超CSⅧ北海道 Round 6:パスカルレイ vs. かれまる
ライター:清水 勇貴(yk800)
撮影:瀬尾 亜沙子
かれまるのシールドは2枚。《アリス・ルピア》から登場し、スピードアタッカーを得た《アシステスト・インコッピ》、《ルピア&ガ:ナテハ》、そして《ハッター・ルピア》が、対戦相手に襲いかかる瞬間を今か今かと待ち構えている。
《アシステスト・インコッピ》で1点。《ルピア&ガ:ナテハ》で1点。そして——。
ゲーム開始前のフィーチャーテーブル。向かい合うかれまるとパスカルレイは嬉しそうな、気まずそうな、不思議な表情をお互いに浮かべていた。かれまる「いやー、今日知り合ったばっかりなのにこんなところで当たるとは」
パスカルレイ「いや、本当に!」
ここに居並ぶ2人は数奇にも、まさに今朝、入場口のロビーにて共通の知人を介して知り合ったというではないか。
朝方お互いの健闘を祈り合った2人は、それぞれに勝利を積み重ね、この6回戦。全勝・1番卓——それもフィーチャーマッチのテーブルで再会を果たす。
勝利するのはどちらか1人。ゲームは、刹那のうちに決着を迎えた。
Game
先攻:パスカルレイ
かれまる「《進化設計図》をチャージします。1マナで、《ヘルコプ太の心絵》」「私のデッキは【火自然アポロヌス】です」と自己紹介するかれまるに口の端を引き攣らせながら、パスカルレイは了承の返答を送る。
彼が1ターン目にマナに埋めていたのは、《アリスの突撃インタビュー》。このゲームは【ファイアー・バード】と【火自然アポロヌス】の対戦と相なった。
お互いが順当に動き合えば、先に動かれた相手の打点を受け止めることはどちらのデッキも望めない。
先に完走した方が勝ち。走り切れなければ負け。どうあってもスピード決着に帰結するマッチアップだ。
《ヘルコプ太の心絵》で与えられた4枚の選択肢に、かれまるはしばしの黙考。悩んだ末に、《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》を手札に加える。後攻からでも先攻3ターン目に置かれた《ハッター・ルピア》を吹き飛ばして侵略できる、文字通りの「鬼札」だ。
さて、パスカルレイにとって最大の幸運は、彼が最初のジャンケンで先攻を勝ち取っていたことだろう。
先に2マナを使用する権利を行使できる彼は、《マジシャン・ルピア》を召喚。《凰翔竜機マーチ・ルピア》を捨ててドローを進める理想的なスタートを切った。
遅れて2マナを揃えたかれまる。2枚目の《進化設計図》をマナに埋め、唱えたのは《エボリューション・エッグ》!
《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》確定宣言にパスカルレイは苦悶の表情を浮かべるが……しかし、その表情は程なく和らぎ、数瞬ののちにまた引き締まる。
かれまるが提示したカードが、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》ではなく、《禁断の轟速 ブラックゾーン》だったからだ。
果たして、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が山札になかったか。はたまた、もうすでに「ある」のか。かれまるの面持ちは心なしか緊張しているようにも見えるが、その本心は窺い知れない。脳裏によぎる可能性に、パスカルレイは気の抜けない時間を過ごす。そして、運命を分ける3ターン目。
パスカルレイ「《ハッター・ルピア》を召喚します」
ここでターンを返せば、まずビートダウンを通されるパスカルレイにとって、まずは最低ラインとなる「先3ハッター」をクリア。ハイパー化を起動し、攻撃を宣言する。
メクレイド5からは追加の展開札・《龍后凰翔クイーン・ルピア》、クリア。1ブレイクに対してトリガーやG・ストライクもない、これもクリア。パスカルレイの元に、少しずつ勝利への必要条件が積み重なっていく。
《龍后凰翔クイーン・ルピア》で攻撃、《ハッター・ルピア》を破壊してファイアー・バード・メクレイド8……ここで駆けつける、100点満点の《アリス・ルピア》!
そう、そこに不足はない。しかし、過剰もない。《龍后凰翔クイーン・ルピア》の2点にもトリガーはなかったため、ちょうど、残り3点分だ。
たった1枚の受け札ですら全てが瓦解しかねない状況。しかし、相手は【火自然アポロヌス】、防御は薄いはず……。不安げな表情を浮かべていたパスカルレイだったが、ついには腹を括る。いずれにせよ、ここで殴り切らなければ、殴り返されるだけなのだから。
まずは、ウルトラ・セイバーを持つ《アシステスト・インコッピ》で1点。トリガーは……ない。
続いて、《ルピア&ガ:ナテハ》で1点。トリガーは…………ない!
最後に残された《ハッター・ルピア》が無事にかれまるを貫き、ゲームはあっという間に幕引きを迎えた。
Winner:パスカルレイ
かれまる「いや~、受け札、実は1枚も入ってなくって」
種明かしをすると、パスカルレイが《ハッター・ルピア》から《龍后凰翔クイーン・ルピア》、そして《アリス・ルピア》まで繋ぎ、山札の上3枚が全てクリーチャーだった時点で、彼の勝利はほとんど決まったも同然だったのだ。
かれまる「最初の《ハッター・ルピア》が出てからは、とにかく『ジャスキル完成しないでくれ〜!』としか思ってなかったです笑」
パスカルレイ「逆にこっちは『《SMAPON》だけは嫌だ、《SMAPON》だけは嫌だ……!』って、もうそれしか考えられなかったですよ」
先攻3ターン目からの展開を綺麗に繋ぎ切り、【ファイアー・バード】の強みを存分に発揮して勝利を掴んだパスカルレイ。しかし、実際のところかれまるの選択次第では勝負は分からなかっただろう。
かれまる「1ターン目の《ヘルコプ太の心絵》で《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》と《オンソク童子 <ターボ.鬼>》が両方見えてたんですよね。でも、その時には《エボリューション・エッグ》がもう手札にあって。《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》持ってきて、《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》で《ハッター・ルピア》の上から貫通を狙う方が勝てると判断したんですよ」
しかし、実戦において2ターン目に彼がサーチしたのは《禁断の轟速 ブラックゾーン》。しかもその時彼の手札には、もう1枚の《禁断の轟速 ブラックゾーン》も控えていたという。
かれまる「……判断したんですけど、肝心の《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が結局楯落ちしちゃってたんで……これだったら《オンソク童子 <ターボ.鬼>》を引っ張ってきて、2ターン目に出した方がまだチャンスありましたね」
パスカルレイ「いや、危なかったです」
結果だけをなぞれば、先攻3ターン目のブン回りが相手を圧倒しただけのゲーム。しかし、その短い間にも勝負を分ける判断はいくつも潜んでいた。
予選ラウンド6回戦、全勝ライン。6-0を成し遂げたパスカルレイは決勝トーナメント進出を確実なものにし、5-1に敗れたかれまるは最終戦に望みを託す。願わくば、彼らが決勝トーナメントで3度目の邂逅を果たさんことを。
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パスカルレイ 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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かれまる 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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