ライター:鈴木 響太(ボルスズ)
「夢」を追うものは、みな孤独である。
勝利をつかみ、優勝を手にするという「夢」、日々の研究の成果を見せつけるのだという「夢」……多くの決断を伴う夢への道は、時に周囲からの理解を得られないこともある。時には、誰の手も借りず、自身の判断を信じなければならないこともある。
一匹狼が持つ孤独は、憐みの目を向けられるべきものではない。誰よりも貪欲に「夢」を追い、誰よりも研鑽を積んだ結果、他者よりも先に行った者の称号なのだ。
ここではトップ128まで勝ち残りつつも、その中で使用者がそれぞれ1人しかいなかった、そんな勇敢なる
9種類の狼たちについて紹介しよう。
制作部:ボルベルグ龍覇
直近の新商品「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」は、あと一歩足りなかった決定力をこのデッキに与えた。
他のドラゴンデッキとこのデッキの大きな差異は、防御カードを戦術に組み込みやすい点にある。
キーカードとなる新規、《次元の超銀河剣 THE FINAL》によって暴発戦術が採用しやすいため、《新世代龍覇 グレングラッサ》や、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》、《王道の革命 ドギラゴン》といったカードのバリューを向上させられる。
それに加えて、今回は《革命の絆》、《ボルシャック・ドギラゴン》といった「革命0トリガー」によるカウンターカードを4枚ずつフル投入されているのがポイント。
フィニッシュを《ボルベルグ・龍覇 ・ドラゴン》へ任せた、思い切りのいい構築がなせるワザと言えるだろう。
ギルキス@酒場:火光カウンター
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ギルキス@酒場
DMGP2024-2nd
アドバンス構築
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「革命0トリガー」によるカウンターであれば、このデッキも負けていない。
こちらは一転して、光文明の強力カードを主軸に置いたカウンターデッキで、デッキトップから現れた《光開の精霊サイフォゲート》や《光の兄妹 るる&ルシファー》といったカードで不意打ち気味に展開していくのが特徴だ。
また、気になるポイントは【ヘブンズ・ゲート】と似て非なるデッキであるということ。
一見すると先述した《光開の精霊サイフォゲート》、《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》といったメジャーカードから、【ヘブンズ・ゲート】と誤認しがちだが、「革命0トリガー」はそれらの防御と対処が変わる。認識の穴をついた戦い方もできそうだ。
こだわりぬかれた1~2枚採用カードも見どころと言えるだろう。ギリギリのギリギリまで調整された、バランスが光る構築に拍手。
しろちゃん:5Cマッド・デッド・ウッド
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しろちゃん
DMGP2024-2nd
アドバンス構築
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防御戦術は、何も光の専売特許ではない。守りの王道、S・トリガーに目を付けたのがこの【マッド・デッド・ウッド】である。
採用されたS・トリガーは、積みに積んだり26枚。55枚まで増量されたこのデッキにあっても実に半数近い採用で異彩を放っている。
デッキ枚数を増やした恩恵はそれにとどまらず、《龍風混成 ザーディクリカ》の採用などにより、【5Cコントロール】との折衷案のようになっている点も注目。
《復活の祈祷師ザビ・ミラ》からの≪勝利の頂上 ヴォルグ・イソレイト6th≫ギミックや【マッド・デッド・ウッド】の本懐とも言える《水上第九院 シャコガイル》も採用されており、母数最大級となった【ヘブンズ・ゲート】系のデッキに対しても安全にフィニッシュできる。やりたいことが全て詰まった、「夢」のあふれる構築と言えるだろう。
未咲奈:50枚5Cキューブ
やりたいことが全部のせの極致とも言えるのが、この【5Cキューブ】。
デッキの根幹とも言える《フェアリー・ミラクル》と《ミステリー・キューブ》の2種類を除き、その他のすべてが3枚以下。何なら《禁時混成王 ドキンダンテXXII》の3枚採用以外はすべて2枚以下という強烈な構成!
複数積まれたいわゆる「ガチャカード」から、何が飛び出してくるかわからない。びっくり箱のような少年の「夢」いっぱいの仕上がりだ。
レド。:ゼーロビッグバン
《ポッピ・冠・ラッキー》の跋扈する環境において、リアニメイト戦術がここまで勝ち残ると誰が予想できただろうか?
《オンサ=マンサー》を筆頭に、小型アビスクリーチャーでアップデートを繰り返してきた《闇王ゼーロ》だが、目を引くのはやはり2枚採用の《ド:コータ》。今までとは一線を画す除去のライン、2マナにして-3000の範囲のおかげで憎き《ポッピ・冠・ラッキー》もばっちり捉えている。
絶えず強化のヒントを見逃さない、あくなき探求心が決勝トーナメントへの道を切り拓いた。
phone田翼:4Cアカシック3
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phone田翼
DMGP2024-2nd
アドバンス構築
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「自由すぎるデッキがいる」。カバレージ班を沸かせたのが、この【4Cアカシック3】だ。
一見すると【シールドプリズン】に類するデッキだが、その本質は銀の弾丸を携えたスペルコンボ。
特に《めっちゃ!デンヂャラスG3 / ケッシング・ゼロ》の採用は特徴的で、《零龍》や《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》といった、並み居る耐性持ちクリーチャーをことごとく消し去ることができる優れものだ。
《クリスタル・メモリー》から不意打ちの《聖カオスマントラ》が飛び出す意識外の防御が採用されているのも面白い。
デュエマで最も自由なフォーマット、それがアドバンスであることを思い知らせてくれる逸品と言えるだろう。
めんだこ:ブレスラマーシャル
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めんだこ
DMGP2024-2nd
アドバンス構築
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《ブレイン・スラッシュ》から始動する、いわゆる【ブレスラ・チェイン】が抱えていた色バランス問題を《超光喜 エルボロム》は解決した。
マナ加速を経由したものと変わらない最速4ターンでの起動を光・水・闇の3色で実現したのがめんだこの【ブレスラマーシャル】だ。
3ターン目の墓地肥やしクリーチャーをハイパーモードの種としてしまえば、即座にコンボが開始。《虚無の守護者グリ・ラ / 無情の光》から入れば《ブレイン・スラッシュ》の両モードを使えるだけでなく、《アーテル・ゴルギーニ》もまたシームレスなコンボ始動にうってつけだ。
多くのプレイヤーが《マーシャル・クイーン》の補助として《超光喜 エルボロム》 を選択する中、起点として採用した手腕にあっぱれ。
ねぎ。:水闇自然グラスパー
《ヨビニオン・マルル》の登場によって起きた2→4→7ムーブの革命は、【水闇自然グラスパー】の最大値をも更新した。
今までとは比べ物にならない安定感での4ターンコンボを実現したのはもちろん、最速コンボ以外にも《解罪 ジェ霊ニー》による中継ぎもいい味を出している。1/3でマナ加速を挟みながら、ピーピングハンデス(手札を見る手札破壊)による相手への妨害はコンボの成功率を向上させる行為に他ならない。
デッキ枚数の増加も併せて、アドバンスフォーマットの妙が詰まった見事なデッキと言っても過言ではないだろう。
午後茶:自然単イツァヤナ
輝かしい夢を追うことは、誰かにとっての悪夢かもしれない。圧倒的な初見封殺性能と、驚異の構築力で相手を悪夢へと誘う、ローグデッキの本懐とも言えるデッキを最後に紹介しよう。
自然文明の十八番、2→4→6のマナカーブから《イミッシュ・イツァヤナ》が着地すると、チェインコンボが動き出す。
≪ナチュラル・ゴ・デンジャー≫、《逆転の剣スカイソード》といった踏み倒しクリーチャーから《幻影 ミスキュー》によるアタックキャンセルを通し、さらなる《イミッシュ・イツァヤナ》へと踏み倒しの連鎖を重ねていく。
ミステリー・トーテムたちが盤上に広がっていけば、純粋な運否天賦の始点であっても次第に大きなアタリへと繋がる算段だろう。
その視点も純粋な運だけの勝負ではなく、《無頼妖精ワイルド・リリィ》を経由した《邪帝斧 ボアロアックス》による安定性もあり、初見の度肝を抜くこと請け合いだ。