DMGP2025-1st Day2(オリジナル):メタゲームブレイクダウン
ライター:山口 海斗(ジャイロ)
DMGP2025-1stより追加されたフロアルールに、「不透明スリーブとして使えるのはデュエル・マスターズ公式カードスリーブか無地の色付きの不透明スリーブのみ」というものがある。となると気になるのは、どのようなスリーブが使われ、本戦進出を果たしたのかだろう。
さっそく、TOP128名のスリーブ分布を見ていこう。
TOP128使用スリーブ分布
43 無地7 《龍后凰翔クイーン・ルピア》都道府県ランキング賞スリーブ
4 《邪幽 ジャガイスト》都道府県ランキング賞スリーブ
3 「デュエル・マスターズ DXカードスリーブ 鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ」
3 「デュエル・マスターズ DXカードスリーブ ドラゴン娘になりたくないっ! Jack-Pot ver.」
18 その他(母数2)
50 その他(母数1)
TOP128人中、3人に1人が無地スリーブを使っているというかなり偏った環境が形成されている。また、筆者が確認した限りだと暖色より寒色や黒のプレイヤーが多くみられた。誰しも「勝ちたい」というアツい感情を持つ中、視覚情報から冷静さを取り戻そうとする表れかもしれない。
次点につけたのは母数7で《龍后凰翔クイーン・ルピア》のランキングスリーブであった。
直近のランキング景品であることから注目度も高く、「最強」とも名高い【火光闇ファイアー・バード】に親しみを持ったプレイヤーが好んで使っていることが推測される。
また、母数4で3番手につけたのは《邪幽 ジャガイスト》のランキングスリーブ。配布順を考えると《クリス=タブラ=ラーサ》を抑えての堂々入賞は、《邪幽 ジャガイスト》のカード人気の高さからだろう。まさに殿堂入りの風格だ。
一般販売商品からは「デュエル・マスターズ DXカードスリーブ 鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ」と「デュエル・マスターズ DXカードスリーブ ドラゴン娘になりたくないっ! Jack-Pot ver.」がそれぞれ母数3でランクイン。


50人ものプレイヤーが母数1のスリーブを使うなか、意外なスリーブが母数2であったため取り上げたい。
ひとつめは2013年7月20日発売の「デュエル・マスターズ DXカードプロテクト オラクルの書Ver.」だ。
「禁断の変形デッキ オラクルの書」と同時発売されたスリーブであり、対を成すはずの「デュエル・マスターズ DXカードプロテクト アウトレイジの書Ver.」は母数0だったことから、プレイヤー達の「オラクル教団」への高い関心が伺える。
二つめは2013年9月10日にタカラトミーモールで予約販売された「DMデッキ開発部 プロテクトセット」より八重子プロテクトだ。「デッキ開発部」コンテンツの強さは2025年も顕在だ。
奇しくもどちらも2013年の商品であり、プレイヤーの思い入れの強い年も浮かび上がったのではないだろうか。
ますます盛り上がるデュエル・マスターズのサプライ環境。皆も自身の愛を発信するツールとして、あるいは対戦相手や友人とのコミュニケーションツールとして、デュエル・マスターズライフの一助として楽しんでほしい。
それはさておき。
改めてDMGP2025-1st-Day2のオリジナル環境を見ていこう。今度はスリーブではなく、デッキタイプの環境だ。安心してほしい。
TOP128使用デッキ分布
34 【火光闇ファイアー・バード】15 【火光自然ボルシャック】
9 【アマテラスループ】
9 【ペテンシーフシギバース】
6 【光水ライオネル.Star】
6 【光自然ドリームメイト】
5 【フィオナアカシック】
5 【水闇自然バロム・ナイトメア】
4 【火水闇ジャオウガ】
…(以下、母数3)
【火光闇ファイアー・バード】
約4人に1人が【火光闇ファイアー・バード】を使用しており、TOP128の入賞率も堂々の1位だ。特に、2位の【火光自然ボルシャック】に対して2倍以上の差をつけ…と、ここまで書いてある既視感が襲う。この流れ、「DMGP2024-2nd Day2(オリジナル):メタゲームブレイクダウン」と全く一緒じゃないか?
どうなってるんだ【火光闇ファイアー・バード】。《雷炎翔鎧バルピアレスク》の殿堂入りで弱体化したのではなかったのか。
あーくん DMGP2025-1st オリジナル構築 |
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《雷炎翔鎧バルピアレスク》が殿堂入りによって入れられなくなった枠に《凰翔竜機マーチ・ルピア》を採用するのが現在の主流。
「3」コスト以上のファイアー・バードからの革命チェンジや《龍后凰翔クイーン・ルピア》からのメクレイド先、あるいは《アリス・ルピア》からの踏み倒し先として、【火光闇ファイアー・バード】の力強い動きを底支えしている。
《雷炎翔鎧バルピアレスク》4枚採用の頃と比べると確実に使用難易度は上がっているが、難易度に見合うだけの強さがあることはTOP128の入賞率からも伝わるだろう。
フォーマットが異なるとはいえ、前日開催のDMGP2025-1st-Day1でもTOP8のうち半分が【火光闇ファイアー・バード】だったことは記憶に新しい。
では、TOPT8を見てみるとどうだろうか。
TOP8使用デッキ分布
2 【火水闇ジャオウガ】1 【火光自然ボルシャック】
1 【光自然ドリームメイト】
1 【光水ライオネル.Star】
1 【アマテラスループ】
1 【水単ハイパーエナジー】
1 【水闇COMPLEX】
どうなってるんだ【火光闇ファイアー・バード】。というかどこに行ったんだ【火光闇ファイアー・バード】。最大母数を誇っていたデッキが上位にひとつも残っていない。
この不可解な現象を解き明かすためにも、まずは現在のオリジナル環境を整理してみよう。
現在のオリジナル環境にいる主要なデッキタイプは、大きく3つの属性に分類される。
①【火光闇ファイアー・バード】
②【火光闇ファイアー・バード】に有利(とされている)デッキ
③②に有利なデッキ
この3種類のデッキ群があることを踏まえ、ある仮説を立ててみた。
仮説
予選段階では①、②、③のデッキタイプがそれぞれ一定数存在し、ラウンドごとに戦っている。【火光闇ファイアー・バード】は当然③のデッキ群に勝ち越すし、③は②のデッキ群に勝ち越す。ところが、【火光闇ファイアー・バード】はその基盤が強力すぎる故、プレイヤーが乗りこなしさえすれば②のデッキを乗り越えてしまうのだ。
その結果②は一時的に数を減らし、【火光闇ファイアー・バード】と③のマッチングが多発。
最終的にTOP128まで生き残ったのは【火光闇ファイアー・バード】、ポテンシャルを活かしきれた②のデッキ群、僅かに生き残った③となる。
ここからトーナメントを行うと、【火光闇ファイアー・バード】が本来戦いたい③は既に数が少なく、【火光闇ファイアー・バード】の同士討ちや苦手な②のデッキとの対決が多発。
TOP8まで進めるとついに【火光闇ファイアー・バード】が姿を消した、という流れだ。
あくまで仮説ではあるが、【火光闇ファイアー・バード】がTOP8にいないという不可解な現象については整理できたのではないだろうか。
ここまで説明したくなるぐらいには、【火光闇ファイアー・バード】は最強だったということが伝わっていれば嬉しい。
一部、③でありながらもポテンシャルが高すぎてTOP8まで勝ち残っているデッキも存在しているため、先に紹介しておこう。
【火光自然ボルシャック】
えて. DMGP2025-1st オリジナル構築 |
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《魂の呼び声》を絡めた最速4ターン目のコンボは要求も高すぎず、噛み合いさえすれば【火光闇ファイアー・バード】を乗り越えてしまうほどの決定力がある。《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》による呪文ロック、《地封龍 ギャイア》によるクリーチャーロックなど、あらゆるデッキに対して致命的な一撃を放てる柔軟さもこのデッキの魅力と言えるだろう。
続いては、②に属しているデッキのうちTOP8に進出したものから、「どういったアプローチで【火光闇ファイアー・バード】に有利に立つのか」と併せて紹介しよう。
【アマテラスループ】
†カナタ† DMGP2025-1st オリジナル構築 |
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アプローチ方法:「メクレイドメタ」「必殺コンボ」
《カレイコの黒像》による「メクレイドメタ」や、《真気楼と誠偽感の決断》の放つプレッシャー。これらを巧みに使い分けて時間を稼ぎ、トドメは《クイーン・アマテラス》から続く「必殺コンボ」で安全に勝利する。
最速を狙うループデッキとは異なり、環境に標準を合わせることで花開いたループデッキが見事TOP8入りだ。
【水単ハイパーエナジー】
てるふぇす DMGP2025-1st オリジナル構築 |
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アプローチ方法:「メクレイドメタ」「スピードアタッカーメタ」
《飛ベル津バサ「曲通風」》による「メクレイドメタ」で相手の出鼻をくじき、《爆藍月 スケルハンター》を間に合わせて各種スピードアタッカーによる攻撃を食い止める。【火光闇ファイアー・バード】だけでなく、【火光自然ボルシャック】のようなデッキに対しても有効なアプローチなのが輝く。本大会の準決勝での活躍が顕著であるため、気になった方はそちらも合わせて楽しんでいただきたい。
【火水闇ジャオウガ】
Rikky DMGP2025-1st オリジナル構築 |
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アプローチ方法:「手札破壊」「メクレイドメタ」
使用難易度の上がった【火光闇ファイアー・バード】にとって「手札破壊」というアプローチは強烈に刺さる。《冥土人形ヴァミリア・バレル》や《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》による「手札破壊」を連続して使うことで【火光闇ファイアー・バード】は途端に機能不全に陥るのだ。
また、《飛ベル津バサ「曲通風」》や《異端流し オニカマス》による「メクレイドメタ」も自身の動きを邪魔することなく使える。それもそのはず、クリーチャーを並べた先には《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》という強力なフィニッシャーが控えているのだから。
また、これらのデッキは共通して《飛翔龍 5000VT》が採用されており、【火光闇ファイアー・バード】に対して二の矢・三の矢を放てることも特徴だと言えるだろう。
さて、様々なデッキが【火光闇ファイアー・バード】と戦えるよう工夫が施されているなか、見事優勝を収めたのはこのデッキタイプであった。
【水闇COMPLEX】
カルマ DMGP2025-1st オリジナル構築 |
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アプローチ方法:「必殺コンボ」「メクレイドメタ」「手札破壊」「スピードアタッカーメタ」
つまり全部だ。
《DARK MATERIAL COMPLEX》or《∞龍 ゲンムエンペラー》による一撃「必殺」、《異端流し オニカマス》や《カレイコの黒像》による「メクレイドメタ」、手厚く採用された「手札破壊」に、《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》による「スピードアタッカーメタ」まで!
もちろん《飛翔龍 5000VT》も標準搭載。
これまで述べたvs【火光闇ファイアー・バード】への強みをどのデッキよりも多く抱え、③のデッキと渡り合えるだけの対応力も備えている。
結果ありきとはいえ、理由を考えると【水闇COMPLEX】は現環境を渡り歩くには最適なデッキタイプなのかもしれない。
勝負は水物である。少しマッチングが異なれば、やはり【火光闇ファイアー・バード】が最強だった未来があり得るかもしれないし、ここで紹介できていないデッキが優勝していたかもしれない。
開催が発表された「超CSⅧ」に向けて、あるいは今後のデュエル・マスターズを楽しむうえで、本記事が少しでも読者の役に立てば幸いだ。
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