝遺跡 ボアロパゴス≫が龍解。
 山札の中に《無双恐皇ガラムタ》がいたことで最終的には垣根の優勝とはなりました。

 しかしとにかく第2ゲームのインパクトが強く、改めて振り返ってみても、GPの始まりを飾るのに相応しかった一戦、と言っていいでしょう。

2.GP3rd決勝 W vs. とも


 2ndを経て、GP3rdは2016年9月19日に開催されました。参加者は約2000人と、GP1stの倍に。この年から春・秋で年2回の開催が恒例となり、現在まで至っています。

 さて、この年はとにかく《蒼き団長 ドギラゴン剣》が強力で、【闇火自然ドギラゴン剣】、【闇火ドギラゴン剣】の2つのデッキが活躍をしていました。
 その後《フェアリー・ギフト》が殿堂となったことで、3色のドギラゴン剣はやや後退。
 一方でGPの前々日に登場した《スクランブル・チェンジ》の存在によって、闇火のドギラゴン剣は大幅な強化を受けることが予想されました。

 そして実際にこのデッキは強く、W(ホワイト)が決勝まで辿り着きました。
   
 一方のともの使用デッキは【オプティマスループ】。こちらは下馬評では優勝候補に挙がるデッキではなかったのですが、見事な環境読みで決勝へとやってきました。

 さて、第1ゲームは序盤を順調に加速で進行したともに対して、W《スクランブル・チェンジ》からの《メガ・マナロック・ドラゴン》を炸裂させます。  晴天は、突如雷雨へと変わりました。マナロックによって動けなくなったところに《蒼き団長 ドギラゴン剣》が襲いかかり、そのままWが先行します。

 第2ゲームは先手となったともが順調にマナ加速から《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》へと到達します。しかしキーパーツである《常勝ディス・オプティマス》が見えないため、一旦ステイする格好に。
 対してWの初動は《ゴーゴー・ジゴッチ》を召喚からの《メガ・マナロック・ドラゴン》の回収。相手の《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》を見て、《単騎連射 マグナム》を場に置きます。
 そして相手がDスイッチを押さないと見るや、再び《スクランブル・チェンジ》からの《メガ・マナロック・ドラゴン》

 もう溜めている猶予はないと判断したWは、革命チェンジ《蒼き団長 ドギラゴン剣》で強襲。
 ここで先に置いた《単騎連射 マグナム》が仕事を果たし、とものシールドにいた《終末の時計 ザ・クロック》を無効化。
 後ろのブレイクで《ドンドン吸い込むナウ》をトリガーするも、順番が逆ならば有効となったが、及ばず。

 そしてそのまま押し切ったWが、見事に優勝を決めました。

 振り返ってみると、この決勝はGPの歴史に於いて、最初の転換点だったかもしれません。

 1stではイメンループが、2ndではマークロループが優勝したことで、「GPではループデッキが優勝する」というジンクスが当時存在していました。そもそも、決勝の組み合わせ自体が「ループ vs. ループ」の構図だったのです。

 ですがこのジンクスを、Wが打ち破りました。

 そしてそれは同時に《蒼き団長 ドギラゴン剣》という今なおデュエル・マスターズの顔とも言えるようなカードの、華々しいGPデビューを彩るものとなったのです。  また決勝には進出出来ませんでしたが、このGPでは【光火ジョバンニスコール】が大きく注目され、以降の環境を大きく変えることとなりました。

3.GP7th 決勝 えんがわ vs. ぎらさき


 強者であればあるほど、環境に於ける結論というのは近しいものになるでしょう。
 それ故に強者同士であればあるほど、ミラーマッチは避けられなくなります。

 それが最も如実に表れたのがGP7thの決勝でした。

 えんがわぎらさきという強者同士の決勝戦は、【光ゼロサッヴァーク】の39枚のミラーマッチとなったのです。
   
 2018年10月8日に開催されたGP7thは、初の2ブロックレギュレーションでした。当時は「殿堂」「2ブロック」という2つのレギュレーションに分けられており、一般的な大会の多くは「殿堂」での開催です。
 それ故に2ブロックはデッキサンプルも少なく、プレイヤーとしての実力が大きく反映されるレギュレーションと言われていました。

 そして実際にベスト4に残ったのがえんがわぎらさきに加えてdottoZweilanceというメンバーであり、上記の言説にも説得力があると言えます。

 準決勝ではえんがわdotto《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》による追加3ターンを耐えるなど激戦を制して決勝へ。対してぎらさきも、この日無敗だったZweilanceを2-0で破っています。

 この2つの準決勝も名勝負と名高いのでオススメです。

 さて、39枚のミラーマッチによる決勝ですが、一見すると非常に地味なものでした。

 第1ゲームは序盤に《憤怒スル破面ノ裁キ》《剣参ノ裁キ》を有用に唱えられたえんがわが地道に手札を広げていきます。
 先に《サッヴァークDG》の召喚に成功したのはぎらさきでしたが、《煌世主 サッヴァーク†》がなく、そのまま終了。えんがわも返しに《サッヴァークDG》を召喚すると、こちらは《煌龍 サッヴァーク》を場に出します。

 ……このミラーマッチの真骨頂は、デッキが39枚同じなことではなく、デッキが1枚違うことでした。そしてその1枚とは、えんがわが場に出した《煌龍 サッヴァーク》なのです。  【光ゼロサッヴァーク】というデッキは、相手に繰り出された《煌龍 サッヴァーク》を除去することが出来ません。
 この1枚分の有利が、えんがわに流れを呼び込みます。

 そこから先は《隻眼ノ裁キ》《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》、≪ジャミング・チャフ≫で相手の動きを止め合う戦いとなりましたが、その間にえんがわの2枚目の《煌龍 サッヴァーク》が降臨します。

 これが勝負を決定付け、最後は≪ジャミング・チャフ≫と《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》を用意したえんがわが制することになります。

 そして第2ゲームも、《煌龍 サッヴァーク》が生きた試合となりました。

 裁きの紋章を引き込めなかったぎらさきに対して、えんがわ《憤怒スル破面ノ裁キ》《転生ノ正裁Z》でシールドに紋章を溜めていく展開を実現。
 
 ぎらさき《サッヴァークDG》から《煌世主 サッヴァーク†》を出したものの、この時紋章が足りておらず、耐性が付いていません。
 そしてその隙をえんがわは見逃さず、同じく《サッヴァークDG》から再びの《煌龍 サッヴァーク》を繰り出し、《煌世主 サッヴァーク†》を除去に成功しました。

 これで勝負は決まりました。後はぎらさきの≪ジャミング・チャフ≫が切れたタイミングで≪ジャミング・チャフ≫を打ち返し、《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》でフィニッシュ。

 GP史上初のミラーマッチによる決勝は、えんがわが勝者となったのでした。

GP8th 決勝 おんそく vs. L


 GPの配信卓には、魔物が棲むといいます。

 GP8hは2019年4月13,14日の2日間の日程で開催されました。Day1が2ブロック、Day2が殿堂でのレギュレーションで、両日2500名近い参加者が集まりました。

 2日開催はもちろんのこと、しゃくれ副店長によるプレイヤー解説も設けられるなど、新たな試みも行われています。

 さて、2ブロックとなったDay1の決勝ですが、【火自然印鑑パラス】のおんそくと、【4cバラギアラループ】のLによる対決となりました。
   
 この印鑑パラスというデッキは《印鑑D》《革命類侵略目 パラスキング》を組み合わせたデッキなのですが、《“轟轟轟”ブランド》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》といったカードも採用されており、天才デッキビルダーこっちゃーの自慢の作品でした。

 対して【4cバラギアラループ】も受けトリガーには自信のある構築になっており、かなりの激戦が予想されました。

 第1ゲームはおんそくが狙い通り《印鑑D》《“轟轟轟”ブランド》、更に《革命類侵略目 パラスキング》の侵略で攻め込んでいきます。

 しかしL《“轟轟轟”ブランド》《レレディ・バ・グーバ / ツインパクト・マップ》のクリーチャー側で相討ちとし、シールドが0にはなりますがなんとか耐えると、《龍装艦 チェンジザ / 六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》のクリーチャー側から《コンダマ / 魂フエミドロ》を唱えてマナを伸ばして次のターンに向けた準備を進めます。

 スピードアタッカーを引けば勝ちだったおんそくでしたが、ここは引くことが出来ず。逆に伸ばしきったマナから≪天地命動 バラギアラ≫へと到達したLがそのままループを決め、第1ゲームを先取します。

 第2ゲームは先手となったおんそくが≪幻緑の双月≫から《印鑑D》へと繋ぐものの、1点で《天地命動 バラギアラ / 輪廻暴聖》の呪文側がトリガーし、一気に劣勢となります。

 それでもおんそくは再攻の準備を整えると、≪ゴリガン砕車 ゴルドーザ≫と《“轟轟轟”ブランド》を揃えて攻撃に掛かります。

 しかしデュエマの神がまるでLに勝てと言わんばかりにシールドから次々と《マッド・デーモン閣下/デーモン・ハンド》が現れ、遂におんそくの攻め手がなくなります。

 そしてLはいよいよ≪天地命動 バラギアラ≫を召喚。そのままループをして勝つ筈でした。
 誰もがLの優勝を確信し、SNSも両者への労いや祝福のコメントに溢れる中、魔物は現れました。

 バラギアラでマナをブーストし、無敵虹帝の効果を使おうとした瞬間、Lは気付いてしまいます。
 そう、バトルゾーンに、《始虹帝 ミノガミ》がいないことに。  このゲームを山札切れで落としたLは、第3ゲームでは先のS・トリガー祭りが嘘のようにシールドに何も埋まることなく、文字通り椅子から崩れ落ちたのでした。

 GP、そこは魔物の棲まう場所なのです。

5.GP9th 決勝 イヌ科 vs. ゲルネウス


 令和最初のGPは2019年10月5日、静岡にて開催されました。

 この時は大会の約2週間前に発売された超天篇第3弾『零誕!魔神おこせジョルネード1059‼︎』の研究発表会と言える大会で、強力なマナドライブを持つGRクリーチャーたちや《生命と大地と轟破の決断》といったカードが活躍することになります。

 そして頂上決戦となったのは【火単ミッツァイル】のゲルネウス、そして【カリヤドネループ】のイヌ科
 「超天篇 拡張パック第3弾 零誕!魔神おこせジョルネード1059‼︎」に収録されていた《“魔神轟怒”ブランド》《》を使用したデッキでした。
   
 火単がわかりやすく既知のデッキだったのに対して、カリヤドネループはこの日突然現れたデッキでした。

 墓地を溜めてカリヤドネ、それはいいんです。

 問題はこのデッキから繰り出される《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》の呪文側にありました。
 特に《生命と大地と轟破の決断》を使用したデッキは≪「本日のラッキーナンバー!」≫にどうしても弱く、【メルゲドッカンデイヤー】のようなデッキも、カリヤドネの前に散っていったのです。
 
 決勝戦は、火単のゲルネウスが第1ゲームを難しい手札を上手く捌いてまず1勝を挙げますが、ここからイヌ科のカリヤドネループが反撃を開始します。

 第2ゲームは《ブラッディ・クロス》からの高速墓地肥やしから、≪「本日のラッキーナンバー!」≫の「7」宣言で《“罰怒“ブランド》を封殺。
 そしてシールドから《エマージェンシー・タイフーン》がトリガーしたことで、一気に≪魔導管理室 カリヤドネ≫へと繋がり、1-1の五分へと持っていったのです。

 そして最終戦。
 
 ゲルネウスがまず調子よく1,2とクリーチャーを展開していき、3ターン目に《GIRIGIRI・チクタック》を召喚。

 そして熟考の末、4体破壊から《BAKUOOON・ミッツァイル》を召喚し、更になんと《“魔神轟怒”ブランド》が2体登場します。

 3ターンミッツァイルから、2体‟魔神轟怒”です。
 この時点で、観戦していた多くのプレイヤーがゲルネウスが優勝したと思ったことでしょう。

 しかしこの戦いの結末は、その衝撃を更に上回るものでした。
 《“魔神轟怒”ブランド》の2点で割ったシールドから出てきたのが、なんと2枚の《知識と流転と時空の決断》  4体のクリーチャーがバウンスされたことで、一気に形勢は逆転しました。
 すぐには詰め切れなかったものの、≪「本日のラッキーナンバー!」≫から≪魔導管理室 カリヤドネ≫へと到達します。

 文字通り頂上決戦と言えるようなゲームを制したのは、イヌ科とカリヤドネループでした。

おわりに

 GPの歴史は11回。積み上げた歴史の数だけ名勝負があります。
 貴方の“推し”の名勝負を、#DMGP名勝負 のハッシュタグを付けてXで教えてください。

 そして、いよいよ10月14日には12回目のGPとなるDMGP2023-2ndが開催されます。生配信はもちろん、テキストカバレージも予定されておりますので、ぜひ名勝負の世界をリアルタイムで味わっては如何でしょうか?

 更に今回紹介した頂上決戦だけでなく、これまでのGPの戦いをモチーフとしたカードが、10月21日発売の「頂上決戦!!デュエキングMAX 2023」に収録されておりますので、ぜひお求めください。

 それではまた、次の名勝負の舞台でお会いしましょう!


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