DMGP2025-2nd Day1(アドバンス)準々決勝:らららい vs. デンネ
ライター:鈴木 響太(ボルスズ)
撮影:坂井 郁弥
らららい:「いやー、やーばい!」日も落ち、退出者も増え、少しずつ静寂を取り戻しつつある準々決勝でも元気を失わないのが、この554卓だ。
デンネ:「もうここまで来たら運がよかったよね。そうじゃない?」
らららい:「確かに、ここまで3キル2回。3キルの神様に祈るわ。」
デンネ:「そんなんいるの?笑」
Best8特有の緊張感はあれど、それ以上に気心も知れているからか談笑しつつ準備を進めるらららいとデンネ。
ここからは2本先取で勝敗が決定する長丁場。これくらいの方がむしろミスも少なく回っていくものなのかもしれない。
ここまで、気まぐれな神様の加護もあり快勝を続けてきた2人。しかし、この対戦の勝者はたった1人。プライドをかけて、そんな2人の戦いは火蓋を切った。
Game1
先攻:らららい
1ターン目は互いに3色のカードをチャージし、上々の滑り出しでスタート。動き出したのは後攻2ターン目、ドラゴンデッキの特製エンジンが火を噴いた。
らららい:「まずはここ!!」
らららいも真剣に見つめる中、放たれた《メンデルスゾーン》は《ボルシャック・栄光・ルピア》×2できっかりマナブースト!これにはデンネも大きく頷く。
一気に足元が怪しくなるらららい。プレイしたカードはこちらも【光闇水ゼーロ】における強力な初動、《~地獄帰りの騎士~》。
……が、ディスカードしたのは《冥土人形ヴァミリア・バレル》。このターン、これ以上のアクションは起こせない。苦々しい笑みを浮かべるらららいに対して、またしても満足げにデンネは頷く。
デンネ:「あるよあるよ~!」
らららい:「ないない!!」
らららいの祈りも虚しく、プレイされたのは《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて!モルト!!」》を経由しての《夢双龍覇 モルトDREAM》!
らららい:「もうおかしい!!」たまらず叫ぶらららいをよそに、《熱血剣 グリージーホーン》《爆熱剣 バトライ刃》《爆銀王剣 バトガイ刃斗》の「安全展開3点セット」をいそいそと用意。
クリーチャーへ向けてアタックしながら、デッキトップをめくると……実質追加ターン級の《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》に加えて《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》までスクランブル着地!!
この攻撃に対し、らららいは《裏斬隠 テンサイ・ハート》のウラ・ニンジャ・ストライクを宣言。
デンネ:「14コストある?」
らららい:「足したら14あるんだけどな。」
結果的にこの《裏斬隠 テンサイ・ハート》は手札交換に終わり、これを的に《夢双龍覇 モルトDREAM》が再動。《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》に加え、ダメ押しの《地封龍 ギャイア》までもが!
両手両足を縛られ、マナチャージのみで終えるらららいを、≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫チェンジ≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫で完全に詰め切った。らららい 0-1 デンネ
デンネ:「まずは一勝。」
らららい:「いやー、勝ってたら勝ってたな。」
デンネ:「勝ってたら勝ってたね。」
らららい:「普段メンデル撃ってる側だから怒られたのかな。」
デンネ:「どういうこと?」
らららい:「使えよ!俺を!!って」
これが彼らの平常運転なのか、それとも特有の緊張を紛らわせるためか、半ば空虚とも言える会話でも、とにかく止まらない。
しかし、この決勝トーナメントと思えないほど和やかな会話こそが、少なくともリラックスへ向かおうとしているのは間違いない。
その証左か、準備が完了するとい一転、真剣な面持ちでGame2は始まった。
Game2
今回もお互いの初手チャージは多色……なのだが、デンネの埋めたカードは《メンデルスゾーン》。それは、「次、撃ちます。」という宣言に他ならない。流石のらららいも、もはや笑うしかないようだ。実質的な宣言通りに、デンネの2ターン目プレイは《メンデルスゾーン》。
しかしここで、公開されたのは《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて!モルト!!」》と《メンデルスゾーン》。
デンネ:「マジかぁ……。」
思わず天を仰ぐデンネ。らららい視点では、無理をして3ターン目のコンボを狙わなくても良くなった状況だ。
続く3ターン目、準備期間と言わんばかりに召喚されたのは《魔獣星樹ギガゲドー》。シールド回収とコンボ要員を兼ねた枠圧縮性能の高さから、今大会の【ゼーロループ】系デッキがこぞって採用に至った強力リソースカードだ。
返すデンネのターンは≪お清めシャラップ≫でマナ加速をするにとどまり、4ターン目に突入。
らららい:「シクミの神様……!!」プレイされたカードは《影世界のシクミ》。ここまでの勝利に「運の良さ」も大きく絡んだという自認を持つ2人だけあって、この試合は神に祈るシーンが多い印象だった。現にこの《影世界のシクミ》の墓地肥やし如何では、このターンにループへと投入することも可能だ。
ここでの墓地肥やしは《影世界のシクミ》、《魔獣星樹ギガゲドー》、《DARK MEMORY CONTAINER》。4キルには一歩足らない。
らららい:「“じっくり”考えます。」
宣言通り、熟考の末踏み倒したのは、手札からの《冥土人形ヴァミリア・バレル》。《魔獣星樹ギガゲドー》でシールドを回収しつつ、ハイパー化を済ませてターンエンド。《双龍覇王 モルトVERSUS》を牽制する目論見だ。
しかし、牽制を受けたとしてここで大きくアクションをしなくては敗北が濃厚なデンネ。ここは臆せず《双龍覇王 モルトVERSUS》を召喚し、《爆銀王剣 バトガイ刃斗》の装備で一気に勝負をかける!《魔獣星樹ギガゲドー》への攻撃時に捲れたのは……。
痛恨の2枚目、《双龍覇王 モルトVERSUS》。ドリームクリーチャーはその強さ、特異性から同名は同時に2体存在できない。途端、生還。らららいはあわやの1ターンを乗り越えた。5ターン目のドローに、手をかける。
らららい:「うわ、3本目ある!!」
ループを見据えた1枚が手札に舞い込んだようだ。《異端流し オニカマス》をマナに埋めて《~地獄帰りの騎士~》を召喚。手札から捨てたのは、2枚の《DARK MEMORY CONTAINER》!!
《~地獄帰りの騎士~》のシールド追加までが処理され、3体の強欲な容器が戦場に押し寄せる。《DARK MEMORY CONTAINER》→《魔獣星樹ギガゲドー》の順番で3回処理を繰り返し、自身のシールドは0枚、ドローも追加6枚でコンボはもはややり放題。残り山札13枚の状態で、満を持して《闇王ゼーロ》は放たれた!
要の《アーテル・ゴルギーニ》が墓地へ送られ、そのまま蘇生。さらに《アーテル・ゴルギーニ》の能力で《~地獄帰りの騎士~》が蘇生。
未だ見えない《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》にも、らららいは焦らない。軽口を交えつつ、《サイバー・J・イレブン / 「みんなと戦えてよかった♥」》の呪文面を使ってボトム落ちをケアすると、今度こそ決定的な《闇王ゼーロ》の詠唱で《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》が降臨!
EXライフの追加で《DARK MEMORY CONTAINER》が4体蘇るのを見届けると、デンネは投了を宣言した。
らららい 1-1 デンネ
デンネ:「いやー、こんな喋ったり笑ったりしている卓俺らだけじゃない?」
らららい:「せっかくなら楽しい方がいいじゃないですか!」
それもそうだ。DMGPの舞台は年に2度しかない貴重な場。これほどまでにヒリつく戦いを味わえる機会なんて滅多にない。……なんて、納得しかけていると
らららい:「これもカバレージに書かれますか?」こちらに話を振ってきた。何という余裕だろうか。
らららい:「うわ、切り替えよ。“2人は真剣な眼差しで準備を終えた”って感じで。」
デンネ:「ええて笑」
泣いても笑っても、準決勝へ進めるのは2人だけ。雰囲気に反して、実際に2人の眼差しは真剣そのものだった。
Game3
この2人の戦いは、いつだって2ターン目からアクセル全開だ。そう、3連続となる伝家の宝刀。禁断の2ターン目《メンデルスゾーン》がらららいを襲う!捲れたカードは、2本目の雪辱を晴らす《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》& 《時の法皇 ミラダンテⅫ》のダブルドラゴン!単色2連埋めで進行していたデンネには、まさに干天の慈雨だ。
らららい:「嘘でしょこれ。気のせいだねきっと……。」
口調とは裏腹に、非常に冷静に《異端流し オニカマス》を召喚しターンを返すらららい。互いに脚を溜める展開が続く中、先に仕掛けたのはやはり、デンネだ。
4ターン目にマナチャージなし、高らかに宣言されたのは≪「助けて!モルト!!」≫から必殺の《夢双龍覇 モルトDREAM》!
あわや1本目の再来かと思われたが、今回のらららいにはメタクリーチャーがいる。慎重に思考を巡らせ、デンネが選んだのは《熱血剣 グリージーホーン》、《無敵剣 プロト・ギガハート》、《爆銀王剣 バトガイ刃斗》。当然バウンスを宣言するらららいだが、しっかり《無敵剣 プロト・ギガハート》の龍解でかわし、そのまま《異端流し オニカマス》を攻撃!
ここでの捲りは《メンデルスゾーン》に終わるが、影響は小さい。続けてドラゴンを呼び出すべく、デンネの攻撃先は前ターンに着地した《~地獄帰りの騎士~》。
デッキトップから着地したのは《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》。≪爆熱王DX バトガイ銀河≫が龍解するとはいえ、側から見ると追加の打点を用意できなかったに等しい。
≪爆熱王DX バトガイ銀河≫が止まれば……。ここでらららいの選択は手札からの《裏斬隠 テンサイ・ハート》!1本目とは違い、止めたい相手は8コスト。《闇王ゼーロ》を捨てることで、窮地を脱したファインプレー……に、誰もが見えた。
ただ1人。ただ1人、全てを持ち合わせた男だけが、このターンの勝ち筋を見据えていた。
デンネ:「いや、ステゴロ・カイザーが強かったよ!!」
現れた新たな的へ、ハズレにも見えた≪闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー≫が駆ける。それは、紅のマント、蒼の鎧、そして黄金の剣を持つ団長の登場に他ならなかった。
意識の外、理外の切り札。現れたのは、《蒼き団長 ドギラゴン剣》!
ファイナル革命で現れた《双龍覇王 モルトVERSUS》が、蘇った《爆熱剣 バトライ刃》を携えシールドへ突撃……するときに。さらなる革命チェンジ、≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫で呪文トリガーもS・バックも封じてシールドをブレイク!
これがドラゴン、これがドラグナー。これが、デンネ。続く5ターン目も≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫を絡め、この日“最も持っている男”が勝利を収めた。
Winner:デンネらららい:「いや〜もう強い!最強だこの人マジで!!」
握手の手を差し出しながら、らららいは吐露した。
らららい:「マジで悔しい……。いや〜……マジか……。」
楽しい勝負であっても───いや、楽しい勝負であればこそ悔しさも嬉しさもひとしお。
試合中の盛り上がりは、互いの強さを認めているからこそなのだ。
強敵の強さも、悔しさも背負って、勝者はまた一歩───先へと進む。
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デンネ DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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らららい DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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