超CSV大阪:メタゲームブレイクダウン
ライター:齋藤 陽(あーくん)
撮影者:出端 敏夫
はじめに
超CSⅤin新潟において【水闇ダンタルサガ】が最強であったことは、結果を見ても明らかだろう。そこから1週間後、大感謝祭 ビクトリーBESTが発売され、環境は大きく動いた。
特に《飛翔龍 5000VT》は小型クリーチャーを一掃しながら簡易的なロックをかける、今までのメタクリーチャーで時間を稼いでいたデュエル・マスターズから大きくゲーム性を変えたカードだろう。 《飛翔龍 5000VT》を使うのか、使われるのか、意に介さないのか。
どのような付き合い方をするにせよ、プレイヤーの意識に叩き込まれたこのカードは、実質的に今回のメタゲームを支配していたと言っても過言ではないだろう。
プレイヤーたちがどう向き合ってきたのか、それはデッキ選択や細部の構築に表れる。
それでは、どのようなデッキが勝ち上がってきたのか、順を追って環境を振り返ろう。
超CSVin大阪でTOP128に進出したデッキは以下の通りだ。
TOP128デッキ分布
サガループ 合計46・水闇ダンタル 32
・水闇火ダンタル 3
・水闇DOOM 10
・光水闇DOOM 1
アポロヌス 合計14
・火自然 13
・水火 1
ライオネル.star 合計7
・光水 6
・光水火 1
5cコントロール 14
闇火テレスコ=テレス 9
光火サムライ 9
水闇自然ジャオウガ 6
水魔導具 6
4c邪王門 3
火単我我我ガイアール・ブランド 2
水闇自然オービーメイカー 2
光水闇ヘブンズ・ゲート 2
水闇自然ジウォッチ 2
カイザー刃鬼 2
その他 4
代表的なデッキの特徴と新弾の影響を踏まえ、今大会の選手の意図を読み解いていこうと思う。
サガループ
まず目を引くのは、やはりこのデッキだろう。前回の新潟大会で名実ともに最強が証明された【サガループ】。
今回の大阪大会では更に母数が増え、本戦進出者の46/128名が使用していた。
単純な前回比率で考えると、1.8倍近く勝ち上がっている。
最もメジャーな形である【水闇ダンタルサガ】に限定しても予選突破者の1/4が使用。
超CSⅢでの【水闇自然デッドダムド】に比肩する、圧倒的な支配率を叩き出した。
こうなった理由はいくつか考えられるが、まずは純粋にデッキの強さが挙げられるだろう。
ZweiLanceやひんた、はるるやユウキング/わいきんといったDMPランキングの上位勢は、このデッキでできないこともなければ、勝てない対面もいないというほどプレイングに自信を持っている。
そしてそれはあながち間違いではなく、熟練者が使う【サガループ】は他の追随を許さない。
今回目立った構築の話をすると大きくは《飛翔龍 5000VT》の制圧力が挙げられる。
【水闇自然ジャオウガ】や【闇火テレスコ=テレス】などのクリーチャーを主体にしたデッキに対してクリティカルに刺さるカードを強く扱えるデッキが【サガループ】だったのだ。
ZweiLance 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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《飛翔龍 5000VT》は、小型クリーチャーだけでなく【サガループ】を止めるカードとして注目を集めている面もある。
しかし、クリーチャーを展開するデッキには先に《飛翔龍 5000VT》を使わせて、カウンターで自分も《飛翔龍 5000VT》を投げ返す。
呪文で固めてくるデッキには《飛翔龍 5000VT》を出させないように【サガループ】の強みを押し付ける。
【サガループ】だからできるプレッシャーの掛け方。
相手の動きを確認してからの後出しジャンケンが、今回の大会における【サガループ】のテクニックの一つだ。
また、忘れてはならないのが【水闇火ダンタルサガ】と【水闇DOOMサガ】の存在である。
そん 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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過去の栄光ルピア 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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【サガループ】は形が多すぎて対応できない。
とはよく言った話だが、新カードによりその傾向はより顕著になった。
【水闇火ダンタルサガ】は《「必然」の頂 リュウセイ / 「オレの勝利だオフコース!」》を搭載することで複数のメタクリーチャーを一気に超えられるようにパワーアップ。
これにより、除去をしながら手札に《百鬼の邪王門》や《絶望神サガ》を抱えやすくなり、デッキの強度が大幅に底上げされた。
【水闇DOOMサガ】はチャージャー呪文でマナが伸びやすいため、《飛翔龍 5000VT》を自分から積極的にプレイできるようになっている。
元々ループをしなくても《超神星DOOM・ドラゲリオン》で攻め切るプランを備えていたデッキだったが、ジャストダイバーのT・ブレイカーが追加はその攻撃力により一層磨きをかけてくれた。
これらの要素全てが噛み合い、【サガループ】は文字通り異次元の強さを手に入れた。
しかし【サガループ】が大躍進したのには、デッキの強さ以外にも理由がある。
それは【サガループ】が勝てるフィールドがあるデッキによって整えられていたからだ。
その環境を整備したのが今大会の台風の目、【光火サムライ】である。
光火サムライ
紅蓮 超CSV大阪デッキリスト オリジナル構築 |
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大感謝祭 ビクトリーBESTが発売されると、一瞬でトーナメントシーンを駆け上がっていったビートダウンデッキが【光火サムライ】だ。
デッキの動きはシンプルで、序盤はコストを軽減するカードをプレイ。
その後《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》や《竜牙 リュウジン・ドスファング》といった攻撃しながら展開できるカードを使い、アドバンテージを獲得する。
サムライを並べていき、最終的に《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》でデッキを回転させ、《時の法皇 ミラダンテⅫ》や《》のロックを掛けながら、スピードアタッカーのサムライ軍団でフィニッシュを叩き込む。
例えるなら【闇単アビスロイヤル】のような展開力。
例えるなら【4cガイアッシュ覇道】のような貫通力。
例えるなら【水闇自然デッドダムド】のような制圧力。
過去にあった近しいデッキの名前を挙げるとすれば、こういった表現になる。
攻撃力だけ見るのであれば、歴代でもトップクラスのビートダウンだ。
弱点を挙げるならば、速度が少し遅いことと、防御力が低いことだろう。
運が良ければ最速3ターン目にダイレクトアタックを狙えるが、基本的には4ターン目以降にアタックしてアドバンテージを得ることで押し付けを成立させて勝つデッキである。
後ろのターンまで溜めれば、様々な防御札を貫通する動きに移行できるが、その時間を作れる有効なS・トリガーや除去を【光火サムライ】はあまり持たないのだ。
これにより、自分より早い相手がいる環境では、ある一定以上の活躍は難しくなってしまうだろう。
幸運なことに今の環境内では【水闇自然ジャオウガ】や【水魔導具】といった、バトルゾーンに展開したカードでアドバンテージを稼ぐデッキが多かったため、メインギミックの強さだけですぐにメタゲームの一角を担うまでになった。
サンプルで紹介したリストは《オリオティス・ジャッジ》や《オレは決闘者!!》といった独自のチューンを施してあり、自分より早いデッキへの対策や、少し詰まった手札を吐き出しやすくしてある。
細部の調整は、これからも最適化されていくと思われるが、強みを消さずに弱点を補完しているこのリストは見事なチューニングだと言えるだろう。
全体で見ると、デビュー戦ともなった今回の超CSでは、結果的に二つの不幸が【光火サムライ】を襲うことになった。
一つ目の不幸は、《飛翔龍 5000VT》により不利対面である【サガループ】の立ち位置が向上してしまったことだ。
【水闇自然ジャオウガ】や【水魔導具】などの【サガループ】を狙いに来たデッキを倒すと、結果的に【サガループ】が勝ち上がりやすくなってしまう。なんとも皮肉な話である。
そして二つ目の不幸は、この環境で速度を売りに勝ち抜くのであれば、太陽の名を冠するあの不死鳥と戦わなければいけなかったことだ。
火自然アポロヌス
まーみー 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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早期にパーツを揃えて、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》の効果を起動する、高速コンボが【火自然アポロヌス】だ。
以前から高い評価を受けていたアーキタイプだが、この大会ではなおのこと評価が高かった。
≪5000VT≫の影響を受けず、【サムライ】より早い。
【火自然アポロ】にとって前回大会からの変化は言ってしまえばそれだけだったが、このデッキを選ぶ理由はそれだけで十分であった。
更新されたカードプールはこのデッキの構築に直接的な影響こそなかったが、周りの変化が好転し、環境内のポジションが向上したのだ。
また、散々語られてきたことではあるが、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》の3ターン爆発は生半可な受けでは止まらない。
ランキング上位プレイヤーのるるるは【サガループ】を使わず、このデッキを手に取った。
それに値するだけの魅力が、このデッキには詰まっている。
しかし、このデッキを真っ向から受け止めることのできる【サガループ】が1/3を占めるトーナメントは流石に苦しかったのだろう。
前回大会ではTOP8に3名を輩出したが、今回の大会では1名に留まってしまった。
そしてそこまで続いたまーみーの挑戦も、最後はそんの使う【水闇火ダンタルサガ】に受け止められる形で潰えてしまった。
5cコントロール
新潟大会に引き続き人気のアーキタイプだったが、今大会においては少し事情が異なっている。というのも、今大会では【水闇自然ジウォッチ】や【カイザー刃鬼】、【4c邪王門】といった自分と同じくらい、あるいはもう少し重いコントロールデッキが増えていたのだ。
【光火サムライ】と【サガループ】の速度と貫通力を兼ね備えるデッキには不利が付き、重量コントロール対決になると1枚1枚のカードパワーで差をつけるのも難しくなってくる。
では、そんな【5cコントロール】の今回の主張点は何だったのだろうか?
アシヤ 超CSV大阪デッキリスト オリジナル構築 |
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それは4ターン目の大型ハンデスと、8コストのロッククリーチャーだ。
今までは大型ハンデスをプレイしてから《とこしえの超人》で蓋をする試合が多かった。
しかし、《飛翔龍 5000VT》の登場で少しでもハンデスが遅れると、《とこしえの超人》を複数並べても信頼を置くことが難しくなってしまった。
《とこしえの超人》が上手く使えないとなると、現環境での活躍は苦しいように感じるが、【5cコントロール】からすると≪5000VT≫登場は悪いことばかりではない。
むしろ、基本的に呪文でコントロールする【5cコントロール】にとって≪5000VT≫のような【サガループ】と同じくらい好相性な除去カードなのだ。
これは主に《ブレイン・スラッシュ》の出力先として評価がされている。
また、≪5000VT≫が環境を整備してくれると、逆に相手の《とこしえの超人》がプレイされにくくなり、墓地やマナからの踏み倒しがやりやすくなる利点もある。
結果として、本戦に進出した【5cコントロール】の多くは《とこしえの超人》を抜き、《ブレイン・スラッシュ》から出てくるロックカードを増量する形に構築を変えていた。
早期のハンデスかロックのどちらかを決め、安定してゲームの主導権を握るゲームプランにシフトしたのだ。
その中でも最も勝ち進んだアシヤのリストには《聖魔連結王 ドルファディロム》が4枚に《超球の超人 / 父なるタッチダウン》まで採用されていた。
ここまで重量級に寄せると、一度マウントを取ってからは滅多に返されることがないだろう。
だが、最後に立ちはだかった壁はコントロール殺しの【水魔導具】だった。
闇火テレスコ=テレス
nGiap 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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新潟大会直前に鮮烈なデビューを果たした【闇火テレスコ=テレス】は《邪幽 ジャガイスト》を手に入れ、自分から攻めに行く動きが強化された。
それに付随して《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》の採用率もあがり、以前の形より早い段階でゲームの主導権を掴みやすくなった。
今まではメタカード+《謀遠 テレスコ=テレス》の組み合わせでゲームを作っていたが、アビスの力により能動的に動けるようになったのは大きな変化だと言える。
また、《百鬼の邪王門》+《一王二命三眼槍》のパッケージと《邪幽 ジャガイスト》の相性の良さも見逃せない。
前までは、自分から攻めに行く試合は手札で防御札が上手く捌けない試合があった。
だが今は《邪幽 ジャガイスト》の能力コストにすることで、腐り気味な手札でも攻めに変換することができる。
それ以外にも、《百鬼の邪王門》から出てくるブロッカーとしてそもそも優秀である。もちろん、出てきたときに使い切れない手札を捨てれば一気にカウンターパンチまで期待できる。
ここまで相性の良さを並べてきたが、もちろん弱点もある。
それは、アビスの比率を上げるとデッキ全体が重くなり、反対にアビスの比率を下げると、《邪幽 ジャガイスト》のメクレイドが外れてしまうリスクが増えてしまうことだ。
特に早出しのためのチャージャー呪文と各種アビスはシナジーが薄いため、速度とアドバンテージのバランスは他のデッキ以上に繊細な配分が求められる。
今大会では、チャージャーを採用せず、《ヨービリン=リリン / 「……誰を呼びたい?」》を採用した、重量級の構築を使ったnGiapがTOP8まで勝ち進んだ。
【サガループ】と【火自然アポロ】を強く意識し、それらを確実に刈り取った形だ。
最後は重量コントロールの宿命か、【水魔導具】に破れてしまった。
《邪幽 ジャガイスト》はまだまだ研究余地のあるカードだ。
研究が進むと、もしかしたらこの相性差がひっくり返る日が来るのかもしれない。
水魔導具
森元琉/残響界隈 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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【水魔導具】は【光火サムライ】登場の被害を最も強く受けたデッキである。
自身の展開に必須とも言える《卍 新世壊 卍》。
相手の展開を止める《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》。
手札と盤面を締め上げ、リソースゲームを制する《「無月」の頂 $スザーク$》。
今の【水魔導具】を代表するこの3枚全てを《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》が否定してくるのだ。
新カードである《堕呪 ボックドゥ》は《堕呪 カージグリ》との選択肢になることが多く、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》への効力は低いままだ。
宿敵は以前より活躍しやすくなり、それどころか天敵まで増えてしまったのだから、その苦労は想像に難くない。
結果として決勝トーナメント進出人数は新潟大会の15人から、6人まで減少してしまった。
しかし、決勝トーナメントに入ってからの【水魔導具】は一味違った。
繰り返すようだがこの大会は《飛翔龍 5000VT》の影響があまりに大きかった。
そして【水魔導具】は、≪5000VT≫が最も刺さらないデッキの1つである。
≪5000VT≫が使われるとどうなるかは想像が付きやすく、最も被害の大きい【水闇自然ジャオウガ】は明確に数を減らした。
その後、≪5000VT≫とどう向き合うかはプレイヤーに委ねられた。
その結果は≪5000VT≫が刺さりにくい中〜重量級のデッキに≪5000VT≫を積むというアプローチが多く見受けられた。
そして、中〜重量級のデッキは【水魔導具】にとってほぼ全員お客様のようなものだ。
もちろん、対【サガループ】への勝率は依然として環境内で最も高い。
苦しい予選ラウンドを通過することが出来れば、世界がひっくり返り、有利対面のほうが多いトーナメントに臨めたのだ。
結果として森元琉/残響界隈が操る【水魔導具】は、決勝トーナメントからコントロールデッキと多く対峙し、今大会3位の好成績を収めた。
ライオネル.star
【ライオネル.star】と聞いて真っ先に思い浮かぶデッキは、GP王者すずの音が愛用する【光水火ライオネル.star】という人がほとんどではないだろうか。しかし、今回勝ち上がった【ライオネル.star】は、それとは全く違うアプローチを受けていた。
サンジェルマン 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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光と水の2文明で構築されたこのデッキは、以前から一定数の愛好家がいた。
防御力の高いS・トリガーで【火自然アポロヌス】や【光火サムライ】などのビートダウンを受け止めることに焦点を当てたこのデッキは、高速コンボデッキである【サガループ】に不利とされていたため、メタゲームの上位に現れる機会が少なかった。
では今回なにが変わったのか。その理由は大きく3つある。
1つ目は《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》、《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》、《アルカディアス・モモキング》からなる、【サガループ】への強力な縛りだ。
【DOOMサガ】が主流だった頃は、ループを介さない墓地肥やしが裏目になっていた。
《疾封怒闘 キューブリック》が確定枠とされていたころは、《アルカディアス・モモキング》を出してもループのついでに除去されていた。
【ダンタルサガ】が主流になり、デッキリストから《疾封怒闘 キューブリック》が外れることも増えた今、墓地リセットや呪文ロックと言った妨害が刺さるタイミングが増えたのだ。
2つ目はこのデッキもまた、《飛翔龍 5000VT》を上手く扱えるデッキであるということだ。
【水闇自然ジャオウガ】や【光水火ライオネル.star】といった、メタクリーチャーを広げながら攻めてくるデッキに対してシールドだけではなく≪5000VT≫で受け流す。
文字に起こすと簡単なことだが、動きが大振りになりがちなこのデッキではなかなかできなかったアクションだ。
1つ目のメタ要素と合わさり、【サガループ】への勝利にも貢献するため、この時点で環境内での立ち位置はかなり良好となっていた。
そして3つ目は【光火サムライ】の隆盛だ。
【光火サムライ】が流行ると、【火自然アポロヌス】が増えて、【水魔導具】が減る。
であれば、《時の法皇 ミラダンテⅫ》と≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫のロックをかいくぐりつつ、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》の攻撃を受け止めることのできるコントロールデッキに白羽の矢が立つ。
夢物語に聞こえるが、《スロットンの心絵》《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》《ジョーカーズの心絵》の三枚は、不可能を可能にする防御力を誇る。
これらの要素が上手く噛み合った結果、今回の超CSでは【水魔導具】【水闇自然ジャオウガ】と同じ6名を決勝トーナメントに送り出し、その中でサンジェルマンはTOP4に名を刻んだ。
メタカードやトリガーの採択、攻めと守りのプレイ判断が難しく、使いこなすには時間がかかる。
また、今まで鳴りを潜めていたように、環境に左右されやすいデッキであるため常に勝てるデッキというわけではない。
大まかな判断基準として、タマシードでの防御ギミックが必要とされる環境であれば、今後もまた見かけることになるだろう。
水闇自然ジャオウガ
ブラックブレット 超CSV大阪TOP8デッキリスト オリジナル構築 |
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大感謝祭 ビクトリーBESTの発売直後こそ、《飛翔龍 5000VT》の軽減効果を最も上手く扱えるということで注目を集めたデッキだった。
しかし、【サガループ】や【5cコントロール】などに≪5000VT≫が搭載され始めると、≪5000VT≫の投げ合いに弱さが浮き彫りになった。
ミラーマッチも先に≪5000VT≫をプレイできたほうが大きく勝利に近づくため、共食いで数を減らしやすいのもネックだ。
それだけではなく【光火サムライ】が台頭し、序盤のシステムクリーチャーが維持できなくなると、一気に勢いを落とした。
依然として【火自然アポロヌス】にも不利がつくため、環境の立ち位置は過去最悪だったと言える。
不利がつくカードが環境を支配し、不利がつくデッキが環境の注目を浴びる。
この逆風の中、優勝したのはブラックブレッドが使用した【水闇自然ジャオウガ】というと一見驚く人もいるかもしれない。
だが優勝したリストは、そういった懸念をなくすかのように少しずつ軸をずらしている。
最初に目を引くのは《極楽鳥》の不採用。
能力こそ強いものの ≪「…開けるか?」≫や《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》に除去されるとテンポロスが激しいので、今の環境には合っていないということだろう。
そこを除去されても問題がない《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》をメインのマナ加速手段にすることで、除去によるテンポロスをなくしている。
また、マナが伸びるため5マナからの≪母なる星域≫から攻めるプランも作りやすくなり、攻めの速度が一段階加速している。
副産物として、【火自然アポロヌス】の攻撃を受け流せる可能性が生まれるのも折り込み済みだろう。
次に気になるのは《若き大長老 アプル》の不採用。
これは単純に≪「…開けるか?」≫のケアだと思われる。
しかし、代わりに入っているカードを見ると、その認識がもう一歩進む。
代わりのメタカードとして採用されているのは今はもうあまり見かけない《キャディ・ビートル》だ。
これは【サガループ】のメタカード除去が≪「…開けるか?」≫から《飛翔龍 5000VT》に変化しているのを想定したものと思われる。
その裏付けとして、TOP8に勝ち残ったZweiLanceの【水闇ダンタルサガ】は、《ドアノッカ=ノアドッカ / 「…開けるか?」》を採用していない。
上位のメタゲームを読み切って選択したカードであろう。
最後に気になるのが《CRYMAX ジャオウガ》を出しやすくするフィニッシャー周りの選択だ。
【水闇自然ジャオウガ】のメタクリーチャーは、なにも対【サガループ】専用機ではない。
同型戦になるとお互いに《とこしえの超人》や《若き大長老 アプル》が睨み合い、≪母なる星域≫を唱えにくくなる。
また、《Disジルコン》や《Disメイデン》が壁として機能することも多く、《CRYMAX ジャオウガ》自身のアタックが綺麗に通る場面は意外と少ないのだ。
そのため、メタクリーチャーや小型ブロッカーを退かしながら、自身の打点を補佐する。まさに《飛翔龍 5000VT》の本領発揮というわけだ。
【光火サムライ】と【サガループ】が作ってくれた環境は強力なS・トリガーは少なくなっている。
そして、無防備な状態に突撃する《CRYMAX ジャオウガ》の強さは……今さら語るまでもないだろう。
迫る新デッキの影
最後に、筆者が個人的に気になったデッキを2つ紹介しておこう。これらのアプローチは、《飛翔龍 5000VT》や【光火サムライ】と向き合っていく今後の環境で役に立つ考え方だと信じている。テスタロッサ
モンジロー 超CSV大阪デッキリスト オリジナル構築 |
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一見するとテスタロッサのテーマデッキだが、その細部はしっかりトーナメントシーン用に調整されている。
厄介なポイントを上げると≪「…開けるか?」≫と《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》などの軽量除去が全て破壊であるところだろうか。
また、ゆっくり並べていくのではなく、一気に横に広がるデッキなので相手視点だと《飛翔龍 5000VT》を出すことが難しいのもポイントだ。
相手の行動を縛りながら攻撃するメタビートでありつつ、最速3tに灼熱ドロンゴーする上ブレも兼ね備えている。
灼熱ドロンゴーの同時宣言も含め、回った時の速度や火力は【水タッチ闇スコーラー】を彷彿とさせる。
今でこそ3ターン目にループするデュエル・マスターズだが、基本的にチェインコンボは4ターン目に出来れば十分強いとされているので、今後の動向に期待がかかる。
水闇自然ジウォッチ
こっちゃー 超CSV大阪デッキリスト オリジナル構築 |
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【5cコントロール】のように《飛翔龍 5000VT》を使える呪文軸のコントロールデッキというアプローチは他にもあった。
その中で特に目を引いたのが、こちらの【水闇自然ジウォッチ】だ。
一般的な【水闇自然ジウォッチ】が《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》や《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》でランプ戦術を取っているのに対し、こちらはメタクリーチャーとドローソースで前に寄せるアプローチを取っている。
【火自然アポロヌス】に対して強い部分は《流星のガイアッシュ・カイザー》と受けパッケージのように構造を分解し、残りは【水闇自然ジャオウガ】のように相手を縛る構築だ。
これはブラックブレッドが少し軸を変えたように、こっちゃーが環境を読み切った結果なのだろう。
おわりに
《飛翔龍 5000VT》の支配から始まった超CSⅤin大阪は、≪5000VT≫を最も上手く使いこなし、相手の≪5000VT≫を上手く使わせない、メタゲームの半歩先を往くデッキの勝利で幕を閉じた。いつもであればこれは新しい環境の始まりなのだが、8月には殿堂発表があり、今鎬を削っているデッキたちがそのまま使えるとは限らない。
しかし、強力なカードが殿堂入りしたからといって、考えた時間や考え方が無駄になるわけではない。
むしろ、カードに依らない思考力はいつかきっと貴方達の役に立つだろう。
貴方がデュエル・マスターズに触れるとき、少しでもこの記事が糧になってくれたら幸いである。
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